いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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『ガイライ!愛しい人が戻っただけだ!問題は無い!』


「ガイライ?どうした?」
「いや、セサミナ殿だ。
・・・・で。マティスだ。」
「?」
「モウの臣だろ?なので、モウに関することはセサミナ殿の感情はわかる。」
「向こうも?」
「どうだろうな?セサミナ殿は幼き頃から領主だ。
軍経験もないし、領国の運営では我々より非情になれるんだろうが、
ひとの生き死の経験は少ないだろう。
その感情を押さえることもできないかもしれんな。
だから、わたしのはわからんだろうな。
モウが戻ったようだ。
ワイプとの手合わせだ。怪我でもしたのか?
モウに不安がないからこちらは何とも思わないが、
見てしまえば、ダメだろうな。それだろう。」
「なるほど。」
「だから、逆にその場合はニックが冷静になれるだろうな。
さすが、リーズナ先生だ。」
「また!」
「あははははは!さ、話を詰めてしまおう。」




─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘





「セサミナ様!」
「え?あなた?あ!」

・・・お前たちも動くな!
目の前の問題を先に片付けろ!!』

「マティス様か?
問題?

カルーチ?起してしまったか?どうした?」
「起きるとき変に力を入れたようで、足が、、痛い・・・。」
「ああ。すまない。親指を立てて。
ローチも起きたか?樹石でカイロを作ってくれ。」
「はい!」
「セサミナ様になにか?」
「ああ、もしかしたら呼ばれるかもしれない。
さ、足を。触るぞ?どうだ?」
 「ええ。ああ、痛みは取れてきました。毎晩あるのに、なれませんね。」
「なれなくていい。ローチ、ここに。
お前にも対処法を教えておこう。
留守の時は頼むぞ?」
「もちろんです!」


─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘





セサミナ様!



・・・お前たちも動くな!
目の前の問題を先に片付けろ!!』


マティス様だ。
問題?

どう片付ける?


「カップ!これはなんだ!ほどけ!」
「後でどうなっても知らんぞ!!」


なにも答えなかった2人は手早く拘束している。
ほかに隠密もいるかと思ったが、
この状態で誰も出てこなかった。
まだ、こちらの様子を伺っているというのなら、
この2人の命は、こちらでどうとでもなるということだな。


「・・・後で?後なんてあるの?」

「「・・・・。」」


拷問と言えば、ワイプ式だ。

すごいな、みんな道具があるんだ。
どれからいこうか。




─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘



セサミナ様!



・・・お前たちも動くな!
目の前の問題を先に片付けろ!!』


マティス様の言霊だ。
問題?

こいつの確保か?


腰かけていた木組みに力を掛けてしまった。
その瞬間に、
バキンと音が鳴り、体が浮かぶ?
違う、落下だ。




砂が流れ込んでくる。


あーあ。





受け身は取れたが、どうするんだこれ?
いや、その前に問題を先に片付けないと。


相手も、素早く距離は取っている。
天井は全て落ち、何もない。
きれいに砂が積もっている。
その砂は月の光を反射しているのか少し光っているようだ。


「地下?床が抜けたのか?」
「天井が落ちたんだよ。」
「・・・・同じだろ?」
「違う。床だと歩いても問題ない。
が、天井だったら、歩くこと自体間違いなんだよ。
歩くことなんて想定していない。
何度も言うが、あの場所に誘導して歩かせたのはお前だ。
この天井崩落の全責任はお前だ。
認めろ!!」
「認めてどうなる?
館に入れたのは好都合だ。
どうやっても、館内に入れなかったからな。」



ん?敷地には入れていたのか?

勝機ありだ!!


懐から短い棒を出す。
それを見せつつ、本槍と移動交換。
かなり練習した。
トックス師匠からは一度偽物を見せつけことで、
それが長くなったと勘違いするだろうと教えてもらった。
移動より変形の方が人は納得すると。
さすがだ。


「!」
「我、コットワッツ領国セサミナ様が傍付き!
そして、モウ様が心の配下であり、心の友!
我が名はドーガー!!
ジンジョウーに勝負!!」



─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘

「ジンジョウ?」
「んー、普通って意味なんだけどね。」
「普通に勝負?」
「あははは!卑怯な手を使わずに、
普通に、勝負しようってことでいいと思うよ?
真剣、本槍を使っての勝負だから、命のやり取りさえも普通だ。
そこに、煙幕とか、落とし穴、目潰し、毒霧はないってことで。」
「愛しい人!恐ろしいぞ!!」
「え?そう?」
「ニンポウか?」
「そそ。忍び、隠密、密偵の世界に卑怯とか、恐ろしいとかはないのだよ。
結果あるのみ!」
「おお!!」
「まじない的にな効果はあると思うよ。
勝ち負けは別にして。」


─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘


教えてもらった口上だ。
相手は俺を倒せばこっから抜け出し、館内を探索つもりなのだろう。
もしくは、マティス様かモウ様が来るのを待つか?

舐められている。

セサミナ様の望まないことは起こらないという領域。
問題を先に解決しろと言うマティス様。
ジンジョウに勝負というモウ様から教えてもらったまじない。


まさに、真剣勝負!!















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