マグナムブレイカー

サカキマンZET

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第4章 覇気使い四天王。

第165話 開戦。

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 アトラス財団へ向かう三人の影があった。

「「「……」」」

 吹雪、南雲、木戸の三人は真剣な面持ちで、圧倒的な気配を漂わせて歩いていた。
 そして三人の格好も歪だった。
 吹雪は上下が紫色のスーツ、黒シャツ、緑色のネクタイ、白い革靴。
 まるで何処かのキャラに酷似したギャングスタイル。
 木戸は黒のレディースタンクトップ、ダメージジーンズ、白スニーカー。
 こちらはれっきとした不良少女という感じだ。
 南雲はというと……一人だけ白衣で博士姿だった。

「……あのさ、めちゃくちゃ真剣な表情で歩いてたから突っ込まなかったけど……何コレ? 仮装パーティーにでも行くつもり?」

 流石に空気が異質過ぎたので木戸もツッコミを入れた。

「そうか? そこの空気読めないキモロンゲ博士よりはマシやと思うぞ?」

「バットマンのジョーカーみたいな格好してる奴が何言ってんだよ」

「あ、そこ突っ込む? へぇ~人がちょっと気にしてる事を淡々と言うんや。お前はそんな人やったんや」

「うるせぇよ、このアホパーマ。村井さんに助けて貰わなかったら、出血多量で死にかけた奴がデカイ口叩くな。っていうか、今日はサポート役ですぅ~精々、俺の研究結果の役に立ってください~」

 ムカつく表情で南雲は吹雪を煽り散らかす。

「……ぷっ、このやり取り何時やっても楽しいわ。できたらアイツがおってくれたらな」

 それでも楽しすぎて、つい笑ってしまう吹雪だった。

「来るだろ。だからアイツ代わりの木戸だ。頼んだぞ、この天才の俺とクソリーゼントとアホパーマから教わった。立派な弟子よ」

 これから戦闘へ入る為、乱戦は初めての木戸に士気を鼓舞する。

「はい! っというより、戦う前からお互いに足を踏み合うのは止めた方がいいと思いますけど……」

 ニコニコ顔だが、吹雪は右足、南雲は左足で蹴り合っていた。

「テメェ人の足いつまで踏んでねん! もし使われへんなったら、お前の所為やからな!」

「うるせぇ! テメェこそ天才である俺に対して、足に蹴り入れるとか頭おかしいのか!? 折ってやるよ!」

 我慢の限界が到達し、胸ぐらを掴み合う本気喧嘩へと発展した。

「ダメだこりゃ」

 これは言っても聞かないと思い、木戸は二人が落ち着くまで待機する。

「「終わった」」

 もう既にボロボロの状態で満身創痍だ。

「あの帰ってくれます? その状態で戦ったら絶対に死にますし、それにもうなんか……緊張感がないんです!」

「いや、だってさコイツが……」

「コイツから始めた事で……」

 まるで準備したかのよう同時に言い訳し始めた。

「あーもう同時に喋んな!」

 そろそろ我慢の限界が到達し、木戸はどこかのラッパーみたいにキレた。


 一方その頃、アトラス財団の社長室にて……

「……」

 忍の攻撃により右目を負傷した高島は眼鏡下へオーダーメイドの黒い眼帯を装着し、風景だけ眺めながら誰かを待っていた。

「お呼びですか社長」

 入室してきた人物は何も知らない虹矢だった。

「あぁ、虹矢そこに跪け」

 いきなり聞き慣れない強い言葉で呆然とする。

「社長、失礼ですが今なんと?」

「伊波、そこに跪かせろ」

 影から煙草を咥えた伊波が出現し、虹矢の膝裏を蹴り、跪つかせた。

「伊波、何をする!」

 起き上がろうにも伊波が、ふくらはぎを踏んでいる為、反撃しようにも高島の能力で、虹矢の首もとに影縄が縛られ、無抵抗状態にされた。

「悪いな副社長。アトラス財団とは仕事仲間だが、契約者は社長でな? つまり社長命令だからテメェを拘束してんだよ。それに……」

「伊波、虹矢に話がある。少し私に番を譲ってくれないか?」

「こりゃ失礼」

 社長である高島の命令だけ素直に聞き入れ、手錠を取り出し、虹矢の両腕は拘束された。

「これで誤って力を込めずとも殺すことはないな。私の聞きたい事は分かるか?」

 高島は影縄を解き、スタスタと素早く虹矢の目前へ接近する。
 そして高島から渾身の右ストレートが放たれ、虹矢は殴られた衝撃で倒れる。けれど、伊波はソレを許さず、髪の毛を引っ張り元の体勢へ戻す。

「何故、殴られたか身に覚えあるだろ? 副社長なら答えられるはずだ」

「……桐崎流星を殺したからですか?」

「私は言ったよな? この人は大事な客人だ。丁重に扱え、手出しするなと。お前の耳は飾りなのか? バレなければ拷問して、射殺していいと貴様の都合のいいように聞こえていたのか? 伊波、お前から意見は?」

「まだない」

「分かった。では、ヤクザは裏切り者を何時もどうしていた?」

「俺の場合は充分に撲殺した後、肉と皮を剥ぎ取って、後は想像通り。裏切り者は個人的な物だから、家族とか知人とか巻き込まないのが組の掟だ。まあ、会社がしろっていうなら遠慮なく仕事・・でバラしてやりますよ」

 怒り狂っている所為なのか、普段冷静な高島の口から聞き慣れない言葉。
 更には伊波がいる事により、恐ろしい言葉の無法地帯が完成してしまった。

「いや、我々はヤクザではない。ただ日本では違法な銃器を密輸し、君達にしか販売していない違法業者だ。たまにエアガンを一般人に発売するが、人殺しだけは巻き込まないのが社訓だ」

「それ社訓っていうより掟だと思うんですが社長?」

「あぁ、だがこの男は掟とルールですら守れなかった。伊波、この男の処分を任せても?」

 高島は伊波に虹矢の処分を全て任せようとした。
 だが、伊波は腕時計を見て残念そうな表情を浮かべた。

「……残念ですが社長。契約期間が今日までなんですよ。今からコイツを処分しようと思ったら色々と準備に時間かかります。俺から延長を申し込まない限り」

「……そうか仕方ない。虹矢、この失態は自分で解決しろ。明日には懲戒解雇を言い渡す。だが、ここに来た侵入者の対処するならば自主退職で片付けてやる」

「……分かりました」

 この状態で反論する訳にもいかないので、ここは大人しく従うことにした。

「それより社長、後ろ気を付けた方がいいですぜ?」

「あぁ、ちゃんと見えているさ」

 社長室の窓からパトカーがこちらへ向かって飛翔してきていた。
 吹き飛ばされてきたパトカーは窓ガラスを突き破り、社長室へ侵入してきた。が、ここで高島は能力を発動し、影の壁でパトカーを停止させた。

「へぇ~前はパトカーを舞い上げただけだが、今回は容赦なしに攻撃しに来やがった」

 前回と違って今回はパトカーを利用した攻撃に伊波は感心を示していた。
 影の壁を解き、パトカーの状態を確認する。

「トランク部分が凍結している……そしてクレーターが出来上がるぐらいの圧力を加えられた窪み、そしてマフラー辺りが爆発したみたいに焦げている」

 そして高島は想像した。
 品川以外の人間がパトカーを上空へ吹き飛ばし、南雲がマフラーを爆発させた。が、距離が足りず吹雪の氷柱でここまで飛ばしてきたのだと考察した。

「どうやら様子見無しで戦闘開始したようだ。だったらソレに答えてあげよう。虹矢、竹島と内藤で出陣だ。指示だした君は会社を警備するように了解するか?」

「……了解しました」

 伊波から手錠を外され解放された虹矢。何か言いたそうな表情で睨む。

「言いたいことあんなら今のうちだぜ? 契約期間切れたら俺の気まぐれで殺されても文句は言い残せないぜ?」

「いや、お前は仕事で行動したまでだ。別にやられたから小言を言うつもりもない、それは私が辞めても社長とは良好な関係でいてほしい。それだけだ」

「だったら、その目付きと態度に気を付けな。仕事じゃなかったら、今すぐにでも手ぇ出すところだ。社会人なら取引先にはニコニコで対応しておけ、俺の言ってること間違ってるか?」

「……」

 虹矢は伊波の問いには返事せず、せめての抵抗として肩にわざとぶつけて、そそくさと社長室から退室した。

「──くだらねぇ奴」

「凄いな、まさか彼等がここまで成長するとは思ってなかった」

 再び風景を見ている高島が歓喜の感想を溢す。

「……なあ提案があるんだが?」

 続いて覗き見た伊波がニヤリと笑い、高島へある提案をする。

「?」

「このまま契約期間を一時間だけ延長できそうか?」

「構わない。その分の報酬は支払う」

「契約成立。じゃあ行ってくるぜ!」

 伊波は狂喜の笑みを浮かながら、窓から飛び降りた。
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