姉に代わって立派に息子を育てます! 前日譚

mio

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1章 変わる日常

36話 入学試験(1)

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「お嬢様、本日はどのようなお召し物になさいますか?」

 目覚めると、すぐにイルナがやってくる。そんな生活にも慣れたこのごろですが、今日はとうとう学園の試験の日です。朝から緊張していつもよりも早めに目が覚めてしまったことを察して心が休まるというお茶を入れてくれました。

「そうね。
 今日は軽いドレスがいいかな」

 かしこまりました、と言うとすぐに適当なものを見繕ってくれる。イルナはこちらに来てから、本当に変わった。前は私の侍女とは名ばかりで屋敷の手伝いばかりしていたけど、今は違う。
 イルナが持ってきてくれたドレスは膝下丈のふわりとしたスカートと細かな刺繍が特徴の水色のドレス。うん、これならよさそうだ。

「ありがとう、イルナ」

 さっそくドレスに着替えると、すぐに髪も整えてくれる。今日はおろしていると邪魔だろうし、上げていると頭が重くなってしまうからとシンプルにまとめてくれた。


 食堂へ向かうと既にお姉様は席に着いていた。待たせてしまったようで申し訳ないな。

「ウェルカ、大丈夫?
 少し顔色が悪いわよ」

「大丈夫です、お姉様。
 初めての試験なので、少し緊張してしまって」

 私も入学試験はとても緊張したわね、と言いながら朝食に手を付け始める。今日もとてもおいしい朝食だ。

「でもあなたなら絶対に大丈夫よ。
 頑張ってね。
 帰っていたら、少し話したいこともあるのよ」

 最後は少し小さい声だったけど、お姉様の優しい声に心がほっこりとする。うん、確かに頑張れる気がする。

「いってらっしゃい」

 お姉様方に見送られつつ、本邸の方に向かうとすでにセイットが正装で待っていた。セイットも同じようにテストを受けるということで、一緒に学園に向かうことになっているのだ。


「試験を落としたら大変だと勉強をしたのだけれど、なんというか簡単ですね」

 馬車に乗り込むとさっそくセイットが話しかけてくる。正直緊張をしているから、話しかけないでもらえると嬉しいかも。
 そう、ですね、と答えるとそのあとは何も話しかけなくなった。

「到着いたしましたよ」

 学園は近かったようで、すぐに馬車は止まってくれる。爵位によって馬車を止める場所が決まっているのだが、さすが公爵。馬車を降りると校門の真ん前だった。

「お帰りのころにまたこちらに馬車を寄せておきます」

「ありがとうございます」

 必要なものはすべて持った。あとは試験を頑張るだけだよね。

「試験の受付はこちらです!」

 教師と思われる人が声を張り上げている。
 行ってらっしゃいませ、と頭を下げる御者さんに見送られて、そちらの方へと歩き出した。

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