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番外編
※ランヴァルト視点 非道
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ケルベロス・ネオの討伐に出発して、奴が根城にしている古城の前まで来た。
どんな罠があってもおかしくない。
先ずはスカウトが先行して、罠の確認と内部の把握をしないと。
レイモンドのパーティのメンツなら、シーフのテレサか、モンクのケビンあたりかな。
そう思っていると、イバリンがシルヴィアの方を振り向いた。
「行け、吸血鬼。先行するんだ。」
・・・は?
シルヴィアは大人しく従って、古城へと足を踏み入れる。
スカウトの仕方は、俺やフェレミスも教えてきた。
なるべく姿勢を低く、いきなり行かずにまずは目視。
振動、音、匂い、構造物の状態の把握。
シルヴィアは慎重に、中を覗き込む。
そうそう、うまい。
だが、イバリンは何を思ったのか、シルヴィアの背中を押して、扉の中に突き飛ばした。
「さっさと行け!モタモタしていたら、日が暮れる!!」
「きゃ!」
シルヴィアが転んだその瞬間、トラップが発動する。
無数の矢が飛んできて、シルヴィアのいる場所に降り注いだのだ。
俺は慌てて、彼女の元へと急ぐ。
中を見ると、矢が床に刺さっていて彼女の姿が見えない。
・・・ほ。透明化して矢を避けたのか。
「フハハ、まずは、トラップの一つ目クリアだな。おい、吸血鬼出て来い!」
イバリンが、命令口調でシルヴィアを呼びつけた。
なんなんだよ、こいつ!?
俺は奴の背中を睨みつける。
シルヴィアは、壁にもたれた状態で姿を現してきた。
!?矢が肩に刺さってる!!
「大丈夫・・・なの!?」
俺は、彼女に駆け寄って肩に刺さった矢を抜いてやった。
「ありがとう。」
シルヴィアは、申し訳なさそうに頭を下げてくる。
傷口はすぐに塞がり、出血も止まった。
「フハハ、ランヴィー、ほっとけ。吸血鬼はこの程度で死にはせん。」
イバリンは、部屋の先へ押し込むように、シルヴィアの背中を押した。
まさか・・・今までずっとこの調子で全ての罠を彼女で発動させてから、他のメンバーを進ませてたんじゃないだろうな!?
「毎回、サクサク進めるな。」
レイモンドが、嬉しそうに話す。
「運動神経悪くても、楽だよね。」
黒魔道士のジェフが、話を合わせてきた。
こいつら・・・!
誰もシルヴィアに感謝をしない。
常態化している証拠だ。
その先のトラップも、全てシルヴィアを犠牲にして進み続けた。
いくら、不死身で怪我が治るといってもあんまりだ。
時間優先なのか?
一度きりの罠なら、発動させた方が、確かに早く抜けられる。
仲間たちも、どんな罠があるのか目の前で確認出来る。
でも、回避できるなら、するのがトラップだろ。
せめて、戦闘はみんなでやるよな?
その期待はすぐに裏切られた。
ケルベロス・ネオの眷属との戦いも、彼女一人でこなしている。
損耗を恐れて、誰も戦わない気か!?
「アタイたちも、戦うわよぉ?」
怒りに声を震わせるフェレミスが、イバリンに声をかける。
「フハ、気にするな、レミス。眷属たちのランクはA以上だ。B以下の戦力しかないこちらは、すぐに全滅してしまう。それに、見ろ。」
シルヴィアは、遠隔の刃を見事に操って、眷属たちを次々と倒していく。
だが、数が多い。連戦に次ぐ連戦。
肩で息をしながら、彼女は戦っていた。
イバリンは、顎をしゃくってふんぞりかえる。
「フハハ、問題ないだろ?それにな、彼女は『人間のために戦う』と、心に決めているそうじゃないか。」
「・・・それは、大切な人を亡くして泣く人を減らしたいから・・・じゃないかしら。」
俺は、怒りを抑えてイバリンを見た。
奴は、ますます笑い出す。
「フハハ!いやいや。自ら消耗品になると、言ってるようなものだ。お、弱った奴がいる。
おい、レイモンド!トドメはお前が刺しておけ。」
消耗品だと!?
イバリンに呼ばれたレイモンドは、仲間と一緒に瀕死の眷属にトドメを刺した。
「武器に少しは痕がないと、怪しまれるからな。」
姑息な奴。
けれど・・・。
負った傷を治しながら、先行するシルヴィアの背中に、俺はたまらなくなった。
もういい。もう沢山だ。
今日のことは全部報告して、全員に償わせてやる!!
変装を解こうとしたその時、異様な気配が近づいてきていることに気づいた。
来やがったか!!
フェレミスも銃を抜いて、構えている。
すると突然、目の前の扉を破った三つの頭が、同時に大声で吠えた。
SSクラスの魔物、ケルベロス・ネオ。
「グフォォォォ!!」
「ひー!」
「きゃー!!」
レイモンドたちは、腰を抜かして座り込んでしまった。
イバリンは、シルヴィアの後ろに隠れて震えながら命令している。
「フハハ・・・は、は、早く倒せ!吸血鬼!!」
「隠れてください!危険です!!」
「フハ!くそっ!上着が・・・震えてボタンが外せない!」
イバリンは、上着のボタンに四苦八苦している。なにやってんだ!?
さっさとシルヴィアから離れてやれ!!
彼女の動きに影響してしまう!
「フハハーン!!無理だぁ!吸血鬼、吸血鬼!お、お、俺を守れ!いいか?俺を守れ、何より俺の命が最優先だぁ!!」
シルヴィアは、イバリンを庇いながらケルベロス・ネオの口から吐き出される炎や毒の霧を、見えない壁で防いでいる。
ふざけんなよ!
俺は素早く剣を抜くと、三つの頭のうち、1番端の首を斬り落とした。
フェレミスは、真ん中の首に銀の弾丸をありったけ撃ち込み、粉砕する。
シルヴィアは、残り一つになった首を、遠隔の刃で斬り落とした。
ズズン!!
ケルベロス・ネオが倒れた途端、古城が崩れ出した。
俺たちは、腰を抜かして動けないパーティメンバーをそれぞれ抱えて、外に脱出する。
その後は、もちろん、帰ったさ。
ギルドにつくなり、怯えていたイバリンはすぐに元気になった。
「フハハ、では報告に行こうか。」
イバリンは、ジェシカの窓口で報告をしている。
ジェシカは頷きながら、何か書面を書いていた。
・・・まさか?
報告書は、彼女が書いてるんじゃないだろうな。
イバリンは、俺たちの元へと戻ってくると、
「ふふ、喜べ。吸血鬼以外は、Aランクに昇格だ!レイモンドはSだな。」
と、言いやがった。
まだ、査定されてないだろ?
それに、やっぱり飛び級はあるじゃないか。
「あらぁ?この一回でそんなに飛び級できるのぉ?」
フェレミスが、さりげなくイバリンに質問する。
「レイモンドたちは、今日でこの手の討伐を10回成功させてる。お前たちはまだ1回目だから、飛び級は無理だ。」
「10回も?すっごいわぁ。」
「手早く済ませれば、1日でニ、三ヶ所回れるからな。」
だから、こいつシルヴィアを急かしてたのか。
戦闘も彼女一人なら、他のメンバーは体力の温存ができる。
「あら?それなら、なんでシルヴィアは昇格しないの?」
俺は、イバリンに直接聞くことにした。
彼女の貢献度の高さなら、DからSでもおかしくない。
当のイバリンは、鼻で笑った。
「罠という罠に全てかかって、我々の足を引っ張り、何もしてない吸血鬼がするわけない。種族の持つ能力に頼りきりだしな。」
!!
これか。
これがこいつの常套手段なのか。
俺は怒り心頭で、イバリンの胸ぐらを掴もうとした時、ハンナの声がした。
「おかえりー、ランヴィー!レミスー。」
ハンナはそそくさと俺たちの報酬を受け取ると、馬車を飛ばしてシルヴィアよりも先に俺の家に送ってくれた。
俺は変装を解いて、椅子をガン!と蹴り上げる。
「・・・想像してたより、ひどいわ。私と一緒の時は、イバリンもいない時だったし、そんなことなかったのに。」
と、ハンナがため息をついた。
フェレミスも服を整えて、椅子に腰掛ける。
「俺も昔、他のハンターに似たようなことされたけどさ、俺の時はそんなことするなと、止めてくれた人もいたんだよ。」
・・・そうなんだよな。
酷い人間もいるけれど、それは良くないと止める人間もいる。
けれど、シルヴィアには誰もいなかった。
おそらく、あのイバリンが巧妙に仕組んでいるからだろう。
ふと、留守番をしていたモーガンが、開いた窓から外に向かって飛んでいく。
俺はハッとなって、モーガンを追って走り出た。
パシャン!
俺の家の近くの森の中には、湖がある。
シルヴィアは、そこで水浴びをしていた。
モーガンは、近くの木に止まって彼女を見ている。
湖のほとりには、汚れて破れた服と綺麗な服が、並べて置いてあった。
・・・俺に心配かけないように、いつもここで綺麗にしてから帰ってきているんだな。
気がつくと、俺は服のまま湖に入って、彼女のそばに近づいていた。
「え!?ランヴァルト?」
シルヴィアが驚いて振り向くのを、俺はきつく抱き締める。
「ごめん。」
それしか言えない。
「どうしたの?ランヴァルト。」
「ごめん・・・!!」
俺はしばらく、そのまま動かなかった。
どんな罠があってもおかしくない。
先ずはスカウトが先行して、罠の確認と内部の把握をしないと。
レイモンドのパーティのメンツなら、シーフのテレサか、モンクのケビンあたりかな。
そう思っていると、イバリンがシルヴィアの方を振り向いた。
「行け、吸血鬼。先行するんだ。」
・・・は?
シルヴィアは大人しく従って、古城へと足を踏み入れる。
スカウトの仕方は、俺やフェレミスも教えてきた。
なるべく姿勢を低く、いきなり行かずにまずは目視。
振動、音、匂い、構造物の状態の把握。
シルヴィアは慎重に、中を覗き込む。
そうそう、うまい。
だが、イバリンは何を思ったのか、シルヴィアの背中を押して、扉の中に突き飛ばした。
「さっさと行け!モタモタしていたら、日が暮れる!!」
「きゃ!」
シルヴィアが転んだその瞬間、トラップが発動する。
無数の矢が飛んできて、シルヴィアのいる場所に降り注いだのだ。
俺は慌てて、彼女の元へと急ぐ。
中を見ると、矢が床に刺さっていて彼女の姿が見えない。
・・・ほ。透明化して矢を避けたのか。
「フハハ、まずは、トラップの一つ目クリアだな。おい、吸血鬼出て来い!」
イバリンが、命令口調でシルヴィアを呼びつけた。
なんなんだよ、こいつ!?
俺は奴の背中を睨みつける。
シルヴィアは、壁にもたれた状態で姿を現してきた。
!?矢が肩に刺さってる!!
「大丈夫・・・なの!?」
俺は、彼女に駆け寄って肩に刺さった矢を抜いてやった。
「ありがとう。」
シルヴィアは、申し訳なさそうに頭を下げてくる。
傷口はすぐに塞がり、出血も止まった。
「フハハ、ランヴィー、ほっとけ。吸血鬼はこの程度で死にはせん。」
イバリンは、部屋の先へ押し込むように、シルヴィアの背中を押した。
まさか・・・今までずっとこの調子で全ての罠を彼女で発動させてから、他のメンバーを進ませてたんじゃないだろうな!?
「毎回、サクサク進めるな。」
レイモンドが、嬉しそうに話す。
「運動神経悪くても、楽だよね。」
黒魔道士のジェフが、話を合わせてきた。
こいつら・・・!
誰もシルヴィアに感謝をしない。
常態化している証拠だ。
その先のトラップも、全てシルヴィアを犠牲にして進み続けた。
いくら、不死身で怪我が治るといってもあんまりだ。
時間優先なのか?
一度きりの罠なら、発動させた方が、確かに早く抜けられる。
仲間たちも、どんな罠があるのか目の前で確認出来る。
でも、回避できるなら、するのがトラップだろ。
せめて、戦闘はみんなでやるよな?
その期待はすぐに裏切られた。
ケルベロス・ネオの眷属との戦いも、彼女一人でこなしている。
損耗を恐れて、誰も戦わない気か!?
「アタイたちも、戦うわよぉ?」
怒りに声を震わせるフェレミスが、イバリンに声をかける。
「フハ、気にするな、レミス。眷属たちのランクはA以上だ。B以下の戦力しかないこちらは、すぐに全滅してしまう。それに、見ろ。」
シルヴィアは、遠隔の刃を見事に操って、眷属たちを次々と倒していく。
だが、数が多い。連戦に次ぐ連戦。
肩で息をしながら、彼女は戦っていた。
イバリンは、顎をしゃくってふんぞりかえる。
「フハハ、問題ないだろ?それにな、彼女は『人間のために戦う』と、心に決めているそうじゃないか。」
「・・・それは、大切な人を亡くして泣く人を減らしたいから・・・じゃないかしら。」
俺は、怒りを抑えてイバリンを見た。
奴は、ますます笑い出す。
「フハハ!いやいや。自ら消耗品になると、言ってるようなものだ。お、弱った奴がいる。
おい、レイモンド!トドメはお前が刺しておけ。」
消耗品だと!?
イバリンに呼ばれたレイモンドは、仲間と一緒に瀕死の眷属にトドメを刺した。
「武器に少しは痕がないと、怪しまれるからな。」
姑息な奴。
けれど・・・。
負った傷を治しながら、先行するシルヴィアの背中に、俺はたまらなくなった。
もういい。もう沢山だ。
今日のことは全部報告して、全員に償わせてやる!!
変装を解こうとしたその時、異様な気配が近づいてきていることに気づいた。
来やがったか!!
フェレミスも銃を抜いて、構えている。
すると突然、目の前の扉を破った三つの頭が、同時に大声で吠えた。
SSクラスの魔物、ケルベロス・ネオ。
「グフォォォォ!!」
「ひー!」
「きゃー!!」
レイモンドたちは、腰を抜かして座り込んでしまった。
イバリンは、シルヴィアの後ろに隠れて震えながら命令している。
「フハハ・・・は、は、早く倒せ!吸血鬼!!」
「隠れてください!危険です!!」
「フハ!くそっ!上着が・・・震えてボタンが外せない!」
イバリンは、上着のボタンに四苦八苦している。なにやってんだ!?
さっさとシルヴィアから離れてやれ!!
彼女の動きに影響してしまう!
「フハハーン!!無理だぁ!吸血鬼、吸血鬼!お、お、俺を守れ!いいか?俺を守れ、何より俺の命が最優先だぁ!!」
シルヴィアは、イバリンを庇いながらケルベロス・ネオの口から吐き出される炎や毒の霧を、見えない壁で防いでいる。
ふざけんなよ!
俺は素早く剣を抜くと、三つの頭のうち、1番端の首を斬り落とした。
フェレミスは、真ん中の首に銀の弾丸をありったけ撃ち込み、粉砕する。
シルヴィアは、残り一つになった首を、遠隔の刃で斬り落とした。
ズズン!!
ケルベロス・ネオが倒れた途端、古城が崩れ出した。
俺たちは、腰を抜かして動けないパーティメンバーをそれぞれ抱えて、外に脱出する。
その後は、もちろん、帰ったさ。
ギルドにつくなり、怯えていたイバリンはすぐに元気になった。
「フハハ、では報告に行こうか。」
イバリンは、ジェシカの窓口で報告をしている。
ジェシカは頷きながら、何か書面を書いていた。
・・・まさか?
報告書は、彼女が書いてるんじゃないだろうな。
イバリンは、俺たちの元へと戻ってくると、
「ふふ、喜べ。吸血鬼以外は、Aランクに昇格だ!レイモンドはSだな。」
と、言いやがった。
まだ、査定されてないだろ?
それに、やっぱり飛び級はあるじゃないか。
「あらぁ?この一回でそんなに飛び級できるのぉ?」
フェレミスが、さりげなくイバリンに質問する。
「レイモンドたちは、今日でこの手の討伐を10回成功させてる。お前たちはまだ1回目だから、飛び級は無理だ。」
「10回も?すっごいわぁ。」
「手早く済ませれば、1日でニ、三ヶ所回れるからな。」
だから、こいつシルヴィアを急かしてたのか。
戦闘も彼女一人なら、他のメンバーは体力の温存ができる。
「あら?それなら、なんでシルヴィアは昇格しないの?」
俺は、イバリンに直接聞くことにした。
彼女の貢献度の高さなら、DからSでもおかしくない。
当のイバリンは、鼻で笑った。
「罠という罠に全てかかって、我々の足を引っ張り、何もしてない吸血鬼がするわけない。種族の持つ能力に頼りきりだしな。」
!!
これか。
これがこいつの常套手段なのか。
俺は怒り心頭で、イバリンの胸ぐらを掴もうとした時、ハンナの声がした。
「おかえりー、ランヴィー!レミスー。」
ハンナはそそくさと俺たちの報酬を受け取ると、馬車を飛ばしてシルヴィアよりも先に俺の家に送ってくれた。
俺は変装を解いて、椅子をガン!と蹴り上げる。
「・・・想像してたより、ひどいわ。私と一緒の時は、イバリンもいない時だったし、そんなことなかったのに。」
と、ハンナがため息をついた。
フェレミスも服を整えて、椅子に腰掛ける。
「俺も昔、他のハンターに似たようなことされたけどさ、俺の時はそんなことするなと、止めてくれた人もいたんだよ。」
・・・そうなんだよな。
酷い人間もいるけれど、それは良くないと止める人間もいる。
けれど、シルヴィアには誰もいなかった。
おそらく、あのイバリンが巧妙に仕組んでいるからだろう。
ふと、留守番をしていたモーガンが、開いた窓から外に向かって飛んでいく。
俺はハッとなって、モーガンを追って走り出た。
パシャン!
俺の家の近くの森の中には、湖がある。
シルヴィアは、そこで水浴びをしていた。
モーガンは、近くの木に止まって彼女を見ている。
湖のほとりには、汚れて破れた服と綺麗な服が、並べて置いてあった。
・・・俺に心配かけないように、いつもここで綺麗にしてから帰ってきているんだな。
気がつくと、俺は服のまま湖に入って、彼女のそばに近づいていた。
「え!?ランヴァルト?」
シルヴィアが驚いて振り向くのを、俺はきつく抱き締める。
「ごめん。」
それしか言えない。
「どうしたの?ランヴァルト。」
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