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483:尋問
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明日の準備をサクサク進めよう。
少し寒いからガーデンウォーマーもきちんと作る。
爺たちが多いから。
ウッドデッキを敷き詰めようか?
明日のお客の為にも、ちょっとおしゃれに。
アンブレラも用意しよう。
ここって傘がないから。形を説明してもわかったもらえなかった。
日差しがきついわけでもないけど、
葉がティーカップに落ちるのは避けたいからね。
木を伐採。乾燥、製材。
館の裏手で完成。
この作業はわたしだけがしている。
セサミンは横で見学。
絶賛されるのでますます張り切ってしまう。
マティスは、師匠から連絡がないから偵察。
笑いに行ってくるというが嘘です。
ガイライとニックさんも動員しています。
「兄さんはワイプ殿が心配なんですね。」
「そりゃもう。わたしが心配するからね。」
「ああ、そっちですか。」
「それもあるけど、やっぱり心配なんだよ。」
「そうでしょうね。」
食器も急遽、買いに行った。
ティースタンドも5台。これは銀製。
セサミンのセンスが光る。
テーブルも5台、椅子は20。
天秤院は10人といったが、20人は大丈夫。
「さ、こんなもんだね。
あとは何が足りない?なにが多い?」
「布の花はみな持って帰られたんですよね?」
「そうだね。よろしければどうぞというつもりが、
黙って持って帰るのは手癖悪いね。」
「我々を下に見ている証拠ですね。
ルカリ殿がお金を出してくれなければ、何もせずに帰っていきますよ。」
「だろうね。明日も来るかな?」
「半分から天秤院の方々が来ることは皆知るところでしょうね。
その前に来るか、同じ頃に来るか。
半分以降はその日、謁見前の晩餐会があるので、
準備のことも含めてこないでしょうね。軽い食事といったので、
天秤院が帰ったころに来るでしょうね。同席はしたくないだろうし、
月が沈んですぐには動かないですから。」
「暇なんだね。2日連続で?」
「いえ、別口で来ると考えたほうが。」
「天秤院が帰ったらすぐにまた撤収しよう。
こっちだっていろいろ忙しいんだからね。」
ティースタンドがあるから花はなしだ。
「戻った。」
マティスだけが戻ってきた。
「お帰りなさい。どうだった?」
「会議中だったそうだ。で、やはり面倒なので眠らせたと。」
「あははは!でも遅かったね?」
「全員眠らせただろ?隠密もいたからな。
ワイプがすべて起こして回らないといけない。
私とガイライ、ニックで、すべて拘束して、ワイプの前に連れていった。
取りのこしがないように、何度も見て回った。
それに手間取ったんだ。」
「それはお疲れ様です。師匠たちは?もう帰ってくる?」
「無理だな。面白いほど隠密が釣れた。尋問に時間がかかる。
それにガイライとニックが付き合っている。今日は戻れんな。」
「じゃ、差し入れ?
こっち帰ってきてからあったかいもののほうがいいかな?」
「・・・・尋問している横で食べるそうだ。
だから、うまい匂いがするものがいいと。」
「おお!えげつないね!ピザとチーズフォンデュはぴったりだ。
あとは、やっぱりお肉かな?岩石プレートで焼けばいい。
樽に入れるよ。持っていく?」
「取りに来る。」
「そう。じゃ、準備しとこうか。」
「おかしい!絶対におかしい!」
「兄さん、早く準備しましょう。明日の準備もありますし。
終われば、3人で屋上でゆっくりさせてもらいましょう。
ジャグジーで食べる塩アイスは格別ですから。」
「そうだね!今日はチョコソースもかけよう。
きっとおいしい。3人だけで贅沢しよう!」
「いいな!良し、準備しよう。」
2人だけ、もしくは3人だけというフレーズが大好き。
そしてまた師匠に自慢するのだろう。
かわいいな、ほんとに。
チュラル君とルビス君が取りに来た。
師匠もわかっているのだ、自分がとりにくるより、
この2人のほうがいいと。
「お疲れ、大変だね。
館全体じゃなくて、師匠のいる部屋に限定すればよかった。
すいませんって謝っといてね。」
「愛しい人が謝ることなんぞない!」
「ええ。ワイプ様、ホクホクですよ。一掃できたって。」
「どうやって隠密かそうでないか区別するのかな?」
「全員拘束した。だから時間がかかったんだ。
オートもツイミも、カップたちもだ。」
「うわ、それはひどい。で、尋問?」
「ええ。カップ兄は好きな子がいるかいないか聞かれてました。」
「ひでーな、それ。で。カップ君なんて?」
「気になる子はいてるそうです。」
「こっちが気になるよ!名前までは聞かなかったの?」
「そこまで、ワイプ様もひどくありませんよ!
でも、ガイライ殿とニック殿とで手合わせすることになってました。」
「それはいいね!お弁当つくって観戦しよう!
じゃ、これは2人にご褒美。もう一つは、お疲れってカップ君にね。」
「ありがとうございます!やった!ちょこ!」
「ワイプに取られるなよ!」
「もちろん。刺し違えても守ります!」
「いいぞ!さすがチュラルとルビスだ!」
さらにご機嫌だ。
新作シュークリームは数ある失敗の山を乗り越えてやっと。
生クリームとカスタード。
3人だけで、チョコ掛け。
お肉多めのピザと、甘味。太らないほうがおかしいメニュー。
ジャグジーに入りながらだから大丈夫、なはず。
汗かくし、ビール飲んでるけど。
「これも広めてもいいのですか?」
「いいよ。一緒につくったから作り方はセサミンが教えてあげてね。
明日来る人の中で、作れる人も出るかもしれないけど、
10人以上食べるから隠匿は無理だね。」
「冷やしているのは小さいですよね?どうして?」
「大きいとお上品なひとには不評だ。
ほれ、マティスも、セサミンもクリームが付いてる。」
「愛しい人もだ。」
ペロリと舐められた。
「ぎゃっ!!」
「その声もかわいいな。」
「そういうことは弟の前ではしないの!」
「ん?そうか?愛しい人は取ってくれないのか?」
「変態死すべし!」
ブラスで作った水鉄砲発射!
「ブフ!」
「なんですか!それ!」
「ポンプと同じような原理。こっちの方がもっと簡単。
ブラスと布でできる。シュッと吸いあげて、押して出す。やってみ?」
セサミンがまさしく子供のように遊んでる間に、
マティスの顔を拭いてあげる。
「はい、取れた。くふふふふふ。」
「楽しいのか?」
「もちろん。はい、これ、マティスの。で、これは的。」
隠匿、移動、気配消し無し。
ハンデはわたしが荷重5、マティスは10、セサミンは無しで。
頭に付けた薄い紙が破れるまで。替えは3枚。
ザ・サバイバルゲーム!!in屋上。
これで痩せるはず!
セサミンと組むも基本、マティスはわたしの位置を読む。
ならばわたしを囮に、セサミンに狙ってもらうが、1回で見破られる。
三つ巴になり、マティスと組み、マティスがセサミンと組む。これが最強だ。
結局、身体能力が一番なマティスが勝った。
次点セサミン、最下位はわたしだ。
「おかしい。これこそおかしい。」
「愛しい人は絶対的に対人戦が少ないからな。」
「それはセサミンも同じでしょ?」
「座学は習得してますよ?」
「対人戦に座学とは?」
「そうですね、心理戦といいますか、右に隠れていれば、次はどう出るかとか?」
「かー、勉強したくねー!!」
「実戦で十分だ。それはこれからでいい。さ、褒美はどうするか。」
「あ、じゃ、わたしは寝ます。おやすみなさい。」
セサミンはさっさと寝室に移動した。
いいけどさ!
「はいはい。なにをご希望ですか?」
「おいで。」
「ん。」
「このまま。」
「ん。」
寝室に移動して、そのままくっついて眠りました。
いっぱい、働いたからね。
明日も頑張ろうね。
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
(ワイプ!)
(ああ、よかった。ちょっと手伝ってくれません?人数が多すぎる)
(ガイライとニックは?いるか?)
(助かりますね)
(すぐ行く)
(ガイライ!ニック!)
(どうした?モウか?)
(いや、違う。ワイプの依頼で資産院の建物内の生き物をすべて眠らせた。
手に余るそうだ)
(なにをやってる?)
(知らん、先に行く。呼んでいいか?)
(もちろん)
ワイプの気配がある場所に移動すると、
目に見える全ての人間を拘束していた。オートもツイミもだ。
「なにをやってる?」
「いえ、いい機会なんで全員尋問しようかと。
わたしが目覚めろというまで、眠り、拘束したまま尋問すれば、
何でも話すと。」
「そう決めたのだろ?」
「それ、忘れてもらうこと出来ますか?」
『忘れろと言われれば、聞かれたこと、答えたことは忘れろ』
「それだけでいいんですか?」
「大丈夫だ。」
「便利ですね。」
「多用はするな?愛しい人が心配する。」
「そうですね。ま、めったには。」
「ガイライとニックを呼ぶぞ?」
「ええ、この館にいるものすべて、ここに集めてください。
一人一人尋問していきます。」
「忘れさせた後どうするんだ?」
「ああ、また眠ってもらいましょう。で、気付けば翌日ということはよくあることです。」
「職員はいいだろうが、外部からの者は?
廊下に職員ではないものもいたぞ?」
「ああ、これ?」
「そうだ。」
「これは隠密ですよ。戻ってきてないなんて誰が聞いてきますか?」
「何をしていたんだ?」
「会議?」
「わからんのか?」
「なにやら内密な話があると、中央院の方々が見えましてね。
一番安全な部屋にと。で、あの部屋なんですが。
外部の様子が分からないんですよ。
その間になにかするつもりだったんでしょうかね。
カップたちは外で待機させてましたが、こちらが上手でしたね。」
「あまり危険なことはさすな。」
「ああ、何かあれば、あなたを呼ぶようにとはいってますから。」
「・・・。」
「急ぎましょう。とにかくこの部屋に。」
(ガイライ、ニック、呼ぶぞ?)
((おう))
『ガイライ、ニックここに!』
「なにやらかしたんだ?」
外部から人が入らないようにしてから、作業、本当に作業だ、
それを開始した。
でてくる、でてくる。
職員らしきものたちはいいが、あらゆる隙間にいる。
気配と、心音で探していく。
明らかに隠密と、職員とを分けていく。
私が調べ、ガイライが調べ、ニックが調べる。
それを3周。
その間に、ワイプはオートとツイミをはじめ職員すべてに尋問。
王族、中央院からなにを言われていますか?と聞いていた。
カップたちにもだ。
それをどうするつもり?あなたの考えは?
忘れさせ、また眠らす。
ツイミ、カップたちは尋問後、そのまま拘束を解いた。
「オートは?」
「彼はある意味非情で優秀だ。こんなことが出来ると知ったら、
また働かされるでしょ?内緒にしておきますよ。」
不憫だ。
だが、考えは素晴らしい。面倒なことはワイプにやらすのが一番だと答えた。
「ワイプ様ひどい!どうしてそんなこと聞くんですか!」
「いや、どうなのかな?と。雨の日が近いので、それなりに気を使ってるんですよ?」
「嘘だ!楽しんでるだけだ!」
「いえいえ。雨の日はここでも、地方でもどこで待機してもらってもいいですよ?
いないのなら、ここでいいですが、居るのなら、そこで家を構えたほうがいいでしょ?」
「!」
「せめて、半月前にはそこにいると相手に話しておかないとね。」
「さすがです!ワイプ様!!」
「カップ、騙されるな。そんなことは、ここで聞くような話ではないだろ?」
「あ!」
「あはははは!いえいえ、あなたは遠慮するから。
早めに言ってくださいよ?家は用意しますから。」
「はい!」
カップは単純だ。
やっと隠密とそうでないものとを分け終え、私は戻ることに。
「マティス?モウとセサミナ殿だけだろ?あとはやっておくから。」
「そうですね。申し訳ない。助かりました。
申し訳ないついで、なにか、食べるものが欲しいのですが。
匂いがいいものがいいですね。
今日の予定の物は?チーズの?」
「・・・それとピザだ。匂いはいいだろう。油で揚げた肉もある。
少ししたら取りに来い。」
「助かります。」
私は外のものだ。
これ以上関わることは愛しい人にとっても良くない。
ワイプがすればいい。
オートの考え方でいいんだ。
するべきものがする。
私や愛しい人がすることではない。
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
「ワイプ!マティスとモウを使うな!」
「わかってますよ!今回はわたしの失敗です。
しかし、ここまでしてもらったら仕方がないでしょ!」
「そうだが、どうして、モウはこうもワイプに甘いんだ?」
「それは師匠だから?」
「わかった。手合わせしよう。」
「ええ、そうしましょう。で?そちらは?
収穫ありました?」
「ないと言えばないし、あると言えばある。」
「あるといいのは?」
「軍部はダメだ。」
「ああ。あなた方が抜ければね。そうなりますよ。
無傷で外に出れてよかったです。」
「そうなるな。ああ、そうだ。ワイプ、わたしたち2人を雇ってほしい。
護衛業は認められているからな。」
「そうですね。しかし誰を護衛する名目で?
セサミナ殿はダメですよ?院の者か、王族か貴族か。
わたしが雇うとなるとさらに範囲は狭い。ああ!オート院長!」
「そうだ。今回の騒動で不安を覚えたので、買出しに来ていた我らを雇ったと。
どちらかが付けばいい。もう片方はモウにつける。」
「そうしましょう。あ、わたしが雇う場合の料金は10リングです。
これ、モウもマティス君も同一料金なんで。」
「おかしいだろ!それで文句が出ないのか?」
「ええ。」
「なんで?」
「それは師匠だから?」
「良し、俺とも手合わせだ。」
「ええ。喜んで。」
少し寒いからガーデンウォーマーもきちんと作る。
爺たちが多いから。
ウッドデッキを敷き詰めようか?
明日のお客の為にも、ちょっとおしゃれに。
アンブレラも用意しよう。
ここって傘がないから。形を説明してもわかったもらえなかった。
日差しがきついわけでもないけど、
葉がティーカップに落ちるのは避けたいからね。
木を伐採。乾燥、製材。
館の裏手で完成。
この作業はわたしだけがしている。
セサミンは横で見学。
絶賛されるのでますます張り切ってしまう。
マティスは、師匠から連絡がないから偵察。
笑いに行ってくるというが嘘です。
ガイライとニックさんも動員しています。
「兄さんはワイプ殿が心配なんですね。」
「そりゃもう。わたしが心配するからね。」
「ああ、そっちですか。」
「それもあるけど、やっぱり心配なんだよ。」
「そうでしょうね。」
食器も急遽、買いに行った。
ティースタンドも5台。これは銀製。
セサミンのセンスが光る。
テーブルも5台、椅子は20。
天秤院は10人といったが、20人は大丈夫。
「さ、こんなもんだね。
あとは何が足りない?なにが多い?」
「布の花はみな持って帰られたんですよね?」
「そうだね。よろしければどうぞというつもりが、
黙って持って帰るのは手癖悪いね。」
「我々を下に見ている証拠ですね。
ルカリ殿がお金を出してくれなければ、何もせずに帰っていきますよ。」
「だろうね。明日も来るかな?」
「半分から天秤院の方々が来ることは皆知るところでしょうね。
その前に来るか、同じ頃に来るか。
半分以降はその日、謁見前の晩餐会があるので、
準備のことも含めてこないでしょうね。軽い食事といったので、
天秤院が帰ったころに来るでしょうね。同席はしたくないだろうし、
月が沈んですぐには動かないですから。」
「暇なんだね。2日連続で?」
「いえ、別口で来ると考えたほうが。」
「天秤院が帰ったらすぐにまた撤収しよう。
こっちだっていろいろ忙しいんだからね。」
ティースタンドがあるから花はなしだ。
「戻った。」
マティスだけが戻ってきた。
「お帰りなさい。どうだった?」
「会議中だったそうだ。で、やはり面倒なので眠らせたと。」
「あははは!でも遅かったね?」
「全員眠らせただろ?隠密もいたからな。
ワイプがすべて起こして回らないといけない。
私とガイライ、ニックで、すべて拘束して、ワイプの前に連れていった。
取りのこしがないように、何度も見て回った。
それに手間取ったんだ。」
「それはお疲れ様です。師匠たちは?もう帰ってくる?」
「無理だな。面白いほど隠密が釣れた。尋問に時間がかかる。
それにガイライとニックが付き合っている。今日は戻れんな。」
「じゃ、差し入れ?
