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124 喜びのあとにムカつく顔

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結局、私、ミール、ミシェルの3人でドラゴンダンジョン突入。

なんと10階まで攻略した。

時間はぴったり20日間。成果も十分にある。

ただでさえ高いドラゴンパピー。
たまに出回るやつより、大型ばっかり88匹と大量だ。

途中で2匹焼いた。
食べたミシェル君の驚いた顔が最高だった。

あの、驚いて、嬉しそうな顔。私もミールもうれしくなった。


ただ、私は10階で大失敗ですよ。大失敗。

10メートルランドドラゴン戦。

前に来たときと一緒、やったことは同じ。

ミールがプチドラゴン担当。私も例によって10メートルランドドラゴンと対峙した。

ミシェル君は見学だね。

やっぱ彼にいいとこ見せたいでしょ。

頭にマスク装着!
体は鎖かたびら。

ドラゴンが私に直接噛みつきにきた。そのまま食らわせてやった。

ぱくっ。「ユリナ!」

「大丈夫。「スライムパンチコンボ!」

ばちっ。ぱーーーーん。

ぎええええええええ!。

私の「破壊的絶対領域」炸裂。

下顎を吹き飛ばされたランドドラゴン、のたうち回っていた。

「さあミシェル、尻尾の動きに気をつけて、ランドドラゴンに大剣を打ち込んで」

私は色っぽく言ってみた。当社比だけど・・

「・・あ、ああ・・」
「どうしたの、早く。止まっていると、かえって危険よ」

「ユリナ様、体!」
「え?・・あ、ああ、あ」

ミールの呼びかけで気付いた。

私はやばい格好だ。

スライムパンチが炸裂し、私の鎖かたびらも炸裂していた。

マスク、首に残った鎖の残骸。そんだけで、大事なとこをさらけ出し、堂々の仁王立ち。

ふむ。完全な痴女だった。

「・・お見苦しいものをお見せしました」

「あ、すまん。なんか言う前に、堂々と立ってないでさ・・隠してくれない」

「ユリナ様、遊んでる場合じゃないよ。裸でいいから早くこっちを手伝って」

「じゃあ、ミシェル、行ってくる」

照れたら負け!

「いいから早く。おいしいお肉のために、ユリナ様、こっちでスキルお願い」

ミールに怒られて、肉捕獲に「等価交換」を有効活用。

もちろん、お尻丸出しだ。

ミシェルにも、弱ったランドドラゴンの止めをさしてもらった。

無事に10階フロアボス討伐。11階の転移装置前で休憩のあと、外に出た。

それでミシェル君もレベル50くらいか。
強制的に戦ってもらったのは、推定レベル80~100の魔物ばかり。

「闇魔法適正E」では基礎ステータスは低くても、HPは300ありそう。

ダークの魔法と身体能力を利用すれば、中級ダンジョンの中層に行ける。

ソロでもビッグチキン、ビッグウズラを狩って生活ができる。

今回の獲物も三等分して換金。800~900万ゴールドの見込み。だから装備も自力でそろえられる。

彼は私達に気兼ねしなくていい。

ただ私としては・・

そうなると接点は減るだろう。

そう考えていると、ミールに心を読まれたようだ。

「ねえミシェル、レベル50になっていたとしても、まだステータスが足りないよ」

俺も、そう思う」

「ユリナ様も巻き込んだ手前、ミシェルが自衛できるレベルになるか、追っ手を全員潰すまで油断できない。しばらく私達と過ごそうよ」

「ありがたい申し出だけど、いいのかな」

「いいよ。私もAランク試験を受けるか分からないけど、基準レベルの85を目指してダンジョンに潜る。だから、臨時でいいから私とミールのパーティーに加わってよ」

「実際に俺は、すでに中級ダンジョンの中層には潜れるレベルだし、念願の初級ダンジョン単独踏破も可能だ」

「どうせなら、一歩上狙おうよ」

「これでも感謝しきれないくらいだけど、甘えついでに行かせてもらおうかな」

考え直す余地も与えない。

ずるいけど、冒険者パーティー「アイリス」の臨時メンバーに入ってもらうことにした。


◆◆
2日後、邪魔が入った。

一度、ミシェル君をオルシマに連れて行こうとした。

ドラゴンダンジョンを出て、西に行けば大きな南北街道。
念のために東に行って細い海岸線を通ることにした。

だけど、2日歩いたところで、イーサイド男爵家の待ち伏せがいた。

女の魔法使いを筆頭に30人。

いい気分は台無しだ。

こいつにもイラつく。

理由?
アリサを少し若くしたような顔だから。
アリサを追放した家族の1人。

妹だろう。

私の親友のアリサに、罵声を浴びて続けたクソだ。

「はじめましてユリナさん。私はイーサイド家長女、メカリスですわ」

「長女? 長女はアリサよね」

「なんだ、ご存じなんですか。兄の話と少し違いますね。あんな女はノーカウントですよ。そんなことより、我が母の容体が良くありません。我が領に来て下さい」

「そんなこと?」

「どうせ、無能の女が行方不明になっただけでしょう」

「そんな・・こと?」

「そんな人間と付き合っていても、何も得るものはありませんよ」

「いいこと・・あった。アリサは2人の友達と一緒に劣等人の私を支えてくれた」

そして・・

「アリサは希望をくれた」

「希望ですか。私は土魔法Bのエリート。そして貴族。私なら、アリサなどよりもハイレベルの希望を与えられますわ」

「アリサがくれたものに比べたら、ゴミよ。消えて」

「そうはいきません。母を溺愛している父に言われていますの。母を治せる人間を連れてきた人間を当主候補筆頭とすると」

ミシェル君が割り込んだ。

「何だお前ら! 結局は肉親の病気も手段。親も自分がのし上がるための道具かよ!」

少し私は冷静になった。

「ミシェル君ありがとう。もう行きましょう」

「そうはいきませんわ」

「ミール、すんなり通してくれないそうよ。ミシェル君の援護をお願いしてもいい?」

「分かった」

言うなり、鎖かたびら1枚になった。

イーサイドの次女メカリスに向かった。

    
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