621 / 863
621:研究
しおりを挟む宿をでるとすぐにワイプに見つかってしまった。
「どうしたんですか!」
「酒に酔ったようだ。」
宿でのやり取りを話す。
「一口か二口で?
どんな酒です?これ?頂いても?」
「お前が寝てしまってもは運ばないぞ?」
「そうですね。後でいただきましょうか。」
「少しだけだぞ?愛しい人は気に入っていたようだから。」
「話してくれた3人組が作った酒なんですか?」
「ピクトに近いところのものらしい。
3人組かどうかはわからんな。
あの宿に泊まる約束をしたから、
寄ることができなければ、詳しく聞いてみよう。
それで?仕込みは?」
「もちろん。回収するときに泊りましょうか。」
そのまま、門外に。
街道から門を通ると通行料がいるが、
外に出るにはいらない。
15番門外は職人の街として成り立っているが、
他はやはり何もないのだ。
ただ、通行料をケチる商人やタフト街道に観光に来たものを
襲う盗賊がいるだけ。
門の外に出ると
さっそく盗賊とやり合ったのか、
6人ほど倒しているガイライとニックがいた。
「モウ!」
「モウちゃん?ん?酔ってるの?」
ワイプが説明をする。
私は抱きかかえられて、安定しないのか、
すり寄ってくる愛しい人の気に入る寝位置を作るのに忙しいのだ。
ん?ここか?そうか。覚えておこう。
「じゃ、すぐにでも目が覚めるんだな?」
「呼吸も安定してますから。それで、これは?」
「ここで、お前らを待っていたら、急にな。
いや、声は掛けられたよ?一緒に仕事をしないかって。」
「どんな?」
「明日あたりからくる金持ちを襲わないかって。」
「え?この人数で?」
「斥候のようだがな。腕はそれなりだったぞ?」
「実際どうです?」
「それなりの護衛をつけてるんだったら、問題ないな。
が、娘を疎ましく思っている親だと、どうだろうか?」
「・・・・。モウが寝ていてよかった。
カリクも来るんだ。問題はないだろう。
最悪声は聞こえる。
こいつらがやられたことに警戒するだろうしな。」
「では、15番まで戻りますか?」
「そのほうがいいだろう。あのあたりで野営するのが一番安全だ。」
話はまとまったようで、15番まで戻ることになった。
野営か?
やはり家に戻りたい。
「ね?これ、ティスもきっと好きな味だよ?
ぬぁ!!近い!なんで抱っこしてるの!!」
「なるほど。話の続きを始めるんだな。
宿の主人の言うとおりだ。愛しい人、酒を飲んで寝てしまたんだよ?」
「え?うそ!酔ったってこと?
そんな強いお酒なの?」
「わからんな。時々そうなるものもいるとは言っていたがな。
よくわからないようだ。
からだに不調は?」
「いやないよ?というか下ろして!ここどこ?
もう外に?師匠たちは?
いてるじゃん!恥ずかしい!!下ろして!!」
「このまま、15番戻りますよ。」
残念だ。
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
記憶がないというのはこういことか?
が、体はやけに軽い。
「なんだろうね?食い合わせ?
一番最後に食べたもの?
木の実とスーリムとお茶?
師匠!飲んでください!」
「もちろん、頂きますが、時間の要素は?」
「そうか。食べて、2時間後くらい?
・・・・違う。木の実のあの甘い香りがするところだ。
木の実に残ってたの出した時に気付いて、で、取ったの。
使い道考えてるから収納にいれてたつもりが、
縁に付いたままだったのね。お酒出すときに手について、舐めた。
味はうん、甘かったよ?それかも。」
「これからは、手に着いたものは舐めない!」
「はーい。いやいや、だけども!どうかな?それかな?」
「それありますか?試せばいんでしょう?」
実験だ。あの木の実の甘い香りがするところ。
食べ物ではないと認識したんだけどな。
師匠はもろもろスポンジを食べて、もらったお酒を。
ニックさんはお酒だけ。
ガイライももろもろスポンジをたべて、別のお酒を。
マティスはもろもろスポンジと水。
結果。
師匠とガイライが話しながら寝た。
「それと酒?マティスは?」
「口の中が気持ち悪い。歯を磨きたい。」
「え?そんな感想なの?ニックさんは?」
「うまい!!それだけだ。」
「ね?おいしいよね。じゃなくて、時間は?わたしはどれくらい?」
「15分ほどだな。」
「砂時計合わせて!」
「うまい酒ですよね?え?」
「歯に残りますね?え?」
この日は、この実験で終わってしまった。
溶かしたり、量を増やしたり。
お酒をどんどん飲むから、後半、いや、
最初から宴会状態だった。
月が沈むまで。
陸鳥の話も聞いた。
偽卵?なんだろ?吐き出して作るということ?
あー、もう、あの濃厚プリンは食べれない。
本物の卵も試したいが、いまは実験中だ。次回に。
しかし、んー、その糞尿の山。ミネラルっぽい砂。
んー、火薬ね。んー。
あとで、これは後で考えよう。
からだは元気なのだ。
だから余計に怖い。
ドーピング的なものだったら、あと反動とか、副作用が来るか?
麻薬的な?依存?中毒性とか?
副作用だ。
各自が家に帰ることになるほど。
ものすごく快便!
そして、ものすごいおしっこ!
水がものすごくほしくなる。
下痢ではない。
が、出るものがすごい。宿便?デトックス?
いや、宿便などいうものはそもそも存在しないとか。
黒いものは胆汁だとか。
それも絶食するからでるとか?
じゃ、してないのに出るこれはなに?
そして出口が痛い。
出るものが出た後、お風呂にはいった。
それで半分が過ぎてしまった。
「でた。ものすごく。ドロドロのものが。」
「わたしもです。あんなものが体に入っていたとは思えないんで、
やはり毒では?」
「あり得ない量でしたから。」
「しかし、腹がへっこんだ気がする。」
「うん。毒でもないと思う。便が出たのもあるけど、
この食べたものが増殖したんじゃないかな?」
お酒に溶かしてそのまま置いていたものが、
真っ黒になりコップからあふれだしていた。
正に排泄した物体だ、と思う。
からだが内側からすっきりしたということで
まずはいいだろうという結論になった。
何回もしたいものでもない。
だって、穴が痛いから。
「でも、腰回りはすっきりした気がする。
食べ過ぎて、便秘気味だったらいいかな?」
「愛しい人?ダメだぞ?」
「わかってるよ。でもさ、作ったドレスが入らなくなった時とか、
そういう緊急事態な時ね。そういうときはいんじゃないかな?」
「鍛錬で汗を流せばいい。」
「だめ?」
「ダメだ。どうしてもいうのなら、
全て、私にさせてくれるのが条件だ。
家にいるのに離れているのがどんなに苦痛か!」
「いやいや、お互いがおトイレに籠ってただけでしょ?」
「だから、あなただけ飲むならいいと。
私は扉の外で待ているから。」
「でるもんもでんわ!!却下!」
「では飲むな。」
「はい。」
「でもさ、飲む量にも依るかもしれないよね。
ちょっとだけさ、お酒に移動させて、飲ませたら、
カクンって、寝ちゃうんだよ?
で、廻りさえそのままなら、自分が寝たことさえわかんないの。
怖いよね。」
あれか?お酒に目薬いれる昏睡強盗みたいなの?
「怖いですね。その考えが。が、使うことはいいとして
使われないようにしないと。客先で出された酒にこれが入っていたら、
大変なことになりますよ?」
「この木の実を食べる虫ってどんなのか知ってますか?」
「ちょっとそこまでは。ガイライ殿知ってます?」
「いや、タフトの虫食は虫を食うとだけしか。
カリクの話も初めて聞いた。
もっとも、一緒に飯なんぞ食ったことはないがな。
商人と職人は食わない。
これは、昔から言われていることなのか、
キャムロンの効果を知っているからなのか?
そうだな。
モウちゃん会ってからだ。
いろんなことに疑問が湧く。おかしいとな。」
「それで世界が廻っているならそれでいいんよ?」
「そうだ。廻っているならな。」
「うん。」
「その虫?手に入れておきましょうか?」
「売ってるだろ?今から行くところに。」
「どうしてカリクさんと一緒じゃダメなの?」
「そりゃ、うわべだけしか分からんだろ?
カリクの知り合いだと言えば、良くしてくれる、表面上はな。
が、表面上しか分からんのはおもしろくないだろ?」
「おお!そりゃそうだ。ここで買い物したものは?
仕入れ?」
「税を納めていないんですから、
込みの金額でしょうね。
それを売る段階で納税を。」
「はーい。」
「愛しい人?寝なくて大丈夫か?」
「うん。大丈夫。おなかもすかないね。」
「!だ、大丈夫か!!」
「・・・大丈夫。きっと晩御飯はいっぱい食べると思うから。
マティスは?おなかすいてる?」
「いや。」
「師匠は?ガイライもニックさんも?」
「そうですね。減ってはいませんね。
これは、あれの影響?そうなるとまた、問題ですね。」
「あー、研究したい。夢のダイエット薬!夢のお薬だ!!」
「ダメだぞ?」
「はーい。」
「・・・愛しい人のその返事は嘘だな。」
「あはははは!ニックさん!行こう!買いもの!!」
虫関係を理解しときたい。
ダイエットにつながるのなら虫なんてへっちゃらだ。
キャムロンは幼虫だ。では成虫になったものは?
木の実を食べる虫も。
スーリムもだ。
11
お気に入りに追加
369
あなたにおすすめの小説
魔法公証人~ルロイ・フェヘールの事件簿~
紫仙
ファンタジー
真実を司りし神ウェルスの名のもとに、
魔法公証人が秘められし真実を問う。
舞台は多くのダンジョンを近郊に擁する古都レッジョ。
多くの冒険者を惹きつけるレッジョでは今日も、
冒険者やダンジョンにまつわるトラブルで騒がしい。
魔法公証人ルロイ・フェヘールは、
そんなレッジョで真実を司る神ウェルスの御名の元、
証書と魔法により真実を見極める力「プロバティオ」をもって、
トラブルを抱えた依頼人たちを助けてゆく。
異世界公証人ファンタジー。
基本章ごとの短編集なので、
各章のごとに独立したお話として読めます。
カクヨムにて一度公開した作品ですが、
要所を手直し推敲して再アップしたものを連載しています。
最終話までは既に書いてあるので、
小説の完結は確約できます。
義弟の婚約者が私の婚約者の番でした
五珠 izumi
ファンタジー
「ー…姉さん…ごめん…」
金の髪に碧瞳の美しい私の義弟が、一筋の涙を流しながら言った。
自分も辛いだろうに、この優しい義弟は、こんな時にも私を気遣ってくれているのだ。
視界の先には
私の婚約者と義弟の婚約者が見つめ合っている姿があった。
完結 R18 媚薬を飲んだ好きな人に名前も告げずに性的に介抱して処女を捧げて逃げたら、権力使って見つけられ甘やかされて迫ってくる
シェルビビ
恋愛
ランキング32位ありがとうございます!!!
遠くから王国騎士団を見ていた平民サラは、第3騎士団のユリウス・バルナムに伯爵令息に惚れていた。平民が騎士団に近づくことも近づく機会もないので話したことがない。
ある日帰り道で倒れているユリウスを助けたサラは、ユリウスを彼の屋敷に連れて行くと自室に連れて行かれてセックスをする。
ユリウスが目覚める前に使用人に事情を話して、屋敷の裏口から出て行ってなかったことに彼女はした。
この日で全てが終わるはずなのだが、ユリウスの様子が何故かおかしい。
「やっと見つけた、俺の女神」
隠れながら生活しているのに何故か見つかって迫られる。
サラはどうやらユリウスを幸福にしているらしい
私の代わりが見つかったから契約破棄ですか……その代わりの人……私の勘が正しければ……結界詐欺師ですよ
Ryo-k
ファンタジー
「リリーナ! 貴様との契約を破棄する!」
結界魔術師リリーナにそう仰るのは、ライオネル・ウォルツ侯爵。
「彼女は結界魔術師1級を所持している。だから貴様はもう不要だ」
とシュナ・ファールと名乗る別の女性を部屋に呼んで宣言する。
リリーナは結界魔術師2級を所持している。
ライオネルの言葉が本当なら確かにすごいことだ。
……本当なら……ね。
※完結まで執筆済み
【R18】幼馴染の男3人にノリで乳首当てゲームされて思わず感じてしまい、次々と告白されて予想外の展開に…【短縮版】
うすい
恋愛
【ストーリー】
幼馴染の男3人と久しぶりに飲みに集まったななか。自分だけ異性であることを意識しないくらい仲がよく、久しぶりに4人で集まれたことを嬉しく思っていた。
そんな中、幼馴染のうちの1人が乳首当てゲームにハマっていると言い出し、ななか以外の3人が実際にゲームをして盛り上がる。
3人のやり取りを微笑ましく眺めるななかだったが、自分も参加させられ、思わず感じてしまい―――。
さらにその後、幼馴染たちから次々と衝撃の事実を伝えられ、事態は思わぬ方向に発展していく。
【登場人物】
・ななか
広告マーケターとして働く新社会人。純粋で素直だが流されやすい。大学時代に一度だけ彼氏がいたが、身体の相性が微妙で別れた。
・かつや
不動産の営業マンとして働く新社会人。社交的な性格で男女問わず友達が多い。ななかと同じ大学出身。
・よしひこ
飲食店経営者。クールで口数が少ない。頭も顔も要領もいいため学生時代はモテた。短期留学経験者。
・しんじ
工場勤務の社会人。控えめな性格だがしっかり者。みんなよりも社会人歴が長い。最近同棲中の彼女と別れた。
【注意】
※一度全作品を削除されてしまったため、本番シーンはカットしての投稿となります。
そのため読みにくい点や把握しにくい点が多いかと思いますがご了承ください。
フルバージョンはpixivやFantiaで配信させていただいております。
※男数人で女を取り合うなど、くっさい乙女ゲーム感満載です。
※フィクションとしてお楽しみいただきますようお願い申し上げます。
仰っている意味が分かりません
水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか?
常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。
※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる