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第4章 覇気使い四天王。
第166話 進む者。
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「どうや? 当たったか?」
今先程、上空へ飛び氷柱で社長室を攻撃した吹雪が着地し、双眼鏡で観察していた南雲へ尋ねる。
「いや、駄目だ。相手は元気だし、なんかヤバいドレッド野郎が降りて来やがった。どうする逃げる?」
「いや~逃げても東京壊滅には変わりないやろ。せやったら、ここで骨埋めようや」
「え~なんでお前と一緒に東京で死なないといけないんだよ。面倒くせぇし、それにここで死ぬ気なんてねぇよ。まだやることあんだよ」
「ほんなら死亡フラグ立たへんように、無事に大阪に帰ろうやないか。品川と一緒にな」
「お前、それだとクソリーゼントが死ぬだろうが! アイツだけは死なせねぇよ、俺の復讐の為に生きてもらわねぇとな」
「それもそうやな」
「あの二人とも、そんな青春みたいな事に水を差すのは空気読めてないかもしれないけど……今、国家権力に囲まれてるの承知してますか!?」
「「あ~そうだった」」
二人は思い出したかのような表情で、呑気に返事する。
「それで作戦とかあるんですか?」
「いや、特にないわ。せやから……」
「好きな奴、気に入らない奴を殴っていけ。どうせ警官だろうが黒服だろうが、無茶苦茶になって、それどころじゃねぇからよ」
「これで私も犯罪者ね」
「「犯罪者デビューおめでとう」」
もはや態度が他人事でお祝いされて、戦闘に対して真剣に向き合ってほしかった木戸だった。
「君たちは既に包囲されている。大人しく投降しなさい、今なら軽い刑で済む! それに君たちは若い、ここで人生を無駄にするじゃ……ぐべぇ!」
説得している警察官へボーリングサイズの氷塊が投げ込まれた。
けれどギリギリの寸前で警察官は変な悲鳴を上げたが回避できた様子だ。
「あり? うるさいから当てるつもりで投げたんやけどよ。当たってへんわ」
「だろうな、ボーリングサイズじゃ恐怖が足りない。木戸、腕を溶岩で纏わせ馬鹿みたいに大きくしろ。そして吹雪、お前はアホらしくアホみたいな巨大サイズの氷塊を作れ」
「アホちゃうけど、それはそれで面白そうやな」
そう言い吹雪は両手を天へ向けてブリザードを発生させた。
氷の粒を風で操り圧縮し、その過程を何度も繰り返す。
「集中……」
そして木戸は南雲の指示通り、岩漿の覇気で巨大な腕を形成する。
(お、重い……まるで重機を持ってるみたい。しかも神経が切れそうな感覚……先生みたいに勢いと膂力でなんとかできそうと思ったけど、こんなにもキツく、こんなにも先生との差があったなんて)
痛感する木戸、それも当たり前である。
今まで出会って来た者たちは半年前までは本当の化物と対峙し、生還した者たちであり、経験のある者たちだからだ。
(けど、こんな事できないようじゃ、あの人たちに……)
「追い付けるわけないでしょうが!」
全身から青筋が浮かぶほど膂力を込め、右片手のみで巨大な岩漿の腕を持ち上げた。
(……えー! イメージ的に半身まで覆う感じだったのに片手で持ち上げちゃった! なんだよ! 炎系の奴等は脳筋ばっかなのか!?)
南雲の想像していたとは違い、完全に嬉しくもない、心配が勝つ想定外な状況で驚愕する。
「「……嘘でしょ」」
警察官と吹雪も今起きてる想定外な現状に驚愕していた。
「へへっ、これでいいですか? 南雲師匠!」
「あ、あぁ……」
流石に表情に出すわけには行かず、どもりながらも納得する。
「……」
「お前の方は行けるか?」
「あ、あぁなんとかな……」
あまりにも大きい衝撃を受ける現実だったので、吹雪もどもるが、準備できた様子だ。
「じゃあ、その氷塊を木戸に渡して投げろ!」
「行くで木戸ちゃん! おらぁっ!」
吹雪が形成した氷塊を木戸へ向けて投げ渡した。
そのまま投げればいいと思ったが、吹雪は生身なので、ここは無理せず岩漿を纏った木戸へ任せたのだ。
「木戸! それを会社へ向けて投げろ!」
「うぉぉぉぉぉッ!」
巨大な氷塊を持ち、自分の体内から何かしらプチプチと何かが切れる音を響き渡らせ、投げた。
「た、た、退避!」
流石の目前迫りくる脅威には対処できない為、機動隊や警察官は退避する。
「行けえぇぇぇぇッ!」
木戸による魂の絶叫と共に氷塊は会社へ向けて飛翔する。
だが、その反撃はいとも容易く止められた。
「巨大なる岩の手」
聞き覚えもあり、安直で単純な技名を叫ぶ者により、氷塊は巨大な岩の手で止められた。
「おっと、おい吹雪! 四天王の二人が登場したぞ!」
南雲にとっては、その手を見ただけで誰なのか察知した。
「せやな。忘れようと思っても忘れられへんわな」
今回ばかりは相手側が本気な対応を見て、吹雪は笑いながら冷や汗を流す。
「ええで竹兄! それを爆破するからそのままに……え?」
「俺にもやらせろ」
内藤が嬉々な様子で仕事に取り組もうとした。が、背後から伊波が出現した。
それも不気味に笑顔を浮かべて……
「竹島、上げろ」
伊波がサムズアップし、指示を出した。
竹島は無言だが、木戸と違い氷塊を軽々と扱い、上空へ放り投げた。
「ま、マズイぞ! 伊波一翔が現れた! 全員、撤退だ!」
どうやら伊波の姿が現れただけで、恐怖を知っている警察官達は、この戦場を身の安全の為に放棄するほどだった。
「一方的に責められるのは、今は好きじゃねぇ」
人間離れした飛躍により、氷塊と一緒の位置となった伊波は、目にも留まらぬ連打で殴る。
その一撃一撃は強く重く激しく、氷塊は粉々へと変わり果てた。
「お前等の土俵で付き合ってやる。氷塊流星群」
こちらも竹島に見習い、安直な技名を言って粉々となった氷を殴り、無差別に飛ばした。
「嘘やろ! アイツ、最初から出会った時から無茶苦茶やと思ってたけど、イカれてるわ!」
氷の障壁を形成し、伊波からの無差別攻撃に文句を述べる吹雪。
「まるで昔の品川を狂暴化させた状態だな。こりゃ耐久レースかもな……」
「はあ……はあ……南雲さん……私なら……もう一度……ぐらいなら……」
肩で息を繰り返し、筋肉痙攣まで起き始めている木戸。
そんな満身創痍な木戸を見ていた吹雪と南雲。
(さて、どうしようか。攻撃タイプは俺と木戸ちゃんだけ、南雲は今回はサポートに徹すると言ってるし……どうしたらええやろうな)
(多分、あのアホはそう考えるだろうな。仕方ないかもな、ここはネタバレとかしたくなかったけど、新兵器でも使って全員心中……天才にしては後ろ向きな考えだ。信仰してる身じゃねぇが、神様どうか奇跡を起こしてください)
吹雪と南雲も手詰まりの状態。何も策が思い浮かばない状態だった。
(吹雪さんと南雲さんも何も策が浮かんでない状態……この右腕さえ動かせれば……この場合、もう動かなくていいから、もう一度だけ)
自己犠牲精神で、もう二度と右腕が動かなくていいと考え、未知なる未来で恐怖が起こり、身体が震える。
「……大丈夫やで、ここは大人に任せとき。お前は早くどっかに逃げ」
「……しょうがねぇな。おい、馬鹿弟子。ここはさっさと逃げろ。お前がいたら邪魔で足手まといだ……楽しかったぜ、短い間だけどな」
まるで二人は今から死にに行くような発言をする。
否定したかった。けれど、現実だった。
一人は右腕が使い物にならなくなった未経験の女子高生、もう一人は疲れている関西弁のアホ、もう一人は自称天才だが、今は万策尽きたキモンロゲ。
この場合、この三人で巨大な違法企業の精鋭に立ち向かうにはどうすればと考える。
答えは諦めるしかなかった。
(万事休すやな……?)
諦めかけていた瞬間、遠く彼方から、けたたましい排気音が木霊していた。
「……おい、まさかとは思うが」
「まさかやとは思うで……」
「これってもしかして!」
二人はヤレヤレと言った感じと、もう一人は期待を胸に孕ませる。
そして何かが接近すると感知した伊波も氷塊を殴るのを停止し、そっちへ目を向ける。
「来たな、強い奴が!」
飛翔していた伊波は着地し、笑いながら出迎えふ姿勢。
「……」
その正体は、運転する黒政をガッチリと掴みアトラス財団を睨む品川修二だった。
今先程、上空へ飛び氷柱で社長室を攻撃した吹雪が着地し、双眼鏡で観察していた南雲へ尋ねる。
「いや、駄目だ。相手は元気だし、なんかヤバいドレッド野郎が降りて来やがった。どうする逃げる?」
「いや~逃げても東京壊滅には変わりないやろ。せやったら、ここで骨埋めようや」
「え~なんでお前と一緒に東京で死なないといけないんだよ。面倒くせぇし、それにここで死ぬ気なんてねぇよ。まだやることあんだよ」
「ほんなら死亡フラグ立たへんように、無事に大阪に帰ろうやないか。品川と一緒にな」
「お前、それだとクソリーゼントが死ぬだろうが! アイツだけは死なせねぇよ、俺の復讐の為に生きてもらわねぇとな」
「それもそうやな」
「あの二人とも、そんな青春みたいな事に水を差すのは空気読めてないかもしれないけど……今、国家権力に囲まれてるの承知してますか!?」
「「あ~そうだった」」
二人は思い出したかのような表情で、呑気に返事する。
「それで作戦とかあるんですか?」
「いや、特にないわ。せやから……」
「好きな奴、気に入らない奴を殴っていけ。どうせ警官だろうが黒服だろうが、無茶苦茶になって、それどころじゃねぇからよ」
「これで私も犯罪者ね」
「「犯罪者デビューおめでとう」」
もはや態度が他人事でお祝いされて、戦闘に対して真剣に向き合ってほしかった木戸だった。
「君たちは既に包囲されている。大人しく投降しなさい、今なら軽い刑で済む! それに君たちは若い、ここで人生を無駄にするじゃ……ぐべぇ!」
説得している警察官へボーリングサイズの氷塊が投げ込まれた。
けれどギリギリの寸前で警察官は変な悲鳴を上げたが回避できた様子だ。
「あり? うるさいから当てるつもりで投げたんやけどよ。当たってへんわ」
「だろうな、ボーリングサイズじゃ恐怖が足りない。木戸、腕を溶岩で纏わせ馬鹿みたいに大きくしろ。そして吹雪、お前はアホらしくアホみたいな巨大サイズの氷塊を作れ」
「アホちゃうけど、それはそれで面白そうやな」
そう言い吹雪は両手を天へ向けてブリザードを発生させた。
氷の粒を風で操り圧縮し、その過程を何度も繰り返す。
「集中……」
そして木戸は南雲の指示通り、岩漿の覇気で巨大な腕を形成する。
(お、重い……まるで重機を持ってるみたい。しかも神経が切れそうな感覚……先生みたいに勢いと膂力でなんとかできそうと思ったけど、こんなにもキツく、こんなにも先生との差があったなんて)
痛感する木戸、それも当たり前である。
今まで出会って来た者たちは半年前までは本当の化物と対峙し、生還した者たちであり、経験のある者たちだからだ。
(けど、こんな事できないようじゃ、あの人たちに……)
「追い付けるわけないでしょうが!」
全身から青筋が浮かぶほど膂力を込め、右片手のみで巨大な岩漿の腕を持ち上げた。
(……えー! イメージ的に半身まで覆う感じだったのに片手で持ち上げちゃった! なんだよ! 炎系の奴等は脳筋ばっかなのか!?)
