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第47話 日本食
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温泉を満喫して外に出る。
ちゃんと浴衣も用意して用意してくれているのがありがたい。
俺が半神半人だからなのか、何となく幻と実物の区別がつくようになった。
幻と言っても、実体がある幻というか、一種の召喚魔法、いや、想像魔法のようにも見える。
魔力が続く限り実体し続ける実態を持つ幻。
それ程彼女のお母さんは素晴らしい力を持っていたのかも知れない。
それにしても日本文化なのが気になる。
置かれている浴衣に着替える。これは現実の物なんだな。ということは、実際誰かが編んだことになるのか。
温泉を出て、近くにある家に入ると和食がずらりと並んでいた。
食事も幻ではあるんだけど、どうなるんだろう?
「さあさあ、皆さん! どうぞどうぞ!」
彼女は嬉しそうに俺達を案内してくれる。
「いまさらなんだけど、俺はアルマ。こちらがクレアとルークで妹弟なんだ。そして、仲間のシャリー、リアちゃん、ソフィアちゃんだよ」
「ああっ! 私ったら自己紹介もせずにすいません! 私は――――サツキといいます」
サツキ!?
明らかに日本名だよな……。
「サツキちゃんなんだね~不思議な響きだけど凄く良い名前だね!」
「はい! お母さんが付けてくれた名前のようです!」
「ん? お父さんちゃなくて、お母さん?」
「はいなのです!」
てっきりお父さんの方が日本人だと思ったら、精霊さんのお母さんの方だった。
まあ、ご両親の事はあまり深く聞かない方が良さそうにも思える。
サツキちゃんが用意してくれた和食を食べ始める。
山の上では決して取れるはずもない海魚の刺身や海鮮物が並んだり、野菜の旨さがしみ込んだ料理に嬉しくなる。
何より――――日本の調味料を味わえるのは素晴らしい!
「どれも繊細な味で、食べれば食べる程に美味しいね!」
どうやらシャリーも気に入った模様。
ただ、クレアとルークは物足りなさそうにしている。
味もそうだけど、俺達は食べ物を魔力に変換して生きながらえている。
サツキちゃんが作ってくれた料理はどれも美味しくて繊細な作りなのだが、彼女の魔力によって生まれたものだ。ただ、幻とはいえ実体を持っているので食べたシャリー達はとても満足いくものになっているだろうけど、俺と妹弟たちには満足感は少し足りない。正直にいえば、普通の食事の方が腹の満足感は得られるくらいだ。
となると、ごくわずかの魔力でここまで作れるのだから、サツキちゃんの力はとんでもない物かも知れないな。
「あ、あの……お口に合わないのでしょうか……」
「うん? 凄く美味しいよ? 特に俺は大満足かな~日本食なんて久しぶりだからな~」
「え~!? お兄さんってニホンの事を知っているんですか!?」
なるほど。やはりか。
彼女自身も日本という言葉を知っているから、間違いなく彼女のお母さんも――――――。
「サツキちゃんはお母さんから?」
「そうです! お母さんが住んでいた精霊界という場所には日本という国があって、お母さんが生まれ育った場所だと言ってました!」
精霊界か。それなら日本のことを教えるのも簡単というわけだな。
「実は俺も日本生まれなんだ」
「わあ! お兄さんも精霊さん? あれ?」
「あはは、俺は精霊じゃなくて――――神獣なんだ。半分だけだけど。サツキちゃんのように」
「えっ!?」
「半分神獣、半分人族なんだ。だからサツキちゃんとは何かと似てる部分が多いかもね。それで、サツキちゃん? 一つ聞いてもいいかな?」
「はい! 何でも聞いてください!」
目を光らせたサツキちゃんの親密度がぐっと上がったのを感じる。
俺が半分神獣であり、日本生まれ育ちだけが理由ではないと思う。きっと、この村で長年一人で過ごしているのだろうね。
「答えづらいかも知れないけど、ご両親はいつ頃戻る予定なんだい?」
「え、えっと……それは私も分かりません…………二人とも大事な事があるからと、外に出たっきり全く連絡もなくて…………」
「そうなんだ。変なことを聞いてごめんね」
「いいえ! えっと、お兄さんに私から一つお願いがあるんですがいいですか?」
「ん? 俺に? いいよ?」
すると彼女は少し待ってくれと言い、会場を後にした。
彼女の帰りを待ちながら、久しぶりに日本食を堪能する。本当に懐かしいな。もう十五年もなるんだな。
「アルマ様? こちらに近い味なら私でも再現できそうです。今度挑戦してみましょうか?」
「本当~!? それなら嬉しいな!」
「はい! ただ……このオコメというのは難しいですね。こんなふっくらとした優しい甘さと触感が出せる食べ物は私の知識ではないので……」
「米は仕方ないよね。この世界のどこかに米に似た物があればいいんだけど……まあ、広い世界のどこかにあるかも知れないから、その時でも十分だよ。ありがとうな。ソフィアちゃん」
「いえっ! 食事に関しては責任をもって頑張りますので、何でも言ってください!」
食事の事となると、ソフィアちゃんの熱が上がるのは彼女が料理好きだからだと思う。
リアちゃんも彼女を応援するようにファイティングポーズをする。可愛い。
「お、お待たせしました~」
慌ただしくやってきたサツキちゃんの手には一枚の手紙――――じゃなくて巻物を持って来た。
「お母さんから霧を越えてここに辿り着いた人で信用できる人に、これを見せて欲しいと言われまして……」
「そっか。まだ会って間もないけど、サツキちゃんに信頼されたのなら嬉しいな。ぜひ読ませてもらうよ」
そして、巻物を受け取った。
ちゃんと浴衣も用意して用意してくれているのがありがたい。
俺が半神半人だからなのか、何となく幻と実物の区別がつくようになった。
幻と言っても、実体がある幻というか、一種の召喚魔法、いや、想像魔法のようにも見える。
魔力が続く限り実体し続ける実態を持つ幻。
それ程彼女のお母さんは素晴らしい力を持っていたのかも知れない。
それにしても日本文化なのが気になる。
置かれている浴衣に着替える。これは現実の物なんだな。ということは、実際誰かが編んだことになるのか。
温泉を出て、近くにある家に入ると和食がずらりと並んでいた。
食事も幻ではあるんだけど、どうなるんだろう?
「さあさあ、皆さん! どうぞどうぞ!」
彼女は嬉しそうに俺達を案内してくれる。
「いまさらなんだけど、俺はアルマ。こちらがクレアとルークで妹弟なんだ。そして、仲間のシャリー、リアちゃん、ソフィアちゃんだよ」
「ああっ! 私ったら自己紹介もせずにすいません! 私は――――サツキといいます」
サツキ!?
明らかに日本名だよな……。
「サツキちゃんなんだね~不思議な響きだけど凄く良い名前だね!」
「はい! お母さんが付けてくれた名前のようです!」
「ん? お父さんちゃなくて、お母さん?」
「はいなのです!」
てっきりお父さんの方が日本人だと思ったら、精霊さんのお母さんの方だった。
まあ、ご両親の事はあまり深く聞かない方が良さそうにも思える。
サツキちゃんが用意してくれた和食を食べ始める。
山の上では決して取れるはずもない海魚の刺身や海鮮物が並んだり、野菜の旨さがしみ込んだ料理に嬉しくなる。
何より――――日本の調味料を味わえるのは素晴らしい!
「どれも繊細な味で、食べれば食べる程に美味しいね!」
どうやらシャリーも気に入った模様。
ただ、クレアとルークは物足りなさそうにしている。
味もそうだけど、俺達は食べ物を魔力に変換して生きながらえている。
サツキちゃんが作ってくれた料理はどれも美味しくて繊細な作りなのだが、彼女の魔力によって生まれたものだ。ただ、幻とはいえ実体を持っているので食べたシャリー達はとても満足いくものになっているだろうけど、俺と妹弟たちには満足感は少し足りない。正直にいえば、普通の食事の方が腹の満足感は得られるくらいだ。
となると、ごくわずかの魔力でここまで作れるのだから、サツキちゃんの力はとんでもない物かも知れないな。
「あ、あの……お口に合わないのでしょうか……」
「うん? 凄く美味しいよ? 特に俺は大満足かな~日本食なんて久しぶりだからな~」
「え~!? お兄さんってニホンの事を知っているんですか!?」
なるほど。やはりか。
彼女自身も日本という言葉を知っているから、間違いなく彼女のお母さんも――――――。
「サツキちゃんはお母さんから?」
「そうです! お母さんが住んでいた精霊界という場所には日本という国があって、お母さんが生まれ育った場所だと言ってました!」
精霊界か。それなら日本のことを教えるのも簡単というわけだな。
「実は俺も日本生まれなんだ」
「わあ! お兄さんも精霊さん? あれ?」
「あはは、俺は精霊じゃなくて――――神獣なんだ。半分だけだけど。サツキちゃんのように」
「えっ!?」
「半分神獣、半分人族なんだ。だからサツキちゃんとは何かと似てる部分が多いかもね。それで、サツキちゃん? 一つ聞いてもいいかな?」
「はい! 何でも聞いてください!」
目を光らせたサツキちゃんの親密度がぐっと上がったのを感じる。
俺が半分神獣であり、日本生まれ育ちだけが理由ではないと思う。きっと、この村で長年一人で過ごしているのだろうね。
「答えづらいかも知れないけど、ご両親はいつ頃戻る予定なんだい?」
「え、えっと……それは私も分かりません…………二人とも大事な事があるからと、外に出たっきり全く連絡もなくて…………」
「そうなんだ。変なことを聞いてごめんね」
「いいえ! えっと、お兄さんに私から一つお願いがあるんですがいいですか?」
「ん? 俺に? いいよ?」
すると彼女は少し待ってくれと言い、会場を後にした。
彼女の帰りを待ちながら、久しぶりに日本食を堪能する。本当に懐かしいな。もう十五年もなるんだな。
「アルマ様? こちらに近い味なら私でも再現できそうです。今度挑戦してみましょうか?」
「本当~!? それなら嬉しいな!」
「はい! ただ……このオコメというのは難しいですね。こんなふっくらとした優しい甘さと触感が出せる食べ物は私の知識ではないので……」
「米は仕方ないよね。この世界のどこかに米に似た物があればいいんだけど……まあ、広い世界のどこかにあるかも知れないから、その時でも十分だよ。ありがとうな。ソフィアちゃん」
「いえっ! 食事に関しては責任をもって頑張りますので、何でも言ってください!」
食事の事となると、ソフィアちゃんの熱が上がるのは彼女が料理好きだからだと思う。
リアちゃんも彼女を応援するようにファイティングポーズをする。可愛い。
「お、お待たせしました~」
慌ただしくやってきたサツキちゃんの手には一枚の手紙――――じゃなくて巻物を持って来た。
「お母さんから霧を越えてここに辿り着いた人で信用できる人に、これを見せて欲しいと言われまして……」
「そっか。まだ会って間もないけど、サツキちゃんに信頼されたのなら嬉しいな。ぜひ読ませてもらうよ」
そして、巻物を受け取った。
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