有栖谷苺は分からせたい!

雷仙キリト

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御影龍彦編

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 僕は先輩の胸元に手をかけた。シャツを外そうとすると、かすかに指先が触れる。その僅かな感触すら苦しいのか、先輩は薄く開いた唇から小さく吐息を漏らす。
「あっ、んぅ……ッ」
 いつもは低い声が甘酸っぱく上擦っている。
 僕の心臓が、ドキドキと激しく音を立てる。

 全てのボタンを外し終え、その下のタンクトップに手を掛けようとすると、先輩が拒絶する。
「じ、じぶんでできる」
 先輩は震える指先でタンクトップの裾を捲りあげ、焦らすような速度で脱いだ。健康的な肌が顕になる。
 耳の後ろから鎖骨に降りてくる首筋。大きく出っ張った喉仏。程よく鍛えられた二の腕。綺麗な凹凸を描く腹筋。
 先輩の体は綺麗だ。僕の憧れてやまない体がそこにある。
 僕も、先輩みたいな体になれたらなあ……。

 願望に突き動かされ、僕は無意識のうちに先輩の腹筋に触れていた。
「あッ……!」
 先輩が大きくのけ反って喉を晒す。喉仏に舌を這わせると、喉の奥からきゅう、と声にならない悲鳴が漏れた。
「や、ぁ、……ッ、べり、ちゃん、それ、あかんてぇ……、まだ、さわらん、といて」
「でも、気持ち良いんですよね?」
「ぁあッ! だめ、や、らめ、そんなふうにふれられたらぁ……っ」
 腹筋をさすりながら、唾液で濡れた箇所に軽く歯を突き立てる。
 先輩の体が強張り、ガクガクと震え出す。
「やら、やらぁ……っ、さわられてる、だけ、なのに、ひっ……ぐ、うぅ……~~ッ…………ぁ、はぁ、ぅ、や、な、なんれぇ……」
 ガクガクと震えていた体は、突然ピタリと動きを止めた。何かを堪えているみたいにギュッと体が縮こまり、数拍置いてだらりと弛緩する。
 首筋を舐めると、しょっぱい味がした。
「せんぱい……もしかして、もうイッちゃったの?」
 耳元で囁くと、先輩は首を振った。
「い、いってない。いってない」
「ええ? 本当かなあ?」
 僕は先輩のズボンに手を突っ込んだ。ぐちゅり、といやらしい音が鳴り、先輩の肌が更に赤くなる。
「ねえ、先輩。これ何? 僕の手、なんか白くてべたべたしたものがついてるんですけど。これ、なんですか?」
「……」
「黙ってたら分かりませんよ、先輩」
 胸のとんがった先っぽの周辺を、円を描くようにくるくるとなぞると、耳まで真っ赤にした先輩が僕をじとりと睨んでくる。
 男でナチュラルにここが気持ち良い人はいないと思うけど、今の先輩にはかなり刺激が強いみたいだ。ちょっと触ってあげただけで、目がとろんと惚けて気持ちよさそうにしている。
「ん……っ」
 子犬みたいな甘い声を上げる先輩は可愛いけれど、物足りなくなった僕は手を止めた。
「先輩、もっと気持ちよくなりたいでしょ。だったら素直になってください」
 先輩に何度も囁きかける。もっと気持ち良くしてあげますよ、と。
 最初は抵抗していた先輩も、段々と焦ったくなったのか、ついに口を開いた。
「……えき」
「え? 何か言いました?」
「そ、それは、俺の、せーえき……」
「へぇ。何でイッてないのにこんなものが出てるの?」
「……い、イッたから。ほんとは。ベリーちゃんに触られただけで気持ち良くなって、イッてもうて……っ」
 刺激を求める体が、ゆらゆらと誘うように揺れる。
「嘘をつくなんて、先輩は悪い子ですね」
 悪い子にはお仕置きしてあげないと。

 僕は、先輩の胸の先っぽを親指で思いっきり強く押した。

「あ"っ、ま、まって、そんな、きゅーに強くされたらぁ……っ、く、いく、ま、またイッちゃうぅ……~~……ッ、~~、あッ、やめへッ、やめ、えいーひゃ、も、もういったから、いまさわられたら、ま、また……ッ」

 先輩は体をびくつかせて、また呆気なくイッてしまった。
 
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