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ハイカブリ(同居人×女主/王子×女主/複数/媚薬/歪/二穴)

私のヒーロー_2

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 「――怖い思いをさせて、そちらのお嬢さんには大変申し訳ないことをしたね」
「あ……あの……」
「不服はあるかもしれないが、あまりこういった身内の恥は表には出したくないのでね。こちらで処遇を決めさせてもらいたいのだが」
「……構いません。――王であれば、必ず公平かつ正しい判断をしてくださると思っていますので」
「あぁ。俺もそれで構わない。……良いよな? フレリア」
「……はい。私は、それで構いません」
「寛大な心に感謝するよ。ギルバート。私と一緒に来なさい。他の者達は、間違っても粗相のないように、この方達のお見送りを。特にお嬢さんの方は、辛いだろう。お連れの二人と一緒に、一度客間に案内して少し休んでいただきなさい」
「承知いたしました」
「ギルバート。早くしなさい」
「……はい、父様……」

 シアとランスに庇われる形で、フレリアはギルバートを見送った。

“……『絶対納得なんてしないからな!』って顔してる……”

 何か言いたげのギルバートは、ジッとフレリアを見つめた。だが、その視線はすぐにシアによって塞がれ、眉間に皴を寄せて軽く舌打ちすると、仕方なくといった形で王の後をゆっくりとついて行った。

「……大変申し訳ございません。このような事態に……」
「いやいや、主君に仕えるあんたが謝ることじゃない。……なんつーか、大変だな」
「……恐れ入ります」
「本当はすぐにでもこの城を後にしたいものですが、フレリアの状態も気になります。……少しだけ、休ませていただきましょうか」
「それでは、こちらに。お茶を淹れますので、少しお待ちください」

 召使に案内され、一室の客間へと通された。出されたお茶とお茶菓子を口に運び、ようやく休息を手にする。

“流石に怖かった、な”

 ふと目にしたティーカップを持つ自分の手が微かに震えていることに気づき、ノイはフレリアとなった自分の身に起こったことを実感した。渋々とは言え、物語の一部、演出として捉えられなくもない自分と違って、フレリアがこのことを体験していたらもっと大事に、そして心に暗い影を落としていたことだろう。

“……そういう意味では、私で良かったのかもしれないな……。いや、全然良くはないんだけど……”

 フゥフゥと淹れたての紅茶を冷ましながら、少しずつ口へと運ぶ。喉元を通るまだ熱を持った液体が、自分が今ここに人間として存在していることを証明しているようだった。

「大丈夫ですか? フレリア」
「……えぇ。なんとか……」
「心配したぞ。……嫌がっても、無理やりにでも、ついて行くべきだったな」
「本当にそう思います。一人で行かせてしまったのは軽率でした」

 悔しそうに口元を歪ませ、シアとランスは同時に大きくて長い溜息を吐いた。
「そんな……! 二人のせいじゃ……」
「いや、可能性はあった。アイツが来る、な。……分かってたはずなのに……あぁもう!」
「ランスの言う通りです。これは私達の落ち度です。防げたはずのトラブルに、アナタをみすみす向かわせてしまった」

“私よりも絶対この二人の方が後悔してる……!”
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