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2015年5月 凪の始まり(前編)
26 2015年5月 26
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「リリィちゃん……
あんた……
健太郎に会った?」
「ううん……
これから行くの……
あの防波堤……に」
「そうか……
でもさ……
健太郎……
いないと思うよ……」
「え?……」
どうして?
言葉に詰まった。
どうして?の一言が出なかった……
私のイヤな予感が……
勘がいいと言われる私の勘が、それを拒んだ。
きっと……
ヤな事が起こる……
「健太郎は、諦めたんだよ。
ずっと待つのに疲れて……
もう……
だから、あそこに行くのは辞めるって……
そう言って、今は行ってないよ。
リリィちゃん……
もし、あんたが、軽い気持ちで健太郎に会いに行こうとしてるのなら、辞めてくれないかな?
健太郎からあんたを、忘れさせてあげて……
健太郎は、ずっと、あんたを、ずっとあそこで一人で待ってたんだよ……
それは気が遠くなるくらい長い時間を、あんな場所で過ごしたんだ……
4年間だよ……
そりゃあ長かったと思うよ。
暑くても寒くても雨が降っても、雪が降っても、台風でも……
ずっと、ずっと待ってたんだ……
知ってるかい?
健太郎は、仕事辞めたんだよ。
なんでだと思う?
リリィちゃんを防波堤で待つためにさ。
だから、辞めたんだ。
いつあんたが、ただいまって戻ってきても、いいようにね……
わかる?
どれほど、健太郎は、あんたの事が好きだったか……
あんた酷いね。
健太郎にその間、なんの連絡も無しで……
それで、戻ったから、おひさ~とでも言って、何事も無かったかのように健太郎に会いに行くんだ……
酷いよ。
リリィちゃん……
酷すぎるよ……
リリィちゃん……
やっと、健太郎は、歩き出したんだよ。
未来に向かって……
だから……
もう、健太郎を迷わせないで欲しい。
いまさら、帰ってきたって言って、健太郎の前に現れないでやって欲しい……
できるなら、このまま……
健太郎に会わないでやって欲しい。
お願いだよ」
けんたろーのお姉さんはそう言うと、下を向いて肩を震わせていた。
あんた……
健太郎に会った?」
「ううん……
これから行くの……
あの防波堤……に」
「そうか……
でもさ……
健太郎……
いないと思うよ……」
「え?……」
どうして?
言葉に詰まった。
どうして?の一言が出なかった……
私のイヤな予感が……
勘がいいと言われる私の勘が、それを拒んだ。
きっと……
ヤな事が起こる……
「健太郎は、諦めたんだよ。
ずっと待つのに疲れて……
もう……
だから、あそこに行くのは辞めるって……
そう言って、今は行ってないよ。
リリィちゃん……
もし、あんたが、軽い気持ちで健太郎に会いに行こうとしてるのなら、辞めてくれないかな?
健太郎からあんたを、忘れさせてあげて……
健太郎は、ずっと、あんたを、ずっとあそこで一人で待ってたんだよ……
それは気が遠くなるくらい長い時間を、あんな場所で過ごしたんだ……
4年間だよ……
そりゃあ長かったと思うよ。
暑くても寒くても雨が降っても、雪が降っても、台風でも……
ずっと、ずっと待ってたんだ……
知ってるかい?
健太郎は、仕事辞めたんだよ。
なんでだと思う?
リリィちゃんを防波堤で待つためにさ。
だから、辞めたんだ。
いつあんたが、ただいまって戻ってきても、いいようにね……
わかる?
どれほど、健太郎は、あんたの事が好きだったか……
あんた酷いね。
健太郎にその間、なんの連絡も無しで……
それで、戻ったから、おひさ~とでも言って、何事も無かったかのように健太郎に会いに行くんだ……
酷いよ。
リリィちゃん……
酷すぎるよ……
リリィちゃん……
やっと、健太郎は、歩き出したんだよ。
未来に向かって……
だから……
もう、健太郎を迷わせないで欲しい。
いまさら、帰ってきたって言って、健太郎の前に現れないでやって欲しい……
できるなら、このまま……
健太郎に会わないでやって欲しい。
お願いだよ」
けんたろーのお姉さんはそう言うと、下を向いて肩を震わせていた。
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