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一章 自由に生きるためには

21話 肉だぁ

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「えぇ、ここまであっさりなの…?ちょっと慎重になりすぎてたかなぁ。」

なんの抵抗も許さずに、ボスを瞬殺してしまった私たちはドロップ品を収納して、一旦元の扉の方へ戻った。
ちなみに、ボスを撃破すると下層へと続く階段があらわれたので、そこを降りると16層なのだろう。

「ね、ねぇ、もしかして一人ずつ戦っても勝てたりする…?」

私がユキとソラにそう問いかけると、少し考える素振りを見せてから

正直、一人ずつでも危なげなく倒せるだろうと。
念のため皆で一緒にボス部屋に入っていつでもフォローに入れるようにしておけばまず負けることはないだろうとのことだった。

ちなみにドロップは500gほどのオーク肉だった。
一応鑑定したところ、美味とのこと。
そもそもこの世界に来て初めての肉である。
これは、周回して確保しておかなければ。

ボスを瞬殺したことに動揺していた私ではあるが、久しぶりにお肉が食べられるという事実に内心テンションが上がりまくっていることは言うまでもない。


それから、ボスがリポップするまでの時間がどのダンジョンでも30分ということを確かめるためにも、リポップまでを安全地帯で過ごした。

およそ30分が経ったであろう頃に再度サーチに、扉の向こうに魔物の存在が感じられたため、今度はユキだけで攻撃をしかける。

私とソラは万が一に備えて警戒を怠らない。

まぁ、3人での攻略と同様に、なんの危なげもなく瞬殺だったけども。

しっかりとドロップ品であるオーク肉と、さっきは出なかった魔石を持ってきたユキをこれでもかというほど褒めちぎっておいた。

その後は、ボスが30分で復活すると分かっているので14層で経験値稼ぎをしながらリポップを待ち、またボス部屋に戻って一人ずつオークを倒すというのを数回繰り返した。

オーク肉と魔石が数個ずつ確保できたところで、今日はもう一旦帰ろうということで転移でダンジョン一階に戻り、自宅へと帰った。


◇ ◇ ◇ ◇


初のボス討伐…もとい、瞬殺から自宅へ帰った私は、心踊らせていた。

「肉…!!数ヶ月ぶりの肉!!!」

そう、この島の小動物たちには手を付けず、これまでのドロップでもお肉は出てこなかった。

正直、餓えていた、肉に。
しかも鑑定で美味だとお墨付きである。
期待しないほうがおかしいだろう。

ぱっと見は豚肉っぽいピンク色のお肉だ。

もう今日の晩ご飯は決まっている。
肉の味を味わう最もシンプルで美味しいと私が思っている食べ方。

炭火焼き。
余分な油をおとし、フライパン等で焼くよりもさっぱりと食べられるイメージがある。
…調味料があまりないので、選択肢が少ないともいえる。

というわけで、私はせっせと屋外にバーベキューの用意をしている。

とはいえ、いまだ金属類は発見出来ていないので、石を積み上げてその中に自作の炭を組んでいく。
風の通り道をしっかりと作りつつ、生活魔法で火をおこす。

炭がいこってきたら、河原の石で創造した串に、塩をまぶしたオーク肉を刺して焼く。
ユキとソラにも聞くと、食べたいというので、さらに小さめに切って塩分控えめにした肉を同じように焼く。

もうね、なんていうか焼いてる時から暴力的ないい匂いなのよ。

私たち三人はしたたる油を見て涎を垂らしながら、いまかいまかと焼き上がりを待った。

「ゴクリ…。よし、多分そろそろ大丈夫。二人とも熱いから気を付けてね!」

そう言いながら二人のご飯用のお皿に串から外したオーク肉を入れてやる。

私は当然、串に刺したままかぶりつく所存。

「いただきまーす!」
「ウッキィ」
「クルゥ」

それぞれ、いただきますの挨拶をしてさっそく目の前のお肉にかぶりついた。

「「「・・・・っ!!!!」」」

三者三様の声にならない表情をしているが、言葉にしなくても美味しいというのが伝わってくる。

見た目通り豚肉に近い味であり臭みは全くなく、脂身も甘く思いのほかさっぱりとしている。
日本の高級豚肉と遜色ないほど美味しい。

これでトンカツしたら最高なのでは...?
そうすぐに考えたが、今のところ卵も手に入っていないので、実現不可能ではあるが。

私はとんかつといえば、大根おろし&ポン酢なので、いつの日かポン酢を作ってオーク肉でトンカツを実現させると誓った。

オーク肉の可能性に思いを馳せながら、堪能していると、ユキとソラが二人でコソコソと話し合いをしていた。

「どしたのー?のけ者とか寂しいじゃん!」

なんてちょっとふざけながら声をかけると、二人から予想外の言葉が返ってきた。

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