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468:同一人物
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「はーほんと!いやんなっちゃう!
奥さんはエデトに見てほしかたんだよ。いろいろね。
気持ちがわかってくれてても、髪型変えたり、紅色かえたりしたら
見てほしいじゃん?自分の気持ちだけに機敏ならいいよ?
たぶんみんなの気持ちも匂いでわかってるんだ。
博愛はないものと同じだからね。自分だけ見てほしいってのあるだろよ。
それが緑の目ならなおさらだ。」
「では、どうしてこうなったんだ?」
「ん?そのままでしょ?鼻がいいんなら見つけるのもたやすいってさ。コクが。
で、奥さんはどうせ、自分を見てくれないんなら、このまま寿命まで。
研究してたっていうから、眠り続けるだけって知ってたのかもしれんよ?
予想はしてたか、死んでもいいって思ったかもしれないけどね。
で、お間抜けエデトもそのままだ。ずっといっしょにいたいっておもったから、
2人でそのまま?緑の目の対象はやっぱり緑の目。独占欲は強いんよ。」
お風呂に入って身支度中。
セサミンは戻ってお仕事。
護衛赤い塊なので、悪役夫婦の恰好です。
持ってきた荷物があるから荷車も2台。
これを曳きます。
用意ができたら、砂漠の入口から。
3兄弟は、ちゃんと出国済み。
「ニバーセルが領国、コットワッツ領、領主セサミナ様だ。
元首エデト殿のお召しにより参上した。
我ら2人は護衛赤い塊と呼ばれしもの。
案内願いたい。」
「遠路はるばるようこそ。
案内仕ります。
?馬は?」
「月の影響が出ない砂漠の端で待機している。心配ご無用。」
「そうでございますか。では。
?その荷は?」
「商談の品だ。我らが運ぶので心配ご無用。」
「そうでございますか。では。
?寒くはございませんか?」
「テルマ殿!」
「あはははは!すまない。
いや、本当に申し訳ない。」
「いえ。目の見え方の件は、後になってから言われても
こまりますよね。
わたしくしも気付きませんでしたし。後からは何とでもいえますから。」
「いや、思えば、思い当たることも多々ある。
可愛そうなことをした。」
「それ、子供には禁句ですよ。親にそういわれると子は何も言えない。
子は許すしかないから。」
「そうか、そうだな。」
「今を、これからを楽しんでください。」
「ああ、そうだな。まさしく。」
出迎えは、テルマとアサギリの4頭。
アコにセサミン、サコにテルマ、
ギコとリコが荷を引いてくれる。
アコの両隣にわたし達。
その前をテルマが先導。
街道を結構な人が出迎えてくれている。
結構恥ずかしい。
セサミンはさすがに愛想を振りまいている。
わたしとマティスは真顔だ。護衛だから。
だけど、マティスはわたしのさっきの姿をほめちぎっている。
うんうん、ありがとう。
(しかし、どうしてそこまでエデトをかまう?)
(そうだね、なんでだろうね?)
(わからない?)
(うん、わかんないや)
(そうか)
なんでだろうね?
自分と似てる?
親に遠慮してるところが似てる?
それは誰だってあるだろう。
緑の目の対象者だから?
そんなの分からない話だ。
ニバーセルに赤い塊を出せなんて小狡いことを考えること?
先に祖父や、父親をどう丸め込んだか知らないけど、
わたしがいうことを先回りして手を打ってたこと?
違うな。
なにかしらに必死だったからだ。
そういう人は嫌いではないな。
それをマティスに伝える。
マティスはそうかとだけ。
うふふふ。マティスがエデトを嫌ってないのもあるよ?
また、そうかとだけ。
緑の目は不思議だね。
研究してほしいとおもったけど、不思議なままでいいや。
マティスはマティスだから。
館に到着。
控室は1の部屋。
商談の品は別室で並べてくれるそうだ。
食事が終われば、皆に見せてくれるそうで、
前回来ていた人たちも来ていると。
ほぼ身内だ。ドルガナ関係者がいないだけ。
案内の方は、ピヨピヨで爆笑した女官だ。
わたしと気付いていないのか。
「お呼びいたしますので、
それまで、おくつろぎ下さいませ。」
と、セサミンに紅茶を入れて、退室していく。
部屋を出るときに、扉を先に開ける。
嬉しそうにこちらを見たので、
「ひよっこ、ピヨピヨ。」
「ぶふーーー!え?うそ!あ!失礼しました。」
走って逃げていった。
あはははは!
「姉さん?何やってるんですか?」
「いや、あの人に受ける定番文句なんだよ、言っとかないと。」
「そうなのですか?合わさりの月が終わるまで、ここに泊ることになるのですが、
姉さんたちは?やはり砂漠に?」
「うん。廻るよ?マトグラーサ以外。」
「わたしもご一緒できないでしょうか?」
「んー、難しいね。師匠も辛そうだったよ?
戻って何かするって欲をもってないとダメだ。
それでも、何かしたいって欲がすぐにできるならいい。
それが、自分の奥底にないかあるってわかる?
殺人衝動とかだったら困る。
ああ、でもそうか。領主の力で制御できるのか?」
「ええ。おそらくは。しかし、それはコットワッツの砂漠だけかもしれないです。」
「んーそれはないんじゃないの?だって、コットワッツの領土じゃないもの。
どう思う?マティス?」
「そうだな。コットワッツの砂漠に行って、そこで大丈夫なら、次に行こうか?
間の砂漠、中央西、中央東だ。我慢するな?
必ず変調が出たら言え?いいな?」
「はい!」
「なんか、施すの?あのとき、ルグは普通だったよね?」
「ルグには、いつも通りと。それが一番石を消費しますね。
わたしはいいとして、ルグに何かあれば困りますから。
わたし自身にはなにも。集めてもらう領民には、
ただ石を集めてもらう。欲望は出ない、それが仕事だと。
本人たちもそう思っていますし、欲望は出ないと思っていますから、
小さな石で。」
「なるほどね。領主の力はあるよ、もちろん。
けど、本人の思い込みも大事なんだ。
集める人は、安心安全な石を集めるお仕事、わーいいって思ってるし、
ルグはまじめだから、何があろうとセサミンを守る、惑わされないって思ってる。
あのハゲチャビンとドーガーはいれてないでしょ?砂漠に。」
「ドーガーはまだ若いと。ハゲチャビン?ああ、あれはああだったので。」
やっぱり、石は切っ掛けだね。
んー、でもそれがずっとだから、変えようがないか。
「今日戻った時の報告ですが、ああ、樹石の収納箱は親方主導で開発します。
草原の民が持ってきたそうです。サイを。
王都には1500で売ったが、特別に1200でどうだとね。
わたしが持って帰ると言ってるし、そんな高いのはけないと。
前回の金額、倍ですけどね、それならといったら、二度と来るかといわれたと。」
「王都に20納めて、また20狩るって話だったんだよね?
ばれて売れなくなるから1500で売ったんじゃなくて、
そんなこと知らないで売ったのかな?
で、抜け駆け?」
「調べる気も起きない。」
「そうだよね?んー、でもさ、草原の民はやっぱりコットワッツ領民でしょ?
他から見れば。なん癖つけられない?」
「!!」
「それでなくても、湿地の件で向こうはやられたーって思ってるから。
いや、勝手にやられてるんだけどね。」
「ど、どうしましょうか?いまから、あの領地は捨てる?
受け取る相手がいないと切り捨てられない。」
「ワイプに連絡する。うまく、肉の砂出し方法を伝えろと。」
「お願いします。」
マティスが師匠と話してる。むー、また2人だけだ。
「姉さん?なんて?」
「ん?わかんない。2人で話してるよ。
ほら、あの顔。きっと、なにかしら自慢してるんだよ。」
「あー、あの顔。なるほど。」
「だから、話が終わったらこう一緒に言おう。
・・・・、ね?」
「ええ、わかりました。」
「ふふふふ。あれに任せておけばいい。
セサミナ、心配するな。」
「兄さん!ありがとうございます。
兄さんが言えば、すぐにワイプ殿は動いてくれるんですね?」
「当たり前だろう?」
「さすがです!」
「ほんと!さすがマティスだ!」
「「好き好き大好き!」」
「ぶはははははは!!!いいな!」
かわいいな!もう!!
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
(ワイプ!)
(何かありましたか?モウは?)
(問題ない。コットワッツのことだ)
(湿地の税?砂漠の領地化?湿地の税はそのまま、
新領地はどうしようもないですよ?)
(それはいいんだ。肉のことだ。ジャリ肉)
(ああ、また新たに20頭か買うとか。予算を請求されましたよ?)
(それだ。その肉が食べれないとわかれば、
コットワッツになん癖がつく
草原の民の住んでいる土地はコットワッツ領だから)
(それはないでしょう?だったら、
肉の代金はコットワッツに払っている)
(ないと言い切れるか?)
(・・・あり得ますね)
(先に肉の砂抜きの方法を伝えろ。それで解決だ)
(また、あなた、無茶なことをいう)
(ふふふ。もっとうまい肉がある)
(え?クジラ?)
(違う、サイでだ。サイなのに、今まで食べたサイよりうまい)
(ほんとですか?)
(ルグかドーガーに聞いてみろ。先に食べているからな)
(どうしてわたしは食べてないんですか!!)
(あと、いままでの肉でも、もっとうまく食える方法もある。
これはセサミナと3人しかしらん)
(な!)
(うまい刺身とうまいアイスの食べ方もだ)
(なんと!!あなた方はなにをしてるんですか?食べ歩き?
連れていきなさいよ!)
(ちなみに今、ルポイドだ。おそらくクジラ肉はでる)
(かー、なんなんですか!)
(ジャリ肉の処理の仕方をそれとなく伝えろ。そうすれば、
うまい肉は食えるぞ?)
(はいはい、わかりました。すぐにでも、伝えましょう)
(そうだ、すぐだぞ)
(ええ。それで?問題はないんですね?ほかに?)
(問題か?エデトが2回目の脳天攻撃を受けていた)
(またなんかしでかしたんですか?)
(あの時の愛しい人は凛々しかった)
(はいはい、ほかには?)
(ん?セサミナがドロインという女性に、ああ、かなり年配だがな、
その方にタトーロインとよんで怒られた。中央のタトーロイン卿だと。
知っているか?)
(え?まだ、ご存命で?)
(そうだ、そういって本人にここを死に場所にするのかと)
(うわー。そうですか。あとは?)
(ん?東の砂漠に岩塩が出た。知ってるか?)
(ええ。それは知っています。変動のすぐ後ぐらいですよ?)
(では、変動後、東の砂漠から砂漠石は出ているのか?
減ってる?増えている?)
(産出量は調べ切っていませんね。どうして?)
(砂漠石は地下水脈に乗って移動する。水が流れていれば、塩は溶ける)
(理屈は分かりますが?)
(その水に溶けない岩塩が海側に出てきた。水の流れが変わったんだ。
いままで取れていた砂漠石の水脈が動けば、
石は取れないか逆に取れるか疑問だろ?)
(・・・。)
(西では大掛かりな採取があるんだろ?東は?)
(同じようになると話は出ています)
(そうか。取れなくなったからか、西もするから東もするのか)
(調べておきましょう)
(ああ、それと、ダカルナの王が探しているのは間違いなさそうだ
声を取った。送っておこう)
(!あ、これ?)
(いったか?調べておいてくれ。ではな、ジャリ肉の件わすれるな?)
(わかりました)
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
晩餐会は終始和やかに。
赤い服、それも体のラインがもろに出るものだが、
ドレスだってそうなのだ、問題ないと思いたい。
護衛だが、前回同様、テルマの孫、わたしの子供だと、
着席、同様の食事を楽しむことができた。
クジラ肉うんまい!
あとは、センス良く並べられた、コットワッツの商品を
セサミンがセンス良く説明していく。
わたしとマティスもだ。
前回不快な思いさせしまって申し訳ないと、
小さなダイヤのルースを。
お好きなように加工してくださいと6人の女性に配った。
一粒だから、ペンダントか指輪?ブローチ?
「いえ、耳飾りでもよろしいかと。
なにも、両耳に同じ飾りをしなくてもいいと思うのですよ。
なにか、統一性のある意匠なら。
しかし、そうですね。もう一粒あれば、さらに映えますね。
他の石も。
それはどうか、コットワッツでお買い上げを。」
「青のドレスをお持ちではないのですか?
ニバーセル、武の大会後の懇親会でお披露目されたとか。
そのあまりの美しさに、みながこぞって青いドレスを。
それは、セサミナ様の奥方様?」
「いえ、兄のマティスの唯一の伴侶、わたしの姉上ですよ?
わたしの妻たちではとても着こなせませんから。」
「ま!マティス様の?あら?マティス様の伴侶はモウ様でしょ?
あら?前回の緑のドレスも素敵でしたが、
今回の赤の意匠はそれは勇ましくて。
わたしの想像とすこし違いますわ。」
「そうですか?どれも姉上にピッタリな意匠ですよ?姉上!」
「はい、セサミナ様。」
「姉上、今、青のドレスの話を。」
「あはははは!お恥ずかしい話ですね。」
「モウ様?それはどうして?」
「わたしくしの背中が、色とりどりの石で飾られていましてね、
皆が背中を見るんですよ。視線を感じますから、振り返りますよね?
で、皆が驚かれる。わたしくしも、装飾の宣伝をしませんといけない。
説明は難しいので、言葉は悪いのですが、愛想笑いもしなくてはと、
笑いますでしょ?そうするとまた、皆さんが驚かれる。
なんでしょうか?
ここで和やかに笑えるような笑顔ではなかったのでしょう。
ああ、ライガー殿!あの時ライガー殿は大会の優勝者ですから、
当然わたくしの姿を見てますし、驚かれてましたよ。
ライガー殿?あれはどうしてでしょうか?」
ライガーはまた私わたしの姿を見て固まったので、
ここで、つるし上げだ。
「・・・モウ殿は身に付けるもので、印象が変わられます。
緑のドレスも、今のいでたちも、青のドレスの時とはまた違いますから。
同一人物だと思えないので。それでですね。」
なるほど、無難に逃げるな。
「愛しい人?着替えてくれば?私も、もう一度見たい。
荷の中にちゃんと入れているから。」
着た方がいいの?
「姉上、どうそ着替えてきてください。
そうすれば、ここにいる方たちだけでも、
青のドレスがマティスの好みではなく、
マティスの伴侶が青いドレスを着ていたということが
わかるでしょう。」
なるほど。
「モウ、わたしも見たいな。ね?父上。」
「そうだな。モウ、見せておくれ。」
「テルマおじいさまがそうおっしゃるのでしたら。」
奥さんはエデトに見てほしかたんだよ。いろいろね。
気持ちがわかってくれてても、髪型変えたり、紅色かえたりしたら
見てほしいじゃん?自分の気持ちだけに機敏ならいいよ?
たぶんみんなの気持ちも匂いでわかってるんだ。
博愛はないものと同じだからね。自分だけ見てほしいってのあるだろよ。
それが緑の目ならなおさらだ。」
「では、どうしてこうなったんだ?」
「ん?そのままでしょ?鼻がいいんなら見つけるのもたやすいってさ。コクが。
で、奥さんはどうせ、自分を見てくれないんなら、このまま寿命まで。
研究してたっていうから、眠り続けるだけって知ってたのかもしれんよ?
予想はしてたか、死んでもいいって思ったかもしれないけどね。
で、お間抜けエデトもそのままだ。ずっといっしょにいたいっておもったから、
2人でそのまま?緑の目の対象はやっぱり緑の目。独占欲は強いんよ。」
お風呂に入って身支度中。
セサミンは戻ってお仕事。
護衛赤い塊なので、悪役夫婦の恰好です。
持ってきた荷物があるから荷車も2台。
これを曳きます。
用意ができたら、砂漠の入口から。
3兄弟は、ちゃんと出国済み。
「ニバーセルが領国、コットワッツ領、領主セサミナ様だ。
元首エデト殿のお召しにより参上した。
我ら2人は護衛赤い塊と呼ばれしもの。
案内願いたい。」
「遠路はるばるようこそ。
案内仕ります。
?馬は?」
「月の影響が出ない砂漠の端で待機している。心配ご無用。」
「そうでございますか。では。
?その荷は?」
「商談の品だ。我らが運ぶので心配ご無用。」
「そうでございますか。では。
?寒くはございませんか?」
「テルマ殿!」
「あはははは!すまない。
いや、本当に申し訳ない。」
「いえ。目の見え方の件は、後になってから言われても
こまりますよね。
わたしくしも気付きませんでしたし。後からは何とでもいえますから。」
「いや、思えば、思い当たることも多々ある。
可愛そうなことをした。」
「それ、子供には禁句ですよ。親にそういわれると子は何も言えない。
子は許すしかないから。」
「そうか、そうだな。」
「今を、これからを楽しんでください。」
「ああ、そうだな。まさしく。」
出迎えは、テルマとアサギリの4頭。
アコにセサミン、サコにテルマ、
ギコとリコが荷を引いてくれる。
アコの両隣にわたし達。
その前をテルマが先導。
街道を結構な人が出迎えてくれている。
結構恥ずかしい。
セサミンはさすがに愛想を振りまいている。
わたしとマティスは真顔だ。護衛だから。
だけど、マティスはわたしのさっきの姿をほめちぎっている。
うんうん、ありがとう。
(しかし、どうしてそこまでエデトをかまう?)
