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『ここ、出るんっスよ』
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これはあるガソリンスタンドに行った者の話なのだが…。
俺は推し(アイドル)のライブの帰り道にガス欠寸前になっている。幸せなことの後は大体不幸が訪れるもんなのだと改めて実感した。
「ポーンポーン」
ガス欠がもうすぐらしい。いよいよやばいぞ。と思っていたら丁度ガソリンスタンドがあった。山道の中にポツリとあるガソリンスタンドは、稲川○二の怪談に出てきそうな雰囲気だった。時間も丑三つ時なことも相まってガチめに俺はビビっていた。
どうやらガソリンスタンドとコンビニがくっついているところらしく、奥の方に店員さんが見えた。折角なので俺はコンビニも寄ることにした。
「あっお客さま!」
店内に入り、店員さんと目が合った瞬間ギョッとした目でこちらを見てきた。
「ここ、“出る”んですよ」
「いやいや冗談はよしてくださいよ」
「…ガチっす」
「……これ、ください」
俺はやばいところに来てしまった様だ。
「ひとまず私がガソリンを入れておくので、店内に必ず居てください」
店員さんはそう言うと外へ出ていってしまった。出るとだけ言われても何も出来ない。とりあえず俺は店を回ってみることにした。品数が思ったより豊富で、見たことない海外のお菓子もあった。一通り見終わったあと、さっきの店員さんが戻ってきた。
「大丈夫でしたか!?」
「え、はい」
秋頃の比較的涼しい時にも関わらず、店員さんはびっしょりと汗をかいていた。
「いやー、ここ本当にやばいんでね。まぁ、お客さんは運がいいですよ」
俺は相槌だけ打って外に出ようとした。
すると、
「バン!」
大きい音が店の窓から聞こえてきた。思わず音の方へ顔を向ける。
「ああ、出ちゃった。まただ…」
「おいおい、これなんだよ!」
「出ちゃったんですよ…お客さん…」
窓の外には真っ白の顔の女性の顔がいくつもあった。怖すぎて叫ぶことも出来ない。
「どうすりゃ…」
「とりあえずバックヤードへ!」
店員さんに連れられ俺はバックヤードへ行った。その間もずっと窓を叩いている音が聞こえた。
「店員さんは?」
「私も慣れなくてねぇ。ここで隠れますよ!」
全く、頼りない店員だ。いや、俺も頼りない客なのか?そんなことを考えている暇はない。
「あ、ああ」
店員さんが扉の方を見て絶句している。俺は見たくなかった。見たら、絶対にやばい。だけど俺は見てしまったんだ。
翌日、俺は店員さんと共に起きた。防犯カメラの映像を確認すると、昨日の出来事が鮮明に記録されていた。しかし、真っ白の顔の女は一切写っていなかった。
俺は推し(アイドル)のライブの帰り道にガス欠寸前になっている。幸せなことの後は大体不幸が訪れるもんなのだと改めて実感した。
「ポーンポーン」
ガス欠がもうすぐらしい。いよいよやばいぞ。と思っていたら丁度ガソリンスタンドがあった。山道の中にポツリとあるガソリンスタンドは、稲川○二の怪談に出てきそうな雰囲気だった。時間も丑三つ時なことも相まってガチめに俺はビビっていた。
どうやらガソリンスタンドとコンビニがくっついているところらしく、奥の方に店員さんが見えた。折角なので俺はコンビニも寄ることにした。
「あっお客さま!」
店内に入り、店員さんと目が合った瞬間ギョッとした目でこちらを見てきた。
「ここ、“出る”んですよ」
「いやいや冗談はよしてくださいよ」
「…ガチっす」
「……これ、ください」
俺はやばいところに来てしまった様だ。
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店員さんはそう言うと外へ出ていってしまった。出るとだけ言われても何も出来ない。とりあえず俺は店を回ってみることにした。品数が思ったより豊富で、見たことない海外のお菓子もあった。一通り見終わったあと、さっきの店員さんが戻ってきた。
「大丈夫でしたか!?」
「え、はい」
秋頃の比較的涼しい時にも関わらず、店員さんはびっしょりと汗をかいていた。
「いやー、ここ本当にやばいんでね。まぁ、お客さんは運がいいですよ」
俺は相槌だけ打って外に出ようとした。
すると、
「バン!」
大きい音が店の窓から聞こえてきた。思わず音の方へ顔を向ける。
「ああ、出ちゃった。まただ…」
「おいおい、これなんだよ!」
「出ちゃったんですよ…お客さん…」
窓の外には真っ白の顔の女性の顔がいくつもあった。怖すぎて叫ぶことも出来ない。
「どうすりゃ…」
「とりあえずバックヤードへ!」
店員さんに連れられ俺はバックヤードへ行った。その間もずっと窓を叩いている音が聞こえた。
「店員さんは?」
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全く、頼りない店員だ。いや、俺も頼りない客なのか?そんなことを考えている暇はない。
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