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王国内乱編
sideセリフォス 1
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窓の向こうには、賑わう王都の景色が広がっている。
部屋の中は、絵画のような豪華さで満たされていた。
全ては、王国の王子として、私が手に入れたものだ。
天井には黄金の装飾が施され、クリスタルのシャンデリアがきらびやかな光を放っている。
壁には芸術家が丹精込めて描いた大理石の彫刻と豪華な絵画が飾られ、床にはふかふかの絨毯が敷き詰められていた。足元が沈むような柔らかさがあり、踏みしめるたびに高貴さを感じさせる。
「ユウマ。どうやら君の同郷は我が国を裏切ったそうだ」
第二王子ユリウスは失脚した。笑いが止まらない。それも、私の弟で無能だと言われ続けたブラフに貶められたというのだから、なおさらだ。これを笑わずにいられるだろうか? すでに私にとっての政敵など、もはや存在しないも同然だ。
私は、自らの長く美しい金髪を整えながら、ゆったりとした椅子に腰掛け、ワイングラスを軽く傾けた。
ここは、私に与えられた執務室であり、王太子として国の中枢を担う場所。すべてが一級品で、誰もが羨む場所の頂点に最も近い部屋だ。
「らしいね。俺には関係ないけど」
ソファに座る異世界の勇者、ユウマ・タチバナ。茶髪に余裕の笑みを浮かべる美少年。
彼の勇者としての能力は魅力的だ。第一王子である私にこそ、ふさわしい存在。
その黄金の瞳が薄暗い部屋の中で光り、彼は私が信頼する存在の一人だ。
その端正な顔立ちと落ち着いた表情は、この計画においても不可欠な要素だ。
「セリフォスさん、確かに見事な部屋だけど、つまらないんだよな。俺の力が試せるのはいつなんだい? あんたの言う計画は、本当に成功するんだろうな?」
悠真は椅子を揺らしながら不満を口にするが、その様子ですら私にとっては楽しみの一つだ。彼の不満を理解しつつ、それが私の手中にあるという感覚を私は楽しんでいる。
「ユウマ、心配など無用だ。君が私に従ってさえいれば、この計画は必ず成功する」
私は悠真の肩に手を置き、低く笑った。
彼の整った顔に一瞬の陰りが差すのを見て、内心でほくそ笑む。彼が抱える不平不満を利用し、より深く引き込むことができるからだ。
「この国で私の名を知らない者などいないだろう? 王国の第一王子、セリフォスの名を。見ての通り、私ほどの美貌と地位を持ち、民衆の信頼も厚い者はいないだろう。だが、ユウマ、知っておいてほしい。表向きの顔が全てではないということを」
そう言いながら、私は豪華な絵画の一つの前に歩み寄った。その絵には、王国の誇り高き英雄が描かれているが、その裏には……。
「見てくれ」
指を軽く動かし、絵の裏に隠された隠し扉を開いた。中には、王国の秘密に関する文書や、私が集めた情報がびっしりと詰まっている。
「これが私の武器だ。表の顔ではなく、裏での力が真の力ということだ」
ユウマは目を見開き、驚いた表情を見せた。
「王国の裏側……こんなに準備しているのかよ……」
「そうだ。表の光ばかりを見ている者は、足元をすくわれるのだ」
私は手元の文書を一つ持ち上げ、ユウマに見せた。
「この文書は、王国の貴族たちが隠している闇だ。彼らは正義を掲げながら、裏では民衆を虐げ、自分たちの利益を優先している。これを利用しない手はないだろう?」
ユウマの顔は、次第に真剣な表情に変わっていく。彼は少しずつ、私の計画の全貌を理解し始めている。
その時、部屋の奥の扉が開き、筋肉隆々の男、デュランが姿を現した。
私の剣である彼は、堂々たる体躯で、常に鍛え上げられた筋肉が際立つ。彼の眼差しには冷静さと忠誠心が光っている。
「セリフォス様、準備は整いました。いつでも動けます」
デュランは低い声で報告し、剣の柄に手を置きながら、私に向かって頭を下げた。彼は剣士として一流であり、力と忠誠の象徴だ。
「ご苦労だった、デュラン。お前がいてくれるおかげで、私の計画は万全だ」
私は感謝の言葉をかけつつも、内心では彼をただの駒としか見ていない。彼の力は頼もしいが、それ以上の価値はない。ただ、利用価値があるというだけだ。
「さて、ユウマ、デュラン。お前たちの役割はわかっているな?」
私は再び席についてワイングラスを手に取り、二人を見渡した。ユウマは真剣な表情でうなずき、デュランも忠誠心を示すかのように、静かに頭を下げた。
「ああ、セリフォス様。面白い世界を見せてくれるんだろ?」
「その通りだ」
私は満足そうにうなずき、デュランにも目を向けた。
「デュラン、お前は私の剣として動いてもらうぞ。お前の力があれば、どんな障害も打ち砕ける。だが、決して目立つな。お前の存在が知られれば、全てが台無しになる」
「心得ております、セリフォス様」
デュランは深々とうなずき、再び剣を握り直した。その巨体から発せられる圧力が、部屋全体に広がるようだった。
「ふふ、やはりお前たちは頼りになるな。だが、私が最も信頼しているのは、この計画そのものだ」
私はワイングラスの中身を一口で飲み干し、空になったグラスを静かにテーブルに置いた。
「ユウマ、お前の勇者としての名声が、この計画の要だ。民衆はお前の言葉に従うだろう。だが、その裏で動くのは私だ。民衆の心を掴むのはお前の役目だが、王国を掴むのは私の役目だ」
ユウマは再びうなずき、その瞳には覚悟が宿っていた。デュランも静かにうなずき、私の指示を待っている。
「では、始めようか。国取りを」
私は低くつぶやき、再び微笑んだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あとがき
どうも作者のイコです。
再開しようと思います。
1日一話更新になると思いますがどうぞよろしくお願いします!
どうぞよろしくお願いします。
部屋の中は、絵画のような豪華さで満たされていた。
全ては、王国の王子として、私が手に入れたものだ。
天井には黄金の装飾が施され、クリスタルのシャンデリアがきらびやかな光を放っている。
壁には芸術家が丹精込めて描いた大理石の彫刻と豪華な絵画が飾られ、床にはふかふかの絨毯が敷き詰められていた。足元が沈むような柔らかさがあり、踏みしめるたびに高貴さを感じさせる。
「ユウマ。どうやら君の同郷は我が国を裏切ったそうだ」
第二王子ユリウスは失脚した。笑いが止まらない。それも、私の弟で無能だと言われ続けたブラフに貶められたというのだから、なおさらだ。これを笑わずにいられるだろうか? すでに私にとっての政敵など、もはや存在しないも同然だ。
私は、自らの長く美しい金髪を整えながら、ゆったりとした椅子に腰掛け、ワイングラスを軽く傾けた。
ここは、私に与えられた執務室であり、王太子として国の中枢を担う場所。すべてが一級品で、誰もが羨む場所の頂点に最も近い部屋だ。
「らしいね。俺には関係ないけど」
ソファに座る異世界の勇者、ユウマ・タチバナ。茶髪に余裕の笑みを浮かべる美少年。
彼の勇者としての能力は魅力的だ。第一王子である私にこそ、ふさわしい存在。
その黄金の瞳が薄暗い部屋の中で光り、彼は私が信頼する存在の一人だ。
その端正な顔立ちと落ち着いた表情は、この計画においても不可欠な要素だ。
「セリフォスさん、確かに見事な部屋だけど、つまらないんだよな。俺の力が試せるのはいつなんだい? あんたの言う計画は、本当に成功するんだろうな?」
悠真は椅子を揺らしながら不満を口にするが、その様子ですら私にとっては楽しみの一つだ。彼の不満を理解しつつ、それが私の手中にあるという感覚を私は楽しんでいる。
「ユウマ、心配など無用だ。君が私に従ってさえいれば、この計画は必ず成功する」
私は悠真の肩に手を置き、低く笑った。
彼の整った顔に一瞬の陰りが差すのを見て、内心でほくそ笑む。彼が抱える不平不満を利用し、より深く引き込むことができるからだ。
「この国で私の名を知らない者などいないだろう? 王国の第一王子、セリフォスの名を。見ての通り、私ほどの美貌と地位を持ち、民衆の信頼も厚い者はいないだろう。だが、ユウマ、知っておいてほしい。表向きの顔が全てではないということを」
そう言いながら、私は豪華な絵画の一つの前に歩み寄った。その絵には、王国の誇り高き英雄が描かれているが、その裏には……。
「見てくれ」
指を軽く動かし、絵の裏に隠された隠し扉を開いた。中には、王国の秘密に関する文書や、私が集めた情報がびっしりと詰まっている。
「これが私の武器だ。表の顔ではなく、裏での力が真の力ということだ」
ユウマは目を見開き、驚いた表情を見せた。
「王国の裏側……こんなに準備しているのかよ……」
「そうだ。表の光ばかりを見ている者は、足元をすくわれるのだ」
私は手元の文書を一つ持ち上げ、ユウマに見せた。
「この文書は、王国の貴族たちが隠している闇だ。彼らは正義を掲げながら、裏では民衆を虐げ、自分たちの利益を優先している。これを利用しない手はないだろう?」
ユウマの顔は、次第に真剣な表情に変わっていく。彼は少しずつ、私の計画の全貌を理解し始めている。
その時、部屋の奥の扉が開き、筋肉隆々の男、デュランが姿を現した。
私の剣である彼は、堂々たる体躯で、常に鍛え上げられた筋肉が際立つ。彼の眼差しには冷静さと忠誠心が光っている。
「セリフォス様、準備は整いました。いつでも動けます」
デュランは低い声で報告し、剣の柄に手を置きながら、私に向かって頭を下げた。彼は剣士として一流であり、力と忠誠の象徴だ。
「ご苦労だった、デュラン。お前がいてくれるおかげで、私の計画は万全だ」
私は感謝の言葉をかけつつも、内心では彼をただの駒としか見ていない。彼の力は頼もしいが、それ以上の価値はない。ただ、利用価値があるというだけだ。
「さて、ユウマ、デュラン。お前たちの役割はわかっているな?」
私は再び席についてワイングラスを手に取り、二人を見渡した。ユウマは真剣な表情でうなずき、デュランも忠誠心を示すかのように、静かに頭を下げた。
「ああ、セリフォス様。面白い世界を見せてくれるんだろ?」
「その通りだ」
私は満足そうにうなずき、デュランにも目を向けた。
「デュラン、お前は私の剣として動いてもらうぞ。お前の力があれば、どんな障害も打ち砕ける。だが、決して目立つな。お前の存在が知られれば、全てが台無しになる」
「心得ております、セリフォス様」
デュランは深々とうなずき、再び剣を握り直した。その巨体から発せられる圧力が、部屋全体に広がるようだった。
「ふふ、やはりお前たちは頼りになるな。だが、私が最も信頼しているのは、この計画そのものだ」
私はワイングラスの中身を一口で飲み干し、空になったグラスを静かにテーブルに置いた。
「ユウマ、お前の勇者としての名声が、この計画の要だ。民衆はお前の言葉に従うだろう。だが、その裏で動くのは私だ。民衆の心を掴むのはお前の役目だが、王国を掴むのは私の役目だ」
ユウマは再びうなずき、その瞳には覚悟が宿っていた。デュランも静かにうなずき、私の指示を待っている。
「では、始めようか。国取りを」
私は低くつぶやき、再び微笑んだ。
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あとがき
どうも作者のイコです。
再開しようと思います。
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