37 / 83
37 普通そう思うよなぁ
しおりを挟む
はぁ……。
夢……じゃないよな……。
あの……あの学園一のアイドルである羽深ららをデートに誘った……だと?
スゴくね?
何度もほっぺたをつねってみるが、痛い……。
つまり夢を見ている訳ではないのだよな……。
そう思ったら身体中が熱くなって枕に顔を突っ込んでジタバタせずにいられない。
そもそも羽深さんの方から結構強引にデートに誘うよう誘導されたよね?
一体全体どうなってるんだこれ?
そうそう。
そういえばあの後、羽深さんに買っていたランチバッグをプレゼントした時の羽深さんもかわいかったんだぁ……。
帰りの道すがらも終始ニヤニヤしちゃってさ。
きっと気に入ってもらえたんだなと思ってこっちも嬉しかった。
もう羽深さんって僕のことを好きなんじゃないのかという期待と、期待するんじゃないよこの童貞がという用心とが鬩ぎ合いを延々繰り返している。
あぁーーーっ。
またジタバタする。
ずうっとこの調子だ。
あの後で家に帰ってからもちっとも現実世界に戻ってこられなかった。
曜ちゃんからもデートのことでたくさんThreadに着信があったが、僕は夢現で上の空な状態で返信していた。
何かおかしなことを書き込んでいないかと焦って見返してみたが、そこは不思議と大丈夫で自分でちょっと意外だった。
あれ以来学校で羽深さんは早朝と昼休みはずっと僕と二人でいるのだけど、それ以外は相変わらず取り巻き連中に囲まれて過ごしている。
それでも四六時中一緒じゃなくなったことで、随分と精神的には楽になったらしい。
巧いことバランスを取りながらやっていけてるようだ。
ただあれから二度ほど僕は例の佐坂の野郎から呼び出しを受けて、その都度絡んでくる奴らの人数が増えるという事態に遭遇したのだが、今のところは問題なく交わすことに成功している。
さて、いよいよ今日はTHE TIMEのライブ直前練習最終日だ。
明日の本番はSALTATIOというライブハウスで行われる。
この会場は以前ビルの電気系統の老朽化で火災事故が発生してつい最近まで営業を停止していたのだが、ようやく営業を再開できるようになった。
高校生バンドにも利用させてくれる貴重なライブハウスなのだ。
そのかわり高校生バンド出演の時はライブの時間帯が早め。そしてアルコールドリンクの類は出されないので経営的にはおそらく旨味がないと思うのだが、そこはオーナーの志しということなのだろう。
今日の練習では、本番さながらにライブでの段取りを丸ごと通してやってみることになっている。
プロのコンサートならゲネプロと言って本番の会場でまったく同じセッティングでやるところだが、我々アマチュアバンドがライブハウスで演奏する場合はそんなわけにもいかない。
本番前に慌ただしくPAのセッティング用に音出しするだけだ。本番前に一曲通して演奏するなんてチャンスもない。
だから今日この機会をゲネプロのつもりでしっかりやっておかなくてはならない。
昨日の練習までで各曲ごとの演奏はしっかり仕上げてある。
今日の練習は全体を通して恙なくプレイできるように最終的な確認の意味合いが強い。
そうして迎えた最終練習はとてもいい出来だった。
メンバーそれぞれしっかり練習しているのはもちろんだが、それ以上のものを感じられた。
練習しすぎてつまんない演奏というのも実はありがちなのだが、きっちり練習しているのにそれがないというのがいい。
「お疲れ、楠木。結構いい感じで仕上がったな。これなら明日の本番もいい出来になりそうだわ」
「だね。僕も手応え感じた」
練習が終わって飲み物を持って部屋に戻る。
何故か当然のように僕の部屋で寛いでいるメグも演奏に関して好印象のようだ。
「ところで楠木さぁ。なんかすごいことになってんね」
「何が?」
「いや、学校中で噂になってるよ。あの羽深さんと付き合ってるってさ」
あぁ……さすがに一緒に歩いてると結構注目されるからなぁ。妙な噂が立つのも早いか。
「別に全然付き合ってないけど?」
実際僕だって勘違いしそうになるのを必死で抑えてるんだからあんま煽らないで欲しいんだけどな。
「マジかよ。なんでも昼はお前が作った弁当を羽深さんに食べさせてるって噂だけど?」
えっ!? なんでそうなってるんだ?
普通逆だろうが、どう考えても!
「食べさせてるってなんでだよ!? いや確かに昼飯一緒に食べてるけどさぁ。それは羽深さんがなんか僕の分の弁当作ってきてくれるんだよ」
購買でパンばっか買って食ってた男がなんで弁当作って女子に食べさせるんだよ。アホか。
「はっ!? オマエあの羽深さんの手作り弁当毎日食ってんの? すげぇなぁ。ていうかそれどう見ても付き合ってるじゃん」
「まあなぁ、普通そう思うよなぁ……」
僕だってそうだったらどんなにいいかと思うんだけども、付き合ってるわけじゃない。
羽深さん曰く、仲良くなりたいと言うことだ。
この表現がなんとも微妙な玉虫色の言葉なのだ。
幼稚園児の仲良しから大人のイチャコラまで仲良しの幅は広い。
正直僕と羽深さんの仲良しってどの仲良しだか教えてほしい。
「なんだよ。詳しく話せよ、色男」
夢……じゃないよな……。
あの……あの学園一のアイドルである羽深ららをデートに誘った……だと?
スゴくね?
何度もほっぺたをつねってみるが、痛い……。
つまり夢を見ている訳ではないのだよな……。
そう思ったら身体中が熱くなって枕に顔を突っ込んでジタバタせずにいられない。
そもそも羽深さんの方から結構強引にデートに誘うよう誘導されたよね?
一体全体どうなってるんだこれ?
そうそう。
そういえばあの後、羽深さんに買っていたランチバッグをプレゼントした時の羽深さんもかわいかったんだぁ……。
帰りの道すがらも終始ニヤニヤしちゃってさ。
きっと気に入ってもらえたんだなと思ってこっちも嬉しかった。
もう羽深さんって僕のことを好きなんじゃないのかという期待と、期待するんじゃないよこの童貞がという用心とが鬩ぎ合いを延々繰り返している。
あぁーーーっ。
またジタバタする。
ずうっとこの調子だ。
あの後で家に帰ってからもちっとも現実世界に戻ってこられなかった。
曜ちゃんからもデートのことでたくさんThreadに着信があったが、僕は夢現で上の空な状態で返信していた。
何かおかしなことを書き込んでいないかと焦って見返してみたが、そこは不思議と大丈夫で自分でちょっと意外だった。
あれ以来学校で羽深さんは早朝と昼休みはずっと僕と二人でいるのだけど、それ以外は相変わらず取り巻き連中に囲まれて過ごしている。
それでも四六時中一緒じゃなくなったことで、随分と精神的には楽になったらしい。
巧いことバランスを取りながらやっていけてるようだ。
ただあれから二度ほど僕は例の佐坂の野郎から呼び出しを受けて、その都度絡んでくる奴らの人数が増えるという事態に遭遇したのだが、今のところは問題なく交わすことに成功している。
さて、いよいよ今日はTHE TIMEのライブ直前練習最終日だ。
明日の本番はSALTATIOというライブハウスで行われる。
この会場は以前ビルの電気系統の老朽化で火災事故が発生してつい最近まで営業を停止していたのだが、ようやく営業を再開できるようになった。
高校生バンドにも利用させてくれる貴重なライブハウスなのだ。
そのかわり高校生バンド出演の時はライブの時間帯が早め。そしてアルコールドリンクの類は出されないので経営的にはおそらく旨味がないと思うのだが、そこはオーナーの志しということなのだろう。
今日の練習では、本番さながらにライブでの段取りを丸ごと通してやってみることになっている。
プロのコンサートならゲネプロと言って本番の会場でまったく同じセッティングでやるところだが、我々アマチュアバンドがライブハウスで演奏する場合はそんなわけにもいかない。
本番前に慌ただしくPAのセッティング用に音出しするだけだ。本番前に一曲通して演奏するなんてチャンスもない。
だから今日この機会をゲネプロのつもりでしっかりやっておかなくてはならない。
昨日の練習までで各曲ごとの演奏はしっかり仕上げてある。
今日の練習は全体を通して恙なくプレイできるように最終的な確認の意味合いが強い。
そうして迎えた最終練習はとてもいい出来だった。
メンバーそれぞれしっかり練習しているのはもちろんだが、それ以上のものを感じられた。
練習しすぎてつまんない演奏というのも実はありがちなのだが、きっちり練習しているのにそれがないというのがいい。
「お疲れ、楠木。結構いい感じで仕上がったな。これなら明日の本番もいい出来になりそうだわ」
「だね。僕も手応え感じた」
練習が終わって飲み物を持って部屋に戻る。
何故か当然のように僕の部屋で寛いでいるメグも演奏に関して好印象のようだ。
「ところで楠木さぁ。なんかすごいことになってんね」
「何が?」
「いや、学校中で噂になってるよ。あの羽深さんと付き合ってるってさ」
あぁ……さすがに一緒に歩いてると結構注目されるからなぁ。妙な噂が立つのも早いか。
「別に全然付き合ってないけど?」
実際僕だって勘違いしそうになるのを必死で抑えてるんだからあんま煽らないで欲しいんだけどな。
「マジかよ。なんでも昼はお前が作った弁当を羽深さんに食べさせてるって噂だけど?」
えっ!? なんでそうなってるんだ?
普通逆だろうが、どう考えても!
「食べさせてるってなんでだよ!? いや確かに昼飯一緒に食べてるけどさぁ。それは羽深さんがなんか僕の分の弁当作ってきてくれるんだよ」
購買でパンばっか買って食ってた男がなんで弁当作って女子に食べさせるんだよ。アホか。
「はっ!? オマエあの羽深さんの手作り弁当毎日食ってんの? すげぇなぁ。ていうかそれどう見ても付き合ってるじゃん」
「まあなぁ、普通そう思うよなぁ……」
僕だってそうだったらどんなにいいかと思うんだけども、付き合ってるわけじゃない。
羽深さん曰く、仲良くなりたいと言うことだ。
この表現がなんとも微妙な玉虫色の言葉なのだ。
幼稚園児の仲良しから大人のイチャコラまで仲良しの幅は広い。
正直僕と羽深さんの仲良しってどの仲良しだか教えてほしい。
「なんだよ。詳しく話せよ、色男」
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる