寂しいからそばにいて（仮）【『無冠の皇帝』スピンオフ】

砲撃のパラディン大佐隊編（【05】の裏）

213【交換ついでに合同演習編118】合同演習一日目：できるのか

【パラディン大佐隊・ミーティング室】

十一班長・ロノウェ
「〝レフト〟……また〝ファイアー・ウォール〟で〝縦走り〟する気か？」

フィリップス
「いや。あくまで〝魚〟で〝横泳ぎ〟」

十一班長・ロノウェ
「〝横泳ぎ〟!?」

フィリップス
「隊形は〝魚〟のまま、コールタン大佐隊に向かって前進する。あんたたちがかわしたコールタン大佐隊は、旋回される前に〝側面撃ち〟」

四班長・ワンドレイ
「できるのか、そんなことが!?」

フィリップス
「さあ。やったことがないからさっぱりわからん。とりあえず明日、演習区域に行く間に〝横泳ぎ〟の練習はする」

十一班長・ロノウェ
「いつも思いきるな、〝レフト〟……」

フィリップス
「そっちこそ、いったい何があった？　これじゃ〝無旋回〟祭だ」

十一班長・ロノウェ
「〝無旋回〟祭？」

フィリップス
「その六班横一列も、今回のうちの〝横泳ぎ〟も、出所は〝無旋回〟」

八班長・ブロック
「出所……せめて提案……」

十一班長・ロノウェ
「これもそうだったのか……明日負けたら、〝無旋回〟にも責任とらせろ」

フィリップス
「そうだな」

八班長・ブロック
「そんな！　一生懸命考えたのに！」

フィリップス
「まあ、採用したのはこっちだからそれは冗談だが、もし、明日コールタン大佐が本当にこの陣形をとるんなら、たとえばコールタン大佐隊がこう攻撃してくるわけだ」

七班長・カットナー
「あ、フィリップス副長がメモリカード滑らせた！」

九班長・ビショップ
「六班直撃！　……狙い撃ち？」

フィリップス
「十班長、五班長の代わりに〝側面撃ち〟」

十班長・ヒールド
「は、はい！」

十一班長・ロノウェ
「……本当にできるのか？」

フィリップス
「だからわからないって。そっちだって本当にそれでいいのか？」

レラージュ
「はい。……どうせすぐに一列ではなくなりますから」

フィリップス
「なるほど。俺たちもわりとすぐに〝横泳ぎ〟中止になるかも」

一班長・ハワード
「……これでもし、コールタン大佐が〝凡人布陣〟してきたらどうする？」

フィリップス
「〝この凡人が！〟って罵りながら、十二班一列で突っこんでやるか」

レラージュ
「いいですね。それで突破できたら、一部を先に行かせて、よってたかって〝背面撃ち〟」

フィリップス
「じゃあ、そのときは〝ライト〟先に行って。〝背面撃ち〟はやっぱり〝背面撃ち組〟がしないと」

レラージュ
「それもそうですね。ではお願いします」

フィリップス
「というわけで、元四班長。明日の演習の最終打ち合わせはこんなんなりましたけど、何かご意見は？」

エリゴール
「確かに、〝無旋回〟祭だな」

フィリップス
「それ、ご意見？」

エリゴール
「明日、コールタン大佐が本当にこの作戦をとってきたら、フィリップス副長に〝飴ちゃん〟十個やろう」

フィリップス
「ひゃっほう、ほんとに!?」

一班長・ハワード
「え、フィリップスに？　一班にじゃないのか？」

エリゴール
「ただし、違う作戦だったら〝飴ちゃん〟はなしだ」

フィリップス
「そりゃそうだ。ごもっともです」

エリゴール
「とにかく、明日負けたら各班から〝飴ちゃん〟一個ずつ返却してもらって、現在唯一〝飴ちゃん〟ゼロの十二班に全部やる」

エリゴール以外
「ええっ!?」

エリゴール
「もう食っちまって一個もないって班は、もし次〝飴ちゃん〟を獲得する機会があったら、その一個分マイナスする。……みんな、せっかく手に入れた〝飴ちゃん〟、十二班なんかにやりたくないだろ？　明日は必ず勝て」

エリゴールとザボエス以外
「はいっ！」

十二班長・ザボエス
「エリゴール……おまえ、俺に何の恨みが……」

フィリップス
「でも、これで全員のモチベーションが上がった！　俺のモチベーションも！　たとえ一個でも絶対あんたに〝飴ちゃん〟はやらねえ！」

十二班長・ザボエス
「こりゃまた嫌われたもんだな」

フィリップス
「何でそこでヘラヘラ笑う!?」

エリゴール
「じゃあ、これで今日は解散だ。……ここに居残って、メモリカード滑らせてるなよ」

一部の班長たち
「ギクッ」