Rain -拗らせた恋の行く末は…-

真田晃

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第三章 虚ろいの秋雨

好き

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チッと舌打ちし、手を引っ込めた男がサッと立ち去る。
それを見送る魁斗が、後頭部に手をやりながら口を開いた。

「………ちょっとさ。どっかで話さない?」



駅裏にある、閑静な通り。
小さなコインパーキング前。
促されて膝丈程の縁石に腰を掛ければ、道の向こう側にある自販機へと向かった魁斗が、何か飲み物を買って戻ってくる。
手渡されたのは、ミルクティ。外気はそこまで寒くないのに……指先が、どんどん冷えていく。

「……みーたんって、と付き合ってんだよね」

言いながら僕の隣に腰を下ろし、缶コーヒーのプルタブを上げ、ごくごくと喉を鳴らす。

「……付き合っては……」
「あー、ごめんね。俺さ、一回見ちゃってんだわ。君らが致してる所。
玄関向かう途中に台所のちっさい窓あるっしょ? ちょっと……いや、こんぐらい開いてたんだよね。
玄関開ける前に気付いて良かったっつーか。でもやっぱ、気まずいっつーか。
声漏れてたからさ。そっと窓閉めといたんだけど、気付かなかった?」
「………え」

恥ずかしさが込み上げ、俯く。
もしかして……今井くんと最後にした時の……かな……

「──ところで」

魁斗の声が変わる。

「何であんな事したの?」

魁斗の顔色を覗うように下から見れば、チャラけた雰囲気は取っ払われ、真剣な表情をしていた。

「……」
「出会い系が危険なの、解ってるよね」
「……え」

どうして……
さっきの人との会話を……聞かれてた?
……それとも。今井くんから話を聞いてて──

「まぁ、別に。嫌なら話さなくてもいいよ」

ちょっとごめんねと付け加えた後、魁斗が煙草を取り出して火を付ける。
ふわりと漂うコーヒーの香りを、煙草の臭いが容赦なくかき消す。

「………また、会いたかったんです」

両手で包むようにして、ミルクティーの缶をキュッと強く握る。

「知り合ったのは、出会い系サイトだったけど。……その人は、いつも僕の話を聞いてくれて。優しく寄り添ってくれて。
でも、ある事情で、サヨナラする事になって。でも、本当は──」
「………そらうちの弟、怒るわな」

顎を持ち上げ、フーッと煙草の煙を真上に吐いた後、真っ直ぐ前に向けられていた魁斗の瞳が、静かに僕を見下ろす。

「あんな嫉妬深い奴だとは思わなかったけどな。……でもね、みーたん。好きな相手恋人なら尚更、そんな事されたら誰でも普通にムカつくし、傷付くんじゃね?」
「……」
「だってさ。みーたんの中に、たけしは全然いなかったって事だろ」
「──!」

ズバズバと核心をつかれ、胸が抉られるように痛い。
けど……あの時、今井くんに責められなかった分、救われてるような気がする。

「その、もう一度会いたいって奴の事が、好きなんじゃん?」
「……」


──え……

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