115 / 159
(114)
しおりを挟む
一方、調査とあわよくば一気に配下にしてやろうと思い、最早虎の子になっているゴーストを一体差し向けた神保は、順調に侵攻しているとの定期連絡を受けて安堵していたのだが、突如としてその存在との繋がりが切れた事に驚く。
「な……あのダンジョンも、手練れがいるの?」
もう残っているゴーストは四体しかいない。
ダンジョンの階層を無駄に大きくしてしまったので、何をするにも膨大な内包魔力が必要になっている神保のダンジョン。
今まで長きにわたって内包魔力を貯めて、一体ずつチマチマ召喚してきた最高戦力のゴーストを立て続けに失ってしまったのだ。
召喚魔物としてはもう少し格上の存在もいるのだが、必要内包魔力が桁違いの為に諦めていた。
ハライチとミズイチが準備していた三種の魔物はゴーストよりも格上の召喚魔物であり、初期の段階での必要内包魔力は、ゴーストが6万に対して、あの三種は15万。
そこに階層増加に応じた分が加算されてくるので、全85階層と言う化け物じみた階層を持つ神保のダンジョンでは召喚する事は出来ない。
ゴーストでさえ、番だったダンジョンマスターや弦間から譲渡された内包魔力があって召喚できたのだから……
それに、このゴーストだけではなくレベルの高い召喚魔物は自然交配や分裂はしないので、ダンジョン内部で数を増やすと言う事が一切できず、非常に貴重な存在なのだ。
虎の子ゴーストを一気に複数体失った神保は、良くない流れが継続していると判断する。
「暫くは大人しくしているべきかしらね。ここの所、バタバタして良くなかったわ。今度はあの三人のダンジョンマスターと、召喚冒険者の岩本、それと三原だったかしら?その辺りを手に入れてからの方がよさそうね」
再び表舞台から完全に消える様に大人しくなる神保だが、これは手遅れだ。
真実を知らない召喚者達の間では相当大人しいマスターだと認識されているのだが、その裏では配下を増やして地上の者達に復讐を企んでいる。
既にチェーの分裂体からの情報で、以前の三つのダンジョンの戦闘に神保が介入していた事を把握しており、当然神保のダンジョン内部についても詳細を調べ始めているハライチとミズイチ。
今の所、攻撃を仕掛けてこなければ何か対処するつもりはないが、一般的に知られている大人しいマスターではないと言う事は既に理解できている。
一方の神保の作戦に組み込まれてしまっている召喚冒険者の岩本に至っては、右手の欠損を補うために王都に戻り、三原と同じく魔道具を手に入れている最中であり、王城で不遜な態度を取り続けながらも引きこもっているし、三原も復讐対象である吉川、笹岡、藤代、椎名を目的に活動している。
吉川と笹岡はコッタ帝国の美智のダンジョンに潜り続けた状態だし、藤代と椎名にしても、自らのレベルを上げる事が重要だと活動しているので、魔物討伐やダンジョン進入を繰り返していた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
美智のダンジョン6階層を順調に進んでいた吉川と笹岡は、一瞬有りえない程の恐怖に襲われ……あろうことか一切動けなくなってしまった。
その恐怖も数秒で収まり動けるようになったのだが、まるで巨大な象に見下ろされている一匹の手足を失った蟻であるかのような気分になっていた。
「よ、吉川殿。今日は一旦撤退すべきではないか?」
普段冷静沈着な笹岡がどもってしまう程で、吉川も迷いもせずに撤退を決めて上層階を目指し始める。
2階層まで到達すると、同じように殺気にあてられたのか二人の冒険者が壁にもたれて休憩をしているが、その周辺には魔核が散乱しており、恐らくこの魔核を回収している最中に殺気に襲われて作業を中断して休憩しているのだろうと推測する。
「笹岡。確か、落ちている者は拾った者に所有権があるのだったよな?」
「……そうだな」
レベル上げを至上命題とはしているが、収入は多い方が良いので、動けない二人を尻目に根こそぎ魔核を奪って消えて行く二人。
壁にもたれて動けない二人は悔しそうに目の前の強奪行為を見つつも、自らに攻撃の矛先が向かわなかった事だけには安堵していた。
即座に動ける人とそうでない人……その者の耐性やレベルによるところが大きく、今この場にいる冒険者は普通の人族の冒険者であり、引き締まった肉体に真っ赤な髪をポニーテールにしているリリアと言う女性と、同じく真っ赤な髪ではあるのだが、フードで顔を隠しているハシムと言う男だ。
数時間後、漸く動けるようになった二人。
幸か不幸か二階層にいた魔物も同じ状態と言うよりも、もっと悪い状態であったらしく、動けない間に姿を見せる事はなく、無事に上層階に向かう事が出来ている。
「今回は、災難だったわね。でも、命があるだけ儲けものだね!」
「そうだな。割り切るしかねーな。だが……あいつらが召喚冒険者。評判は良くねーが、その通りだったな」
吉川と笹岡はコッタ帝国に移動してから長く活動をしており、そのレベルの高さを利用して強制的に他人の獲物を横取りすると言った愚行が噂になり始めていた。
今回のように帰還途中に特に多く、とある冒険者パーティーが必死で戦闘して弱らせている魔物を横取りして止めを刺し、レベル上昇だけは奪っていくと言う蛮行を繰り返していたのだ。
噂は噂と割り切っていた二人だが、その現場を目の当たりにして、いつ行動がエスカレートして自分達命の危険があるのかわからないと判断し、移動する事を検討する。
「な……あのダンジョンも、手練れがいるの?」
もう残っているゴーストは四体しかいない。
ダンジョンの階層を無駄に大きくしてしまったので、何をするにも膨大な内包魔力が必要になっている神保のダンジョン。
今まで長きにわたって内包魔力を貯めて、一体ずつチマチマ召喚してきた最高戦力のゴーストを立て続けに失ってしまったのだ。
召喚魔物としてはもう少し格上の存在もいるのだが、必要内包魔力が桁違いの為に諦めていた。
ハライチとミズイチが準備していた三種の魔物はゴーストよりも格上の召喚魔物であり、初期の段階での必要内包魔力は、ゴーストが6万に対して、あの三種は15万。
そこに階層増加に応じた分が加算されてくるので、全85階層と言う化け物じみた階層を持つ神保のダンジョンでは召喚する事は出来ない。
ゴーストでさえ、番だったダンジョンマスターや弦間から譲渡された内包魔力があって召喚できたのだから……
それに、このゴーストだけではなくレベルの高い召喚魔物は自然交配や分裂はしないので、ダンジョン内部で数を増やすと言う事が一切できず、非常に貴重な存在なのだ。
虎の子ゴーストを一気に複数体失った神保は、良くない流れが継続していると判断する。
「暫くは大人しくしているべきかしらね。ここの所、バタバタして良くなかったわ。今度はあの三人のダンジョンマスターと、召喚冒険者の岩本、それと三原だったかしら?その辺りを手に入れてからの方がよさそうね」
再び表舞台から完全に消える様に大人しくなる神保だが、これは手遅れだ。
真実を知らない召喚者達の間では相当大人しいマスターだと認識されているのだが、その裏では配下を増やして地上の者達に復讐を企んでいる。
既にチェーの分裂体からの情報で、以前の三つのダンジョンの戦闘に神保が介入していた事を把握しており、当然神保のダンジョン内部についても詳細を調べ始めているハライチとミズイチ。
今の所、攻撃を仕掛けてこなければ何か対処するつもりはないが、一般的に知られている大人しいマスターではないと言う事は既に理解できている。
一方の神保の作戦に組み込まれてしまっている召喚冒険者の岩本に至っては、右手の欠損を補うために王都に戻り、三原と同じく魔道具を手に入れている最中であり、王城で不遜な態度を取り続けながらも引きこもっているし、三原も復讐対象である吉川、笹岡、藤代、椎名を目的に活動している。
吉川と笹岡はコッタ帝国の美智のダンジョンに潜り続けた状態だし、藤代と椎名にしても、自らのレベルを上げる事が重要だと活動しているので、魔物討伐やダンジョン進入を繰り返していた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
美智のダンジョン6階層を順調に進んでいた吉川と笹岡は、一瞬有りえない程の恐怖に襲われ……あろうことか一切動けなくなってしまった。
その恐怖も数秒で収まり動けるようになったのだが、まるで巨大な象に見下ろされている一匹の手足を失った蟻であるかのような気分になっていた。
「よ、吉川殿。今日は一旦撤退すべきではないか?」
普段冷静沈着な笹岡がどもってしまう程で、吉川も迷いもせずに撤退を決めて上層階を目指し始める。
2階層まで到達すると、同じように殺気にあてられたのか二人の冒険者が壁にもたれて休憩をしているが、その周辺には魔核が散乱しており、恐らくこの魔核を回収している最中に殺気に襲われて作業を中断して休憩しているのだろうと推測する。
「笹岡。確か、落ちている者は拾った者に所有権があるのだったよな?」
「……そうだな」
レベル上げを至上命題とはしているが、収入は多い方が良いので、動けない二人を尻目に根こそぎ魔核を奪って消えて行く二人。
壁にもたれて動けない二人は悔しそうに目の前の強奪行為を見つつも、自らに攻撃の矛先が向かわなかった事だけには安堵していた。
即座に動ける人とそうでない人……その者の耐性やレベルによるところが大きく、今この場にいる冒険者は普通の人族の冒険者であり、引き締まった肉体に真っ赤な髪をポニーテールにしているリリアと言う女性と、同じく真っ赤な髪ではあるのだが、フードで顔を隠しているハシムと言う男だ。
数時間後、漸く動けるようになった二人。
幸か不幸か二階層にいた魔物も同じ状態と言うよりも、もっと悪い状態であったらしく、動けない間に姿を見せる事はなく、無事に上層階に向かう事が出来ている。
「今回は、災難だったわね。でも、命があるだけ儲けものだね!」
「そうだな。割り切るしかねーな。だが……あいつらが召喚冒険者。評判は良くねーが、その通りだったな」
吉川と笹岡はコッタ帝国に移動してから長く活動をしており、そのレベルの高さを利用して強制的に他人の獲物を横取りすると言った愚行が噂になり始めていた。
今回のように帰還途中に特に多く、とある冒険者パーティーが必死で戦闘して弱らせている魔物を横取りして止めを刺し、レベル上昇だけは奪っていくと言う蛮行を繰り返していたのだ。
噂は噂と割り切っていた二人だが、その現場を目の当たりにして、いつ行動がエスカレートして自分達命の危険があるのかわからないと判断し、移動する事を検討する。
0
あなたにおすすめの小説
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。
生きるために走る者は、
傷を負いながらも、歩みを止めない。
戦国という時代の只中で、
彼らは何を失い、
走り続けたのか。
滝川一益と、その郎党。
これは、勝者の物語ではない。
生き延びた者たちの記録である。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる