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479:衛生
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結局内臓はハツとレバー、肝臓だけ。
タンと頬肉、テールも大丈夫。
小腸は洗うのが大変だったが、なんとか。
脂がのっている。
昔食べた、かすうどんっておいしかったなー。
かすってなに?て天かすかな?って思たんだけど、
ホルモン系で、しかも松坂牛のだといっていた。
うまい肉はなにもかもうまいんだとそのとき思ったもんだ。
あれ?じゃ、サイの内臓系も試さないと。
塩タンとマツチョウ、ハツとレバー、頬肉。
焼肉ですね。
タンシチューも作りたい。
玉葱に漬け込むんだっけ?
それは後日ということで、師匠たちのお手軽食料を家に届けておく。
作り置きの分だ。
おにぎりとか、サンドイッチとかね。
海苔をゼムさんに売り込み行かないと。
飲み物も、高級ストローを付ける。在庫処分だ。
セサミンはいったんコットワッツに戻った。
領土分与の話になった時に不備がないように準備をしてくれるそうだ。
「どうなんだろうね。50万リングで済むかな?
砂漠石ならあるんだけど。」
「話の持っていき方だろう。場合によっては50万ではすまないだろうな。
王都の後ろにコットワッツ領があるということを
果たして認めるのかどうか。」
「そうだね。でも、もともとボルタオネの領土でしょ?
36番目の森って。
ボルタオネもそんならうちに返して頂戴っていうかもしれんね。」
「あり得るな。イスナに聞いておこうか?」
「んー、そうなると、そこまでしてほしいってこともないかな?
あの森は自分で考えてるから。受け入れるんならいいんじゃないの?」
「・・・欲がないな。」
「欲というか、なんというか。住むところはどこでもいいのよ。
ニバーセルも中央もすなおに口添えしてくれなさそう。
お金はだすわ、結局ニバーセルのボルタオネの領土になりそう。
だいたい、お金とるのおかしくない?」
「根回しだろ?その費用?」
「それがルール、決まりならいいけどさ。
でもさ、ほんとはさ、呪いの森ってお宝の森だよね。
それを知ってるのはわたしとマティス?セサミンはあの光の雫だけ。
栄養剤的な泉も香木もあることは知らない。
黙ってるのがね。」
「必要なものには森は開くだろう?気にすることはない。」
「そうだね。でね、なんか、頑張って働こうって思うの。」
「ん?」
「なんか、がむしゃらに。そう言ってる時点で贅沢なんだけど。
畑とかつくろうか?」
「それもいいが、それは雨の日のあと、茸祭り、タケノコ祭りか?
ザバスと一緒にスパイルにもいくだろ?
チョコ作りも、新年のこともある。それが終わってから考えよう。
またいろいろ考え込んでいるな?鍛錬を先にしようか?」
「そうだ!鍛錬!師匠の家の地下を借りよう。」
からだを動かさないと、なんかもやもやが消えないね。
なんでだろうね。
呪いの森は大きすぎる?偉大過ぎる?
もっと、何もないところがいいな。そう!
一から整地していくの!
それがいい!
「マティス!」
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
愛しい人がまたいろいろ考えている。
私もだ。
土地は欲しいと思ったが、それはあの森か?
あの森はあのままで、完結している。
2人で、なにかを作っていきたいのだ。
砂漠でもいいんだ。
なにもない荒野でも。
2人で作っていきたい。
「愛しい人!」
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
「そうですか。わかりました。
なにもあの呪いの森をこちらから欲しているわけではないですからね。
あの土地を交換条件に提示されたら、辞退しましょう。
しかし、おそらくはニバーセルに隣接している土地ですよ?
向こうは1リングたりとも
コットワッツから税収入がへるのを阻止してくるでしょうね。
いくつか候補を考えておきますか?
向こうから提案されるよりいいでしょう。」
セサミナが戻ってきてから、2人の考えを話した。
セサミナも私が土地を持ち、
そこから税収入を確保できるのらなそれに越したことはないのだ。
が、呪いの森ではそうもいかない。
光の雫を売ることもできない。
だったら、売れるなにかを生産する土地のほうがいいのだ。
領主だからな。
月が昇り、シートのところに行くことになった。
食べたりないのだ。
ガイライ達は、竹炭の第一弾ができるとかで、
火の番をしないといけないそうだ。
出来上がったものを明日持ってくる。
護衛、赤い塊。
それと弟。
セサミナだけはかつらをつけることになる。
私の弟だというと、当然コットワッツ領主だ。
シートは気にするだろうか?
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
「シートはいますか?」
軍部を訪ねるとシートではなく、別の人。
シートだけの仕事ではないから今日は休みか?
「シート?ああ、庶民の?首になった。」
「・・・ルカリ殿は?」
「お前は?」
『これは失礼した。コットワッツ領、領主セサミナ様が護衛、
赤い塊のモウと名乗るもの。
軍部、副隊長ルカリ殿にお目通り願いたい。』
「お、お待ちを!」
「シート首だって!軍部改革かな?庶民のってつけたから、
みな貴族出身にするとか?」
「そんなことをすれば、有事の時にだれの命令も聞かない軍になる。
実働で動くのはやはり、庶民、一般民の兵ですから。」
「有事ね。そのときはセサミンも?」
「もちろん。王都軍とはべつの部隊を、
我が領民を率いての中隊となります。」
「あー、そういうの決まってるんだね。」
「まだ経験はありませんよ?」
「ないほうがいいね。」
「ええ。」
「モウ殿!!」
「ルカリ殿!久しぶりです。
今回は早めに王都入りしたのでご挨拶を。おかわりありませんか?」
「ええ、それは。えっと、今回は護衛として?」
「ええ。後ろにいるのがセサミナ様ですよ?」
「え?」
服はニバーセルの服。
セサミンはかつらをつけている。
マティスとよく似た男の子だ。
「友人を訪ねてきたのですが、他の職に移ったようです。
シートという名の青年なんですが、ご存じですか?」
「ああ、シート。鍛錬にも参加していましたが、隊長が代わって。
一般人の参加は認められなくなりましたし、いろいろと。」
「そうですか。残念ですね。どこに移ったかご存じですか?
下町を案内してもらう約束なんです。押しかけていってやろうかと。」
「え?3人でですか?」
「ええ。ご一緒にどうですか?できれば案内してもらいたいのですが?」
「行きます!ちょっとお待ちください!!」
ドタドタと中に戻っていく。
もう終業時間だよね?そもそも軍に勤務時間ってあるのかな?
「一応な。だれかが、月の出間も待機はしている。
副隊長ならしないだろうがな。」
戻ってきたルカリさんは一般的なニバーセルの服を着ていた。
「やはり、下町に入ると目立ちますので。」
「あ、かつらかぶります?」
予備は持っている。
ルカリさんの髪色は濃い茶でくっせ毛短髪。
持っているのはうすい茶色でストレート。
「「「ぶははははははは!!!!」」」
「・・・・。」
3兄弟、ものすごく失礼なんだが、大爆笑となった。
ルカリさんは結構大柄だ。
それを、ダイエットをしてもむっちりなのだ。
おそらく体重数値は増えている。
骨太だ。
それがストレートヘアにロング。
短いので地毛は出ない。
ぱっつん前髪もよろしくない。
「も、申し訳ないです。あまりにも別人で。ぶふっ。」
セサミンがいち早く復活したが、わたしたち二人はダメだ。
手鏡を出して、本人にも見せよう。
共有しないと。
が、意外に本人は気に入ってしまった。
後ろに束ねればいいか?そうなのだろうか?
「ちがう自分なような気がして、楽しいですよ?
わたしのことは、、いえ、俺のことは、リカと呼んでください。」
リカちゃん。
ここでまた一人で笑てしまった。
「では、リカの兄貴に案内してもらおうか。」
守衛が最初は気付かなかったように、
わたしたちをコットワッツの護衛、赤い塊だとは気づかない。
ルカリ、リカの兄貴の案内で下町に入ることになった。
新隊長は貴族の中でも武闘派と呼ばれる、タレンテ家から選ばれた。
名前はクラサ。
副隊長も再編成。
ルカリさんは外されたそうだ。
「正直、ほっとしました。
ガイライ隊長が戻るまで踏ん張らねばと思っていたんですが、荷が重すぎる。
今は己の鍛錬のみに集中したい。」
軍部で働くものも、ある程度身分のある、もしくは商家が優遇されたそうだ。
給与も違う、雑用ばかり押し付けられる、鍛錬も参加させてもらえない。
だったら辞めますと、シートは便所掃除道具一式を投げつけて辞めたそうだ。
いま、清掃や食事の準備は外部から雇っている。
いままで、新人か、中で働く者たちが賄っていたのに。
人の出入りが激しい。
機密など、あってないようなものだ。
「シートとはテルマ殿と手合わせをしたあと、すごいですねと、
言われまして。モウ殿が、ああ、サブローで?チビ?いえ、それは、ちょっと。
サブローさんで。
サブローさんと知り合いなんだと、そこから話すようにはなったんですが、
新しい隊長の方針に。なにも力になれず。情けないですね。
次は、下町で働くと言ってたので、その場所は聞いているんですよ。
たしか、ポットの処理場だと。
あの、下町の事情はご存じでしょうか?」
一度、王都を出る。
大門ではない、別の通用門。
問答があるわけではない。
王都で働く人が通る門を抜け、そこから、王都で働く人たちが住む、街に。
そこから、また奥の街、下町。
「ここは王族はもちろん、貴族ははいってこない。院で働く者たちもです。
わたしは、ニック殿に連れられてなんどか。
ガイライ殿もですよ。ガイライ殿も都下出身ですから。
そこはまだ、小奇麗ですね。下水も整っているし、食料も豊富だ。
ここは、都下には住めない者たちの町です。
シートはそこから都下に移れたんですが、辞めましたので、下町に。
都下と下町は行き来はありますよ?
下町の人間は都下に住むことを目標にしています。
そしていずれは王都にと。
活気だけは一番ある街ですね。」
なんとなくわかる。
ザ、下町。言っちゃ悪いが、小汚い。そして臭い。
だが、妖精の匂いよりましだ。臭さの系統が違う。
「チビ?大丈夫か?」
「うん、これ系は臭いと思うだけ。ちい兄ちゃんは?」
「・・・下水の匂いは浄化しますから、実際、ここまでひどくない。
ちょっと、俺にはきつい。」
「ジロ、膜を張れ。」
「はい。」
「お兄ちゃんは?」
「そうだな、臭いとは思うが、こんなものだろうと。」
「さすが、タロさんですね。遠征経験者は、大抵そういいます。
宿舎はこういう匂いになりますね。」
それは嗅ぎたくない。
3兄弟のわたしは妹バージョン。
サブローが女の子の名前でもこちらは問題なしだ。
リカの兄貴を先頭に3兄弟。
リカの兄貴が一番年配者に見える。
で、わたしたちをさん付けで呼ぶ。
インテリヤクザのようだ。
ある意味怖い。
「あ!おいしい匂いがしてきたね!
ちい兄ちゃん!外して大丈夫だよ?これはおいしい匂いがつよい!」
「そうですか?あ!おいしい匂い!大丈夫!」
骨付きの肉を削ぎ落して焼いている。
肝臓かな?それも焼いている。
「チビと同じだな。」
「お兄ちゃん、ごめん、違う。
ここは洗ってないし、小麦粉洗いをしてない。不衛生すぎる。」
「チビが言うのか?」
「わたしは何でも食べるよ?けど、衛生面は気をつかってる!
その発言はデコピンの刑だよ?」
「!あれか!ぜひ経験したい!」
「あれですよね?エデト殿が吹っ飛んだ?」
「なんですか?それは?」
とにかく経験したいというので、
体験後謝ってもらおう。
かがんで、デコを出してもらう。
「死ぬなよ?」
「え?死ぬの?」
マティスが死ねばわたしも死ぬが、その原因はデコピン。仕方なし!
「うりゃ!」
「イッターーーーーーー!!!」
マティスが後ろに吹っ飛び、
小さく丸くなった。
「わたしは何でも食べるが、衛生面に気を付けている。
自分で食べる分は当然だし、誰かに食べてもらうのはそれ以上に。
後処理もきちんとしている。
ここでは必要ないかもしれないけど、故郷では当たり前だ。
なんでも口に入れるが、毒の有無の確認と、水洗いはしている。
ここが悪いとは言わない。問題ないからだ。
だが、同じと言われたくはない。謝罪を。」
「愛しい人、すまない。」
「うむ、よろしい。」
デコが少し赤くなったので、痛いの痛いの飛んでいけだ。
「あ、治った。」
「マ、タロさんが飛んでいくとは。
その技?デコピン?」
「そうです。致命傷にはなりませんが、
相手を屈服させるにはちょうど良い技。
そもそも、仕掛ける時点で、相手はしゃがんでいます。
それが、後ろにのけ反り、小さくなる。屈辱倍増ですね。」
「お、恐ろしい!」
3人で練習している。
突き指にならぬようにとだけ、注意。あと石頭には効かない。
タンと頬肉、テールも大丈夫。
小腸は洗うのが大変だったが、なんとか。
脂がのっている。
昔食べた、かすうどんっておいしかったなー。
かすってなに?て天かすかな?って思たんだけど、
ホルモン系で、しかも松坂牛のだといっていた。
うまい肉はなにもかもうまいんだとそのとき思ったもんだ。
あれ?じゃ、サイの内臓系も試さないと。
塩タンとマツチョウ、ハツとレバー、頬肉。
焼肉ですね。
タンシチューも作りたい。
玉葱に漬け込むんだっけ?
それは後日ということで、師匠たちのお手軽食料を家に届けておく。
作り置きの分だ。
おにぎりとか、サンドイッチとかね。
海苔をゼムさんに売り込み行かないと。
飲み物も、高級ストローを付ける。在庫処分だ。
セサミンはいったんコットワッツに戻った。
領土分与の話になった時に不備がないように準備をしてくれるそうだ。
「どうなんだろうね。50万リングで済むかな?
砂漠石ならあるんだけど。」
「話の持っていき方だろう。場合によっては50万ではすまないだろうな。
王都の後ろにコットワッツ領があるということを
果たして認めるのかどうか。」
「そうだね。でも、もともとボルタオネの領土でしょ?
36番目の森って。
ボルタオネもそんならうちに返して頂戴っていうかもしれんね。」
「あり得るな。イスナに聞いておこうか?」
「んー、そうなると、そこまでしてほしいってこともないかな?
あの森は自分で考えてるから。受け入れるんならいいんじゃないの?」
「・・・欲がないな。」
「欲というか、なんというか。住むところはどこでもいいのよ。
ニバーセルも中央もすなおに口添えしてくれなさそう。
お金はだすわ、結局ニバーセルのボルタオネの領土になりそう。
だいたい、お金とるのおかしくない?」
「根回しだろ?その費用?」
「それがルール、決まりならいいけどさ。
でもさ、ほんとはさ、呪いの森ってお宝の森だよね。
それを知ってるのはわたしとマティス?セサミンはあの光の雫だけ。
栄養剤的な泉も香木もあることは知らない。
黙ってるのがね。」
「必要なものには森は開くだろう?気にすることはない。」
「そうだね。でね、なんか、頑張って働こうって思うの。」
「ん?」
「なんか、がむしゃらに。そう言ってる時点で贅沢なんだけど。
畑とかつくろうか?」
「それもいいが、それは雨の日のあと、茸祭り、タケノコ祭りか?
ザバスと一緒にスパイルにもいくだろ?
チョコ作りも、新年のこともある。それが終わってから考えよう。
またいろいろ考え込んでいるな?鍛錬を先にしようか?」
「そうだ!鍛錬!師匠の家の地下を借りよう。」
からだを動かさないと、なんかもやもやが消えないね。
なんでだろうね。
呪いの森は大きすぎる?偉大過ぎる?
もっと、何もないところがいいな。そう!
一から整地していくの!
それがいい!
「マティス!」
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
愛しい人がまたいろいろ考えている。
私もだ。
土地は欲しいと思ったが、それはあの森か?
あの森はあのままで、完結している。
2人で、なにかを作っていきたいのだ。
砂漠でもいいんだ。
なにもない荒野でも。
2人で作っていきたい。
「愛しい人!」
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
「そうですか。わかりました。
なにもあの呪いの森をこちらから欲しているわけではないですからね。
あの土地を交換条件に提示されたら、辞退しましょう。
しかし、おそらくはニバーセルに隣接している土地ですよ?
向こうは1リングたりとも
コットワッツから税収入がへるのを阻止してくるでしょうね。
いくつか候補を考えておきますか?
向こうから提案されるよりいいでしょう。」
セサミナが戻ってきてから、2人の考えを話した。
セサミナも私が土地を持ち、
そこから税収入を確保できるのらなそれに越したことはないのだ。
が、呪いの森ではそうもいかない。
光の雫を売ることもできない。
だったら、売れるなにかを生産する土地のほうがいいのだ。
領主だからな。
月が昇り、シートのところに行くことになった。
食べたりないのだ。
ガイライ達は、竹炭の第一弾ができるとかで、
火の番をしないといけないそうだ。
出来上がったものを明日持ってくる。
護衛、赤い塊。
それと弟。
セサミナだけはかつらをつけることになる。
私の弟だというと、当然コットワッツ領主だ。
シートは気にするだろうか?
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
「シートはいますか?」
軍部を訪ねるとシートではなく、別の人。
シートだけの仕事ではないから今日は休みか?
「シート?ああ、庶民の?首になった。」
「・・・ルカリ殿は?」
「お前は?」
『これは失礼した。コットワッツ領、領主セサミナ様が護衛、
赤い塊のモウと名乗るもの。
軍部、副隊長ルカリ殿にお目通り願いたい。』
「お、お待ちを!」
「シート首だって!軍部改革かな?庶民のってつけたから、
みな貴族出身にするとか?」
「そんなことをすれば、有事の時にだれの命令も聞かない軍になる。
実働で動くのはやはり、庶民、一般民の兵ですから。」
「有事ね。そのときはセサミンも?」
「もちろん。王都軍とはべつの部隊を、
我が領民を率いての中隊となります。」
「あー、そういうの決まってるんだね。」
「まだ経験はありませんよ?」
「ないほうがいいね。」
「ええ。」
「モウ殿!!」
「ルカリ殿!久しぶりです。
今回は早めに王都入りしたのでご挨拶を。おかわりありませんか?」
「ええ、それは。えっと、今回は護衛として?」
「ええ。後ろにいるのがセサミナ様ですよ?」
「え?」
服はニバーセルの服。
セサミンはかつらをつけている。
マティスとよく似た男の子だ。
「友人を訪ねてきたのですが、他の職に移ったようです。
シートという名の青年なんですが、ご存じですか?」
「ああ、シート。鍛錬にも参加していましたが、隊長が代わって。
一般人の参加は認められなくなりましたし、いろいろと。」
「そうですか。残念ですね。どこに移ったかご存じですか?
下町を案内してもらう約束なんです。押しかけていってやろうかと。」
「え?3人でですか?」
「ええ。ご一緒にどうですか?できれば案内してもらいたいのですが?」
「行きます!ちょっとお待ちください!!」
ドタドタと中に戻っていく。
もう終業時間だよね?そもそも軍に勤務時間ってあるのかな?
「一応な。だれかが、月の出間も待機はしている。
副隊長ならしないだろうがな。」
戻ってきたルカリさんは一般的なニバーセルの服を着ていた。
「やはり、下町に入ると目立ちますので。」
「あ、かつらかぶります?」
予備は持っている。
ルカリさんの髪色は濃い茶でくっせ毛短髪。
持っているのはうすい茶色でストレート。
「「「ぶははははははは!!!!」」」
「・・・・。」
3兄弟、ものすごく失礼なんだが、大爆笑となった。
ルカリさんは結構大柄だ。
それを、ダイエットをしてもむっちりなのだ。
おそらく体重数値は増えている。
骨太だ。
それがストレートヘアにロング。
短いので地毛は出ない。
ぱっつん前髪もよろしくない。
「も、申し訳ないです。あまりにも別人で。ぶふっ。」
セサミンがいち早く復活したが、わたしたち二人はダメだ。
手鏡を出して、本人にも見せよう。
共有しないと。
が、意外に本人は気に入ってしまった。
後ろに束ねればいいか?そうなのだろうか?
「ちがう自分なような気がして、楽しいですよ?
わたしのことは、、いえ、俺のことは、リカと呼んでください。」
リカちゃん。
ここでまた一人で笑てしまった。
「では、リカの兄貴に案内してもらおうか。」
守衛が最初は気付かなかったように、
わたしたちをコットワッツの護衛、赤い塊だとは気づかない。
ルカリ、リカの兄貴の案内で下町に入ることになった。
新隊長は貴族の中でも武闘派と呼ばれる、タレンテ家から選ばれた。
名前はクラサ。
副隊長も再編成。
ルカリさんは外されたそうだ。
「正直、ほっとしました。
ガイライ隊長が戻るまで踏ん張らねばと思っていたんですが、荷が重すぎる。
今は己の鍛錬のみに集中したい。」
軍部で働くものも、ある程度身分のある、もしくは商家が優遇されたそうだ。
給与も違う、雑用ばかり押し付けられる、鍛錬も参加させてもらえない。
だったら辞めますと、シートは便所掃除道具一式を投げつけて辞めたそうだ。
いま、清掃や食事の準備は外部から雇っている。
いままで、新人か、中で働く者たちが賄っていたのに。
人の出入りが激しい。
機密など、あってないようなものだ。
「シートとはテルマ殿と手合わせをしたあと、すごいですねと、
言われまして。モウ殿が、ああ、サブローで?チビ?いえ、それは、ちょっと。
サブローさんで。
サブローさんと知り合いなんだと、そこから話すようにはなったんですが、
新しい隊長の方針に。なにも力になれず。情けないですね。
次は、下町で働くと言ってたので、その場所は聞いているんですよ。
たしか、ポットの処理場だと。
あの、下町の事情はご存じでしょうか?」
一度、王都を出る。
大門ではない、別の通用門。
問答があるわけではない。
王都で働く人が通る門を抜け、そこから、王都で働く人たちが住む、街に。
そこから、また奥の街、下町。
「ここは王族はもちろん、貴族ははいってこない。院で働く者たちもです。
わたしは、ニック殿に連れられてなんどか。
ガイライ殿もですよ。ガイライ殿も都下出身ですから。
そこはまだ、小奇麗ですね。下水も整っているし、食料も豊富だ。
ここは、都下には住めない者たちの町です。
シートはそこから都下に移れたんですが、辞めましたので、下町に。
都下と下町は行き来はありますよ?
下町の人間は都下に住むことを目標にしています。
そしていずれは王都にと。
活気だけは一番ある街ですね。」
なんとなくわかる。
ザ、下町。言っちゃ悪いが、小汚い。そして臭い。
だが、妖精の匂いよりましだ。臭さの系統が違う。
「チビ?大丈夫か?」
「うん、これ系は臭いと思うだけ。ちい兄ちゃんは?」
「・・・下水の匂いは浄化しますから、実際、ここまでひどくない。
ちょっと、俺にはきつい。」
「ジロ、膜を張れ。」
「はい。」
「お兄ちゃんは?」
「そうだな、臭いとは思うが、こんなものだろうと。」
「さすが、タロさんですね。遠征経験者は、大抵そういいます。
宿舎はこういう匂いになりますね。」
それは嗅ぎたくない。
3兄弟のわたしは妹バージョン。
サブローが女の子の名前でもこちらは問題なしだ。
リカの兄貴を先頭に3兄弟。
リカの兄貴が一番年配者に見える。
で、わたしたちをさん付けで呼ぶ。
インテリヤクザのようだ。
ある意味怖い。
「あ!おいしい匂いがしてきたね!
ちい兄ちゃん!外して大丈夫だよ?これはおいしい匂いがつよい!」
「そうですか?あ!おいしい匂い!大丈夫!」
骨付きの肉を削ぎ落して焼いている。
肝臓かな?それも焼いている。
「チビと同じだな。」
「お兄ちゃん、ごめん、違う。
ここは洗ってないし、小麦粉洗いをしてない。不衛生すぎる。」
「チビが言うのか?」
「わたしは何でも食べるよ?けど、衛生面は気をつかってる!
その発言はデコピンの刑だよ?」
「!あれか!ぜひ経験したい!」
「あれですよね?エデト殿が吹っ飛んだ?」
「なんですか?それは?」
とにかく経験したいというので、
体験後謝ってもらおう。
かがんで、デコを出してもらう。
「死ぬなよ?」
「え?死ぬの?」
マティスが死ねばわたしも死ぬが、その原因はデコピン。仕方なし!
「うりゃ!」
「イッターーーーーーー!!!」
マティスが後ろに吹っ飛び、
小さく丸くなった。
「わたしは何でも食べるが、衛生面に気を付けている。
自分で食べる分は当然だし、誰かに食べてもらうのはそれ以上に。
後処理もきちんとしている。
ここでは必要ないかもしれないけど、故郷では当たり前だ。
なんでも口に入れるが、毒の有無の確認と、水洗いはしている。
ここが悪いとは言わない。問題ないからだ。
だが、同じと言われたくはない。謝罪を。」
「愛しい人、すまない。」
「うむ、よろしい。」
デコが少し赤くなったので、痛いの痛いの飛んでいけだ。
「あ、治った。」
「マ、タロさんが飛んでいくとは。
その技?デコピン?」
「そうです。致命傷にはなりませんが、
相手を屈服させるにはちょうど良い技。
そもそも、仕掛ける時点で、相手はしゃがんでいます。
それが、後ろにのけ反り、小さくなる。屈辱倍増ですね。」
「お、恐ろしい!」
3人で練習している。
突き指にならぬようにとだけ、注意。あと石頭には効かない。
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【ストーリー】
幼馴染の男3人と久しぶりに飲みに集まったななか。自分だけ異性であることを意識しないくらい仲がよく、久しぶりに4人で集まれたことを嬉しく思っていた。
そんな中、幼馴染のうちの1人が乳首当てゲームにハマっていると言い出し、ななか以外の3人が実際にゲームをして盛り上がる。
3人のやり取りを微笑ましく眺めるななかだったが、自分も参加させられ、思わず感じてしまい―――。
さらにその後、幼馴染たちから次々と衝撃の事実を伝えられ、事態は思わぬ方向に発展していく。
【登場人物】
・ななか
広告マーケターとして働く新社会人。純粋で素直だが流されやすい。大学時代に一度だけ彼氏がいたが、身体の相性が微妙で別れた。
・かつや
不動産の営業マンとして働く新社会人。社交的な性格で男女問わず友達が多い。ななかと同じ大学出身。
・よしひこ
飲食店経営者。クールで口数が少ない。頭も顔も要領もいいため学生時代はモテた。短期留学経験者。
・しんじ
工場勤務の社会人。控えめな性格だがしっかり者。みんなよりも社会人歴が長い。最近同棲中の彼女と別れた。
【注意】
※一度全作品を削除されてしまったため、本番シーンはカットしての投稿となります。
そのため読みにくい点や把握しにくい点が多いかと思いますがご了承ください。
フルバージョンはpixivやFantiaで配信させていただいております。
※男数人で女を取り合うなど、くっさい乙女ゲーム感満載です。
※フィクションとしてお楽しみいただきますようお願い申し上げます。
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