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1部 ヤギと奇跡の器
第30話 絵本と約束(ルイス視点)
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突然の就寝に僕はびっくりして、ジルの胸を叩いた。
「にいさま?」
僕の心配をよそにジルはすぐに起きて目をこする。
「ああ、すまん。安心して少し……」
くあっと大きなあくびをする。なにを安心することがあったのか、よくわからないことを言うジルに狼狽えてルークの方を見た。
「どうせ昨日寝ていないんだよ。心配事があるとすぐにこれだ」
心配事、それはノアのこと、そしてアシュレイのことなのだろう。心優しいジルはこうやって人の悩みも自分ごとのように考えてしまうのだ。
「兄様、起こしてしまってごめんなさい……少し寝てください」
「いや、せっかくルイスが来たんだ……ルイスの声がもっと聴きたい……」
起き上がろうとするジルをルークが再び組み伏せる。
「ルイス、そこに布を持ってきてある。とってくれ」
「ルーク大丈夫だ」
大丈夫だ、そう言いながらジルの声はもう限界そうだった。半分夢の中のような声がかわいくて、ルークに絞った布を渡したときに顔を見合わせて笑ってしまう。
「ルイス……本を……読んでくれないのか……?」
ジルは完全に夢の中だった。でもルークが僕に合図を送るから、僕はジルが隠している大切な絵本を取り出してきた。
ルークがジルの体を拭いている間に、僕は隣に座り絵本を読みはじめる。10年以上読んでいないのに、出だしを読み上げると、次の文章がサラサラと流れ出してきた。
ジルはずっと嬉しそうに僕の声を聴いている。笑ったまま寝息を立てたところで、僕とルークはベッドを降りて、大切な絵本を元の場所に隠した。そして物音一つ立てずに2人で服を着たら、部屋を出た。
廊下を先に歩くルークが肩を震わせている。
「ルイスに会えないとき……あの絵本を広げているんだ……ふふっ……かわいいだろう?」
僕はルークの背中を見ながら、さっき言われたことを思い出していた。2人一緒の非番は少ない。だからジルと2人のときはルークがいなくても愛し合うのだ、と。
言われるまで、気がつきもしなかった。冷静に考えれば3人が必ず一緒など不自然すぎたのに。でもこうやって愛し合うときには必ず3人だった。それを感じさせないようにずっとルークはバランスをとってくれていたのだ。
「ルークだけが……非番の時にも、僕を抱いてくれますか?」
ルークは困ったような顔で振り返り、息を吐き出した。
「もちろんだ。でも兄様が上だぞ」
ルークに駆け寄り抱きつく。
「どうした? さっきのじゃ足りなかったかい?」
「にいさまたちが好きすぎて……おかしくなりそうです……」
「ああ、ルイス……ジルには内緒でもう一度しようか?」
「キスが……足りません……」
ジルは僕を抱き上げて壁に僕を寄りかからせる。額と額を合わせて、匂いを嗅ぐように鼻の先を僕の頬に押し当てた。
僕の上唇をルークの唇がかすめる。そしてルークの形のいい唇が柔らかく覆いかぶさった。
「ジルが非番の時には、絵本を読んであげます」
「ルイスはジルに似て優しい子だ」
「ルークが1番優しい! ジルだってそう思って……」
僕の言葉はルークの情熱的なキスで遮られた。
こんなにうまくやってきたのに、僕のせいでジルは胸を痛め、ルークは3人のバランスを取れなくなった。僕が黙って1人で抱えていればルークにあんなことを言わせずに済んだのに。
胸が痛くて目頭が熱くなる。
「ああ、ルイス……そんな顔をしてはダメだ……兄様は優しくなんてない……いつだってルイスを独り占めしたいと思ってるんだ……」
舌が僕の答えを絡めとっていく。もっと奥まで欲しい、そう思った時に突然玄関の戸が開け放たれた。
「にいさま?」
僕の心配をよそにジルはすぐに起きて目をこする。
「ああ、すまん。安心して少し……」
くあっと大きなあくびをする。なにを安心することがあったのか、よくわからないことを言うジルに狼狽えてルークの方を見た。
「どうせ昨日寝ていないんだよ。心配事があるとすぐにこれだ」
心配事、それはノアのこと、そしてアシュレイのことなのだろう。心優しいジルはこうやって人の悩みも自分ごとのように考えてしまうのだ。
「兄様、起こしてしまってごめんなさい……少し寝てください」
「いや、せっかくルイスが来たんだ……ルイスの声がもっと聴きたい……」
起き上がろうとするジルをルークが再び組み伏せる。
「ルイス、そこに布を持ってきてある。とってくれ」
「ルーク大丈夫だ」
大丈夫だ、そう言いながらジルの声はもう限界そうだった。半分夢の中のような声がかわいくて、ルークに絞った布を渡したときに顔を見合わせて笑ってしまう。
「ルイス……本を……読んでくれないのか……?」
ジルは完全に夢の中だった。でもルークが僕に合図を送るから、僕はジルが隠している大切な絵本を取り出してきた。
ルークがジルの体を拭いている間に、僕は隣に座り絵本を読みはじめる。10年以上読んでいないのに、出だしを読み上げると、次の文章がサラサラと流れ出してきた。
ジルはずっと嬉しそうに僕の声を聴いている。笑ったまま寝息を立てたところで、僕とルークはベッドを降りて、大切な絵本を元の場所に隠した。そして物音一つ立てずに2人で服を着たら、部屋を出た。
廊下を先に歩くルークが肩を震わせている。
「ルイスに会えないとき……あの絵本を広げているんだ……ふふっ……かわいいだろう?」
僕はルークの背中を見ながら、さっき言われたことを思い出していた。2人一緒の非番は少ない。だからジルと2人のときはルークがいなくても愛し合うのだ、と。
言われるまで、気がつきもしなかった。冷静に考えれば3人が必ず一緒など不自然すぎたのに。でもこうやって愛し合うときには必ず3人だった。それを感じさせないようにずっとルークはバランスをとってくれていたのだ。
「ルークだけが……非番の時にも、僕を抱いてくれますか?」
ルークは困ったような顔で振り返り、息を吐き出した。
「もちろんだ。でも兄様が上だぞ」
ルークに駆け寄り抱きつく。
「どうした? さっきのじゃ足りなかったかい?」
「にいさまたちが好きすぎて……おかしくなりそうです……」
「ああ、ルイス……ジルには内緒でもう一度しようか?」
「キスが……足りません……」
ジルは僕を抱き上げて壁に僕を寄りかからせる。額と額を合わせて、匂いを嗅ぐように鼻の先を僕の頬に押し当てた。
僕の上唇をルークの唇がかすめる。そしてルークの形のいい唇が柔らかく覆いかぶさった。
「ジルが非番の時には、絵本を読んであげます」
「ルイスはジルに似て優しい子だ」
「ルークが1番優しい! ジルだってそう思って……」
僕の言葉はルークの情熱的なキスで遮られた。
こんなにうまくやってきたのに、僕のせいでジルは胸を痛め、ルークは3人のバランスを取れなくなった。僕が黙って1人で抱えていればルークにあんなことを言わせずに済んだのに。
胸が痛くて目頭が熱くなる。
「ああ、ルイス……そんな顔をしてはダメだ……兄様は優しくなんてない……いつだってルイスを独り占めしたいと思ってるんだ……」
舌が僕の答えを絡めとっていく。もっと奥まで欲しい、そう思った時に突然玄関の戸が開け放たれた。
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