南雲の想像していたとは違い、完全に嬉しくもない、心配が勝つ想定外な状況で驚愕する。
「「……嘘でしょ」」
警察官と吹雪も今起きてる想定外な現状に驚愕していた。
「へへっ、これでいいですか? 南雲師匠!」
「あ、あぁ……」
流石に表情に出すわけには行かず、どもりながらも納得する。
「……」
「お前の方は行けるか?」
「あ、あぁなんとかな……」
あまりにも大きい衝撃を受ける現実だったので、吹雪もどもるが、準備できた様子だ。
「じゃあ、その氷塊を木戸に渡して投げろ!」
「行くで木戸ちゃん! おらぁっ!」
吹雪が形成した氷塊を木戸へ向けて投げ渡した。
そのまま投げればいいと思ったが、吹雪は生身なので、ここは無理せず岩漿を纏った木戸へ任せたのだ。
「木戸! それを会社へ向けて投げろ!」
「うぉぉぉぉぉッ!」
巨大な氷塊を持ち、自分の体内から何かしらプチプチと何かが切れる音を響き渡らせ、投げた。
「た、た、退避!」
流石の目前迫りくる脅威には対処できない為、機動隊や警察官は退避する。
「行けえぇぇぇぇッ!」
木戸による魂の絶叫と共に氷塊は会社へ向けて飛翔する。
だが、その反撃はいとも容易く止められた。
「巨大なる岩の手」
聞き覚えもあり、安直で単純な技名を叫ぶ者により、氷塊は巨大な岩の手で止められた。
「おっと、おい吹雪! 四天王の二人が登場したぞ!」
南雲にとっては、その手を見ただけで誰なのか察知した。
「せやな。忘れようと思っても忘れられへんわな」
今回ばかりは相手側が本気な対応を見て、吹雪は笑いながら冷や汗を流す。
「ええで竹兄! それを爆破するからそのままに……え?」
「俺にもやらせろ」
内藤が嬉々な様子で仕事に取り組もうとした。が、背後から伊波が出現した。
それも不気味に笑顔を浮かべて……
「竹島、上げろ」
伊波がサムズアップし、指示を出した。
竹島は無言だが、木戸と違い氷塊を軽々と扱い、上空へ放り投げた。
「ま、マズイぞ! 伊波一翔が現れた! 全員、撤退だ!」
どうやら伊波の姿が現れただけで、恐怖を知っている警察官達は、この戦場を身の安全の為に放棄するほどだった。
「一方的に責められるのは、今は好きじゃねぇ」
人間離れした飛躍により、氷塊と一緒の位置となった伊波は、目にも留まらぬ連打で殴る。
その一撃一撃は強く重く激しく、氷塊は粉々へと変わり果てた。
「お前等の土俵で付き合ってやる。氷塊流星群」
こちらも竹島に見習い、安直な技名を言って粉々となった氷を殴り、無差別に飛ばした。
「嘘やろ! アイツ、最初から出会った時から無茶苦茶やと思ってたけど、イカれてるわ!」
氷の障壁を形成し、伊波からの無差別攻撃に文句を述べる吹雪。
「まるで昔の品川を狂暴化させた状態だな。こりゃ耐久レースかもな……」
「はあ……はあ……南雲さん……私なら……もう一度……ぐらいなら……」
肩で息を繰り返し、筋肉痙攣まで起き始めている木戸。
そんな満身創痍な木戸を見ていた吹雪と南雲。
(さて、どうしようか。攻撃タイプは俺と木戸ちゃんだけ、南雲は今回はサポートに徹すると言ってるし……どうしたらええやろうな)
(多分、あのアホはそう考えるだろうな。仕方ないかもな、ここはネタバレとかしたくなかったけど、新兵器でも使って全員心中……天才にしては後ろ向きな考えだ。信仰してる身じゃねぇが、神様どうか奇跡を起こしてください)
吹雪と南雲も手詰まりの状態。何も策が思い浮かばない状態だった。
(吹雪さんと南雲さんも何も策が浮かんでない状態……この右腕さえ動かせれば……この場合、もう動かなくていいから、もう一度だけ)
自己犠牲精神で、もう二度と右腕が動かなくていいと考え、未知なる未来で恐怖が起こり、身体が震える。
「……大丈夫やで、ここは大人に任せとき。お前は早くどっかに逃げ」
「……しょうがねぇな。おい、馬鹿弟子。ここはさっさと逃げろ。お前がいたら邪魔で足手まといだ……楽しかったぜ、短い間だけどな」
まるで二人は今から死にに行くような発言をする。
否定したかった。けれど、現実だった。
一人は右腕が使い物にならなくなった未経験の女子高生、もう一人は疲れている関西弁のアホ、もう一人は自称天才だが、今は万策尽きたキモンロゲ。
この場合、この三人で巨大な違法企業の精鋭に立ち向かうにはどうすればと考える。
答えは諦めるしかなかった。
(万事休すやな……?)
諦めかけていた瞬間、遠く彼方から、けたたましい排気音が木霊していた。
「……おい、まさかとは思うが」
「まさかやとは思うで……」
「これってもしかして!」
二人はヤレヤレと言った感じと、もう一人は期待を胸に孕ませる。
そして何かが接近すると感知した伊波も氷塊を殴るのを停止し、そっちへ目を向ける。
「来たな、強い奴が!」
飛翔していた伊波は着地し、笑いながら出迎えふ姿勢。
「……」
その正体は、運転する黒政をガッチリと掴みアトラス財団を睨む品川修二だった。
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