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潜入と出会い
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しおりを挟むなんだあれ、なんだあれ、なんだ、あれ!
窓ではなく正面から自室に戻ってきた風花は、戻るなり寝室のベッドに顔面から突っ伏した。
同室者がいたのなら、血相を変えた風花を問い詰めていただろう。
風花は何も答えられなかっただろうが、あいにくここは一人部屋である。
風花は、枕に顔を埋めて、自分の感情と戦っていた。
顔が熱い。顔だけじゃない。手も足も、身体中が熱かった。
姉以外の人間に直接的に触れたのは生まれて初めてだ。
人間とはあんなものか?
あんなに、心をかき乱すものなのか?
封じられた魔力が騒いでいるのがわかる。
あんなに心地よい素養を持った人間を風花は知らなかった。
「意味わかんない……」
あの男は一体なんなのだろう。
自分の先に関係が深い人物なのだろうか。
出来るだけ先のことは考えたくないのに、あの男の言葉がぐるぐると頭を回っている。
精霊が落ちてきたかと思った。
「……俺はまだ、人間でいたい」
風花は何も考えずに眠ることを選んだ。
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