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16.訪問者
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入浴が終わると、ミサトとアイリと共に脱衣場で着替え、隣の部屋に移る。
隣りの部屋は、休憩室兼仮眠部屋になっていて、広々としたスペースが広がっていた。
テーブルの周りに、椅子が幾つかあり、部屋の中央にはソファーが3台置かれ、仮眠できるスペースが確保されている。
「リサは、お昼ご飯、持ってきた?」
ミサトは、椅子に座り、汗をタオルで拭きながら聞いてくる。
「いや、いつも宿で準備してもらっていたから、持ってきてないです。。」
「じゃあ、ちょうどいいね。3人分、一緒に作りましょう!」
「いいわね。今日は、カレーを作ろうと、ミサトと話してたのよ」
アイリとミサトは、はしゃいだ笑顔で、顔を見合わせて話す。
「ここで作れるの?」
「そうよ。台所が、隣りの部屋につながってあるから、ケイジさんたちのお昼ご飯も、一緒に作るの。全ての日常なお世話をするから、大変よ」
ミサトは、大変と言いながらも、楽しそうに笑顔を振りまいて言う。
きっと、やり甲斐があるのだろう、ミサトの汗はキラキラと輝いている。
「そろそろ田村さんが、食材を持って来てくれる時間だわ」
アイリは、壁にかかっている、時計を見ながら言う。ふわふわの巻き毛が、愛らしく映る。
そのとき、ちょうどチャイムが鳴り響く。
「来た来た!田村さんだわ。紹介するから、リサ、来てちょうだい」
ミサトは勢いよく立ち上がり、私の手を引いて、玄関口まで駆けていく。
ドアを開くと、田村さんと思わしき、40代程の中年男性が、ダンボールを抱えていた。
「こんにちは。君がリサさんだね。ミサトさんから聞いています。僕は、食材や必要な医療物品を運んでいます。田村といいます、よろしくね」
田村さんは頬に皺をよせ、人の良さそうな笑顔を見せて、ぺこりとお辞儀をした。
「こちらこそ、よろしくお願いします。まだ、この村のこと、何もわからなくて」
私も田村さんにお辞儀をして言った。
「大丈夫、少しずつわかってくるか」
「でも、なんでここだけ、電気が通っているのですか?」
私は、田村さんの優しい笑顔につられて、疑問点を聞いてみる。
田村さんは、不意をつかれたように、罰の悪そうな顔をする。
「何もまだ聞いてないのだね。僕の口から言えないのです。全ては、紗羅さんから聞いてください」
田村さんはそう言って、そそくさと荷物を置いて行ってしまう。
(やっぱり、アキヲのいうように、この村は何か怪しいのだろうか。危険な秘密を持っているのだろうか)
私は、腑に落ちないまま、渡されたダンボールを持って、ミサトのところへ戻った。
ミサトは、ダンボールに入っている、ジャガイモや玉ねぎ、人参をだして、水で洗い、包丁で切っていく。
「リサ、お米を炊いてくれる?」
ミサトは、鼻歌を歌いながら、私に言った。
「ねえ、ミサト。なんでここだけ、電気が通っているの?呼吸器とか、吸引の物品はどこから買っているの?お金は?」
私は、胸につっかかっている疑惑を、ミサトにぶつけてみる。
ミサトは、包丁を切る手を止める。
少しの間、沈黙が訪れる。ミサトの背中が、急に冷たく、拒否をするような色を見せた。
「それはね、私からは話せないの。紗羅さんが、すべてわかっているから。きっと、時期がきたら話してくれるわ」
ミサトは、こちらにくるりと振り返って、にっこりと笑う。
「リサは、何も心配しなくていいから。この村の生活に、早く慣れてほしいの」
ミサトからは、有無を言わせない、圧力を感じた。もう、何も聞いてはいけないのだと悟った。
「わかった。変なこと聞いてごめんなさい。お米研ぐね」
私は、取り繕うように笑顔を作り、元気な声をだした。
ミサトはほっとしたように、安堵の色を見せ、また包丁で野菜を切り始める。
(やっぱり、何か秘密があるんだ)
隣りの部屋は、休憩室兼仮眠部屋になっていて、広々としたスペースが広がっていた。
テーブルの周りに、椅子が幾つかあり、部屋の中央にはソファーが3台置かれ、仮眠できるスペースが確保されている。
「リサは、お昼ご飯、持ってきた?」
ミサトは、椅子に座り、汗をタオルで拭きながら聞いてくる。
「いや、いつも宿で準備してもらっていたから、持ってきてないです。。」
「じゃあ、ちょうどいいね。3人分、一緒に作りましょう!」
「いいわね。今日は、カレーを作ろうと、ミサトと話してたのよ」
アイリとミサトは、はしゃいだ笑顔で、顔を見合わせて話す。
「ここで作れるの?」
「そうよ。台所が、隣りの部屋につながってあるから、ケイジさんたちのお昼ご飯も、一緒に作るの。全ての日常なお世話をするから、大変よ」
ミサトは、大変と言いながらも、楽しそうに笑顔を振りまいて言う。
きっと、やり甲斐があるのだろう、ミサトの汗はキラキラと輝いている。
「そろそろ田村さんが、食材を持って来てくれる時間だわ」
アイリは、壁にかかっている、時計を見ながら言う。ふわふわの巻き毛が、愛らしく映る。
そのとき、ちょうどチャイムが鳴り響く。
「来た来た!田村さんだわ。紹介するから、リサ、来てちょうだい」
ミサトは勢いよく立ち上がり、私の手を引いて、玄関口まで駆けていく。
ドアを開くと、田村さんと思わしき、40代程の中年男性が、ダンボールを抱えていた。
「こんにちは。君がリサさんだね。ミサトさんから聞いています。僕は、食材や必要な医療物品を運んでいます。田村といいます、よろしくね」
田村さんは頬に皺をよせ、人の良さそうな笑顔を見せて、ぺこりとお辞儀をした。
「こちらこそ、よろしくお願いします。まだ、この村のこと、何もわからなくて」
私も田村さんにお辞儀をして言った。
「大丈夫、少しずつわかってくるか」
「でも、なんでここだけ、電気が通っているのですか?」
私は、田村さんの優しい笑顔につられて、疑問点を聞いてみる。
田村さんは、不意をつかれたように、罰の悪そうな顔をする。
「何もまだ聞いてないのだね。僕の口から言えないのです。全ては、紗羅さんから聞いてください」
田村さんはそう言って、そそくさと荷物を置いて行ってしまう。
(やっぱり、アキヲのいうように、この村は何か怪しいのだろうか。危険な秘密を持っているのだろうか)
私は、腑に落ちないまま、渡されたダンボールを持って、ミサトのところへ戻った。
ミサトは、ダンボールに入っている、ジャガイモや玉ねぎ、人参をだして、水で洗い、包丁で切っていく。
「リサ、お米を炊いてくれる?」
ミサトは、鼻歌を歌いながら、私に言った。
「ねえ、ミサト。なんでここだけ、電気が通っているの?呼吸器とか、吸引の物品はどこから買っているの?お金は?」
私は、胸につっかかっている疑惑を、ミサトにぶつけてみる。
ミサトは、包丁を切る手を止める。
少しの間、沈黙が訪れる。ミサトの背中が、急に冷たく、拒否をするような色を見せた。
「それはね、私からは話せないの。紗羅さんが、すべてわかっているから。きっと、時期がきたら話してくれるわ」
ミサトは、こちらにくるりと振り返って、にっこりと笑う。
「リサは、何も心配しなくていいから。この村の生活に、早く慣れてほしいの」
ミサトからは、有無を言わせない、圧力を感じた。もう、何も聞いてはいけないのだと悟った。
「わかった。変なこと聞いてごめんなさい。お米研ぐね」
私は、取り繕うように笑顔を作り、元気な声をだした。
ミサトはほっとしたように、安堵の色を見せ、また包丁で野菜を切り始める。
(やっぱり、何か秘密があるんだ)
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