異世界転移は終わらない恋のはじまりでした―救世主レオのノロケ話―

一条咲穂(花宮守から改名)

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第4章 元カレとお世継ぎ問題

第6話

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 シルバーが名残惜しそうに飛び去っていくのを見送り、アントス様と一緒に城内に戻った。彼を最初に見つけたのは、ゾイさんだった。金縛りにあったように立ち尽くし、悲鳴のように細く叫んだ。
「アントス様!?」
「久しぶりだね、ゾイ。元気そうだ」
 ゾイさんはハッと僕を見て、またアントス様を見た。
「南門から上がってきたら、レオと会ってね。話をしていたんだ」
「お話、ですか」
「何て顔をしているんだ。喧嘩なんかしてないよ。僕たちは仲良しになったんだ」
 同意を求める彼の視線に、大きく頷いた。ゾイさんはやや落ち着きを取り戻し、優雅にお辞儀をした。
「よくお越しくださいました。陛下もさぞ喜ばれることでしょう」
 赤いドレスの肩が震えている。
「ゾイ、顔を上げてくれないか。あれきりになって、ろくに詫びも言えずすまなかった」
「いいえ、いいえ……」
 彼女が感情に任せて声を揺らし、涙を浮かべるのを初めて見た。「相棒」の話が頭をよぎった。十五年前の事件と関係があるんだろうか。
「失礼いたしました。陛下は一階の執務室で各所からの報告に目を通していらっしゃいます。さ、レオもいらっしゃい」
「はい」
 さり気なく立ち去ろうとしたけど、タイミングを逃した。一番後ろからついていく。執務室はたくさんの人が出入りするから、扉はいつも半開きになっている。ラトゥリオ様のデスクは奥だ。アントス様が部屋に入ると、椅子が大きな音を立てた。
「アントス……?」
 引き裂かれた恋人の名を呼ぶ声には、驚愕と、隠しきれない歓喜の響き。二人は歩み寄り、抱き合った。三歳からの親友。十八のあの日から今日までは、共に世界を治める盟友として。関係の変化を悩みながら受け入れて、固く結びついている一対。
 僕はゾイさんを扉の陰に引っ張っていき、囁いた。
「僕、地下にいますね。頼まれてたことがあるので」
「レオ……」
「二人だけで話したいことがたくさんあると思うんです。十五年ぶりなんだから」
「分かったわ。熱中しすぎないでね」
「はい」
 地下には、城内の電気設備を管理するための機械が詰まっている。何時間か没頭するにはちょうどいい。階段を降りる僕の心は穏やかだ。
 二人が再会できて、よかった。
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