★完結!★【転生はもう結構です!】崖から落とされ死んだ俺は生き返って復讐を誓うけど困ってるドラゴン助けたら女になって娘が出来ました。

monaka

文字の大きさ
202 / 476

第196話:職人のプライド。

しおりを挟む

「ありがとうお嬢ちゃん。少しお爺さんと話をさせてもらうよ」

「……あの、その……」

 随分と引っ込み思案な孫みたいだ。僕が一声かけただけで顔を真っ赤にしてしどろもどろになっている。

 ポコナよりも若い。大体十歳前後だろうか?
 片目を隠すようなボブカットで、水色の流れるようなサラサラの髪。
 とても大臣の血を引いているとは思えない。
 奥さんや息子の嫁が余程綺麗な人だったのだろう。

「ミナト殿、孫は……そんな外見をしているが男の子だよ」

「なんと、それは失礼した。気を悪くしたかい?」

「う、ううん」

 大臣の孫は何度も首を横に振り、「僕、部屋に行ってるね」と言って隣の部屋へ逃げるように行ってしまった。

「孫のテラは人見知りが激しくてな。申し訳ない」

「いや、可愛らしい良い子じゃないか」

「……それはそうと、何か話があってきたのであろう?」

 大臣はげっそりと落ちくぼんだ瞳をしていた。
 大分疲れているのだろう。それに、彼にとってはショックな事が続いているのだろうし仕方ないか。

「実は先日の食事に毒が盛られていた件だがね、あれはライルだけではなくあの場に居た全員に毒が盛られていたと分かったよ」

「そ、そうなのか……やはり、私も狙われていたのだな……」

 大臣はかなり落ち込んでしまったようで、頭を抱えてしまった。

「儂は……いい、これまでの人生で人に恨まれる事も沢山してきた。しかし、今儂まで死んでしまったら……」

「テラの事かい?」

「あぁ、あいつは両親を失い、そして祖母である儂の妻まで死んでしもうた。これで儂まで死んだらそれこそ誰も頼る相手がいなくなってしまう」

 そう言って涙を浮かべるベイルは、心の底から孫を心配しているようだった。
 魂の色を確認してもうっすら灰色がかっているもののほとんど白と言ってもいい。

 困ったな……本当なら大臣が犯人でした、くらいの事件だと解決が簡単で良かったんだがこうなってくるとなかなか面倒だぞ。

 だからと言って犯人を見逃すつもりは無いが。


「いろいろ心配なのは分かるが犯人を捕まえてしまえば安心だろう? その為に協力してもらえるかな?」

「……無論だ。儂に出来る事ならなんでもしよう。何が知りたい?」

 とはいえこうなると大臣から得られる情報は少なそうだが……。

「一番問題なのは僕を含む全員に毒が盛られていた事だ」

「それは儂も気になっていた……全員に毒が盛られていたのであれば、手を付けなかったサイラスはともかく儂とミナト殿が無事だった理由はなんだろうとな」

「僕はあの手の毒はきかないんだ」

「では……なぜ? 儂は毒耐性など持っておらんぞ……」

 彼は本当に自分が無事だったのが偶然の産物だったと知って改めて恐怖に震えた。

「毒はどの料理に入れられていたのだ? 儂は偶然それを口にしなかっただけであろうか……?」

 ……どうする? ここでこいつに言っても問題ないだろうか?

「毒はもしかして箸に塗られていたのか?」

「……どうしてそう思う?」

「儂が無事だった事を考えるとあの時皆と違ったのはスプーンを使っていたからではないか、と思ってな」

 なるほどね……。確かにスプーンを使っていたのなら毒を回避できただろう。

「やはりそうなのだな……」

 これ以上隠す必要は無さそうだ。

「君の考え通り毒は箸に塗られていた。僕とライルはそこから毒を摂取させられたわけだね。どうやって君が毒を免れたのか気になっていたのだが謎が一つはっきりしたよ。感謝する」

「儂は妻が逝ってしまってから慣れない家事やらなにやらを初めて自分でやる事になったよ。今まで妻はこんなにも大変な事をずっとしてくれていたんだなぁと感謝したものだ」

 大臣は亡き妻を思い出すように遠い目をして語り出した。

「慣れない事をしたもんでね、ふとした時に右手を痛めてしまったんだ。この身体も相当ガタがきているらしい。しかしそのおかげで箸を避け、スプーンを使う事になった……もしかしたら妻がまだ儂にこちらに来るなと言っていたのかもしれんな」

 右手を痛めていた、か。
 確かにそれのおかげで箸を使う事が無かったのだからある意味亡くなった奥さんのおかげで生き延びる事が出来たのだろう。
 勿論あの場には僕が居たのだからすぐに解毒は出来ただろうが、優先順位としてアリアの兄であるライルを優先していたはずだ。

 ライルの解毒が終わってベイルの順番になるまでに彼の体力がもったかどうかは……正直微妙な所だ。かなり強い毒だったから間に合わなかった可能性は高い。

「……早く、こんな事件を企んだ犯人を見つけ出してくれ。頼む」

 大臣の精神状態はもう限界が近い。
 これ以上長引かせると大臣が倒れてしまいそうだな。

「分かっている。任せておきたまえ」

 大臣の部屋を出て、廊下を歩きながら考える。

 自分で毒を箸に仕込んでおいて本人はスプーンを使って毒を回避する……そういうやり方もあるだろう。
 あるだろうが……大臣がわざわざ配膳前の箸に接触していたら目立つし、どこからか目撃証言が出てきてもいい。
 少なくとも大臣本人が毒を盛ったという線は消していいだろう。

 この状況下で一番怪しいのは配膳したメイドか。

 タイミングを考えると一番手を加えやすい。

 ……全滅目当てで全ての箸に毒を塗るだけならばコックも可能ではあるか。

 もう一度コックに話を聞く必要があるな。



「なんだよまた来たのかよこっちも忙しいんだが?」

「すまないね。君に聞きたい事が増えてしまって。ちなみに君の仕事はどこからどこまでだい?」

 再び厨房でコックに確認を取る。恐らく予想通りの答えが返ってくるとは思うが。

「コックの仕事なんてのは料理を作って皿に盛るまでに決まってるだろうが。そっから先は俺には知ったこっちゃねぇよ」

「あの時配膳したメイドが誰なのか分かるかな?」

「さぁな。適当なメイド捕まえて聞いてみてくれよ。俺の仕事は美味い料理を作るだけだからよ」

 そう言ってニカっと笑うコック。
 誇りを持った仕事人って感じで少しかっこよかった。

「……事件が解決したら改めてきちんと君の作った料理を食べさせてもらうよ」


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

魔力ゼロで出来損ないと追放された俺、前世の物理学知識を魔法代わりに使ったら、天才ドワーフや魔王に懐かれて最強になっていた

黒崎隼人
ファンタジー
「お前は我が家の恥だ」――。 名門貴族の三男アレンは、魔力を持たずに生まれたというだけで家族に虐げられ、18歳の誕生日にすべてを奪われ追放された。 絶望の中、彼が死の淵で思い出したのは、物理学者として生きた前世の記憶。そして覚醒したのは、魔法とは全く異なる、世界の理そのものを操る力――【概念置換(コンセプト・シフト)】。 運動エネルギーの法則【E = 1/2mv²】で、小石は音速の弾丸と化す。 熱力学第二法則で、敵軍は絶対零度の世界に沈む。 そして、相対性理論【E = mc²】は、神をも打ち砕く一撃となる。 これは、魔力ゼロの少年が、科学という名の「本当の魔法」で理不尽な運命を覆し、心優しき仲間たちと共に、偽りの正義に支配された世界の真実を解き明かす物語。 「君の信じる常識は、本当に正しいのか?」 知的好奇心が、あなたの胸を熱くする。新時代のサイエンス・ファンタジーが、今、幕を開ける。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

戦国鍛冶屋のスローライフ!?

山田村
ファンタジー
延徳元年――織田信長が生まれる45年前。 神様の手違いで、俺は鹿島の佐田村、鍛冶屋の矢五郎の次男として転生した。 生まれた時から、鍛冶の神・天目一箇神の手を授かっていたらしい。 直道、6歳。 近くの道場で、剣友となる朝孝(後の塚原卜伝)と出会う。 その後、小田原へ。 北条家をはじめ、いろんな人と知り合い、 たくさんのものを作った。 仕事? したくない。 でも、趣味と食欲のためなら、 人生、悪くない。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...