★完結!★【転生はもう結構です!】崖から落とされ死んだ俺は生き返って復讐を誓うけど困ってるドラゴン助けたら女になって娘が出来ました。

monaka

文字の大きさ
254 / 476

第246話:難儀な人生。

しおりを挟む

「で、まずはどこへ向かうのじゃ?」

「シュマルには私とごしゅじんが一緒に暮らしていたおうちがあるんですよぅ♪」

 ラムとネコ、二人の会話に超反応したティアがじーっと俺を見つめてくる。

 いや、見つめるというよりどちらかというと睨んでいるのに近い。

「……なんだよ」

「一緒に暮らしてた、ってあたりを詳しく聞かせてほしいんだゾ?」

 なんか勘違いしてるなこいつ……。

「俺とネコの二人じゃねぇよ。その時はイリスも居たし」

「つまり奥さんと子供が一緒だったって事でしょ?」

 ……こいつの中でもネコは奥さん認定なのかよ。まずその辺の認識をどうにかしたいところだが。

「俺達は一時期ダリルに居られない時があったんだ。その時ひっそり暮らしていたのがシュマルだったんだよ。ほら、あの丘の上に小屋が見えるだろう? あれが目的地だ」

 シルヴァに指定された待ち合わせ場所は俺達が以前住んでいた家だった。

 相手にもその場所を伝えてあるらしい。

 到着すると、なんだか物凄く昔の事のように当時の事が頭をよぎる。

 ネコを助けようとドタバタ出て行ったからなぁ……。

 ネコはラムの車椅子を押したまま、畑だった場所を眺めてなんとも言えない顔をしていた。

 当時この畑はネコがほとんど一人で管理していた。
 やはり今の雑草だらけの草むらと化している状態には想う所あるのかもしれない。

「ネコ、とにかく中に入ってみようぜ」

「うにゃぁ……はぁい」

 耳が心なしか垂れ気味になっている。

『さすが耳フェチなだけあって耳の具合で感情が読み取れるのね』
 いや、これはさすがに分かるだろうよ。

 家の中に入ってみると、かなり埃が積もっていた。
 住む人がしばらく居ないとこんなおんぼろの掘っ立て小屋はすぐに廃墟みたいになっちまうもんなんだな。

「なんだか懐かしいですねぇ」

 当時の荷物なんかも多少そのままになっている。
 あの時ネコは無理矢理連れていかれてそのままここには帰ってなかったから余計久しぶりに感じるのかもしれない。

「この家を指定されたからまさかとは思っていたが……やっぱりアオイちゃんだったのかい」

 俺達が部屋の惨状をぼけっと眺めている間に待ち合わせの相手が到着したらしい。

 それにしても……俺の事をアオイと呼ぶ人間と言えば……。

「バイドさんお久しぶりですぅ♪」
「おう、嬢ちゃんも久しぶりだな」

 ……振り向いた先で家の中を覗き込んでいたのは、ここから少し離れた所にある商業都市レイバンで、俺を守ろうとして死んだロイドの父親。つまり肉屋のおやじだった。

「……まさかお前がリリアからの潜入スパイだったのか?」

「人聞きの悪い事を言わねぇでくれよ。俺は今じゃ立派なシュマル国民さ」

 俺とネコの顔を見て懐かしいような、悲しいような、どちらとも判断つかない表情を浮かべた。

「……そうか、その……ロイドの件は、すまなかった。もう少しちゃんと見ていてやるべきだった」

「しけた面するなよ。あれは馬鹿息子が自分の生き方を貫いた結果だ。ロイドの奴は満足してるさ。それに……お前さんだってそんな事を言いにわざわざこんな所まで来たわけじゃないだろう?」

「ああ」

「とにかく中に入れてくれよ。この年にゃこの家までの道のりがしんどくてたまらねぇ」

「分かった、ちょっと待っていてくれ。掃除するから」

 一度全員を家の中から出し、俺も玄関の外まで出て部屋の中へ手を向けて引力魔法で埃だけをかき集める。

「うおっ、お前さんはただもんじゃねぇとは思ってたが……リリアが使いに出すだけの事はあるな」

 家中の埃を一つの塊にしたらかなりの大きさの球体が出来た。
 部屋の中でやらなくて良かったな……ドア通れないぞこのサイズは。

「とにかく、これで大丈夫だ。みんな中に入ってくれ」

 俺は埃玉を適当に庭先に転がし、家の中に入る。

「なぁ、アオイちゃんよ。出来ればでいいんだがあの時ここに住んでた理由、急に出て行った理由……今更またここに来た理由なんかを聞いてもいいかい?」

 おやじは軋む椅子に座るなり真面目な声で問う。
 レイバンが襲われたのは多分俺が居たから、ではないけれど、俺があの時もう少しちゃんとしてればこいつの息子は死なずに済んだ。
 せめてもの誠意としておやじには教えてやらないとな。

 俺は六竜関連の話などは差っ引いて、ダリルから勇者殺しの汚名を着せられ亡命して来た事、ネコがダリルにさらわれここを出て行った事、その後誤解が解けて旅に出た事、リリア帝国での問題を解決し、その腕を買われてシュマルまで来る事になった事などなど。勿論イリスがさらわれたという件も軽く。

 教えてもいい範囲でかいつまんで話した。
 ティアにも詳しく話してあった訳では無いし、ラムなんかはほとんど初耳だったのでおやじと一緒になって前のめりに聞いていた。

 空気を読んで口は挟まないでいてくれたのがありがたい。

「なるほどな、それでお前さん達は街を出ていったのか。それで今度は娘さんが、とはな……難儀な人生送ってるな」

「違いねぇ」

 おやじに説明する為に今までの経緯をいろいろ思い出してみたが、確かに難儀な人生だ。
 だからこそ早く平穏を取り戻さなくては。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら『塔』の主になった。ポイントでガチャ回してフロア増やしたら、いつの間にか世界最強のダンジョンになってた

季未
ファンタジー
【書き溜めがなくなるまで高頻度更新!♡٩( 'ω' )و】 気がつくとダンジョンコア(石)になっていた。 手持ちの資源はわずか。迫りくる野生の魔物やコアを狙う冒険者たち。 頼れるのは怪しげな「魔物ガチャ」だけ!? 傷ついた少女・リナを保護したことをきっかけにダンジョンは急速に進化を始める。 罠を張り巡らせた塔を建築し、資源を集め、強力な魔物をガチャで召喚! 人間と魔族、どこの勢力にも属さない独立した「最強のダンジョン」が今、産声を上げる!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

ゲームコインをザクザク現金化。還暦オジ、田舎で世界を攻略中

あ、まん。
ファンタジー
仕事一筋40年。 結婚もせずに会社に尽くしてきた二瓶豆丸。 定年を迎え、静かな余生を求めて山奥へ移住する。 だが、突如世界が“数値化”され、現実がゲームのように変貌。 唯一の趣味だった15年続けた積みゲー「モリモリ」が、 なぜか現実世界とリンクし始める。 化け物が徘徊する世界で出会ったひとりの少女、滝川歩茶。 彼女を守るため、豆丸は“積みゲー”スキルを駆使して立ち上がる。 現金化されるコイン、召喚されるゲームキャラたち、 そして迫りくる謎の敵――。 これは、還暦オジが挑む、〝人生最後の積みゲー〟であり〝世界最後の攻略戦〟である。

クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした

コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。 クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。 召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。 理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。 ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。 これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。

処理中です...