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325:洗濯中
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「・・・マティス?なんだろ?気持ち悪い。」
「ワイプだ。気配が探れない。私では呼び寄せられない。
呼んで!早く!」
『ワイプ!ここに!』
ズタボロとなった塊が、部屋に現れる。
しくじったのか?
彼女が息を呑み、冷静に言葉を紡ぐ。
『我が師、ワイプの傷はすべてなくなる。
痛みもない。骨も、身も、内臓、神経、すべてだ!
服も元に戻れ。
二度と師に傷を付けることまかりならん!!師を守もれ!!』
『カンランたち、先ほどの師の姿をとり、悪いが身代わりに。
おいししく食べることが出来なくてごめん。』
泉の水をワイプに飲ませる。
彼女から出る圧が重い。
「ああ、モウ、マティス君。」
「・・・師匠?大会の時に渡した下着は?」
「ああ、洗濯中です。出るときまだか乾いてなかったので。
最近寒いでしょ?」
「替えは数枚作っておきます。乾いてなければ、水分を飛ばすなり、
汚れを飛ばすなりして!!」
「あ!なるほど。」
「ここの宿、ちゃんお風呂、湯舟が有りました。
お湯、張りますから入ってきてください。
新しい下着も用意しておきます。
それから朝ごはんです。」
「そうです、朝ごはん!では行ってきますよ。」
彼女は湯舟に湯を張り、砂漠石で下着を作り、
風呂場に飛ばした。
「聞かないのか?」
「ん?内緒っていって出かけたからね。聞かないよ。
・・・聞いていいなら聞きたいけど。
でも、マティスは聞いておいて?それでわたしは安心するから。」
「ああ、そうだな。あとで聞いておこう。」
「それにしても、下着を付けとけば、あそこまでやられなかったのに。
乾いてなかったからって!そんな理由で!
多少湿ってても体温で乾くわ!!」
握りしめていた砂漠石が砕けていた。
「いやー、さっぱりしました。
すべて治してくれたんですね?最近で一番健康ですよ?」
「身代わりに姿かたちを似せて、カンランを飛ばしましたけど不要でしたか?」
「身代わり?ああ、さすがですね。それでいい。
ああ、モウ、マティス君。ありがとう。」
「あとで、マティスには説明してくださいね。」
「ええ。」
「さ、食べましょう。このカンランの残りが身代わりですからね。」
「ああ、そういわれると、なんだか変な気分ですが、いい香りだ。
ああ、うまいですね。からだも温まります。ほんとうにうまい。」
「よかった。マティスも食べよ?わたしはやっぱり、チーズ乗せようかな?」
宿をでて、スーにワイプ、ホーに愛しい人、
私はホーを引き国境に向かう。
スーとホーも異常に気付いたのだろう、ワイプの顔を見てから、
鼻息荒く憤慨していた。
愛しい人と顔を寄せ合ってなにかを話している。
内容は恐ろしいものだと思う。こちらまで寒気がした。
カンランは大量に買った。もちろん、ワイプが。
人の気配が無くなれば、メジャートとナソニール、コットワッツの
3領国国境に移動した。
ここは筏で来たところなので問題ない。
スーとホーは彼女に移動してもらっていた。
ナソニール側は何もない。
突然に背丈の倍以上の柵ができているが、
誰も気づいていないのかも知れない。
鉱物、金銀銅、鉄。これが主な産業だ。
こんな辺鄙な土地を管理するということは、資産がないと同じ。
ルコールはそういう立場だ。
「問題ないですね。しかし、これ、こんなに高くする必要ありますか?」
「んー、子供がよじ登って落ちたら危ないし、へたに柵ができると
ゴミを捨てる人間てやっぱりいるんですよね。
なにもなしにするか、高くするか、どちらかなんですよ。
だから、この場合高くして、ところどころに砂漠石で補強もしています。
もちろん言霊は掛けてます。
とりあえず、悪意があれば、これを超えることはできないです。」
「なるほど。」
「メジャートの領主さんはタダで柵ができたって喜んでましたね。
セサミンは翌年の暖炉の薪を調達できただけでも買ってよかったって。
たぶん、次の会合で発表すると思います。」
「その樹石の調達をこことメジャートのものたちがやってると?」
「ええ、彼らは子供の時から湿地で遊んでいたそうで。
樹石の特性はある程度、いえ、セサミンよりは知っていましたから。」
「その特性をしれば、メジャートとナソニールは損をしたと思うでしょうね。」
「どうでしょうか?今後の砂漠石の値上がり次第でしょうか?」
「値上がりね。もちろん値上がりするでしょうね。」
「それで、ここは何が名産で、何がおいしいんですか?」
「これといってありませんが、剣、槍、武器関連がありますね。
軍の剣はここが納めています。槍もね。」
「へー、武器屋さん?」
「そうなりますね。あなたはなんでも作ってしまいますが、
参考にはなるでしょう。見て回りますか?」
「見に行こう!」
普段使いの剣と槍が欲しい。
「おや、めずらしい。しかし、良いものを見るのは勉強になりますからね。
仕事を済ませてから見に行きましょう。」
「領主館まで移動するのですか?」
「いえ、この近くに来てますよ、領主スホームは。」
「誰か来る。」
「あなた方は黙っていなさい。気は落として。」
「はい。」
「わかった。」
「止まれ!何者だ!名を名乗れ!」
「ええ、もちろん。馬上で失礼しますが、
王都資産院ワイプと申します。後ろの2人はわたしの弟子です。
そちらは?」
「王都、資産院!失礼しました。
私はここナソニールの事務官をしておりますツイミと申します。
ご無礼を。」
「いえいえ、とんでもない。」
「失礼ですが、どのようなご用向きでこちらに?」
「事務官でしたらご存じでしょう?
境界線移動に伴う税の確定通知を持ってきたんですよ。」
「わざわざ?元副院長のワイプ殿が?」
「元だからですよ。こういう雑用は一番下っ端の役目。
しかし、通知を送るだけではね?ま、そういうことですよ。」
「・・・。ではこれから領主館へ?」
「ええ。スホーム殿はいらっしゃいますか?」
「いま、ちょど、近くのタファイルに滞在しております。」
「そうですか。それは行き違いにならなくてよかった。
先に境界石の確認をしてから伺うつもりだたんですが、
この土地の管理者の住まう街ですね?タファイルは?」
「そうです。いま、こちらに向かっております。」
「では、ここで通知を渡して、あとはゆっくりできますね。幸先がいい。」
「・・・ワイプ殿、できれば管理者の館と、領主館においでねがいませんか?
その、自主的に。」
「はぁ、自主的に?」
「そうです。」
「ははは!ツイミ殿の噂はかねがね。なるほどね。」
「恐れ入ります。」
(師匠?この人がナソニールを動かしているということ?)
(そうですね)
(よかった。銃ぶっぱなして、失禁した人でしょ?スホームさんって。
よくあんなので領主やれてるなって思ったんだよ)
(ああ、あの時の愛しい人は美しかった。
いや、凛々しいという言葉がぴったりだ)
(はははは。そう?)
(ああ、思い出すだけで体が熱くなる)
((はいはい))
(ワイプ、向こうから5人。隠密が2人だ)
(わかりました)
(愛しい人、気配探りが来る。流せ。)
(はい!)
御大層な一団だ。豪華な馬車の中に4人。御者が一人。
護衛が1人、領主と女が2人か?
隠密は私と愛しい人に気配を飛ばし、
たいしたことがないと踏んだのか、ワイプと領主のそばにいる。
(ワイプ。隠密の対象が領主だ)
(ツイミの手の内かここの管理者かどちらかですね)
「ツイミ!どうだ?撤去できるか?」
「スホーム様、王都、資産院ワイプ様です。」
「!」
「スホーム殿。初めまして。資産院ワイプと申します。
境界線移動に伴う税の確定通知を持ってきたのですが、
行き違いにならなくてよかった。
今日はこの地の管理者弟殿のタファイルにご滞在ですか?」
「通知?それだけなら書簡で済むのにか?」
「ええ。今回は3領国が絡みますので、あたらしく院長になったオート、
オート院長の方針ですよ。まずは見て確認してこいと。
まー、人使いの粗いこと。
でも、良かった、今日はもうお戻りならないんでしょ?
通知は領主館で渡すことが原則ですので、
お戻りの時に同行してよろしいか?
ああできれば、今日はタファルの館に泊めていただけますか?
なにせ、一番下っ端は予算が出ませんので。」
「・・・・。」
「ああ、それと境界石の向こうのものを他領国のものが破壊しますと、
罰金が発生します。その言動も同じです。報告は義務ですので。」
「・・・。勘違いなさいますな。
少し触れただけで壊れそうなものでは逆に危ないので、その確認ですよ。」
「なるほど、それは失礼しました。ではその視察なのですね。
やはり上に立つもの、自ら行動されると。
オート院長にも見習ってほしいものですね。
では、ご一緒に見て回りましょうか?」
「・・・いや。もう視察は終わりました。いまから戻るところですよ。
タファルの館に案内しましょう。」
(ワイプ?お前はいつもそうやって集っているのか?)
(まさか!わたし、副院長をやってたんですよ?資産はあるんですから。
気に入った宿で気に入った食事をするのになんら不自由はしませんよ)
(ツイミさんがいうから?)
(そうですよ。筆頭と呼ばれる方は武官が多いですが、
このツイミは頭の切れる御仁です。
実質、ナソニールの運営者と言っていいでしょう)
(コットワッツはみんなセサミンがやってるのにね)
(だから賢領主と呼ばれているのですよ。ああ、ルグもなかなかなものですよ。)
(へー、でも、負担は多いよね。一杯労わないとね。)
(領主というのは領主だからこそ領主なのですよ)
(んー?領主の仕事をしていないものは領主ではない?ってこと?)
(そうなりますね。その典型が浄化の力です。
それが衰える、もしくは使えないというのは
本来大問題なんですよ)
(うそ!セサミンが浄化の力を使った時顔面蒼白になったよ?)
(え?今回の湿地に使った時の話?それは・・・)
(違う。この湿地全部に浄化を掛けたんだ。愛しい人が見てるからってな)
(ああ、それは逆に空恐ろしいですね。すべての湿地に浄化を掛けて
蒼白で済んでるんですか?後で寝込むこともなく?)
(あの例の水は飲んでもらったよ?)
(ああ。それはいい。あれ、いいですよね。)
(だめですよ?緊急時だけです。疲れたときはおいしいもの食べてください)
(そうですね。ええ、おいしいもの。
早く食べたいですね。明日のあさごはんも楽しみです)
(今日はおやつがありますよ?後で食べましょうね)
(はー、素晴らしい!おいしくいただくためには、
はやく仕事を済ませないといけませんね)
(師匠?無理はしないでくださいね)
(ええ。)
「ワイプだ。気配が探れない。私では呼び寄せられない。
呼んで!早く!」
『ワイプ!ここに!』
ズタボロとなった塊が、部屋に現れる。
しくじったのか?
彼女が息を呑み、冷静に言葉を紡ぐ。
『我が師、ワイプの傷はすべてなくなる。
痛みもない。骨も、身も、内臓、神経、すべてだ!
服も元に戻れ。
二度と師に傷を付けることまかりならん!!師を守もれ!!』
『カンランたち、先ほどの師の姿をとり、悪いが身代わりに。
おいししく食べることが出来なくてごめん。』
泉の水をワイプに飲ませる。
彼女から出る圧が重い。
「ああ、モウ、マティス君。」
「・・・師匠?大会の時に渡した下着は?」
「ああ、洗濯中です。出るときまだか乾いてなかったので。
最近寒いでしょ?」
「替えは数枚作っておきます。乾いてなければ、水分を飛ばすなり、
汚れを飛ばすなりして!!」
「あ!なるほど。」
「ここの宿、ちゃんお風呂、湯舟が有りました。
お湯、張りますから入ってきてください。
新しい下着も用意しておきます。
それから朝ごはんです。」
「そうです、朝ごはん!では行ってきますよ。」
彼女は湯舟に湯を張り、砂漠石で下着を作り、
風呂場に飛ばした。
「聞かないのか?」
「ん?内緒っていって出かけたからね。聞かないよ。
・・・聞いていいなら聞きたいけど。
でも、マティスは聞いておいて?それでわたしは安心するから。」
「ああ、そうだな。あとで聞いておこう。」
「それにしても、下着を付けとけば、あそこまでやられなかったのに。
乾いてなかったからって!そんな理由で!
多少湿ってても体温で乾くわ!!」
握りしめていた砂漠石が砕けていた。
「いやー、さっぱりしました。
すべて治してくれたんですね?最近で一番健康ですよ?」
「身代わりに姿かたちを似せて、カンランを飛ばしましたけど不要でしたか?」
「身代わり?ああ、さすがですね。それでいい。
ああ、モウ、マティス君。ありがとう。」
「あとで、マティスには説明してくださいね。」
「ええ。」
「さ、食べましょう。このカンランの残りが身代わりですからね。」
「ああ、そういわれると、なんだか変な気分ですが、いい香りだ。
ああ、うまいですね。からだも温まります。ほんとうにうまい。」
「よかった。マティスも食べよ?わたしはやっぱり、チーズ乗せようかな?」
宿をでて、スーにワイプ、ホーに愛しい人、
私はホーを引き国境に向かう。
スーとホーも異常に気付いたのだろう、ワイプの顔を見てから、
鼻息荒く憤慨していた。
愛しい人と顔を寄せ合ってなにかを話している。
内容は恐ろしいものだと思う。こちらまで寒気がした。
カンランは大量に買った。もちろん、ワイプが。
人の気配が無くなれば、メジャートとナソニール、コットワッツの
3領国国境に移動した。
ここは筏で来たところなので問題ない。
スーとホーは彼女に移動してもらっていた。
ナソニール側は何もない。
突然に背丈の倍以上の柵ができているが、
誰も気づいていないのかも知れない。
鉱物、金銀銅、鉄。これが主な産業だ。
こんな辺鄙な土地を管理するということは、資産がないと同じ。
ルコールはそういう立場だ。
「問題ないですね。しかし、これ、こんなに高くする必要ありますか?」
「んー、子供がよじ登って落ちたら危ないし、へたに柵ができると
ゴミを捨てる人間てやっぱりいるんですよね。
なにもなしにするか、高くするか、どちらかなんですよ。
だから、この場合高くして、ところどころに砂漠石で補強もしています。
もちろん言霊は掛けてます。
とりあえず、悪意があれば、これを超えることはできないです。」
「なるほど。」
「メジャートの領主さんはタダで柵ができたって喜んでましたね。
セサミンは翌年の暖炉の薪を調達できただけでも買ってよかったって。
たぶん、次の会合で発表すると思います。」
「その樹石の調達をこことメジャートのものたちがやってると?」
「ええ、彼らは子供の時から湿地で遊んでいたそうで。
樹石の特性はある程度、いえ、セサミンよりは知っていましたから。」
「その特性をしれば、メジャートとナソニールは損をしたと思うでしょうね。」
「どうでしょうか?今後の砂漠石の値上がり次第でしょうか?」
「値上がりね。もちろん値上がりするでしょうね。」
「それで、ここは何が名産で、何がおいしいんですか?」
「これといってありませんが、剣、槍、武器関連がありますね。
軍の剣はここが納めています。槍もね。」
「へー、武器屋さん?」
「そうなりますね。あなたはなんでも作ってしまいますが、
参考にはなるでしょう。見て回りますか?」
「見に行こう!」
普段使いの剣と槍が欲しい。
「おや、めずらしい。しかし、良いものを見るのは勉強になりますからね。
仕事を済ませてから見に行きましょう。」
「領主館まで移動するのですか?」
「いえ、この近くに来てますよ、領主スホームは。」
「誰か来る。」
「あなた方は黙っていなさい。気は落として。」
「はい。」
「わかった。」
「止まれ!何者だ!名を名乗れ!」
「ええ、もちろん。馬上で失礼しますが、
王都資産院ワイプと申します。後ろの2人はわたしの弟子です。
そちらは?」
「王都、資産院!失礼しました。
私はここナソニールの事務官をしておりますツイミと申します。
ご無礼を。」
「いえいえ、とんでもない。」
「失礼ですが、どのようなご用向きでこちらに?」
「事務官でしたらご存じでしょう?
境界線移動に伴う税の確定通知を持ってきたんですよ。」
「わざわざ?元副院長のワイプ殿が?」
「元だからですよ。こういう雑用は一番下っ端の役目。
しかし、通知を送るだけではね?ま、そういうことですよ。」
「・・・。ではこれから領主館へ?」
「ええ。スホーム殿はいらっしゃいますか?」
「いま、ちょど、近くのタファイルに滞在しております。」
「そうですか。それは行き違いにならなくてよかった。
先に境界石の確認をしてから伺うつもりだたんですが、
この土地の管理者の住まう街ですね?タファイルは?」
「そうです。いま、こちらに向かっております。」
「では、ここで通知を渡して、あとはゆっくりできますね。幸先がいい。」
「・・・ワイプ殿、できれば管理者の館と、領主館においでねがいませんか?
