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朝からごそごそ作業の前に、タロスさんの家跡地に移動。
井戸は埋めてしまったけど、なんとなくの場所はわかる。
そこに2人して立つ。
「わかる?」
「音は聞こえるな。」
「え?相変わらず耳がいいね。ガイライ以上だね。」
「あれも耳だけではなくそれと気配も呼んでいるだろう。
音と水の気配だな。」
「おお!さすがだね。じゃ、くみ上げる伸縮式のポンプを作るよ。」
「ぽんぷ?」
「そそ。それと、ダルクの干したものでクッキーも作ろう。
あとね、ミートパイも。」
ミートパイはさすがマティスです。
竹かごに入れて、師匠の家にもお裾分け。
セサミンがやった手紙のように、師匠の台所のテーブルに移動。
トックスさんにも。トックスさんのには赤い糸入り。
手紙もつけておく。当分、砂漠を旅していると書いておく。
連絡は大事だ。
背負子もブラスを使って改良。
結構大きなものでも怪力夫婦なので問題なし。
服も新しく作る。もちろん砂漠の民の服だ。
その上にトックスさんの上着を着れば今の時期ちょうどいい。
やはり、北よりこちら側の方がまだ暖かいのだ。
遠足の前の日のようにわくわくしながら、
扉君の家で寝ずに、サボテンの森の家で2人くっついて寝た。
しあわせだ。
(セサミン?おはよう。いまいいかな?)
(姉さん!オハヨウ。なにかありましたか?)
(もうお仕事してるんだよね?ちょっとそっちに行っていいかな?)
(もちろん)
「おはよう諸君!ん?皆いないの?」
「ええ、ドーガーは処理場、ルグは湿地に行っています。」
「はー、みんな働きもんだーねー。ちょっと休憩しよう。
2人の分のお菓子は置いとくから。あ、チョコもね。セサミンだけ特別。
溶けないように砂漠石の箱に入れてるから、ここぞというときに2人にあげて?
そして働かすのだ!!」
「ええ、そうしましょう。いつもありがとうございます。」
2人でぐふふふと笑い合う。
「あ!付けてくれてるんだね。うん。いいね。」
「ええ、ありがとうございます。トックスさんにも渡していますので。
うなっていましたよ?」
「あははは。トックスさんは私が作ったもの以上のものを、
すぐ作ってくれるからね。
今度何か作ってもらおう。」
マティスはコーヒーをいれて、
新作のパイ、ミートパイを出してくれる。
朝ごはんなのだ。
「おいしいですね!はんばあぐと同じような?
この肉を細かくするというのはいろいろ使い道があるのですね?」
「スパイルはどうしてるんだろうね?知ってる?」
「肉ではないようです。木の実を細かく砕くというのに使っているようですね。」
「そうなの?じゃ、ザバスさんが聞き違えたの?」
「そのようですね。」
「うわー、さすがザバスさんだね。あの機械、ハンバーガー紹介した後
たぶん売れるよ?先に押さえたほうがいいかもね。」
「そうですね。話しておきましょう。その話ですか?」
「違う、違う。例のお嬢さんたちよ?どうなった?」
「親たちには感謝されましたよ?」
「ああ、まじめにやってるんだ。じゃ、悪いけど、それ解除してくれる?」
「どうして?」
「あとの反動が怖い。次はないぞって脅しをつけてね。」
「反動ですか?」
「そう。強制労働の2回目の話聞いたのよ。ちょっと怖いよ。
人格変えられてるんだよ、石でね。
促すのはいいけど、完全に変えるのは洗脳だよね。怖い。」
「そうですか?んー、すいません、その感覚はちょっとわかりません。」
「そうか。でも、お願いできる?」
「ええ。わかりました。
姉さんたちに迷惑を掛けなければそれでいいのですから。」
「うん。ありがとう。
じゃ、これから、コットワッツの砂漠を横断してくるよ。
で。フレアのほうにいくね。」
「赤い実ですか?」
「そう。あ、ダルクは干したらこんな感じ。
細かくしてクッキーにいらたのがこれ。色がきれいだよね。
で、これが辛い油。かけ過ぎに注意ね。」
砂漠の民として砂漠を移動するのになにか問題は無いかと、一応聞いておく。
「いえ、これと言ってありません。砂漠はどの領国でもないので。
申請するにしても開拓してからの緑地です。
タロスの家あたりはギリギリですね。
なので、砂が少ないところは気を付けてください。
そして、無法地帯です。
それこそ、火をつけられても、殺されたも文句は言えません。
逆に殺してしまったとしたら、砂漠でしたら大丈夫です。」
「いや、大丈夫って?あ、大丈夫なのか。
じゃ、殺しておいて砂漠に死体を捨てたら?」
「大審判に掛けられればわかります。」
「なるほど。とにかく、殺さないように気を付けるよ。そのときは砂漠で。」
「あははは、そうですね。そうしてください。では、水は?
持ち運べますが、限度がありますよ?」
「うふふふ。水脈は探せるのよ。昨日ね、練習したの。
ゴーって音がするでしょ?そこだね。セサミンは気配でわかるんだよね?
マティスは音と気配でわかったよ?あ、わたしはお願いすればわかる。」
「さすが、マティ兄さんですね。
音と気配か。やはり領主の血は引いてますから。」
「そうか、そういうことか。でも、音でわかるということで。」
「わかったとして、姉さんの力で井戸を掘るんですか?」
「うふふふ。そこでこれですよ。ブラスの節を皆取って、
こう重ねる。すると、これぐらい。
で、伸ばすと、これの10倍。水脈の上に突き刺して、この簡易ポンプで吸い上げ。
突きさすのはうん、砂漠の民は怪力なのだ。そういうことなの。」
「ぽんぷ?」
絵で簡単に説明。試作の物をセサミンに渡す。
竹とゴムで作ったくみ上げ水鉄砲のようなもの。
でも、吸い上げるよ。昨日はこれを作るのに時間がかかったのだ。
「これは・・・画期的ですね。ゴムと、ブラス?
これは鉄でも銅でもいい?そうか。」
「それはそっちで改良してね?
ポンプは揺れない馬車と同じでみんなで使ってほしいな。
そうそう、ジュゲム村はね、デイの村から乳と卵を買ってるの。
速馬を使うから割高になるんだって。そこにも冷蔵馬車、
もちろん揺れない仕様のね、
その馬車の需要はあるよ。」
「そうか。なるほど。イリアスに行くときに持っていきましょう。」
「うん、頑張って。で、これで水を取っているということで。」
「しかし、姉さん、無理はしないでくださいね。
砂漠の民といえど、砂漠で生活していたのははるか昔です。
タロスの一族も砂漠の端での生活ですから。」
「うん。いざとなったら、帰るから。」
「ええ、そうしてください。」
「誰か来るな。」
「じゃ、これで帰るね。」
「ああ、例の娘の父親ですよ。解除の話はしておきましょう。」
「ふーん、ちょっと見ててもいい?」
「もちろん。」
「失礼します。
セサミナ様、ステープ様がお越しです。」
「ああ、そうか。通してくれ。」
(ゼムさんとおんなじ商人?)
(そうですね。ゼムは兄さんが取っていた砂漠石の取引もしていましたが、
それがなくなったので、ステープが幅を利かせています。)
(いまは?)
(ああ、砂漠石の販売はしていますよ?提供しているのが蓄えている分です)
「セサミナ様、お時間をいただきありがとうございます。」
「いや、かまわない。それで、話というのは?」
「ええ。その、いつも護衛についていらっしゃる方は?」
「今は別件で外している。もうすぐ戻るが?待とうか?」
「いえいえ、内密の話なので、できれば2人だけでと。」
「ほう。しかし、ここは領主館執務室。
どんな隠密が隠れているかわたしにはわからないぞ?」
(いや、それはないな。)
(もちろんです)
「ええ、なので、石を使ってもよろしいか?」
「お前が使うのなら好きにすればいい。」
ステープとやらは、資産院で見た石、1500級以上のものを出してきた。
「ほう。2000か?よく手に入ったな。
近頃は高騰しているからいまは4000?いや、5000か。
余程儲かっているようだな。年末の納税が楽しみだ。」
「いえいえ、これは頂き物なんですよ。」
「あははは。ま、それは年末にわかることだ。」
セサミンは案内してきた従者にしばらくは2人きりだが心配するなと伝える。
でないと戻ってきたルグとドーガーが大騒ぎするからね。
『石よ、話が終わるまで、この部屋に誰も入れるな。
隠密、護衛には何も聞こえない。何も見えない。
外からも何も聞こえない。何も探れない。』
石はさらさらと砂になり消えていく。
(ほんとにもったいないね)
(そうだな。2人だけといえばいいのに)
(あれだよ、セサミンの誘導だよ。さすがだね)
(なるほど、えらいぞ、セサミナ)
(ありがとうございます!)
兄ちゃんに褒められて喜ぶ弟。
かわいいいねー。
隠密じゃなし、護衛じゃないからわたしたち2人は問題ない。
にーちゃんとねーちゃんだから。
しかし、年末の納税というフレーズにびくっとなってしまったのは内緒だ。
ああ、確定申告。そこから解放されたわたしは最強だ。
「えらく厳重だな。では話を聞こうか?」
「ええ、3つほど。
先に娘の件です。他の娘たちはおとなしくなったと聞いたのですが、
我が娘カリーナはいまだ、暴れる、そして腹痛やら、髪が抜けるやらで。
その、やっと嫁ぎ先が決まりましたので。」
「ほう、それはめでたいな。その状態でよくぞきまったな?」
「ええ。マトグラーサの豪族の方からお声がありましてね。
娘も承諾しました。が、ふとしたことに、鼻水もでたりします。
相手方との面談はまだなのですが、これでは・・・。
法の厳守ということですが、娘は何も悪いことなぞしていません。」
「その娘は法の勉強をしたと聞いたぞ?」
「ええ、できる限りの学問は身に付けています。文字も読めます。
そのうえで法の勉強も。自慢の娘なのです。」
「そうであろうな。帰ったら娘に聞けばいい。法御最初の文言を。
それはな、こうだ。
我が領国のため、父母の為、兄弟の為、
近隣の住民の為、勤勉に励み、礼節を重んじ、
嘘を付かず、迷惑を掛けず、人として尊敬される人生を送ろう。
とな。どれかでも破ればだめだろうな。
家族に迷惑をかけていないか?勤労をしているか?
嘘をつかず、この辺りではないか?」
「そ、それは・・・。ああ、わかりました。」
(いいよ。解除して)
(しかし、ほかの娘と違ってそのままのようですよ?)
(嫁に行くのなら大丈夫でしょ?)
(わかりました)
(それでも次またなんかやらかすのならそのときは問答無用だ)
わたしはやさしくない。
井戸は埋めてしまったけど、なんとなくの場所はわかる。
そこに2人して立つ。
「わかる?」
「音は聞こえるな。」
「え?相変わらず耳がいいね。ガイライ以上だね。」
「あれも耳だけではなくそれと気配も呼んでいるだろう。
音と水の気配だな。」
「おお!さすがだね。じゃ、くみ上げる伸縮式のポンプを作るよ。」
「ぽんぷ?」
「そそ。それと、ダルクの干したものでクッキーも作ろう。
あとね、ミートパイも。」
ミートパイはさすがマティスです。
竹かごに入れて、師匠の家にもお裾分け。
セサミンがやった手紙のように、師匠の台所のテーブルに移動。
トックスさんにも。トックスさんのには赤い糸入り。
手紙もつけておく。当分、砂漠を旅していると書いておく。
連絡は大事だ。
背負子もブラスを使って改良。
結構大きなものでも怪力夫婦なので問題なし。
服も新しく作る。もちろん砂漠の民の服だ。
その上にトックスさんの上着を着れば今の時期ちょうどいい。
やはり、北よりこちら側の方がまだ暖かいのだ。
遠足の前の日のようにわくわくしながら、
扉君の家で寝ずに、サボテンの森の家で2人くっついて寝た。
しあわせだ。
(セサミン?おはよう。いまいいかな?)
(姉さん!オハヨウ。なにかありましたか?)
(もうお仕事してるんだよね?ちょっとそっちに行っていいかな?)
(もちろん)
「おはよう諸君!ん?皆いないの?」
「ええ、ドーガーは処理場、ルグは湿地に行っています。」
「はー、みんな働きもんだーねー。ちょっと休憩しよう。
2人の分のお菓子は置いとくから。あ、チョコもね。セサミンだけ特別。
溶けないように砂漠石の箱に入れてるから、ここぞというときに2人にあげて?
そして働かすのだ!!」
「ええ、そうしましょう。いつもありがとうございます。」
2人でぐふふふと笑い合う。
「あ!付けてくれてるんだね。うん。いいね。」
「ええ、ありがとうございます。トックスさんにも渡していますので。
うなっていましたよ?」
「あははは。トックスさんは私が作ったもの以上のものを、
すぐ作ってくれるからね。
今度何か作ってもらおう。」
マティスはコーヒーをいれて、
新作のパイ、ミートパイを出してくれる。
朝ごはんなのだ。
「おいしいですね!はんばあぐと同じような?
この肉を細かくするというのはいろいろ使い道があるのですね?」
「スパイルはどうしてるんだろうね?知ってる?」
「肉ではないようです。木の実を細かく砕くというのに使っているようですね。」
「そうなの?じゃ、ザバスさんが聞き違えたの?」
「そのようですね。」
「うわー、さすがザバスさんだね。あの機械、ハンバーガー紹介した後
たぶん売れるよ?先に押さえたほうがいいかもね。」
「そうですね。話しておきましょう。その話ですか?」
「違う、違う。例のお嬢さんたちよ?どうなった?」
「親たちには感謝されましたよ?」
「ああ、まじめにやってるんだ。じゃ、悪いけど、それ解除してくれる?」
「どうして?」
「あとの反動が怖い。次はないぞって脅しをつけてね。」
「反動ですか?」
「そう。強制労働の2回目の話聞いたのよ。ちょっと怖いよ。
人格変えられてるんだよ、石でね。
促すのはいいけど、完全に変えるのは洗脳だよね。怖い。」
「そうですか?んー、すいません、その感覚はちょっとわかりません。」
「そうか。でも、お願いできる?」
「ええ。わかりました。
姉さんたちに迷惑を掛けなければそれでいいのですから。」
「うん。ありがとう。
じゃ、これから、コットワッツの砂漠を横断してくるよ。
で。フレアのほうにいくね。」
「赤い実ですか?」
「そう。あ、ダルクは干したらこんな感じ。
細かくしてクッキーにいらたのがこれ。色がきれいだよね。
で、これが辛い油。かけ過ぎに注意ね。」
砂漠の民として砂漠を移動するのになにか問題は無いかと、一応聞いておく。
「いえ、これと言ってありません。砂漠はどの領国でもないので。
申請するにしても開拓してからの緑地です。
タロスの家あたりはギリギリですね。
なので、砂が少ないところは気を付けてください。
そして、無法地帯です。
それこそ、火をつけられても、殺されたも文句は言えません。
逆に殺してしまったとしたら、砂漠でしたら大丈夫です。」
「いや、大丈夫って?あ、大丈夫なのか。
じゃ、殺しておいて砂漠に死体を捨てたら?」
「大審判に掛けられればわかります。」
「なるほど。とにかく、殺さないように気を付けるよ。そのときは砂漠で。」
「あははは、そうですね。そうしてください。では、水は?
持ち運べますが、限度がありますよ?」
「うふふふ。水脈は探せるのよ。昨日ね、練習したの。
ゴーって音がするでしょ?そこだね。セサミンは気配でわかるんだよね?
マティスは音と気配でわかったよ?あ、わたしはお願いすればわかる。」
「さすが、マティ兄さんですね。
音と気配か。やはり領主の血は引いてますから。」
「そうか、そういうことか。でも、音でわかるということで。」
「わかったとして、姉さんの力で井戸を掘るんですか?」
「うふふふ。そこでこれですよ。ブラスの節を皆取って、
こう重ねる。すると、これぐらい。
で、伸ばすと、これの10倍。水脈の上に突き刺して、この簡易ポンプで吸い上げ。
突きさすのはうん、砂漠の民は怪力なのだ。そういうことなの。」
「ぽんぷ?」
絵で簡単に説明。試作の物をセサミンに渡す。
竹とゴムで作ったくみ上げ水鉄砲のようなもの。
でも、吸い上げるよ。昨日はこれを作るのに時間がかかったのだ。
「これは・・・画期的ですね。ゴムと、ブラス?
これは鉄でも銅でもいい?そうか。」
「それはそっちで改良してね?
ポンプは揺れない馬車と同じでみんなで使ってほしいな。
そうそう、ジュゲム村はね、デイの村から乳と卵を買ってるの。
速馬を使うから割高になるんだって。そこにも冷蔵馬車、
もちろん揺れない仕様のね、
その馬車の需要はあるよ。」
「そうか。なるほど。イリアスに行くときに持っていきましょう。」
「うん、頑張って。で、これで水を取っているということで。」
「しかし、姉さん、無理はしないでくださいね。
砂漠の民といえど、砂漠で生活していたのははるか昔です。
タロスの一族も砂漠の端での生活ですから。」
「うん。いざとなったら、帰るから。」
「ええ、そうしてください。」
「誰か来るな。」
「じゃ、これで帰るね。」
「ああ、例の娘の父親ですよ。解除の話はしておきましょう。」
「ふーん、ちょっと見ててもいい?」
「もちろん。」
「失礼します。
セサミナ様、ステープ様がお越しです。」
「ああ、そうか。通してくれ。」
(ゼムさんとおんなじ商人?)
(そうですね。ゼムは兄さんが取っていた砂漠石の取引もしていましたが、
それがなくなったので、ステープが幅を利かせています。)
(いまは?)
(ああ、砂漠石の販売はしていますよ?提供しているのが蓄えている分です)
「セサミナ様、お時間をいただきありがとうございます。」
「いや、かまわない。それで、話というのは?」
「ええ。その、いつも護衛についていらっしゃる方は?」
「今は別件で外している。もうすぐ戻るが?待とうか?」
「いえいえ、内密の話なので、できれば2人だけでと。」
「ほう。しかし、ここは領主館執務室。
どんな隠密が隠れているかわたしにはわからないぞ?」
(いや、それはないな。)
(もちろんです)
「ええ、なので、石を使ってもよろしいか?」
「お前が使うのなら好きにすればいい。」
ステープとやらは、資産院で見た石、1500級以上のものを出してきた。
「ほう。2000か?よく手に入ったな。
近頃は高騰しているからいまは4000?いや、5000か。
余程儲かっているようだな。年末の納税が楽しみだ。」
「いえいえ、これは頂き物なんですよ。」
「あははは。ま、それは年末にわかることだ。」
セサミンは案内してきた従者にしばらくは2人きりだが心配するなと伝える。
でないと戻ってきたルグとドーガーが大騒ぎするからね。
『石よ、話が終わるまで、この部屋に誰も入れるな。
隠密、護衛には何も聞こえない。何も見えない。
外からも何も聞こえない。何も探れない。』
石はさらさらと砂になり消えていく。
(ほんとにもったいないね)
(そうだな。2人だけといえばいいのに)
(あれだよ、セサミンの誘導だよ。さすがだね)
(なるほど、えらいぞ、セサミナ)
(ありがとうございます!)
兄ちゃんに褒められて喜ぶ弟。
かわいいいねー。
隠密じゃなし、護衛じゃないからわたしたち2人は問題ない。
にーちゃんとねーちゃんだから。
しかし、年末の納税というフレーズにびくっとなってしまったのは内緒だ。
ああ、確定申告。そこから解放されたわたしは最強だ。
「えらく厳重だな。では話を聞こうか?」
「ええ、3つほど。
先に娘の件です。他の娘たちはおとなしくなったと聞いたのですが、
我が娘カリーナはいまだ、暴れる、そして腹痛やら、髪が抜けるやらで。
その、やっと嫁ぎ先が決まりましたので。」
「ほう、それはめでたいな。その状態でよくぞきまったな?」
「ええ。マトグラーサの豪族の方からお声がありましてね。
娘も承諾しました。が、ふとしたことに、鼻水もでたりします。
相手方との面談はまだなのですが、これでは・・・。
法の厳守ということですが、娘は何も悪いことなぞしていません。」
「その娘は法の勉強をしたと聞いたぞ?」
「ええ、できる限りの学問は身に付けています。文字も読めます。
そのうえで法の勉強も。自慢の娘なのです。」
「そうであろうな。帰ったら娘に聞けばいい。法御最初の文言を。
それはな、こうだ。
我が領国のため、父母の為、兄弟の為、
近隣の住民の為、勤勉に励み、礼節を重んじ、
嘘を付かず、迷惑を掛けず、人として尊敬される人生を送ろう。
とな。どれかでも破ればだめだろうな。
家族に迷惑をかけていないか?勤労をしているか?
嘘をつかず、この辺りではないか?」
「そ、それは・・・。ああ、わかりました。」
(いいよ。解除して)
(しかし、ほかの娘と違ってそのままのようですよ?)
(嫁に行くのなら大丈夫でしょ?)
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