凪の始まり

佐藤健太郎28歳。場末の風俗店の店長をしている。そんな俺の前に16年前の小学校6年生の時の担任だった満島先生が訪ねてやってきた。

俺はその前の5年生の暮れから学校に行っていなかった。不登校っていう括りだ。

先生は、今年で定年になる。
教師人生、唯一の心残りだという俺の不登校の1年を今の俺が登校することで、後悔が無くなるらしい。そして、もう一度、やり直そうと誘ってくれた。

当時の俺は、毎日、家に宿題を届けてくれていた先生の気持ちなど、考えてもいなかったのだと思う。

でも、あれから16年、俺は手を差し伸べてくれる人がいることが、どれほど、ありがたいかを知っている。

16年たった大人の俺は、そうしてやり直しの小学校6年生をすることになった。

こうして動き出した俺の人生は、新しい世界に飛び込んだことで、別の分かれ道を自ら作り出し、歩き出したのだと思う。

今にして思えば……

さあ、良かったら、俺の動き出した人生の話に付き合ってもらえないだろうか?

長編、1年間連載。
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