16 / 40
第一章 純真妖狐(?)といっしょ
4-4. Side K
しおりを挟む
4-4.
「…オミ、あなた何考えてるの?」
「…」
立腹気味の従姉の呼び出し、それに素直に応じる程度には、自身の非を自覚して沈黙する。
「あのね?一花ちゃんは、監視対象ではあるけど、保護対象でもあるわけ。それを、あんなに脅えさせるなんて、本当、何やってるのよ」
「…悪かった」
「監視は私に振られた役目でしょう?それを横からっていうのは、私のこと信頼してないって言ってるのと同じだよ?」
「…綾香を信用してないわけじゃない」
だったら何なのだと、怒りのおさまらない従姉に詰め寄られて、言葉を探す。
「…ただ、見える人間が側にいたほうがいいと思ったんだよ」
綾香の視線が、自身の背後、壁に立て掛けられた得物に向けられる。
「…あのね、あなたがそんなもんもってウロウロしてたら、一花ちゃんにとっては恐怖以外の何物でもないの!」
「…」
それは承知の上、しかしそれでも、何もせずにはいられなかったのだ。結果として、徒に彼女を脅えさせることになってしまったのは完全に失敗だったが―
「…本部から感知用の石も借りてきてるから、大丈夫。何かあれば直ぐに連絡する。約束するから」
「…」
「…これ、一つ上げるから。これ持って大人しく帰りなさい」
「…なに?」
「彼女の手作り『蒸しパン』。美味しかったわよ?」
「…」
押し付けるように渡されたのは菓子。決して甘いものは得意ではないけれど―
結局、黙って一つを受け取って、従姉の部屋を後にした。
「…オミ、あなた何考えてるの?」
「…」
立腹気味の従姉の呼び出し、それに素直に応じる程度には、自身の非を自覚して沈黙する。
「あのね?一花ちゃんは、監視対象ではあるけど、保護対象でもあるわけ。それを、あんなに脅えさせるなんて、本当、何やってるのよ」
「…悪かった」
「監視は私に振られた役目でしょう?それを横からっていうのは、私のこと信頼してないって言ってるのと同じだよ?」
「…綾香を信用してないわけじゃない」
だったら何なのだと、怒りのおさまらない従姉に詰め寄られて、言葉を探す。
「…ただ、見える人間が側にいたほうがいいと思ったんだよ」
綾香の視線が、自身の背後、壁に立て掛けられた得物に向けられる。
「…あのね、あなたがそんなもんもってウロウロしてたら、一花ちゃんにとっては恐怖以外の何物でもないの!」
「…」
それは承知の上、しかしそれでも、何もせずにはいられなかったのだ。結果として、徒に彼女を脅えさせることになってしまったのは完全に失敗だったが―
「…本部から感知用の石も借りてきてるから、大丈夫。何かあれば直ぐに連絡する。約束するから」
「…」
「…これ、一つ上げるから。これ持って大人しく帰りなさい」
「…なに?」
「彼女の手作り『蒸しパン』。美味しかったわよ?」
「…」
押し付けるように渡されたのは菓子。決して甘いものは得意ではないけれど―
結局、黙って一つを受け取って、従姉の部屋を後にした。
0
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。
王宮に薬を届けに行ったなら
佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。
カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。
この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。
慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。
弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。
「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」
驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。
「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」
※ベリーズカフェにも掲載中です。そちらではラナの設定が変わっています。(貴族→庶民)それにより、内容も少し変更しておりますのであわせてお楽しみください。
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる