【令和のホームズ編】俺の人生は男と結ばれないと死ぬようです。

haru

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1日目

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プルルルル……

事務所の電話が鳴り響き、青葉健一は慌ててソファーから飛び起きた。

「夢……か。」

全くなんて夢だ、探偵である俺が偶然とはいえ人を殺してしまうなんて。
健一は頭を搔きながら、鳴り響く電話を取った。

「はい、こちら青葉探偵事務所です。」

「健一、爆睡してた所すまないが事件だ。」

「俺だって電話に出れない時だってあるさ。星野さん仕事してくれよ。」

「してるからお前を呼んでるんだよ。」

電話の相手は星野巧、高校生の時にたまたま出会った俺様刑事だ。
既視感を覚えつつ、健一は会話を続ける。

「はいはい。で、今度は何ですか?」

「正確にはまだ起こってないんだが、とある大富豪の家に宝石を盗むと予告状が届いた。お前なら盗まれる犯人を見つけてくれると思ってな。」

「わかった、場所のメールと依頼料振り込みよろしく。」

電話を置くと健一の目の前に画面が出てきた。


『依頼を受ける→星野の好感度アップ
 依頼を断わる→名声ダウン』


「これ、夢でも見たような……。」

選択肢が見えてる以上、予知夢にも目覚めてもおかしくないよな。と考えていると、助手の根倉岳が出勤してきた。

「おはよう……事件?」

「あ、あぁ。また星野さんからの依頼でな……」

「ふぅん……じゃあ僕もついて行こうかな。」

健一が事件の内容を話す前に岳が答える。

「まっ、まぁ別にいいけどな。珍しいな。」

「健一の勘が働く姿もたまには見ときたいから。」

「勘じゃなくて、観察眼な。」

多少の会話は違うものの、夢と流れが一緒のようだ。
つまりは選択肢を気をつけた方がいいのかと思いつつ、星野から送られたメールを確認し、住所へと向かった。



「ここまで一緒とはな。」

玄関から屋敷までも徒歩で歩くには距離がある、学校よりも大きな屋敷は夢で見た光景と同じだった。
半信半疑ではあったが、予知夢の能力にも目覚めたのだろうと健一は結論つけた。

「……一緒って、何が……?」

「はっ、俺の能力の凄さだよ。」

健一は自画自賛しながら笑顔で玄関のチャイムを鳴らし、中へと入る。

豪華なシャンデリアは、二度目でも健一にとっては別世界に来たように感じた。

「こっちかな。」

記憶を頼りに奥へ進もうとすると、奥から映画の衣装のような、貴族の服を着た男性が出てきた。
この洋館には似合ってはいるが、現代的ではない。

「あぁ、君たちが刑事さんの言ってた探偵さんだね?使用人にもこの期間は暇を出しててね。出迎え出来ずにすまない。」

「いえ、探偵の青葉健一です。こっちは助手の根倉岳です。」

ペコリと岳も会釈をする。

「私は貴州院楓だ。どうぞこちらに。」

『貴州院楓(34) 身長188㎝ 体重74㎏ 快楽主義者』

貴州院が名乗ると健一の見えている画面が名前に変わった。
こいつには要注意だな。と健一は警戒を強めた。


貴州院に案内され、奥の部屋に入ると星野と他に2人の男性がケースに入った宝石を囲んで立っていた。
恐らくこの宝石が予告状された物なのだろう。

「どうだ、犯人はわかりそうか?」

星野にこっそり喋りかけられる。
宝石や周りを見渡すと画面の選択肢が変わった。

『犯人として星野を名指す→名声ダウン
 貴州院に話を聞く→知識アップ』

ふむ、夢ではここで貴州院に話を聞くのは悪手だった。
何の知識がアップするのかはわからないが、ここは星野を名指すのが正解のようだ。

健一はテレビの名探偵のように星野を指差した。

「犯人は……あんただ、星野さん!」

「な、何を言い出すんだ健一!」

健一の名指しに周りも騒然となる。
画面の文字が変わり『名声が下がりました。』と表示される。

「ほほう。刑事さんが犯人、真偽はわかりませんが探偵さんがそう仰るなら刑事さんには出ていって貰いましょう。」

貴州院はそう言うと星野に出てくよう玄関に向けて手をむけた。

「健一、お前も来い。」

星野に腕を捕まれ外に出て、停めてた星野の車に乗り込む。
エンジンをかけて室内の気温がちょうど良くなると、星野は口を開いた。

「これは一体、何の作戦なんだ?」

「いや、俺もこうするしかなかったんだよ。」

健一はすぐにまた選択肢が出るのを期待していたが、新たな選択肢はまだ出る様子はない。

「刑事の俺を犯人扱いしたんだ、責任はとってもらうぞ。」

「責任っても……」

犯人はちゃんと見つけると言おうとするも、星野は健一の背もたれを下げ、上から覆い被さってきた。

健一は夢で見たような事が起きそうな嫌な予感を感じ、抵抗するも逆にシートベルトで腕を取られてしまう。

「こうされたかったんだろ?」

そういうと星野は健一にキスをした。

「ふっ……んっ……ほしの……さん……やめっ……」

「やめてって顔してないよ。」

星野はそのまま健一の服に手をかけるが、健一は足で抵抗し、星野を運転席側に押しやった。

その時にアクセルに当たったのか、勢いよく車は進み屋敷の壁へと激突した。

「……くっ」

エアバッグに挟まれながら横を見ると、ぶつかった衝撃で曲がった柵が刺さり、明らかに絶命している星野の姿が目に入った。

健一の目の前は真っ暗になった。
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