その、自主的に。」
「はぁ、自主的に?」
「そうです。」
「ははは!ツイミ殿の噂はかねがね。なるほどね。」
「恐れ入ります。」
(師匠?この人がナソニールを動かしているということ?)
(そうですね)
(よかった。銃ぶっぱなして、失禁した人でしょ?スホームさんって。
よくあんなので領主やれてるなって思ったんだよ)
(ああ、あの時の愛しい人は美しかった。
いや、凛々しいという言葉がぴったりだ)
(はははは。そう?)
(ああ、思い出すだけで体が熱くなる)
((はいはい))
(ワイプ、向こうから5人。隠密が2人だ)
(わかりました)
(愛しい人、気配探りが来る。流せ。)
(はい!)
御大層な一団だ。豪華な馬車の中に4人。御者が一人。
護衛が1人、領主と女が2人か?
隠密は私と愛しい人に気配を飛ばし、
たいしたことがないと踏んだのか、ワイプと領主のそばにいる。
(ワイプ。隠密の対象が領主だ)
(ツイミの手の内かここの管理者かどちらかですね)
「ツイミ!どうだ?撤去できるか?」
「スホーム様、王都、資産院ワイプ様です。」
「!」
「スホーム殿。初めまして。資産院ワイプと申します。
境界線移動に伴う税の確定通知を持ってきたのですが、
行き違いにならなくてよかった。
今日はこの地の管理者弟殿のタファイルにご滞在ですか?」
「通知?それだけなら書簡で済むのにか?」
「ええ。今回は3領国が絡みますので、あたらしく院長になったオート、
オート院長の方針ですよ。まずは見て確認してこいと。
まー、人使いの粗いこと。
でも、良かった、今日はもうお戻りならないんでしょ?
通知は領主館で渡すことが原則ですので、
お戻りの時に同行してよろしいか?
ああできれば、今日はタファルの館に泊めていただけますか?
なにせ、一番下っ端は予算が出ませんので。」
「・・・・。」
「ああ、それと境界石の向こうのものを他領国のものが破壊しますと、
罰金が発生します。その言動も同じです。報告は義務ですので。」
「・・・。勘違いなさいますな。
少し触れただけで壊れそうなものでは逆に危ないので、その確認ですよ。」
「なるほど、それは失礼しました。ではその視察なのですね。
やはり上に立つもの、自ら行動されると。
オート院長にも見習ってほしいものですね。
では、ご一緒に見て回りましょうか?」
「・・・いや。もう視察は終わりました。いまから戻るところですよ。
タファルの館に案内しましょう。」
(ワイプ?お前はいつもそうやって集っているのか?)
(まさか!わたし、副院長をやってたんですよ?資産はあるんですから。
気に入った宿で気に入った食事をするのになんら不自由はしませんよ)
(ツイミさんがいうから?)
(そうですよ。筆頭と呼ばれる方は武官が多いですが、
このツイミは頭の切れる御仁です。
実質、ナソニールの運営者と言っていいでしょう)
(コットワッツはみんなセサミンがやってるのにね)
(だから賢領主と呼ばれているのですよ。ああ、ルグもなかなかなものですよ。)
(へー、でも、負担は多いよね。一杯労わないとね。)
(領主というのは領主だからこそ領主なのですよ)
(んー?領主の仕事をしていないものは領主ではない?ってこと?)
(そうなりますね。その典型が浄化の力です。
それが衰える、もしくは使えないというのは
本来大問題なんですよ)
(うそ!セサミンが浄化の力を使った時顔面蒼白になったよ?)
(え?今回の湿地に使った時の話?それは・・・)
(違う。この湿地全部に浄化を掛けたんだ。愛しい人が見てるからってな)
(ああ、それは逆に空恐ろしいですね。すべての湿地に浄化を掛けて
蒼白で済んでるんですか?後で寝込むこともなく?)
(あの例の水は飲んでもらったよ?)
(ああ。それはいい。あれ、いいですよね。)
(だめですよ?緊急時だけです。疲れたときはおいしいもの食べてください)
(そうですね。ええ、おいしいもの。
早く食べたいですね。明日のあさごはんも楽しみです)
(今日はおやつがありますよ?後で食べましょうね)
(はー、素晴らしい!おいしくいただくためには、
はやく仕事を済ませないといけませんね)
(師匠?無理はしないでくださいね)
(ええ。)
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