184 / 869
184:金剛石
しおりを挟む
謁見の館をでると、なんというか、
会社主催の忘年会の後に、2次会を行くか行かないかで
だべっている状態になっていた。
権力のある領国主催の宴会にみな呼ばれたいのだろう
そわそわしているのだ。
我がコットワッツは中堅どころのお堅い国なので
こういうのに参加しないし、呼ばれもしない。
当然主催もしない。
なるほど、やっぱり若いな、と思ってしまった。
で、一番権力というか大きな領土で資産もあるのが、
今回20人の大所帯を引き連れてやってきたマトグラーサ領国。
ここも砂漠に面していて砂漠石が産業の一つ。
メインは岩塩、鉱石だそうだ。金剛石もとれる。
「金剛石!ダイヤモンド!!」
「え?食いつきがいいですね?」
「そりゃあね。毛皮、宝石、ここら辺はやっぱり興味があるよ?」
「そうなんですか?コットワッツもでますよ?
砂漠近辺はだいたい産業は似ていますが、産出量が違います。
マトグラーサは金銀銅鉄が豊富です。
コットワッツはやはり砂漠石が多い、いや、多かったですね。
金銀銅鉄は微小で、金剛石、翠玉、青玉、紅玉はそれなりに出ますよ?
金剛石は研磨剤ですね。あまり資産価値はないんですが。」
「なんですと!!!お間抜けが目の前に!!お間抜けの宝石箱やーーーー!!」
「え?ちょっと!ね、赤い塊殿!声が大きい!」
はぁー。落ち付け、落ち着くんだ。
『セサミナ様、後でお話があります。よろしいですね?
あと、我が夫、あなたにもです。いいですね?』
「「はい!」」
馬鹿だ、馬鹿兄弟だ。それが、わたしの旦那と弟。
いや、一番の馬鹿で大間抜けはわたしだ。さきに聞いておけばよかった。
もう、タオルとかゴムとか、それもいいけど!!いいけども!!
ダイヤモンドにエメラルド、サファイヤにルビー!!
宝飾産業で食っていける!
そう考えながらどんどん歩いていく。
マティスはわたし一人がぷりぷりしているが、
心配するようなことではないとわかっているうえに、
我が夫と呼ばれていることにご満悦だ。
そして、先を行く私の後ろで、
宝石箱やー!で大喜利をやっている。
なんだよ、ハニーは愛しさの宝石箱やー!って!
なんて、なんて馬鹿なんだ!!
なるほど、いらいらしたところに後ろで馬鹿をやられるとむかつく!
「お待ちください!コットワッツの方々!!」
みなが振り返り対応しているのだろう、その間に先に行くわたしを
マティスを抱きしめる。ということは害のない人だ。
「愛しい人。どうした?かわいらしく怒っているようだが?」
「自分の間抜け具合に怒ってます。」
「?」
「ここの世界とわたしのしってる世界の価値観があまりにも違ったから。
でも、わたしの知ってることって受け入れられるでしょ?」
「そうだな。みな、その価値に気付かない、その組み合わせが思いつかない。」
「そうなんだよね。だからさっき、石が取れるって聞いてね。
何で先に聞かなかったんだろう、って。」
「石と言っても、砂漠石や海峡石ではないぞ?ただ色のついた石だ。」
「うん、マティスも最初言ってたよね、
色がついたからって砂漠石にの価値が上がるわけじゃないって。」
「でもさ、色のついた透明の石ってものすごく価値があるの。元居たところでは。
金剛石を全部、工業ダイヤモンドの扱いなんて!。もっと早く気づけばよかった。
それがお間抜けすぎる。あれはセサミンに対してじゃない。わたしのことだよ。」
「ちがうぞ?ハニーは愛しさの宝石箱だ。」
「あははは!もう!わかったから!」
「ああ、愛しい人。恥じらう姿も怒る姿もかわいいが、笑っている姿が一番愛らしい。」
「うふふふ。ありがとう。」
「おまたせしました。」
話が終わったようで、セサミンたちが追い付いてきた。
「ごめんね、セサミン。護衛なのに近くにいなくて。
マティスもこっちに来たから害のない人だと思うけど、大丈夫だった?」
そうだ、ここでは護衛なんだから離れちゃだめだ。
「だいじょうぶですよ、姉さん。資産院の方です。
館の取り壊しの件で、いつになるのだと聞いてきたので、王都を出るときにと。
長くても3日もいませんので、そう答えておきました。」
「あ!妖精が燃やすって言ってた。女の人を塞いじゃえとか言ってたのに驚いて忘れてた。
そのとき館を燃やすのかなって、思ったんだ。」
「え?妖精の話が分かるのですか?」
「うん、一応。」
「嫌な話し方だぞ?同じ言葉を2回言う。1体なのに複数で会話しているようだ。」
「なんですか?それ?え?で燃やすと?」
「そう、酒を持たずに手ぶらで来たから、いらないから燃やせって。
館だったらどこに誰がいるか把握してるんだーって感心したんだ。」
「え?そんな暢気な!」
「いや、収納したし、いいかなと。」
「あ!そうでしたね。はぁぁぁー。せっかく手を掛けたのに、燃やされたかと思いました。」
「お前は、タロスの家に火をかけたんだぞ?」
「・・・・兄さん、ごめんなさい。」
「いいんだ、今となっては。愛しい人と結ばれるきっかけなんだから。」
「ひどいにーちゃんだね。いまさらなことを言うなんて。
ほれ、おいで?」
上着の前を外して、両手を拡げ、セサミンを迎える。
「姉さん!姉さん!」
「セサミナ!二度と許さんといっただろうが!」
「これは姉さんが迎え入れてくれたのです!!」
また2人でじゃれ始めたので、ルグとドーガーと3人で先に帰ることにした。
うん、やっぱり燃やされていました。
会社主催の忘年会の後に、2次会を行くか行かないかで
だべっている状態になっていた。
権力のある領国主催の宴会にみな呼ばれたいのだろう
そわそわしているのだ。
我がコットワッツは中堅どころのお堅い国なので
こういうのに参加しないし、呼ばれもしない。
当然主催もしない。
なるほど、やっぱり若いな、と思ってしまった。
で、一番権力というか大きな領土で資産もあるのが、
今回20人の大所帯を引き連れてやってきたマトグラーサ領国。
ここも砂漠に面していて砂漠石が産業の一つ。
メインは岩塩、鉱石だそうだ。金剛石もとれる。
「金剛石!ダイヤモンド!!」
「え?食いつきがいいですね?」
「そりゃあね。毛皮、宝石、ここら辺はやっぱり興味があるよ?」
「そうなんですか?コットワッツもでますよ?
砂漠近辺はだいたい産業は似ていますが、産出量が違います。
マトグラーサは金銀銅鉄が豊富です。
コットワッツはやはり砂漠石が多い、いや、多かったですね。
金銀銅鉄は微小で、金剛石、翠玉、青玉、紅玉はそれなりに出ますよ?
金剛石は研磨剤ですね。あまり資産価値はないんですが。」
「なんですと!!!お間抜けが目の前に!!お間抜けの宝石箱やーーーー!!」
「え?ちょっと!ね、赤い塊殿!声が大きい!」
はぁー。落ち付け、落ち着くんだ。
『セサミナ様、後でお話があります。よろしいですね?
あと、我が夫、あなたにもです。いいですね?』
「「はい!」」
馬鹿だ、馬鹿兄弟だ。それが、わたしの旦那と弟。
いや、一番の馬鹿で大間抜けはわたしだ。さきに聞いておけばよかった。
もう、タオルとかゴムとか、それもいいけど!!いいけども!!
ダイヤモンドにエメラルド、サファイヤにルビー!!
宝飾産業で食っていける!
そう考えながらどんどん歩いていく。
マティスはわたし一人がぷりぷりしているが、
心配するようなことではないとわかっているうえに、
我が夫と呼ばれていることにご満悦だ。
そして、先を行く私の後ろで、
宝石箱やー!で大喜利をやっている。
なんだよ、ハニーは愛しさの宝石箱やー!って!
なんて、なんて馬鹿なんだ!!
なるほど、いらいらしたところに後ろで馬鹿をやられるとむかつく!
「お待ちください!コットワッツの方々!!」
みなが振り返り対応しているのだろう、その間に先に行くわたしを
マティスを抱きしめる。ということは害のない人だ。
「愛しい人。どうした?かわいらしく怒っているようだが?」
「自分の間抜け具合に怒ってます。」
「?」
「ここの世界とわたしのしってる世界の価値観があまりにも違ったから。
でも、わたしの知ってることって受け入れられるでしょ?」
「そうだな。みな、その価値に気付かない、その組み合わせが思いつかない。」
「そうなんだよね。だからさっき、石が取れるって聞いてね。
何で先に聞かなかったんだろう、って。」
「石と言っても、砂漠石や海峡石ではないぞ?ただ色のついた石だ。」
「うん、マティスも最初言ってたよね、
色がついたからって砂漠石にの価値が上がるわけじゃないって。」
「でもさ、色のついた透明の石ってものすごく価値があるの。元居たところでは。
金剛石を全部、工業ダイヤモンドの扱いなんて!。もっと早く気づけばよかった。
それがお間抜けすぎる。あれはセサミンに対してじゃない。わたしのことだよ。」
「ちがうぞ?ハニーは愛しさの宝石箱だ。」
「あははは!もう!わかったから!」
「ああ、愛しい人。恥じらう姿も怒る姿もかわいいが、笑っている姿が一番愛らしい。」
「うふふふ。ありがとう。」
「おまたせしました。」
話が終わったようで、セサミンたちが追い付いてきた。
「ごめんね、セサミン。護衛なのに近くにいなくて。
マティスもこっちに来たから害のない人だと思うけど、大丈夫だった?」
そうだ、ここでは護衛なんだから離れちゃだめだ。
「だいじょうぶですよ、姉さん。資産院の方です。
館の取り壊しの件で、いつになるのだと聞いてきたので、王都を出るときにと。
長くても3日もいませんので、そう答えておきました。」
「あ!妖精が燃やすって言ってた。女の人を塞いじゃえとか言ってたのに驚いて忘れてた。
そのとき館を燃やすのかなって、思ったんだ。」
「え?妖精の話が分かるのですか?」
「うん、一応。」
「嫌な話し方だぞ?同じ言葉を2回言う。1体なのに複数で会話しているようだ。」
「なんですか?それ?え?で燃やすと?」
「そう、酒を持たずに手ぶらで来たから、いらないから燃やせって。
館だったらどこに誰がいるか把握してるんだーって感心したんだ。」
「え?そんな暢気な!」
「いや、収納したし、いいかなと。」
「あ!そうでしたね。はぁぁぁー。せっかく手を掛けたのに、燃やされたかと思いました。」
「お前は、タロスの家に火をかけたんだぞ?」
「・・・・兄さん、ごめんなさい。」
「いいんだ、今となっては。愛しい人と結ばれるきっかけなんだから。」
「ひどいにーちゃんだね。いまさらなことを言うなんて。
ほれ、おいで?」
上着の前を外して、両手を拡げ、セサミンを迎える。
「姉さん!姉さん!」
「セサミナ!二度と許さんといっただろうが!」
「これは姉さんが迎え入れてくれたのです!!」
また2人でじゃれ始めたので、ルグとドーガーと3人で先に帰ることにした。
うん、やっぱり燃やされていました。
13
あなたにおすすめの小説
男が英雄でなければならない世界 〜男女比1:20の世界に来たけど簡単にはちやほやしてくれません〜
タナん
ファンタジー
オタク気質な15歳の少年、原田湊は突然異世界に足を踏み入れる。
その世界は魔法があり、強大な獣が跋扈する男女比が1:20の男が少ないファンタジー世界。
モテない自分にもハーレムが作れると喜ぶ湊だが、弱肉強食のこの世界において、力で女に勝る男は大事にされる側などではなく、女を守り闘うものであった。
温室育ちの普通の日本人である湊がいきなり戦えるはずもなく、この世界の女に失望される。
それでも戦わなければならない。
それがこの世界における男だからだ。
湊は自らの考えの甘さに何度も傷つきながらも成長していく。
そしていつか湊は責任とは何かを知り、多くの命を背負う事になっていくのだった。
挿絵:夢路ぽに様
https://www.pixiv.net/users/14840570
※注 「」「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”
どたぬき
ファンタジー
ある日乗っていた飛行機が事故にあり、死んだはずの井原は名もない世界に神によって召喚された。現代を生きていた井原は、そこで神に”ダンジョンマスター”になって欲しいと懇願された。自身も建物を建てたい思いもあり、二つ返事で頷いた…。そんなダンジョンマスターの”はじまお”本編とは全くテイストの違う”普通のダンジョンマスター物”です。タグは書いていくうちに足していきます。
なろうさんに、これの本編である”はじまりのまおう”があります。そちらも一緒にご覧ください。こちらもあちらも、一日一話を目標に書いています。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。
黄玉八重
ファンタジー
水無月宗八は意識を取り戻した。
そこは誰もいない大きい部屋で、どうやら異世界召喚に遭ったようだ。
しかし姫様が「ようこそ!」って出迎えてくれないわ、不審者扱いされるわ、勇者は1ヶ月前に旅立ってらしいし、じゃあ俺は何で召喚されたの?
優しい水の国アスペラルダの方々に触れながら、
冒険者家業で地力を付けながら、
訪れた異世界に潜む問題に自分で飛び込んでいく。
勇者ではありません。
召喚されたのかも迷い込んだのかもわかりません。
でも、優しい異世界への恩返しになれば・・・。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる