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14 やりすぎスキル

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ソフィーと自称忍者マリーが慰めてくれて、気持ちが落ち着いた。

友達3人の仇は残り5人。みんな、戦闘力が高いバケモノ達

あいつらを倒すには決定打が足りない。

何か強力な武器がいる。

街からいなくなったジュリア達を追うために、旅をしなければならない。

そのとき情報も必要だが、私には何の後ろ楯もない。

だから、色んなことをお金で解決せねばならない。

足りない物、やらなければならないことが多すぎる。


まず、自分の能力を完全に把握したい。


2日後。

能力検証に来た。

私を助けてくれたソフィー達は、Aランク昇格の条件を満たすため王都に向かって出発した。

首の痣を治してあげたマリーが私と残る。そう言ってくれたけど、仲間3人に引っ張られて行った。

当たり前か。

私はとうとう1人。


今日の格好は上が、目が小さなヘソ出し鎖かたびら。

下はミスリルふんどし。足はミスリルサンダルに革ひもを着けてサイズを合わせている。

風のカルナから頂いた、高価で、そして弱い装甲だ。

普通の服は有機物だった。

なので迂闊に着れない。人前で戦闘する場合は、細心の注意が必要。

丈が長く目が粗い鎖かたびらを地肌に着て、上から普通のタンクトップを被せる。

比較的安価なので、20セット用意している。

私のスキル、下手に使うと、丸裸になる。
痴女スタイルの戦闘フォーム脱出も1つの課題だ。

「等価交換」でゴブリンでも栄養にできるので食費は必要ない。

今後は服代ばかり嵩みそうだ。

「という訳で草原に来ました。『超回復』をうまく使えたら、治療魔法としてお金を稼げます」

ここはEランクの私が慣れ親しんだ薬草群生地ではない。

森の奥に入って、Dランクの狩り場だ。ゴブリン、一角ウサギ、スモールボアが主な獲物だ。

私は高位ダンジョンを彷徨ったから、それなりのレベルだと思う。

それにしちゃ弱いけど、『超回復』フル活動。

相討ち作戦の3時間。
ゴブリン4匹、一角ウサギ2匹、スモールボア2匹を捕まえ、縄で縛っている。

ざく。「ぐげげげげぇぇれ!」

まずはゴブリンの足をナイフで刺して、頭に手を当てた。

ソフィーに手を触れたときと同じ。触った場所から離れた右足に異変を感じた。

『超回復』。

「治った。一瞬だ」

次はゴブリンの足を切断。暴れるゴブリンを押さえつけて、切断面を合わせて『超回復』。

「これも治ったよ」

で、自分の背丈を測ると、やはり縮んでいる。

魔力を使わないんだから、治療にも「等価交換」システムを使うのが当たり前。

「お金を稼ぐため『超回復』には、この辺を限度にしてもらいたいんだよね・・」

次は最初から手の指がなくなっているゴブリンに猿ぐつわ。さらに手足をぐるぐる巻きにした。

どすっ。ざくっ。「ぎいいい」

足を膝下で切断し、腹を刺したゴブリン。

こいつの腹に手を当て、腹の傷だけを意識して『超回復』を唱えた。

腹は治った。けれど・・

治るな。そう思ってたのに、みんな治ってる。

足は生える、最初から欠損してた指まで出来上がってた。

私の体が140センチ。
スモールボアの頭に手を当てて「等価交換」で自分の身長を戻した。

すでに絶望的な気分だ。

「やっぱり寸止め機能なし。程よく治すってのが、無理なのか・・」

『超回復』には、全快機能のみ。決定だ。

仕方ないから、最後の実験に入った。

ゴブリンの右足首から先を切り取って仕込み完了。

右手を足がないゴブリンに当て『超回復』、左手を一角ウサギ1匹に当てて「等価交換」の同時発動を意識した。

すると右手を当てたゴブリンは完全回復し、左手を当てた一角ウサギは骨だけになっていた。

「右から左に行ってこいは成功か。ゴブリンの皮膚が全体的にウサギのピンクが混じってる。なるほど、皮膚だけは、ちょこっと違う扱いなのか・・」

とりあえず、残りの獲物に止めを刺して、指輪に収納した。


このスキル、治療魔法の代わりとしては強すぎる。

人の治療でお金を稼ぎたいが、あらゆる傷を治すのは不味い。

例えば片眼と片足を失った人が腕を骨折。
私のとこに骨折だけ治しに来たとする。

そこに『超回復』をかける。
あらま、不思議。骨折だけじゃない。目も足も生えている。大騒ぎですよ。

今のとこ、私はコントロールできない。

せめて世の中に欠損を治す魔法が普及していればいいが、ない。

欠損を治したという記録は約100年前。

超級ダンジョンで見つかったエリクサーで可能にした。それが最後だ。


そんな世の中。私がギルドの片隅を借りて、エリクサー並の仕事をしたとする。

騒ぎになる。

貴族、有力者に拘束される。

徹底的に調べられて、弱点を利用される。

鉄の首輪をかけて、治療奴隷にされる。

そんな未来が浮かんでくる。

「過ぎたるは猶及ばざるが如し、が近いのかな・・」



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