いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

文字の大きさ
622 / 869

622:エッグスタンド

しおりを挟む


まさしく、アラビア、スークだ。
小さな間口で奥が深い。
同じ商品を扱う店が密集している。


愛想よく、いらっしゃい、良かったら見ていって、という店主はいない。
わたしたちを見て、上から下まで観察。
それだけだ。

「これ、手に取ってみてもいいの?」
「いいよ?金額は店の者にきけばいい。値切りはないな。」
「なるほど。作ってる職人さんは?」
「この裏で作ってるな。大抵、家族だ。」
「へー。」

金細工、銀細工、銅細工、
陶磁もある。
驚いたことにラーメン鉢と、化粧瓶、オイル瓶もあった。
ゴムを使っているわけではない。


「形に隠匿っていうのは難しいね。
見て真似ることができるもの。ああ、ゴムは使えないんだ。
でも、ほら、ぴったりだ。
気密性はないけど、木やカンランでフタをするより持つよね。
そうか、陶磁に化粧水を入れるという発想がなかたってことか。」

が、装飾が派手だ。
もはや、ラーメン鉢でも化粧水瓶でもない。
装飾品だ。いい仕事すぎる。
○○すぎるという言葉は全部が全部褒め言葉ではないと思う。
素敵すぎるはいいが、美人すぎるというのはなんか違うような?
過ぎたるは、なお及ばざるが如し、ということだ。



買うものはこれといってないが、
エッグスタンドを買う。銀細工だ。
大きさはいろいろだったので、
普通の卵がはいる大きさを買う。

店の人がこちらを
じっと見ているが、説明するのも面倒だ。
金額を聞き、2つだけ買うことにする。

化粧瓶とオイル瓶はナーチアのお土産にしよう。


奥に行けば生活雑貨が豊富だった。
こっちの方がいいな。
こういうものがここにあるということだけ覚えておこう。

100均で大量買いはしないのだよ。
必要なものだけ!
が、実際には籠一杯になんやかんやと買ってしまう。
見せ方がうまいのだろうな。

もちろん、ここは1リング級ばかりだが、
表で買えばさらに0が2つ3つつくのだろう。

ニックさんとガイライは館で使うのか、
日用品を買っていた。

そのさらに奥が皮革製品と食料品。

トックスさんになにか買っていこうかな。

見たことある皮が並んでいた。

「これは陸鳥?」
「そうだよ。染めなくてもこの艶と色がいいだろ?」

首周りだ。


「街道で、これの卵がおいしいって聞いたんだけどほんと?」
「ああ、うまい。向こうで売ってるよ?卵採りが大儲けさ。」
「へー。楽しみ。
しかし、陸鳥も災難だよね。
皮も取られるし、卵も取られるし。
肉はだめなんだっけ?」
「ダメダメ!血肉が体に付いたら10日は臭ってるよ。」
「うわー。じゃ、この皮取るの大変だったね。
じゃ、ものすごく高いね、これ。きれいだから欲しいんだけどな。
おいくらなんでしょ?」
「1枚10リングだ。」
「ん?安くない?え?そんなら全部買っちゃうよ?」
「ほんとか?これ、誰も買わないんだよ。
持ってると陸鳥が乗せてくれないんだ。
だから、ここでは売れない。あんた達何で来た?
馬車か?」
「兄さん、親切だね。そんなの黙って売ればいいのに。」
「外のもんのいうこったな。
そんなことをする奴はここには一人もいないよ?
あとで、損をするのはこっちだからな。」
「そうか。そうだね。うん。陸鳥には乗らないから、売ってもらえる?
こっちも売る時にはそのことちゃんと伝えるようにするよ。
で、評判良かったらまた仕入れたいけど、定期的に入るの?」
「どうだろ?卵が売れるから、何匹か飼育してみようってことなってな。
でも産まないし、チャクやカンラン食べてるのに死んだんだよ。
そのひと群れ、20匹分なんだ。そのまま捨てるのも悪いだろ?
なにか使えるところを使えないとさ。」
「そりゃ、そうだね。後は?」
「燃やしたよ。なんで?」
「爪が結構鋭かったような気がしたからね。なにかに使えるかなと。」
「あー、残念。みんな燃やしたよ。」
「じゃ、皮は全部いい?200?」
「毎度あり!」


「マティスは?なにか買わないの?」
「ここではないな。」
「師匠たちは?」
「先に食料品の方を見ている。
どんなものか先に聞いておいたほうがいいだろ?」
「すまんこってす。」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

どたぬき
ファンタジー
 ある日乗っていた飛行機が事故にあり、死んだはずの井原は名もない世界に神によって召喚された。現代を生きていた井原は、そこで神に”ダンジョンマスター”になって欲しいと懇願された。自身も建物を建てたい思いもあり、二つ返事で頷いた…。そんなダンジョンマスターの”はじまお”本編とは全くテイストの違う”普通のダンジョンマスター物”です。タグは書いていくうちに足していきます。  なろうさんに、これの本編である”はじまりのまおう”があります。そちらも一緒にご覧ください。こちらもあちらも、一日一話を目標に書いています。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

俺の伯爵家大掃除

satomi
ファンタジー
伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。 弟は本当に俺と血がつながっているのだろうか?など、学園で同学年にいらっしゃる殿下に相談してみると… というお話です。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

処理中です...