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1章 変わる日常

37話 入学試験(2)

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「ウェルカ・ゼリベ・チェルビース様ですね。
 こちらの試験会場へどうぞ」

 あれ? ほとんどの人が違う方向へ向かっていくけれど、私はこっちでいいの?
 不安になりながらも案内をしてくれるという女生徒の後をついていった。
 セイットもこっちなのね。

「時間になりましたらこちらに監督者が参りますので、お待ちください」

 入った教室には誰もいない。というか、机がまず2つしかない。それも向かい合った形で少し距離を置いておかれている。試験をここで受けるのってもしかして私1人?

「お待たせいたしました。
 ウェルカ・ゼリベ・チェルビース嬢で間違えありませんか?」

「はい」

 教室に入ってきたのは紙をたくさん抱えた若い男性教師だけ。つまり、この先生が試験監督をするということかな。それと、やっぱりここで試験を受けるのは私だけなのね。
 その前に! あの紙の量は何でしょうか?
 まさか全部解かなくてはいけない?

「では上から順に問題を解いていってください。
 わかる問題をすべて解き終わりましたら声をかけてください」

「あの、時間の制限はないのですか?」

「気にしなくて大丈夫です」

 あれ? 今までは時間で区切りながら試験の練習をしていたんだけど……。

「どうぞ、初めてください」

 慌ててペンを手に取り、私は試験問題を解き始めた。



 う、うーん?
 あれから昼休憩をはさみつつ、数教科の問題を解いていったわけですが……。
 妙に問題数が多いのは疲れたけれど、問題の難易度としては解けないほどのものはなかった。緊張して臨んだ分、なんというか拍子抜けです。
 でも、こんなにも多くの問題を解いたのは初めてだったし、めちゃくちゃ疲れました。
 さくさくと解いていった私を珍しそうに先生に見られたのは恥ずかしかった……。

「お疲れさまでした。
 こちらの結果は後日、各家にお渡しいたしますのでお待ちください
 では、校門の方までお送りいたします」

 私が解いた紙をすべて袋に入れると、そういってくれる。正直全く道がわからないので助かりました。すぐに片づけを済ませてしまわないと。



 すでに迎えに来ていた馬車に乗り込んでセイットと共に屋敷へ帰宅すると、今日は珍しくすでにお姉様が帰宅していた。

「ただいま帰りました。
 今日は早かったのですね」

「おかえりなさい、ウェルカ。
 ええ、今日は早くに切り上げてきたのよ」

 疲れたでしょう? と言われて席に着くと確かにどっと疲れを感じてしまった。ずっと集中していたからか目も痛いような気がする。

「お疲れさまでした、ウェルカ様。 
 こちらをどうぞ」

「ありがとう」

 うん、疲れているときはやっぱり甘いものだよね!いつもよりもなんだか甘めな気もするけど、それがとてもおいしい。

「ウェルカ、疲れているところ申し訳ないんだけれど、少しいいかしら?」

 菓子を食べ、お茶を飲み、一息ついたのを確認するとお姉様がおずおずと声をかけてくる。そういえば、今日行く前に何か話したいことがあると言っていたな。

「はい、大丈夫です」

「あのね、ウェルカが学園に入ったら正式に王宮に入ることになったの。
 側妃だし、隣国への義理もあるので本来なら式を挙げない予定だったのだけれどね、陛下方のご厚意で近い親戚のみの小さな式を挙げてもらえるの。
 来てもらえないかしら?」

「そうなのですね!
 もちろん行きます!」

 お姉様の花嫁姿が見れるなんて! 絶対にきれいに決まっている!
 それにお姉様は殿下の話をされるとき、とても優しい顔になるのだ。それだけでいかに殿下のことを思っているかがわかる。そして殿下がお姉様を見る目も愛おしそうだった。そんな2人の結婚式、きっと素敵なものになるはずだ。

 疲れも吹き飛ぶような報告に疲れも吹き飛びました!
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