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142:魚の毛
しおりを挟む「あれだよね。ここの植物は、大きいか色が違うってことが多いよね。
ほんとお米が知ってる大きさで白くてよかった。」
「赤いのにハクサイ?しろな?しろねぎ?そう呼ぶのはそういうことか。
意味は分かるからなぜ白とよぶか不思議だった。」
野菜のうまみと肉のうまみが出ているので、
一度こしてから雑炊を作ってもらった。灰汁がすごいのだ。
ボコボコと。お箸でつかめるくらい固い。その灰汁をかき分けてしゃぶしゃぶした。
おいしい。これも柔らかい食べ物の部類になるので、
マティスは満足そうだ。
胡麻ダレもうまくできた。
紹興酒がすばらしい。
昔、お高めのお店で、本場ではザラメはいれないんだと教えてくれた。
すこしずつでいいから、本物の味というのを経験すれば人生役立つよと、
ものすごくお高いのを飲ませてくれた。部長、感謝です。
「この胡麻のソースがうまいな。なんにでも合いそうだ。」
「すりこ木とすり鉢とを作って、もっと滑らかに作っておくね。
ああ、この赤い大根もすりおろして、あの薄切りのお肉と食べると
あっさりしておいしいよ。しかし、これが馬の餌というのが
ところ変われば品変わるか、おもしろい。」
あと3日で合わさりの月。
明日は夜通し歩くことになった。
といっても1日16時間になっているのだから問題はない。
それで、帝都に着く。
お茶の植木鉢を、マティスの植物園に移す。
そう、植物園。台所の横の空間が、タロスの木も余裕で入るぐらいになっている。
天井に緑の海峡石。明かり用の黄色も。
月が沈めば明るくなり、昇ればすこしくらい。外の明るさを再現してもらっている。
砂漠石の膜の2重構造になているから、家ごと収納鞄に入れても問題ない。
野菜も種が取れたら少しづつ植えていく。
サボテンの森の植物群はセサミン渡したから、黒い実の木だけがある。
逆さの木の実の種も植えている。見るたびに大きくなっている。土は砂漠の砂をお取り寄せ。
もう少しで実も着けてくれるかもしれない。
「ジットカーフって寒いのかな?」
「寒い、帝都は寒いぞ。今は大丈夫だが、乾季、雨季とどんどん寒くなる。
コットワッツもそのころは寒いが、海に面したジットカーフはそれの比ではない。
服も調達しよう。その時期は皆毛皮を着ている。」
「へー、なんのだろう。豚の毛は使わないんだよね?なんの動物かな?」
「魚だ。魚の皮だ。」
「え?魚?村で食べた?あれの皮?毛?」
「そうだ。鱗はわかるか?そう、それの代わりに毛がある。
実際はそれも鱗なんだがな。まさしく毛だ。」
「魚の毛。すごいな!」
こんな感じかとたいやきのような魚の絵にふさふさの毛を足した。
「こんなの?」
「ん?魚はこうだ。」
マティス画伯はうまい。豚もそっくりだった。
スケール感が違うが。
「あ、大きさの比較対象をかいて、リングの丸。」
トドだ。ハーレムを作る。あのトド。
「なるほど、食堂で食べたのがこれ?」
「そうだ。種類はいろいろあるが魚というのはこれだ。」
「で、比較対象のリングは?書いて?」
「書いてるだろ?」
マティスが小さな点を指さす。
「・・・・うん、豚だったら?ああ、馬は?ああ、なんとか。
・・・・大きいね。」
「そうだろ?これが魚だ。」
「そうかー、へたに翻訳してくれるから、こうも食い違いが起こるんだな。
でも、味はおさかなだった。味で判断すれば魚だ、まぎれもなく。」
「?納得したのか?これの毛を利用した防寒具があるんだ。」
「へー、おもしろいね。あ!カニは!!これ重要!」
「カニはこうだ。」
カニです。クラゲのようなカニ。脚は太いのが2本、細いのが4本。
大きさは少し小さい。さっきの黒い点ではない。実物大だ。
甲羅は固い。味噌もある。
身は外した内側にある。
?
「脚は?食べるよね?」
「脚?これ?どうやって?」
「え?こう、ぽきっと折って、削いだりハサミ入れたり、
こう押し出したり?こっちは?そもそもどうやって食べてるの?」
「この甲羅を下にして、足が上に来るだろ?
それをもって捻って、甲羅を外す。足の方に身が、甲羅に味噌。
脚をもって火にかけそのまま身を。味噌は身に付けて。
身に味噌をつける。2度おいしい食材だ。
逆はなかったな。思いつかなかった。」
「そうなるのか、んー、んー、、、」
「どうした?」
「まずはその食べ方を堪能しよう。
で、クツクツもかにしゃぶも、家だけでたべよう。」
「しゃぶ?かにしゃぶとは?あの肉の食べ方?」
「そう、たぶん脚にも身がある。それは、現物を見てからだね。
カニとか魚は生でも食べる?」
「生はないな。火にかける。」
「よっぽど新鮮じゃないとだめか。海は近いの?」
「帝都は海に面しているが、その港で漁をしているわけではない。
帝都からさらに北に上がったアスナという街が海の幸で有名だ。
ガイドブックにものっているぞ?さらに北上すれば、
ニバーセルとの国境の山がある。」
「高原が近いって言ってなかった?」
「それは南下しないと。帝都から南下して高原がある。
さらに南下すると工業国スパイルだ」
「高原もスパイルも行きたいね。ほかの砂漠も。
ここで家を建てるつもりだったけど、他も見てみたい。」
「それはもちろんかまわない。すべてを見て回ってもいい。
けど、どうした?」
「んー、まず、いろいろ違いすぎる。それを見ていきたい。
で、これを言うのはちょっと、あれなんだけど、食堂で食べたおさかなどうだった?」
「?うまいとおもったぞ。お前が教えてくれるものや、作ってくれるものは格別だが、
久しぶりの魚だからな。お前は?そういえば、あまり話をしなかったな。
そのあといろいろあったし、初夜だったし。」
「うん、そう。お風呂はいいけど歯だけは磨きに戻ったよね?」
「ああ。?」
「味はおいしかった。おさかな。ほんと久々。
向こうの世界でも外でしか食べない。」
「そうだったのか?魚、好きなんだろう?」
「うん。焼き魚に煮魚。あげたのも好き。
けどさ、後片付けが嫌なんだ。準備も。」
「??」
「・・・生臭いのよ、魚。洗い物だって、
寒い冬でも水で洗わないと生臭さが広がる。
その匂いが食堂に充満してた。食べてる最中はいいけど、あとで匂いが口に残った。
だって臭みを取ることもしてなかった。
あんだけ匂いや香りに敏感なマティスが何も言わないから
そんなもんだと。普通なんだ、それが。」
「ああ、なるほどな。私よりよほどお前のほうが匂い、香に敏感なんだな。
この家では不快なにおいは一切しないものな。便所でさえ。
におい消しを使っていても多少は匂いが漏れる。それが一切ない。
料理の匂いも、片付けが済めばなくなっている。
そうか、魚の匂いか。いわれてみればそうかもしれないな。
しかし、普通だ。」
「そう、普通。ほかにもいろいろ普通がある。わたしの知らないね。
それを見てからにしたい。そう思ったの。」
「ああ、それはいい考えだ。世界を廻ろう。
砂漠石、海峡石、見たこともない石もあるだろう?
当然食材も。動物も、植物も。お前の言うところの魚もいるかもしれない。」
「うん。・・・でも、一番は風に乗って生臭い匂いがしてくることが、ちょっとダメなの。」
「ああ、そうか。コムでは?厩のにおいは?」
「お茶の匂いで気にならなかった。あの馬君たちもお茶葉を食べてるからか
不快なにおいはなかった。マティスの匂いに包まれていたし。
あの食堂と料理だけ。
ラーゼムでもメーウーの近くではしたよ?でも、それこそそんなもんだと思ったのよ。
でも、魚臭さと生臭さはダメだ。虚弱体質で申し訳ない。」
「あははは、お前が虚弱体質か。鍛錬も少し間が開いたな。
明日は負荷を掛けて、月が昇れば走り抜けよう。
そして、カニを現地の食べ方で堪能して、アスナで仕入れよう。
そのかにしゃぶというのが気になるからな。
さ、今日はゆっくり風呂に入ろう。
私もお前の匂いだけに包まれたい。」
「ふふふ、そうだね。お風呂、ゆっくり入ろう。」
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