139 / 240
2部 焼け落ちる瑞鳥の止まり木
第59話 月明かりが差し込む窓(アシュレイ視点)※
しおりを挟む
お互いの体を流し、広い湯溜に浸かると、ノアはモジモジとし始めた。俺が湯溜の端に座ると、ノアは嬉しそうに俺の股間に顔を埋める。
ノアは俺の局部が好きだという。それは憧れなのか、造形美なのか判断がつかないが、なにか琴線に触れるものがあるのだろうか。熱心に、しかし好き勝手に俺の陰茎を頬張る。小さな口で懸命に奉仕をする姿は、短時間でもくるものがあり、慌ててノアの口から引き抜いた。
「ああ、ダメだな。今日はノアが格好良くて、すぐに果ててしまいそうだ」
「あ、ぅ、あの。僕は痛くならない準備があるので、ぁアシュレイは先に出てもらってもよろしいでしょうか?」
その時に今日1日の出来事が繋がって、ぼんやりとノアを見てしまった。だから今日ルイスが来たのか。
「わかった。待っているぞ」
俺は先に湯から上がり、そのまま夜着を着て部屋に向かう。無いとは思うがノアがまた洋服を着てくるかもしれない。だからノアの分の夜着を置いて、洋服は持って出た。服を撫でると今日の可愛いノアの表情が思い浮かぶ。
痛くならない準備とはなんだ、とルイスに以前聞いたことがあった。塔が焼けて、道具も燃えてしまったのだろう。でもルイスは次の日にこれを届けてくれた。感謝と温かな気持ちが俺の胸を満たす。
俺は勝手もわからず女のようにノアを抱き、怪我をさせてしまったことがあった。男同士で行為に及ぶことがなんたるか、全くわかっていなかった。男同士というものは女にするよりも遥かに優しくなければならないのだ。
月明かりで照らされた廊下に俺の足音だけが響く。父の部屋を通過する時に、窓を見た。父が亡くなった晩、王が入ってきた大きな窓だ。月明かりで窓の枠が細く鈍く輪郭を描く。
国王が父に寄せていた想いは俺と同じだったのだろうか。俺がノアに思うように、何もかも与えたい衝動で、いてもたってもいられなかったのだろうか。
「アシュレイ」
後ろからノアの声が聞こえる。気づかない内に随分と窓を眺めていたらしい。
「なにを、考えていたのですか?」
「国王陛下のことだ」
ノアはなにを思ったのか、少し残念そうな顔をして、呟いた。
「僕に……国王なんて務まるでしょうか……」
ノアは夜着の裾をギュッと掴み、唇を噛みしめた。俺は持っていた服を腕にかけて、ノアの前に跪く。そして、その胸に手を伸ばした。
「これから、一緒にいろいろなものを見て、食べて、笑って、楽しんで。俺はノアに全てのものを見せてあげたい。それで、ノアが心の底から国王になりたいと思ったらやってみなさい。国王になっても、ならなくても。俺はノアが愛おしい」
ノアは恐る恐る俺の手を両手で握った。
「できる、できないじゃない。望むか、望まないかだ。ノア。心配になったら今のようにいつでも言いなさい。一緒に悩んで、乗り越えて行」
ノアは最後まで言わせてくれなかった。急に首に抱きついて、そのまま離れなかったのだ。だから俺はそのまま担いで寝室に向かう。
ノアは俺の局部が好きだという。それは憧れなのか、造形美なのか判断がつかないが、なにか琴線に触れるものがあるのだろうか。熱心に、しかし好き勝手に俺の陰茎を頬張る。小さな口で懸命に奉仕をする姿は、短時間でもくるものがあり、慌ててノアの口から引き抜いた。
「ああ、ダメだな。今日はノアが格好良くて、すぐに果ててしまいそうだ」
「あ、ぅ、あの。僕は痛くならない準備があるので、ぁアシュレイは先に出てもらってもよろしいでしょうか?」
その時に今日1日の出来事が繋がって、ぼんやりとノアを見てしまった。だから今日ルイスが来たのか。
「わかった。待っているぞ」
俺は先に湯から上がり、そのまま夜着を着て部屋に向かう。無いとは思うがノアがまた洋服を着てくるかもしれない。だからノアの分の夜着を置いて、洋服は持って出た。服を撫でると今日の可愛いノアの表情が思い浮かぶ。
痛くならない準備とはなんだ、とルイスに以前聞いたことがあった。塔が焼けて、道具も燃えてしまったのだろう。でもルイスは次の日にこれを届けてくれた。感謝と温かな気持ちが俺の胸を満たす。
俺は勝手もわからず女のようにノアを抱き、怪我をさせてしまったことがあった。男同士で行為に及ぶことがなんたるか、全くわかっていなかった。男同士というものは女にするよりも遥かに優しくなければならないのだ。
月明かりで照らされた廊下に俺の足音だけが響く。父の部屋を通過する時に、窓を見た。父が亡くなった晩、王が入ってきた大きな窓だ。月明かりで窓の枠が細く鈍く輪郭を描く。
国王が父に寄せていた想いは俺と同じだったのだろうか。俺がノアに思うように、何もかも与えたい衝動で、いてもたってもいられなかったのだろうか。
「アシュレイ」
後ろからノアの声が聞こえる。気づかない内に随分と窓を眺めていたらしい。
「なにを、考えていたのですか?」
「国王陛下のことだ」
ノアはなにを思ったのか、少し残念そうな顔をして、呟いた。
「僕に……国王なんて務まるでしょうか……」
ノアは夜着の裾をギュッと掴み、唇を噛みしめた。俺は持っていた服を腕にかけて、ノアの前に跪く。そして、その胸に手を伸ばした。
「これから、一緒にいろいろなものを見て、食べて、笑って、楽しんで。俺はノアに全てのものを見せてあげたい。それで、ノアが心の底から国王になりたいと思ったらやってみなさい。国王になっても、ならなくても。俺はノアが愛おしい」
ノアは恐る恐る俺の手を両手で握った。
「できる、できないじゃない。望むか、望まないかだ。ノア。心配になったら今のようにいつでも言いなさい。一緒に悩んで、乗り越えて行」
ノアは最後まで言わせてくれなかった。急に首に抱きついて、そのまま離れなかったのだ。だから俺はそのまま担いで寝室に向かう。
0
お気に入りに追加
491
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~
さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。
そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。
姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。
だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。
その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。
女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。
もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。
周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか?
侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる