75 / 247
第一章 リトア王国
二人の妃様に愛でられてます
しおりを挟む
「あぁ、かわいいわ~マリーちゃん。」
「やはり女の子はいいな。見ているだけで癒される。」
お茶会が始まって早々に席替えが告げられ何故か私は王妃さまと妃様に挟まれて熱い視線を浴びている。
「そ、そんな。お二人とも麗しい王子殿下がいらっしゃるでは…」
「ダメダメ、あの子はわがままで生意気でちっとも可愛くないんだもの。」
「エディは可愛らしさや子供らしさを私の腹の中に置き忘れてきたらしい。今からキルに似た堅物すぎて心配している。」
「そ、そんなことは…」
「いや~このツルスベもちもち肌。気持ちいい~フニフニ柔らかい手ね~」
「頬もすべすべで上質な絹も負けるな。さぁ、その可愛らしい口でこれを食べてごらん気にいるといいのだが。」
お二人とも私の話なんて聞いちゃいないですね。
エライザ様が手ずからチョコレートを食べさせてくれて恐れ多いやら戸惑うやら。
でも口に入ってきたチョコレートはすべすべの表面が少しずつトロリと口の中で溶け始め中からミルクの柔らかい甘さが流れ出てくる。
「とっても美味しいです。ありがとうございます。」
思わず笑顔がこぼれるとアリアドネ様はハッと口元を手で覆い、エライザ様は眩しすぎる慈愛の笑みを浮かべて頭を優しく撫でてくださった。
「かわいい~~」
「愛らしいな」
両側からお二人に抱きつかれ硬直した私はお父様に助けを求める目を向けたけれど、お父様はキルライト陛下と向かい合って何か話していらっしゃるし、公爵様は横で二人に相槌をうっていらっしゃる。
のんちゃん助けて~と思って目を向けるとディルと二人、美味しそうにお菓子を頬張っている。
ちょっと、二人ともずるい!
私の視線に気づいて二人はちょっと気まずそうに肩をすくめる。
アロイスは誤魔化すように紅茶を一口飲んでからこちらに話しかけてきた。
「エライザ様、アリアドネ様。」
「あら、お母様でいいのよ?アロイス。いえ、リノアちゃんと名乗ることにしたんだっけ?」
「私も腹違いとはいえリーク王子の母親でもある。非公式の場ではエライザ母様と呼んでもらおうかな。」
アロイスは天使のような笑みを浮かべてうなずいた。
「大変恐れ多いですが、お二人が望まれるのでしたらそう呼ばせていただきます。」
お二人は満足そうにうなずいた。
「この度、私とマリーベル・スリジェ嬢は婚約することとなり、リトア王国の陛下には許可をいただきました。」
「あぁ、昨日知らせが届いたよ。キルライトも否とは言わぬだろう。私たちとしても…」
とエライザ様はアリアドネ様の顔を見る。
アリアドネ様も心得ているように深くうなずいた。
「後継の揉め事を起こそうという輩を黙らせた後にはエディにもリークにもある程度の自由を持って相手を選んでほしいと思っている。
そなたには苦労をかけるのだ。望む相手との結婚ぐらい認めねばな。」
「それにこんなに可愛らしいんだもの。
婚約を急ぐ気持ちは分かるわ~
でもね、婚約したからって安心しちゃダメよ。」
嬉しそうに意味ありげに微笑むアリアドネ様がなんだかちょっと怖かった。
「やはり女の子はいいな。見ているだけで癒される。」
お茶会が始まって早々に席替えが告げられ何故か私は王妃さまと妃様に挟まれて熱い視線を浴びている。
「そ、そんな。お二人とも麗しい王子殿下がいらっしゃるでは…」
「ダメダメ、あの子はわがままで生意気でちっとも可愛くないんだもの。」
「エディは可愛らしさや子供らしさを私の腹の中に置き忘れてきたらしい。今からキルに似た堅物すぎて心配している。」
「そ、そんなことは…」
「いや~このツルスベもちもち肌。気持ちいい~フニフニ柔らかい手ね~」
「頬もすべすべで上質な絹も負けるな。さぁ、その可愛らしい口でこれを食べてごらん気にいるといいのだが。」
お二人とも私の話なんて聞いちゃいないですね。
エライザ様が手ずからチョコレートを食べさせてくれて恐れ多いやら戸惑うやら。
でも口に入ってきたチョコレートはすべすべの表面が少しずつトロリと口の中で溶け始め中からミルクの柔らかい甘さが流れ出てくる。
「とっても美味しいです。ありがとうございます。」
思わず笑顔がこぼれるとアリアドネ様はハッと口元を手で覆い、エライザ様は眩しすぎる慈愛の笑みを浮かべて頭を優しく撫でてくださった。
「かわいい~~」
「愛らしいな」
両側からお二人に抱きつかれ硬直した私はお父様に助けを求める目を向けたけれど、お父様はキルライト陛下と向かい合って何か話していらっしゃるし、公爵様は横で二人に相槌をうっていらっしゃる。
のんちゃん助けて~と思って目を向けるとディルと二人、美味しそうにお菓子を頬張っている。
ちょっと、二人ともずるい!
私の視線に気づいて二人はちょっと気まずそうに肩をすくめる。
アロイスは誤魔化すように紅茶を一口飲んでからこちらに話しかけてきた。
「エライザ様、アリアドネ様。」
「あら、お母様でいいのよ?アロイス。いえ、リノアちゃんと名乗ることにしたんだっけ?」
「私も腹違いとはいえリーク王子の母親でもある。非公式の場ではエライザ母様と呼んでもらおうかな。」
アロイスは天使のような笑みを浮かべてうなずいた。
「大変恐れ多いですが、お二人が望まれるのでしたらそう呼ばせていただきます。」
お二人は満足そうにうなずいた。
「この度、私とマリーベル・スリジェ嬢は婚約することとなり、リトア王国の陛下には許可をいただきました。」
「あぁ、昨日知らせが届いたよ。キルライトも否とは言わぬだろう。私たちとしても…」
とエライザ様はアリアドネ様の顔を見る。
アリアドネ様も心得ているように深くうなずいた。
「後継の揉め事を起こそうという輩を黙らせた後にはエディにもリークにもある程度の自由を持って相手を選んでほしいと思っている。
そなたには苦労をかけるのだ。望む相手との結婚ぐらい認めねばな。」
「それにこんなに可愛らしいんだもの。
婚約を急ぐ気持ちは分かるわ~
でもね、婚約したからって安心しちゃダメよ。」
嬉しそうに意味ありげに微笑むアリアドネ様がなんだかちょっと怖かった。
0
お気に入りに追加
107
あなたにおすすめの小説
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
真実の愛とやらの結末を見せてほしい~婚約破棄された私は、愚か者たちの行く末を観察する~
キョウキョウ
恋愛
私は、イステリッジ家のエルミリア。ある日、貴族の集まる公の場で婚約を破棄された。
真実の愛とやらが存在すると言い出して、その相手は私ではないと告げる王太子。冗談なんかではなく、本気の目で。
他にも婚約を破棄する理由があると言い出して、王太子が愛している男爵令嬢をいじめたという罪を私に着せようとしてきた。そんなこと、していないのに。冤罪である。
聞くに堪えないような侮辱を受けた私は、それを理由に実家であるイステリッジ公爵家と一緒に王家を見限ることにしました。
その後、何の関係もなくなった王太子から私の元に沢山の手紙が送られてきました。しつこく、何度も。でも私は、愚かな王子と関わり合いになりたくありません。でも、興味はあります。真実の愛とやらは、どんなものなのか。
今後は遠く離れた別の国から、彼らの様子と行く末を眺めて楽しもうと思います。
そちらがどれだけ困ろうが、知ったことではありません。運命のお相手だという女性と存分に仲良くして、真実の愛の結末を、ぜひ私に見せてほしい。
※本作品は、少し前に連載していた試作の完成版です。大まかな展開は、ほぼ変わりません。加筆修正して、新たに連載します。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
私が死んだあとの世界で
もちもち太郎
恋愛
婚約破棄をされ断罪された公爵令嬢のマリーが死んだ。
初めはみんな喜んでいたが、時が経つにつれマリーの重要さに気づいて後悔する。
だが、もう遅い。なんてったって、私を断罪したのはあなた達なのですから。
婚約破棄を望むなら〜私の愛した人はあなたじゃありません〜
みおな
恋愛
王家主催のパーティーにて、私の婚約者がやらかした。
「お前との婚約を破棄する!!」
私はこの馬鹿何言っているんだと思いながらも、婚約破棄を受け入れてやった。
だって、私は何ひとつ困らない。
困るのは目の前でふんぞり返っている元婚約者なのだから。
【完結】本当の悪役令嬢とは
仲村 嘉高
恋愛
転生者である『ヒロイン』は知らなかった。
甘やかされて育った第二王子は気付かなかった。
『ヒロイン』である男爵令嬢のとりまきで、第二王子の側近でもある騎士団長子息も、魔法師協会会長の孫も、大商会の跡取りも、伯爵令息も
公爵家の本気というものを。
※HOT最高1位!ありがとうございます!
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
目が覚めたら夫と子供がいました
青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。
1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。
「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」
「…あなた誰?」
16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。
シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。
そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。
なろう様でも同時掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる