153 / 349
砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)
135【交換ついでに合同演習編40】訓練二日目:一班先生
しおりを挟む
【パラディン大佐隊・第二班第一号ブリッジ】
フィリップス
『では、まずは〝魚〟の練習から。皆さん、メモ……じゃなくて撮影のご用意を』
二班長・キャンベル
「一班の〝先生〟は、同じ副長でも十一班の〝先生〟より親切だな」
副長
「足りないのは若さと美貌だけ」
フィリップス
『はい、これが〝魚〟。〝開き〟のときは副班長隊が旋回するので、班長隊が右側になるように〝縦〟になること。どうしてもそれが無理だったら逆でも可。ただし、そのときは班長隊が必死こいて旋回することになる』
キャンベル
「必死こいて旋回……」
副長
「副班長との力関係が問われるな」
フィリップス
『練習方法としては、初めにこの〝魚〟になってから移動隊形になったほうが、早く感覚がつかめていいと思う。……こんなふうに』
キャンベル
「おお、さすが〝魚〟第一人者。動きがスムーズだ」
副長
「ちゃんと初心者向けにゆっくりやってくれてるのが泣かせる」
キャンベル
「昨日の〝先生〟とは真逆だ」
フィリップス
『とにかく皆さん、レッツ・トライ。できたと思ったらうちに一報を。チェックしてできてたら、〝開き〟と〝最初から縦〟・〝移動しながら縦〟を教える』
副長
「できる子はどんどん先に進ませる作戦か!」
キャンベル
「まあ、一班は早く俺たちを〝開き〟までできるようにしないといけないからな。相当危機感があるだろう」
副長
「三班、留守番でよかったな」
キャンベル
「でも、あの元四班長が、今日だけ三班長だ。俺は今日だけ三班の動向が気にかかる」
副長
「その前に、まず自分が〝魚〟できるようにならないと。万が一、三班に先を越されたら屈辱だ」
***
【パラディン大佐隊・第三班第一号ブリッジ】
副長補佐
「元四……いや、班長。もちろん、うちもあれをできるようにならないといけないんですよね?」
エリゴール
「もちろんだ。最低限〝魚〟までできるようになっておかないと、最後の対抗戦に参加できなくなる」
副長補佐
「一応、撮影はしましたけど……いったいどんな練習から始めたらいいものやら……」
エリゴール
「そうだな。まず、班長隊と副班長隊の二隊に分かれろ」
副長補佐
「は?」
エリゴール
「最初から二隊同時に〝縦〟になる必要はない。この班長隊のほうが先にできるようになって、副班長隊の〝先生〟になる。……通信士、副班長にそのままじっとしていろと伝えろ。班長隊はこのまま前進。副班長隊と二隊分離れたところで止まれ」
通信士・操縦士
「了解」
クルーA
「何て言うか……命令慣れしてるな」
クルーB
「さすが〝元四班長〟」
エリゴール
「では、通信士。班長隊だけでいいから、各艦の艦長たちと直接会話できるようにしてくれ。会話内容は俺以外の人間にも聞こえるように」
通信士
「了解」
エリゴール
「じゃあ、さっそく〝縦〟になるぞ。まず、右翼の二隻。班長艦を先頭にして、上りのエスカレーターで立ち往生してるように一列に並べ。間隔は移動隊形のときと同じだ」
右翼の艦長たち
『上り……りょ、了解』
エリゴール
「次に、左翼の二隻。班長艦を先頭にして、下りのエスカレーターで立ち往生してるように一列に並ぶ。ただし、右翼と縦位置が同じになるように調整しろ」
左翼の艦長たち
『了解……』
副長補佐
「……あ」
エリゴール
「時間はかかったが、一応〝魚〟の完成だ。……通信士、今うちがやったのと同じことを副班長隊もやるように伝達」
通信士
「了解!」
エリゴール
「では、両翼、元の位置に戻れ。俺が『はじめ』と言ったら、さっきと同じことを今度はもっと早くする。理想は右翼と左翼が同時に動いて静止することだ。……オペレータ、副班長隊のほうはどうだ?」
オペレータ
「班長の命令どおり練習しています。……何だかうちより早い気が」
エリゴール
「なら、班長隊の意地にかけて、副班長隊には抜かれないようにしろ。今のがある程度できるようになったら、今度は副班長隊と並んで同時に〝魚〟になる。それもある程度できるようになったら、今度は〝先生〟がやったとおり、班長隊と副班長隊が重なった状態で〝魚〟になる」
班長隊の艦長たち
『班長! 準備できました!』
エリゴール
「よし、では『はじめ』」
***
【パラディン大佐隊・第一班第一号ブリッジ】
フィリップス
「すごい、元四班長! あの三班に、どこよりも早く〝魚〟を作らせた!」
ハワード
「ああいう教え方もあったんだな……」
フィリップス
「逆に言うと、ああやって教えてもらわないと、三班はできるようになれないのか」
ハワード
「でも、わかりやすいのは確かだ。……きっと、三班を〝先生〟にする班が出てくるな」
フィリップス
「それはかまわないけど……まさか〝移動しながら縦〟まで!?」
ハワード
「そこまでは……できるのか!?」
***
【パラディン大佐隊・第十二班第一号ブリッジ】
ヴァッサゴ
「何か、三班見てたほうが、すっごいわかりやすい……」
ザボエス
「……一班先生、すまねえ。今は三班先生に師事する」
フィリップス
『では、まずは〝魚〟の練習から。皆さん、メモ……じゃなくて撮影のご用意を』
二班長・キャンベル
「一班の〝先生〟は、同じ副長でも十一班の〝先生〟より親切だな」
副長
「足りないのは若さと美貌だけ」
フィリップス
『はい、これが〝魚〟。〝開き〟のときは副班長隊が旋回するので、班長隊が右側になるように〝縦〟になること。どうしてもそれが無理だったら逆でも可。ただし、そのときは班長隊が必死こいて旋回することになる』
キャンベル
「必死こいて旋回……」
副長
「副班長との力関係が問われるな」
フィリップス
『練習方法としては、初めにこの〝魚〟になってから移動隊形になったほうが、早く感覚がつかめていいと思う。……こんなふうに』
キャンベル
「おお、さすが〝魚〟第一人者。動きがスムーズだ」
副長
「ちゃんと初心者向けにゆっくりやってくれてるのが泣かせる」
キャンベル
「昨日の〝先生〟とは真逆だ」
フィリップス
『とにかく皆さん、レッツ・トライ。できたと思ったらうちに一報を。チェックしてできてたら、〝開き〟と〝最初から縦〟・〝移動しながら縦〟を教える』
副長
「できる子はどんどん先に進ませる作戦か!」
キャンベル
「まあ、一班は早く俺たちを〝開き〟までできるようにしないといけないからな。相当危機感があるだろう」
副長
「三班、留守番でよかったな」
キャンベル
「でも、あの元四班長が、今日だけ三班長だ。俺は今日だけ三班の動向が気にかかる」
副長
「その前に、まず自分が〝魚〟できるようにならないと。万が一、三班に先を越されたら屈辱だ」
***
【パラディン大佐隊・第三班第一号ブリッジ】
副長補佐
「元四……いや、班長。もちろん、うちもあれをできるようにならないといけないんですよね?」
エリゴール
「もちろんだ。最低限〝魚〟までできるようになっておかないと、最後の対抗戦に参加できなくなる」
副長補佐
「一応、撮影はしましたけど……いったいどんな練習から始めたらいいものやら……」
エリゴール
「そうだな。まず、班長隊と副班長隊の二隊に分かれろ」
副長補佐
「は?」
エリゴール
「最初から二隊同時に〝縦〟になる必要はない。この班長隊のほうが先にできるようになって、副班長隊の〝先生〟になる。……通信士、副班長にそのままじっとしていろと伝えろ。班長隊はこのまま前進。副班長隊と二隊分離れたところで止まれ」
通信士・操縦士
「了解」
クルーA
「何て言うか……命令慣れしてるな」
クルーB
「さすが〝元四班長〟」
エリゴール
「では、通信士。班長隊だけでいいから、各艦の艦長たちと直接会話できるようにしてくれ。会話内容は俺以外の人間にも聞こえるように」
通信士
「了解」
エリゴール
「じゃあ、さっそく〝縦〟になるぞ。まず、右翼の二隻。班長艦を先頭にして、上りのエスカレーターで立ち往生してるように一列に並べ。間隔は移動隊形のときと同じだ」
右翼の艦長たち
『上り……りょ、了解』
エリゴール
「次に、左翼の二隻。班長艦を先頭にして、下りのエスカレーターで立ち往生してるように一列に並ぶ。ただし、右翼と縦位置が同じになるように調整しろ」
左翼の艦長たち
『了解……』
副長補佐
「……あ」
エリゴール
「時間はかかったが、一応〝魚〟の完成だ。……通信士、今うちがやったのと同じことを副班長隊もやるように伝達」
通信士
「了解!」
エリゴール
「では、両翼、元の位置に戻れ。俺が『はじめ』と言ったら、さっきと同じことを今度はもっと早くする。理想は右翼と左翼が同時に動いて静止することだ。……オペレータ、副班長隊のほうはどうだ?」
オペレータ
「班長の命令どおり練習しています。……何だかうちより早い気が」
エリゴール
「なら、班長隊の意地にかけて、副班長隊には抜かれないようにしろ。今のがある程度できるようになったら、今度は副班長隊と並んで同時に〝魚〟になる。それもある程度できるようになったら、今度は〝先生〟がやったとおり、班長隊と副班長隊が重なった状態で〝魚〟になる」
班長隊の艦長たち
『班長! 準備できました!』
エリゴール
「よし、では『はじめ』」
***
【パラディン大佐隊・第一班第一号ブリッジ】
フィリップス
「すごい、元四班長! あの三班に、どこよりも早く〝魚〟を作らせた!」
ハワード
「ああいう教え方もあったんだな……」
フィリップス
「逆に言うと、ああやって教えてもらわないと、三班はできるようになれないのか」
ハワード
「でも、わかりやすいのは確かだ。……きっと、三班を〝先生〟にする班が出てくるな」
フィリップス
「それはかまわないけど……まさか〝移動しながら縦〟まで!?」
ハワード
「そこまでは……できるのか!?」
***
【パラディン大佐隊・第十二班第一号ブリッジ】
ヴァッサゴ
「何か、三班見てたほうが、すっごいわかりやすい……」
ザボエス
「……一班先生、すまねえ。今は三班先生に師事する」
3
お気に入りに追加
65
あなたにおすすめの小説
傷だらけの僕は空をみる
猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。
生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。
諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。
身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。
ハッピーエンドです。
若干の胸くそが出てきます。
ちょっと痛い表現出てくるかもです。
【完結】Doctor Master
邦幸恵紀
BL
【なんちゃってSF/ロボット工学の教授と元教授(元同僚同士)/両片思い】
〝両思いなのに片思い〟していたロボット工学の教授と元教授(元同僚同士)の話。
※なんちゃってSF。全3話。番外編あり。
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは
竹井ゴールド
ライト文芸
日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。
その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。
青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。
その後がよろしくない。
青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】
【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】
【2023/6/5、お気に入り数2130突破】
【アルファポリスのみの投稿です】
【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】
【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】
【未完】
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
完結·助けた犬は騎士団長でした
禅
BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。
ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。
しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。
強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ……
※完結まで毎日投稿します
普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。
かーにゅ
BL
「君は死にました」
「…はい?」
「死にました。テンプレのトラックばーんで死にました」
「…てんぷれ」
「てことで転生させます」
「どこも『てことで』じゃないと思います。…誰ですか」
BLは軽い…と思います。というかあんまりわかんないので年齢制限のどこまで攻めるか…。
【第1章完結】悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼第2章2025年1月18日より投稿予定
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる