いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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548:構想10年

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「はんばあぐ?肉を細かくして?やわらかいね。」
「辛い!うまい!」
「辛すぎたら、温泉卵落とせばいいよ?
んーこれはちゃんと雑菌処理してるから大丈夫だけど、ほかで食べるときは
きちんと火を通してね。
王都のソースもその処理はしてるからね。
そう思うと、生産院、きちんと仕事しているな。」

トッピングにマヨも出している。
ポテトサラダも。
カレー風と二種類ね。

トックスさんは辛い油を足していた。赤粉ね。
赤玉の油も作っておこう。


「ここに氷があるというのは例の箱かい?」
「さすがお客様!目の付け所が違う!!
本日はそちらをお持ちしましたよ!」
「あははは!商売人だね。いいさ、孫娘たちも呼んでこようか。
そこの紐を引いておくれ。あの子たちのところに知らせが行くから。」

あの子たち、あの店の主人とその娘、ドロインさんにすれば孫と曾孫さんだ。
中途半端な時間に呼び出しがあったので飛んできた。
申し訳ない。

「いや、かまわないよ。
が、この部屋の匂いは何だい?レレリ?」
「あ!換気したんですが、残ってます?
すぐに消しますから。」

お茶葉を煮詰めた液体と薄いタオルにしみ込ませて、
ブンブン振り回した。
こうすると匂いが取れるのだ。
お茶葉最強!

「どうかな?」
「取れたね。へー。腹が鳴る匂いだったよ?」
「あ!良かったらどうぞ!」

2人は食べながら、ドロインさんにはコーヒーを。

冷蔵庫、冷凍庫、カンターウォーマー。
それらの説明。
カンターウォーマーは予約品。
現物を見せながら、コーヒーを入れる。

「ルポイドだったね。あんたが入れてくれるコーヒーは。」
「ええ。そこのコーヒー豆屋さん、
カンターさんっていうんですけど、その方と共同開発ですね。
メジャートの陶器と、コットワッツの樹石、ルポイドのコーヒー、
で、イリアス、レタンの豆袋。
いろんなところの英知を結集した商品がこれ!カンターウォーマーです!」

マティスとトックスさん、ソヤが拍手をしてくれる。
が、ドロインさんたちにはいまいちな反応だ。

「あれ?いつでもおいしいコーヒーを飲みたくないですか?」
「いや、それはいい。ものすごくよいものだと思う。
冷蔵庫、冷凍庫も。もちろん買わせてもらうよ。」
「ありがとうございます!なのに、いまいちな反応はなぜに?」
「トックス!あんたもおかしいとは思わないのかい?」
「どこが?」
「ダメだ。ソヤ?あんたは?」
「俺?おかしいのか?各地の生産品をまとめて売り出すことが?」
「あんた、ほんとに賢いね。おかしいだろ?」
「そうなんだけど、これはおかしいうちには入らないよ?
ねーちゃんたちと一緒にいれば、これはまだ、というか、
まともなほうだ。時間をかければ、各地は回れるだろ?
そこで話をまとめて来たってことだ。そう考えるとおかしくない。」
「あー、金額?価格設定はきちんと考えていますよ?
逆に高いくらいって思ってるから。コーヒー自体が贅沢品でしょ?
だったら好きな奴は買うっていう設定なの。
安いっておもうのは運送費がほぼ入っていないからかな?
わたしたちは力持ちだからね、荷物運びは問題ない。
道中の護衛もいらない。だからですよ。
でも、お買い得なのは間違いないですよ?
今食べたカレーもあのエビのスープの冷凍品もある。
おまけで付きますよ?」
「ああ、わかった、わかった。
トックスも服飾関連以外は疎いね。ソヤ?あんたはまともそうだが、
それも薄れてきてる。
あんたたちの弟は?今日は来てないのかい?」
「えーっと、ちい兄ちゃんのこと?」
「兄でも弟でもどっちでもいい、それは?」
「お留守番。よく世間一般のことを考えろって言われるんだけどそれかな?
でも、金額はそれでいいって言ってくれてますよ?」
「その商品の金額はいい、妥当なところだろう。
問題はあんたの説明だ。コーヒーの産地以外は言わないほうがいいね。」
「でもでも!みんなが協力してできたものだもの。
隠すことなんてできない!あ!わかった!
構想10年!製作に10年!
苦難の末に生まれたカンターウォーマー!っていえば?
実際考えてたもの!煮詰まらない方法!どうです?」
「あははははは!!!!20年!それだったら納得だ!」
「え?おかしいよ、それこそ。ねーちゃんいくつだよ?」
「ソヤ?この場合はわたしの年齢は関係ないよ。
だって、わたしは行商だからね。いいものを仕入れて売ると。
その宣伝文句だ。」
「そんなもん?」
「そうそう。それに、これはソヤに教えてあげれるね。
女性に年齢を聞くもんじゃないんだよ?上でも下でもだ。」
「なんで?ドロインがいちばん年上ってのは分かるよ?
60ぐらい?あとは、40と20ぐらいだろ?ねーちゃんも20ぐらい?」
「ソヤ!」

ハーレム状態だ。
ドロインさんは桁が違うだろう。
お孫さん、曾孫さんも実際はどうかは分からない。

このぐらいの年代はみなそう見えるのかもしれないが、
なんせ気分はいい。

ソヤは続けて豆のソースも売り始めた。
自分が作ったとは言わないようにいわれている。

「ちょっと作るのに協力したんだよ、俺が。
構想10年、製作に10年て言わないけどさ。俺産まれてないしね。
評判はいいんだ。なんにでも合うよ?どうかな?」
「買うよ!」
「わたしもだよ!さっきの辛いのもいいね。あれは?
あれはどうやって作るんだい?香草だよね?
あの黄色いのは。
かおりはレレリだ。
あれが入ってるの?」

それからカレーの説明。
冷凍したものはあるので、それはおまけ。
ここで、冷蔵庫、冷凍庫セットで5セットが売れた。
コーヒーウォーマーも5セットだ。
豆ソースも小さいものが10セット。

なかなかに良い商売ができたと思う。
孫娘、姐さんたちは冷蔵庫セットを軽々抱えて帰っていった。






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