こっち帰ってきてからあったかいもののほうがいいかな?」
「・・・・尋問している横で食べるそうだ。
だから、うまい匂いがするものがいいと。」
「おお!えげつないね!ピザとチーズフォンデュはぴったりだ。
あとは、やっぱりお肉かな?岩石プレートで焼けばいい。
樽に入れるよ。持っていく?」
「取りに来る。」
「そう。じゃ、準備しとこうか。」
「おかしい!絶対におかしい!」
「兄さん、早く準備しましょう。明日の準備もありますし。
終われば、3人で屋上でゆっくりさせてもらいましょう。
ジャグジーで食べる塩アイスは格別ですから。」
「そうだね!今日はチョコソースもかけよう。
きっとおいしい。3人だけで贅沢しよう!」
「いいな!良し、準備しよう。」
2人だけ、もしくは3人だけというフレーズが大好き。
そしてまた師匠に自慢するのだろう。
かわいいな、ほんとに。
チュラル君とルビス君が取りに来た。
師匠もわかっているのだ、自分がとりにくるより、
この2人のほうがいいと。
「お疲れ、大変だね。
館全体じゃなくて、師匠のいる部屋に限定すればよかった。
すいませんって謝っといてね。」
「愛しい人が謝ることなんぞない!」
「ええ。ワイプ様、ホクホクですよ。一掃できたって。」
「どうやって隠密かそうでないか区別するのかな?」
「全員拘束した。だから時間がかかったんだ。
オートもツイミも、カップたちもだ。」
「うわ、それはひどい。で、尋問?」
「ええ。カップ兄は好きな子がいるかいないか聞かれてました。」
「ひでーな、それ。で。カップ君なんて?」
「気になる子はいてるそうです。」
「こっちが気になるよ!名前までは聞かなかったの?」
「そこまで、ワイプ様もひどくありませんよ!
でも、ガイライ殿とニック殿とで手合わせすることになってました。」
「それはいいね!お弁当つくって観戦しよう!
じゃ、これは2人にご褒美。もう一つは、お疲れってカップ君にね。」
「ありがとうございます!やった!ちょこ!」
「ワイプに取られるなよ!」
「もちろん。刺し違えても守ります!」
「いいぞ!さすがチュラルとルビスだ!」
さらにご機嫌だ。
新作シュークリームは数ある失敗の山を乗り越えてやっと。
生クリームとカスタード。
3人だけで、チョコ掛け。
お肉多めのピザと、甘味。太らないほうがおかしいメニュー。
ジャグジーに入りながらだから大丈夫、なはず。
汗かくし、ビール飲んでるけど。
「これも広めてもいいのですか?」
「いいよ。一緒につくったから作り方はセサミンが教えてあげてね。
明日来る人の中で、作れる人も出るかもしれないけど、
10人以上食べるから隠匿は無理だね。」
「冷やしているのは小さいですよね?どうして?」
「大きいとお上品なひとには不評だ。
ほれ、マティスも、セサミンもクリームが付いてる。」
「愛しい人もだ。」
ペロリと舐められた。
「ぎゃっ!!」
「その声もかわいいな。」
「そういうことは弟の前ではしないの!」
「ん?そうか?愛しい人は取ってくれないのか?」
「変態死すべし!」
ブラスで作った水鉄砲発射!
「ブフ!」
「なんですか!それ!」
「ポンプと同じような原理。こっちの方がもっと簡単。
ブラスと布でできる。シュッと吸いあげて、押して出す。やってみ?」
セサミンがまさしく子供のように遊んでる間に、
マティスの顔を拭いてあげる。
「はい、取れた。くふふふふふ。」
「楽しいのか?」
「もちろん。はい、これ、マティスの。で、これは的。」
隠匿、移動、気配消し無し。
ハンデはわたしが荷重5、マティスは10、セサミンは無しで。
頭に付けた薄い紙が破れるまで。替えは3枚。
ザ・サバイバルゲーム!!in屋上。
これで痩せるはず!
セサミンと組むも基本、マティスはわたしの位置を読む。
ならばわたしを囮に、セサミンに狙ってもらうが、1回で見破られる。
三つ巴になり、マティスと組み、マティスがセサミンと組む。これが最強だ。
結局、身体能力が一番なマティスが勝った。
次点セサミン、最下位はわたしだ。
「おかしい。これこそおかしい。」
「愛しい人は絶対的に対人戦が少ないからな。」
「それはセサミンも同じでしょ?」
「座学は習得してますよ?」
「対人戦に座学とは?」
「そうですね、心理戦といいますか、右に隠れていれば、次はどう出るかとか?」
「かー、勉強したくねー!!」
「実戦で十分だ。それはこれからでいい。さ、褒美はどうするか。」
「あ、じゃ、わたしは寝ます。おやすみなさい。」
セサミンはさっさと寝室に移動した。
いいけどさ!
「はいはい。なにをご希望ですか?」
「おいで。」
「ん。」
「このまま。」
「ん。」
寝室に移動して、そのままくっついて眠りました。
いっぱい、働いたからね。
明日も頑張ろうね。
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
(ワイプ!)
(ああ、よかった。ちょっと手伝ってくれません?人数が多すぎる)
(ガイライとニックは?いるか?)
(助かりますね)
(すぐ行く)
(ガイライ!ニック!)
(どうした?モウか?)
(いや、違う。ワイプの依頼で資産院の建物内の生き物をすべて眠らせた。
手に余るそうだ)
(なにをやってる?)
(知らん、先に行く。呼んでいいか?)
(もちろん)
ワイプの気配がある場所に移動すると、
目に見える全ての人間を拘束していた。オートもツイミもだ。
「なにをやってる?」
「いえ、いい機会なんで全員尋問しようかと。
わたしが目覚めろというまで、眠り、拘束したまま尋問すれば、
何でも話すと。」
「そう決めたのだろ?」
「それ、忘れてもらうこと出来ますか?」
『忘れろと言われれば、聞かれたこと、答えたことは忘れろ』
「それだけでいいんですか?」
「大丈夫だ。」
「便利ですね。」
「多用はするな?愛しい人が心配する。」
「そうですね。ま、めったには。」
「ガイライとニックを呼ぶぞ?」
「ええ、この館にいるものすべて、ここに集めてください。
一人一人尋問していきます。」
「忘れさせた後どうするんだ?」
「ああ、また眠ってもらいましょう。で、気付けば翌日ということはよくあることです。」
「職員はいいだろうが、外部からの者は?
廊下に職員ではないものもいたぞ?」
「ああ、これ?」
「そうだ。」
「これは隠密ですよ。戻ってきてないなんて誰が聞いてきますか?」
「何をしていたんだ?」
「会議?」
「わからんのか?」
「なにやら内密な話があると、中央院の方々が見えましてね。
一番安全な部屋にと。で、あの部屋なんですが。
外部の様子が分からないんですよ。
その間になにかするつもりだったんでしょうかね。
カップたちは外で待機させてましたが、こちらが上手でしたね。」
「あまり危険なことはさすな。」
「ああ、何かあれば、あなたを呼ぶようにとはいってますから。」
「・・・。」
「急ぎましょう。とにかくこの部屋に。」
(ガイライ、ニック、呼ぶぞ?)
((おう))
『ガイライ、ニックここに!』
「なにやらかしたんだ?」
外部から人が入らないようにしてから、作業、本当に作業だ、
それを開始した。
でてくる、でてくる。
職員らしきものたちはいいが、あらゆる隙間にいる。
気配と、心音で探していく。
明らかに隠密と、職員とを分けていく。
私が調べ、ガイライが調べ、ニックが調べる。
それを3周。
その間に、ワイプはオートとツイミをはじめ職員すべてに尋問。
王族、中央院からなにを言われていますか?と聞いていた。
カップたちにもだ。
それをどうするつもり?あなたの考えは?
忘れさせ、また眠らす。
ツイミ、カップたちは尋問後、そのまま拘束を解いた。
「オートは?」
「彼はある意味非情で優秀だ。こんなことが出来ると知ったら、
また働かされるでしょ?内緒にしておきますよ。」
不憫だ。
だが、考えは素晴らしい。面倒なことはワイプにやらすのが一番だと答えた。
「ワイプ様ひどい!どうしてそんなこと聞くんですか!」
「いや、どうなのかな?と。雨の日が近いので、それなりに気を使ってるんですよ?」
「嘘だ!楽しんでるだけだ!」
「いえいえ。雨の日はここでも、地方でもどこで待機してもらってもいいですよ?
いないのなら、ここでいいですが、居るのなら、そこで家を構えたほうがいいでしょ?」
「!」
「せめて、半月前にはそこにいると相手に話しておかないとね。」
「さすがです!ワイプ様!!」
「カップ、騙されるな。そんなことは、ここで聞くような話ではないだろ?」
「あ!」
「あはははは!いえいえ、あなたは遠慮するから。
早めに言ってくださいよ?家は用意しますから。」
「はい!」
カップは単純だ。
やっと隠密とそうでないものとを分け終え、私は戻ることに。
「マティス?モウとセサミナ殿だけだろ?あとはやっておくから。」
「そうですね。申し訳ない。助かりました。
申し訳ないついで、なにか、食べるものが欲しいのですが。
匂いがいいものがいいですね。
今日の予定の物は?チーズの?」
「・・・それとピザだ。匂いはいいだろう。油で揚げた肉もある。
少ししたら取りに来い。」
「助かります。」
私は外のものだ。
これ以上関わることは愛しい人にとっても良くない。
ワイプがすればいい。
オートの考え方でいいんだ。
するべきものがする。
私や愛しい人がすることではない。
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
「ワイプ!マティスとモウを使うな!」
「わかってますよ!今回はわたしの失敗です。
しかし、ここまでしてもらったら仕方がないでしょ!」
「そうだが、どうして、モウはこうもワイプに甘いんだ?」
「それは師匠だから?」
「わかった。手合わせしよう。」
「ええ、そうしましょう。で?そちらは?
収穫ありました?」
「ないと言えばないし、あると言えばある。」
「あるといいのは?」
「軍部はダメだ。」
「ああ。あなた方が抜ければね。そうなりますよ。
無傷で外に出れてよかったです。」
「そうなるな。ああ、そうだ。ワイプ、わたしたち2人を雇ってほしい。
護衛業は認められているからな。」
「そうですね。しかし誰を護衛する名目で?
セサミナ殿はダメですよ?院の者か、王族か貴族か。
わたしが雇うとなるとさらに範囲は狭い。ああ!オート院長!」
「そうだ。今回の騒動で不安を覚えたので、買出しに来ていた我らを雇ったと。
どちらかが付けばいい。もう片方はモウにつける。」
「そうしましょう。あ、わたしが雇う場合の料金は10リングです。
これ、モウもマティス君も同一料金なんで。」
「おかしいだろ!それで文句が出ないのか?」
「ええ。」
「なんで?」
「それは師匠だから?」
「良し、俺とも手合わせだ。」
「ええ。喜んで。」
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ある日乗っていた飛行機が事故にあり、死んだはずの井原は名もない世界に神によって召喚された。現代を生きていた井原は、そこで神に”ダンジョンマスター”になって欲しいと懇願された。自身も建物を建てたい思いもあり、二つ返事で頷いた…。そんなダンジョンマスターの”はじまお”本編とは全くテイストの違う”普通のダンジョンマスター物”です。タグは書いていくうちに足していきます。
なろうさんに、これの本編である”はじまりのまおう”があります。そちらも一緒にご覧ください。こちらもあちらも、一日一話を目標に書いています。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
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机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
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主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。
黄玉八重
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水無月宗八は意識を取り戻した。
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