【蒼き月の輪舞】 モブにいきなりモテ期がきました。そもそもコレ、BLゲームじゃなかったよな?!

黒木  鳴

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にっこりとお手本のような微笑みを浮かべた。
慇懃無礼いんぎんぶれいに見えず、柔らかで、だけど品を感じさせるような笑みを。

敵意も下心もありませんよー!アピールをしてからカイルへと向き直る。

「折角だけど今日は遠慮するよ」

「えっ」

面倒臭いのが御免ごめんなのはこっちも同じ。

いやまぁ、ミーハー心としては若干お話し、いやいや近場で観察してみたいなーなんて気持ちも皆無ではない。

だけどこのままランチしたってぜってぇ気まずいっしょ?
取り繕うぐらいはしてくれるかもだけど確実に迷惑だし。

第一、俺の信条としてはあんまし目立ちたくないのよ。

なによりお偉方さんたちに悪印象持たれたくねぇ。
だって相手、国のトップ中のトップじゃん。
ランチごときで将来棒に振るとか嫌すぎる。

ってことで、一人黄昏たそがれてる系男子といたしましてはどっかでぼっち飯してきます。
別に友達いねぇわけじゃねぇからな。
誰に言い訳してんだ俺。

「初日で皆様もお疲れだろうし、昼食の時間ぐらい気心の知れた相手同士の方がいいだろう。さ、ただでさえ混んでいるから早く並んだ方がいいよ」

「……ラファエル」

「誘ってくれてありがとう」

一応礼を言ってから、王子たちに食堂のすみを指した。
窓際に面した食堂の奥、観葉植物とパーテーションの側のエリアはここから見る限り空席がありそうだった。

「あの辺、穴場なんですよ。いい感じに周囲の視線も遮れますしお勧めです」

さらりと告げて礼をするとその場を去った。
向かうは食堂の入り口から向かって右側。

食堂はフードコートのような造りになっている。
幾つかの配膳口があり、食べたいメニューがある場所に並び受け取るスタイル。
フードコートと呼ぶには内装もメニューも豪華すぎるが……。

俺が向かったのはテイクアウト用の軽食のコーナだ。

並んでいるのは大体が新入生でなく在学生だ。
その列に並びながらさて、なにを食べるかと頭を悩ます。
あれもこれもと目移りしてしまう俺は即決できないタイプだ。

さくさく進む列の順番が来る頃にはなんとかギリ昼食決定。

本日のランチはサンドイッチにカップの日替わりスープ。
本日はショートパスタ入りミネストローネ。

さんざん悩んだわりに無難な選択に落ち着いた。

外すのが怖くて意外と冒険できないタイプですがなにか?

おばちゃんから包みを受け取りちらりと目に入った隣の列にはズラッーと長い大行列。
なにせ生徒はお貴族様。
座ってりゃ目の前に食事が運ばれる生活が当たり前な彼ら彼女らにとって自分で並んで運ぶなんてはじめての経験な奴が大半。
もたもた手間取ったり、トレーを両手で支え零さないよう牛歩ぎゅうほの歩みで進んだりと大変そうだ。

学園名物、新入生あるあるである。

王子ら昼休み間に合うといいけど……。

他人事のようにそう思いつつ、やっぱり他人事なのでそう深くは気に留めもせず昼食片手にその場を去った。

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