チャラ男は愛されたい

梅茶

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新入生歓迎会

どうしてこうなった

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そう思っていた時期がありました。


「ん?えーっと…上から見た感じこの近くのはずなんだけどなぁ」
「適当につけてたGPS的にこっちか」
「く、く、久遠様のにおい…!!」
「久遠くんどこかな~?♡♡」


いや怖すぎ~~!!!

もう既にピンチ風だが言い訳をさせていただくなら、これ俺に問題があるのでなくてあっちに問題があるじゃんってことだ。なんて??GPS??最初のやつとかスマホ見ながら動いてるけど、どう考えてもこの学園上空を通ってるヘリコプターお前のだろ。本気過ぎでは???匂いとか言ってる奴もいるし、この学園の本気を舐めていた。揃いも揃ってヤバすぎる。

ちなみにGPSは俺のじゃなくて近くに隠れていたらしい新入生に着いていたようで、即捕まっていた。俺のはルードゥス先輩が取ってくれていたらしい。えっ着いてたんだ…取られたことにも気づかなかった。そして普通に有能。まぁ、そんなこんなで先輩方にサポートされながらなんとか逃げていた訳だが…




「久遠様、ここは私どもに任せお逃げ下さい!!」
「久遠様に触れようなんて万死に値するんだよゴミクズ共がァ!!」
「っ先輩…!」


鬼ごっこ開始から1時間も過ぎ終わりに近付くにつれ流石に逃げる側の数も減り、何とか生徒会役員を捕まえようと躍起になっている輩に集中的に狙われてしまっていた。
それでも流石と言うべきか、屈強な野郎どもをちぎっては投げ、ちぎっては投げと減らしていく先輩たち。それルール違反じゃないよね…?宍戸先輩全然普通に殴ってるけどちょっとダメなんじゃない???

そんな味方側にハラハラしつつ、いくら先輩たちが強いと言ってもこの人数差じゃ俺が今逃げたとしても厳しいだろうと顔を歪ませる。もういっそ大人しそうな人に捕まった方がいいかもしれない。そう考え始めた時、ルードゥス先輩と宍戸先輩が抑えてくれていた鬼が遂にこちらにまで手を伸ばしてくる。


「あっしまっ…!?」
「へっへっへっ、俺が生徒会を捕まえてやるぜ!!おら大人しく捕まグェッ…!!!」 
「汚らわしい手で遥きゅんに触れるな…っ!!!」
「はっ……?」


は、遥きゅん!!??何??!!絶体絶命だと身構えていたぶん、その聞こえてきた内容のおかしさに固まってしまう。いや、横の茂みからいきなり美丈夫が現れたと思ったらなんか言いながら鬼を吹っ飛ばしたんだが。そして後から続くようにして茂みから飛び出し俺を追っていた鬼に突っ込んで行く鬼の群れ。いやお前らも鬼だろ。仲間割れするな。どうなってんだよ。


「よっしゃお前ら!全力で久遠様をお守りしろ!!」
「うぉぉぉいいところ見せるぞー!!!」
「どけ!!!俺は親衛隊だぞ!!!!」


なになになにと一人大混乱の中にいたが、いきなり名乗りを上げた鬼たちの声を聞いて悟る。思えば既視感のありまくる登場だったね!あーね!この人達俺の親衛隊ね!!納得だわ!!!
変なやつしかいねぇんだよな~!!!いや助かったけど…!!!複雑な思いを抱えていれば、そのうちの原因の一人である多分親衛隊のイケメンAくんがサッと近くに駆け寄り手招きをしてくる。


「久遠様!身を隠せるところを用意致しましたのでこちらに!あっいい匂い…」


最後のセリフでイケメンが台無しだよ…。本当について行っていいのかこれ。まあでも俺の親衛隊だしな。親衛隊だからと信用しちゃうのは多分ダメだと思うんだが、自分の親衛隊が特殊すぎて身の安全に関する分野での安心感がなぁ。俺が近づきすぎてしまうと顔を真っ赤にし、息遣いを荒くしながらもサッと離れるし安全……いやこれ信用しちゃダメなやつか?
1人だと迷子になりそうな道を戦々恐々とそいつについて歩きながらたどり着いたのは、自然の要塞に匿われた小綺麗でオシャレな小屋だった。

え、え~~なにこれ~~!!!森の中の隠れ家みたいでちょっとテンション上がっちゃうんだが~!!!そんな俺を見てどこかの親衛隊長や親衛隊副隊長のように涙を流しながら残り時間もあと数十分ほどなのでここに隠れていてくださいという親衛隊に従い、小屋の中の物置のようなところに隠れる。親衛隊は尊いと叫びながら走り去って言ったが、こう…初めてあったやつばかりだけど、親衛隊はもれなく全員温度差が酷すぎて疲れるんだよなぁ…

とりあえずここなら安全だろうとほっと息をついた時、ガチャっと小屋の扉が開く音が聞こえて固まる。えっ!?フラグ回収が早過ぎない!!?めっちゃ普通に人来たんだけど!!!一応物置の中に隠れていてよかったと口に手を当て見つからないようにする。入ってきたのはどうやら3人ぐらいらしい。なにやら揉めているような…?


「三葉様、親衛隊を解散させようとしているなど嘘ですよね…?!」
「三葉様!!本気ですか!?」
「はぁ…」
「っ、あの新入生のせいですか?!!」
「そんなっ、俺たちのことなんてどうでもいいのですか!?なにかお答えくださいっ!!」
「チッ…」


み、美緒先輩ーーッ!!??そしてど修羅場~~!!!!


とんでもなく気まずい思いをしながらもどうしようもないので変わらず息を潜め続ける。多分美緒先輩の親衛隊の人2人と話してるのかな…?てか親衛隊に話したんだ!?美緒先輩は最後まで静観というか、何もしないと思ってたんだけど…
というか、美緒先輩舌打ちしました…?親衛隊に対して態度が悪すぎるというか冷たくない!?こんな美緒先輩嫌だよぅ怖いよぉ~!!!その後も三葉様と呼びかける親衛隊を無視し続けていたが、急に美緒先輩が1つ拍手をする。


「…黙りなさい。」
「「…っ」」


…その冷たすぎる声に思わず体が震える。え、な、なに…?こわ…。拍手で急に静かになったと思えば、命令口調で喋る美緒先輩。女王様じゃん…しかも先輩が黙りなさいって言ったらざっとか動く音が聞こえたんだけどなんの音…?さっきまで親衛隊の人達怒鳴ってたから暴力沙汰とか!?見ちゃいけないと思いながらも気になりすぎて少し扉を開いてチラッと除いてしまう……ん!?

…え、SMプレイ…っ!!?

声が出そうになり勢いよく頭を引っ込めて口を抑える。想像よりも逞しい感じの親衛隊たちが、犬のように四つん這いになり美緒先輩を見上げていたんだが。嘘じゃん…一体この一瞬で何が起こった…?さっきまであった小屋のオシャレな雰囲気は、鼻息が荒い生徒ふたりと女王様によるSMプレイによって完全に消え去ってしまった。最悪な空間すぎる。


「全く、貴方たちも偉くなったものですね。主人に口答えとは…」
「し、しかし…あっ♡」
「ひぅ…♡」
「ふふ、誰が喋ってもいいと言いましたか?」
「しゅ、しゅみません♡♡」
「はぁ…はぁ…♡♡」


あーーー無理だよぉ~!!帰りたいよぉ~!!!こんなの知らなくてもいい世界すぎる。盗み聞きはいけないよなぁなんてわざとらしく今更なことを考えながら、正直聞いてられなかったので耳を塞ぐ。その後どんなやり取りがあったのかは分からないが、鼻息が荒いまま親衛隊2人が出ていき、小屋に平穏が戻ってくる。美緒先輩もすぐ出ていくかな?はぁ、なんか聞いてるだけで疲れたぁ…!
肩の力を抜いて壁にもたれる。…そうやって気を抜いていたからか、歩き出した美緒先輩が出口ではなくこちらに近づいて来ていることに気づけなかった。静かに開けられた物置の扉から除くその麗しいご尊顔を冷や汗まみれの顔で見上げる。


「あぁ、本当に気持ちが悪い。あれで悦ぶような変態が親衛隊だなんて、私が可哀想だと思いませんか?ねぇ、久遠くん?」
「ェ"ッ!!??」


ば、バレてんじゃん……!!!(泣)




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