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2、殴られる

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「ひ……ぅぐッ……ご、ごめ゛んなざっ……ぁあ゛━━ッ!!」

光太が実家にいた頃は、顔こそ殴られはしなかったものの、腹を何度も殴られ、前処理もなくガンガンと後孔を突かれた。玲央が痛みと恐怖で涙ながらに謝っても、光太の暴走は止むことなく、彼が果てて玲央の中に精液を出すまで終わらなかった。

ことの始まりは、些細な嫉妬からだった。それが理不尽な理由に変わり、母親が夜勤のときはお決まりのように毎回、光太の気が済むまで犯された━━━。




あのときと、光太は何も変わっていなかった。



むしろ、数ヶ月離れていたことで募った想いが、むくむくと膨らみ、誰も止められないところまできていた。


ぬちょっ、とフォークを抜き、ポタリと垂れた玲央の血を、光太は舌を出して舐めた。
玲央の左腕は、わずかな傷ながらもジンジンと痛んだ。

「ああ……ごめんな、玲央。あとで手当てするからね」
光太は聖母のような優しい声で謝り、最後の一口をたいらげたあと食器を片付けはじめた。

そうして、硬直したままの玲央のそばに座り、ベルトをカチャカチャとはずし始めた。

「相変わらず、玲央は煽るのが上手いなあ。他の男匂わせて、嫉妬させようとしたんだろ。去年はさあ、自分でしごくの見せて、オレを誘ってきたよね。兄ちゃんは、そっちで誘われた方が嬉しいよ。あの表情、オレめちゃくちゃ興奮したな」

光太は、自分の妄想と現実の境目が曖昧になり、ありもしない玲央の姿を口にした。あのときの玲央は、光太に強要されてやったのだ。

「なあ、この数ヶ月兄ちゃんいなくて寂しかったろ?  オレを思い出してオナってたろ?」

玲央は、正しい答えがわからなかった。そのまま無言で、誰もいない前方を見つめていた。

「またオレに見せろよ」






あらわになった玲央の性器は、光太を恐れるあまりに縮こまったままだった。

いくら光太に懇願され、促されても、たどたどしくこすっただけで勃つわけがない。

玲央は困った。

光太の要求に、どうしても身体が反応してくれない。


こする右手はガクガクと震えが起き、ますます勃つことから遠のいた。

「……ああ、もしかしてアナニーの方だった?」

光太は脚に残ったズボンを抜き、玲央の両足を開かせた。そして、すっぽり咥えこんだ後孔のプラグを抜き、ローションを垂らして緩み具合を確かめた。

ソファの横に置かれた箱から、ディルドを取り出し、「ほら」と玲央に手渡す。

「兄ちゃんのより小振りだけど、お前好きだったろ?  飛べるとこに当たって、ヨダレを垂らしながらヨガってたもんなあ」

右手に渡された忌々しいディルドを、玲央はおずおずと自分の入り口に当て、ゆっくりと挿入する。

「……ぅ゛ぐっあぁッ」

はあ、はあ、と呼吸が荒くなった。冷や汗がこめかみをつたう。


で、できない……と、胸の中で訴え、震えが止まらずディルドを持つ手は停止した。

「……どうしたんだ?  なあ、玲央?」
光太は、自慰行為をやらない弟に苛立ちを覚えた。

ギュッと前髪を掴んで後ろに引っ張り、ソファの背もたれに押し付けた。血走った瞳で玲央を睨み付け、なおまくし立てた。

「玲央、お前はオレのことが好きじゃないのか?」

「も、もちろん、好きだよ」

「なら、できるよなあ?!」

「うぅ━━ッ」

極度の緊張でもはや握力を失った手は、ディルドを手離し、ぬちょりと飛び出て床に落ちた。

「なんでできないんだよ!!」

そう言って、光太は玲央の顔を何度も、何度も殴り続けた。


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