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第一章 第一の秘密
第三話
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二百年前、地球に隕石が衝突した。隕石を観測できたのがわずか数時間前だったため、隕石衝突時に発生した津波と衝撃波で地球上の多くの物が薙ぎ倒され、人間を含む地球上の八割以上の生物が死滅した。そして、このシェルターに避難した数千万の人間だけが生き残ったのだ。
しかし、人類を襲ったのは、それだけではなかった。次々と女性が、高熱を出して倒れていったのだ。
荒廃した世界で必死に原因を突き止めようと生き残った医者、研究者達は力を尽くした。そして、その原因は隕石によって撒き散らされた宇宙由来の未知のウイルスだと判明した。そのウイルスは女性の子宮に感染すると細胞を侵食、腐敗させる、感染すれば致死率百パーセントの恐ろしいものだったという。
原因が判明した頃には、ほとんどの女性は死に絶えていた。数十名の女性は以前に子宮を取り除く手術をしていたためウイルスに感染せずに済み、生き残ったとされる。
そうして次に人類が考えたのは、どうやって生活するかということだった。そもそも隕石が衝突した後、シェルターの外は風速八十メートルの暴風が吹き荒れる荒野となっていて、外から物資を補給することはできない。一年余りでシェルター内にあった様々な物資は枯渇、暴徒と化した一部の人間による強奪と殺人が起こったが、元軍人と元政治家たちの手によって鎮圧された。
食糧の恒久的な確保のため、様々な野菜類の生産を試みたが、シェルター内にある種と人工太陽と名付けられた天井に取り付けられた灯りで栽培できたのは麦と大豆だけだったという。そのため必要な栄養素を摂取できるサプリメントと麦、大豆を混ぜ合わせた合成食品が、この世界の主食となり、嗜好品は人工甘味料と麦や大豆から精製されるビールと焼酎だけ。それでも、味は人工調味料で変えられるし、大豆から人工肉を生成することができたから、さして問題はなかったという。
その上、麦と大豆からバイオ燃料や紙なども製造できた。燃料も確保され、更にバイオ燃料からはプラスチックを製造、俺達の工場で生産している組み込み機器も大部分がプラスチックで作られている。鉄は城の周辺の地下で採取されるものがあるが、あと百年ほどで枯渇すると言われているから、回路や配線部分にしか使われない。
こうして資源を得ることができ、辛うじて命を繋ぐことができた人類にとって、最終命題は「どうやって子孫を残すか」ということだった。
生き残った女性の中で卵巣の残っていた者から採取した卵と男性の精子から、受精卵を作ることはできたそうだ。まだまだ資源が乏しい中ではあったが、子宮を模した羊水の中で初めての子供が人工的に作られた。
しかし、成長過程でその子供が女性であった場合、ウイルス感染により亡くなる事例が多発。遺伝子の研究をしていたジョン・ステイシーなる人物によって、精子の中でY染色体を持つものだけを選り分けて受精させるようになった。そうして女性は生まれなくなり、百年以上前に絶滅した、とされる。
更にステイシー教授は人工的に受精させ人工的に成長させた者のうち八割が健康面に問題があることを指摘。記録によると初年度に誕生した子供十名のうち四名は一年と経たず亡くなり、三名は五年以内に亡くなっている。最長の者でも十一歳だった。
試験管ベビーからの脱却を図るため、教授主導のもと、男性の遺伝子に変異を起こし、腸管を変形させて疑似子宮と卵巣を作る研究が行われるようになる。これが、後にΩと呼ばれる存在である。
しかし、人類を襲ったのは、それだけではなかった。次々と女性が、高熱を出して倒れていったのだ。
荒廃した世界で必死に原因を突き止めようと生き残った医者、研究者達は力を尽くした。そして、その原因は隕石によって撒き散らされた宇宙由来の未知のウイルスだと判明した。そのウイルスは女性の子宮に感染すると細胞を侵食、腐敗させる、感染すれば致死率百パーセントの恐ろしいものだったという。
原因が判明した頃には、ほとんどの女性は死に絶えていた。数十名の女性は以前に子宮を取り除く手術をしていたためウイルスに感染せずに済み、生き残ったとされる。
そうして次に人類が考えたのは、どうやって生活するかということだった。そもそも隕石が衝突した後、シェルターの外は風速八十メートルの暴風が吹き荒れる荒野となっていて、外から物資を補給することはできない。一年余りでシェルター内にあった様々な物資は枯渇、暴徒と化した一部の人間による強奪と殺人が起こったが、元軍人と元政治家たちの手によって鎮圧された。
食糧の恒久的な確保のため、様々な野菜類の生産を試みたが、シェルター内にある種と人工太陽と名付けられた天井に取り付けられた灯りで栽培できたのは麦と大豆だけだったという。そのため必要な栄養素を摂取できるサプリメントと麦、大豆を混ぜ合わせた合成食品が、この世界の主食となり、嗜好品は人工甘味料と麦や大豆から精製されるビールと焼酎だけ。それでも、味は人工調味料で変えられるし、大豆から人工肉を生成することができたから、さして問題はなかったという。
その上、麦と大豆からバイオ燃料や紙なども製造できた。燃料も確保され、更にバイオ燃料からはプラスチックを製造、俺達の工場で生産している組み込み機器も大部分がプラスチックで作られている。鉄は城の周辺の地下で採取されるものがあるが、あと百年ほどで枯渇すると言われているから、回路や配線部分にしか使われない。
こうして資源を得ることができ、辛うじて命を繋ぐことができた人類にとって、最終命題は「どうやって子孫を残すか」ということだった。
生き残った女性の中で卵巣の残っていた者から採取した卵と男性の精子から、受精卵を作ることはできたそうだ。まだまだ資源が乏しい中ではあったが、子宮を模した羊水の中で初めての子供が人工的に作られた。
しかし、成長過程でその子供が女性であった場合、ウイルス感染により亡くなる事例が多発。遺伝子の研究をしていたジョン・ステイシーなる人物によって、精子の中でY染色体を持つものだけを選り分けて受精させるようになった。そうして女性は生まれなくなり、百年以上前に絶滅した、とされる。
更にステイシー教授は人工的に受精させ人工的に成長させた者のうち八割が健康面に問題があることを指摘。記録によると初年度に誕生した子供十名のうち四名は一年と経たず亡くなり、三名は五年以内に亡くなっている。最長の者でも十一歳だった。
試験管ベビーからの脱却を図るため、教授主導のもと、男性の遺伝子に変異を起こし、腸管を変形させて疑似子宮と卵巣を作る研究が行われるようになる。これが、後にΩと呼ばれる存在である。
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