(そうだね、なんでだろうね?)
(わからない?)
(うん、わかんないや)
(そうか)
なんでだろうね?
自分と似てる?
親に遠慮してるところが似てる?
それは誰だってあるだろう。
緑の目の対象者だから?
そんなの分からない話だ。
ニバーセルに赤い塊を出せなんて小狡いことを考えること?
先に祖父や、父親をどう丸め込んだか知らないけど、
わたしがいうことを先回りして手を打ってたこと?
違うな。
なにかしらに必死だったからだ。
そういう人は嫌いではないな。
それをマティスに伝える。
マティスはそうかとだけ。
うふふふ。マティスがエデトを嫌ってないのもあるよ?
また、そうかとだけ。
緑の目は不思議だね。
研究してほしいとおもったけど、不思議なままでいいや。
マティスはマティスだから。
館に到着。
控室は1の部屋。
商談の品は別室で並べてくれるそうだ。
食事が終われば、皆に見せてくれるそうで、
前回来ていた人たちも来ていると。
ほぼ身内だ。ドルガナ関係者がいないだけ。
案内の方は、ピヨピヨで爆笑した女官だ。
わたしと気付いていないのか。
「お呼びいたしますので、
それまで、おくつろぎ下さいませ。」
と、セサミンに紅茶を入れて、退室していく。
部屋を出るときに、扉を先に開ける。
嬉しそうにこちらを見たので、
「ひよっこ、ピヨピヨ。」
「ぶふーーー!え?うそ!あ!失礼しました。」
走って逃げていった。
あはははは!
「姉さん?何やってるんですか?」
「いや、あの人に受ける定番文句なんだよ、言っとかないと。」
「そうなのですか?合わさりの月が終わるまで、ここに泊ることになるのですが、
姉さんたちは?やはり砂漠に?」
「うん。廻るよ?マトグラーサ以外。」
「わたしもご一緒できないでしょうか?」
「んー、難しいね。師匠も辛そうだったよ?
戻って何かするって欲をもってないとダメだ。
それでも、何かしたいって欲がすぐにできるならいい。
それが、自分の奥底にないかあるってわかる?
殺人衝動とかだったら困る。
ああ、でもそうか。領主の力で制御できるのか?」
「ええ。おそらくは。しかし、それはコットワッツの砂漠だけかもしれないです。」
「んーそれはないんじゃないの?だって、コットワッツの領土じゃないもの。
どう思う?マティス?」
「そうだな。コットワッツの砂漠に行って、そこで大丈夫なら、次に行こうか?
間の砂漠、中央西、中央東だ。我慢するな?
必ず変調が出たら言え?いいな?」
「はい!」
「なんか、施すの?あのとき、ルグは普通だったよね?」
「ルグには、いつも通りと。それが一番石を消費しますね。
わたしはいいとして、ルグに何かあれば困りますから。
わたし自身にはなにも。集めてもらう領民には、
ただ石を集めてもらう。欲望は出ない、それが仕事だと。
本人たちもそう思っていますし、欲望は出ないと思っていますから、
小さな石で。」
「なるほどね。領主の力はあるよ、もちろん。
けど、本人の思い込みも大事なんだ。
集める人は、安心安全な石を集めるお仕事、わーいいって思ってるし、
ルグはまじめだから、何があろうとセサミンを守る、惑わされないって思ってる。
あのハゲチャビンとドーガーはいれてないでしょ?砂漠に。」
「ドーガーはまだ若いと。ハゲチャビン?ああ、あれはああだったので。」
やっぱり、石は切っ掛けだね。
んー、でもそれがずっとだから、変えようがないか。
「今日戻った時の報告ですが、ああ、樹石の収納箱は親方主導で開発します。
草原の民が持ってきたそうです。サイを。
王都には1500で売ったが、特別に1200でどうだとね。
わたしが持って帰ると言ってるし、そんな高いのはけないと。
前回の金額、倍ですけどね、それならといったら、二度と来るかといわれたと。」
「王都に20納めて、また20狩るって話だったんだよね?
ばれて売れなくなるから1500で売ったんじゃなくて、
そんなこと知らないで売ったのかな?
で、抜け駆け?」
「調べる気も起きない。」
「そうだよね?んー、でもさ、草原の民はやっぱりコットワッツ領民でしょ?
他から見れば。なん癖つけられない?」
「!!」
「それでなくても、湿地の件で向こうはやられたーって思ってるから。
いや、勝手にやられてるんだけどね。」
「ど、どうしましょうか?いまから、あの領地は捨てる?
受け取る相手がいないと切り捨てられない。」
「ワイプに連絡する。うまく、肉の砂出し方法を伝えろと。」
「お願いします。」
マティスが師匠と話してる。むー、また2人だけだ。
「姉さん?なんて?」
「ん?わかんない。2人で話してるよ。
ほら、あの顔。きっと、なにかしら自慢してるんだよ。」
「あー、あの顔。なるほど。」
「だから、話が終わったらこう一緒に言おう。
・・・・、ね?」
「ええ、わかりました。」
「ふふふふ。あれに任せておけばいい。
セサミナ、心配するな。」
「兄さん!ありがとうございます。
兄さんが言えば、すぐにワイプ殿は動いてくれるんですね?」
「当たり前だろう?」
「さすがです!」
「ほんと!さすがマティスだ!」
「「好き好き大好き!」」
「ぶはははははは!!!いいな!」
かわいいな!もう!!
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
(ワイプ!)
(何かありましたか?モウは?)
(問題ない。コットワッツのことだ)
(湿地の税?砂漠の領地化?湿地の税はそのまま、
新領地はどうしようもないですよ?)
(それはいいんだ。肉のことだ。ジャリ肉)
(ああ、また新たに20頭か買うとか。予算を請求されましたよ?)
(それだ。その肉が食べれないとわかれば、
コットワッツになん癖がつく
草原の民の住んでいる土地はコットワッツ領だから)
(それはないでしょう?だったら、
肉の代金はコットワッツに払っている)
(ないと言い切れるか?)
(・・・あり得ますね)
(先に肉の砂抜きの方法を伝えろ。それで解決だ)
(また、あなた、無茶なことをいう)
(ふふふ。もっとうまい肉がある)
(え?クジラ?)
(違う、サイでだ。サイなのに、今まで食べたサイよりうまい)
(ほんとですか?)
(ルグかドーガーに聞いてみろ。先に食べているからな)
(どうしてわたしは食べてないんですか!!)
(あと、いままでの肉でも、もっとうまく食える方法もある。
これはセサミナと3人しかしらん)
(な!)
(うまい刺身とうまいアイスの食べ方もだ)
(なんと!!あなた方はなにをしてるんですか?食べ歩き?
連れていきなさいよ!)
(ちなみに今、ルポイドだ。おそらくクジラ肉はでる)
(かー、なんなんですか!)
(ジャリ肉の処理の仕方をそれとなく伝えろ。そうすれば、
うまい肉は食えるぞ?)
(はいはい、わかりました。すぐにでも、伝えましょう)
(そうだ、すぐだぞ)
(ええ。それで?問題はないんですね?ほかに?)
(問題か?エデトが2回目の脳天攻撃を受けていた)
(またなんかしでかしたんですか?)
(あの時の愛しい人は凛々しかった)
(はいはい、ほかには?)
(ん?セサミナがドロインという女性に、ああ、かなり年配だがな、
その方にタトーロインとよんで怒られた。中央のタトーロイン卿だと。
知っているか?)
(え?まだ、ご存命で?)
(そうだ、そういって本人にここを死に場所にするのかと)
(うわー。そうですか。あとは?)
(ん?東の砂漠に岩塩が出た。知ってるか?)
(ええ。それは知っています。変動のすぐ後ぐらいですよ?)
(では、変動後、東の砂漠から砂漠石は出ているのか?
減ってる?増えている?)
(産出量は調べ切っていませんね。どうして?)
(砂漠石は地下水脈に乗って移動する。水が流れていれば、塩は溶ける)
(理屈は分かりますが?)
(その水に溶けない岩塩が海側に出てきた。水の流れが変わったんだ。
いままで取れていた砂漠石の水脈が動けば、
石は取れないか逆に取れるか疑問だろ?)
(・・・。)
(西では大掛かりな採取があるんだろ?東は?)
(同じようになると話は出ています)
(そうか。取れなくなったからか、西もするから東もするのか)
(調べておきましょう)
(ああ、それと、ダカルナの王が探しているのは間違いなさそうだ
声を取った。送っておこう)
(!あ、これ?)
(いったか?調べておいてくれ。ではな、ジャリ肉の件わすれるな?)
(わかりました)
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
晩餐会は終始和やかに。
赤い服、それも体のラインがもろに出るものだが、
ドレスだってそうなのだ、問題ないと思いたい。
護衛だが、前回同様、テルマの孫、わたしの子供だと、
着席、同様の食事を楽しむことができた。
クジラ肉うんまい!
あとは、センス良く並べられた、コットワッツの商品を
セサミンがセンス良く説明していく。
わたしとマティスもだ。
前回不快な思いさせしまって申し訳ないと、
小さなダイヤのルースを。
お好きなように加工してくださいと6人の女性に配った。
一粒だから、ペンダントか指輪?ブローチ?
「いえ、耳飾りでもよろしいかと。
なにも、両耳に同じ飾りをしなくてもいいと思うのですよ。
なにか、統一性のある意匠なら。
しかし、そうですね。もう一粒あれば、さらに映えますね。
他の石も。
それはどうか、コットワッツでお買い上げを。」
「青のドレスをお持ちではないのですか?
ニバーセル、武の大会後の懇親会でお披露目されたとか。
そのあまりの美しさに、みながこぞって青いドレスを。
それは、セサミナ様の奥方様?」
「いえ、兄のマティスの唯一の伴侶、わたしの姉上ですよ?
わたしの妻たちではとても着こなせませんから。」
「ま!マティス様の?あら?マティス様の伴侶はモウ様でしょ?
あら?前回の緑のドレスも素敵でしたが、
今回の赤の意匠はそれは勇ましくて。
わたしの想像とすこし違いますわ。」
「そうですか?どれも姉上にピッタリな意匠ですよ?姉上!」
「はい、セサミナ様。」
「姉上、今、青のドレスの話を。」
「あはははは!お恥ずかしい話ですね。」
「モウ様?それはどうして?」
「わたしくしの背中が、色とりどりの石で飾られていましてね、
皆が背中を見るんですよ。視線を感じますから、振り返りますよね?
で、皆が驚かれる。わたしくしも、装飾の宣伝をしませんといけない。
説明は難しいので、言葉は悪いのですが、愛想笑いもしなくてはと、
笑いますでしょ?そうするとまた、皆さんが驚かれる。
なんでしょうか?
ここで和やかに笑えるような笑顔ではなかったのでしょう。
ああ、ライガー殿!あの時ライガー殿は大会の優勝者ですから、
当然わたくしの姿を見てますし、驚かれてましたよ。
ライガー殿?あれはどうしてでしょうか?」
ライガーはまた私わたしの姿を見て固まったので、
ここで、つるし上げだ。
「・・・モウ殿は身に付けるもので、印象が変わられます。
緑のドレスも、今のいでたちも、青のドレスの時とはまた違いますから。
同一人物だと思えないので。それでですね。」
なるほど、無難に逃げるな。
「愛しい人?着替えてくれば?私も、もう一度見たい。
荷の中にちゃんと入れているから。」
着た方がいいの?
「姉上、どうそ着替えてきてください。
そうすれば、ここにいる方たちだけでも、
青のドレスがマティスの好みではなく、
マティスの伴侶が青いドレスを着ていたということが
わかるでしょう。」
なるほど。
「モウ、わたしも見たいな。ね?父上。」
「そうだな。モウ、見せておくれ。」
「テルマおじいさまがそうおっしゃるのでしたら。」
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