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序章 -王都アスペラルダ城編-
-03.5話-[勇者様召喚の日から・・・-アルシェ視点-]
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その日はとうとう異世界からの勇者様を召喚する日でした。
私の両親が治めるこの国の名前は[アスペラルダ]と言います。
私たちは知っています。
この異世界人の召喚は、その召喚される者の人生を狂わす行為である事を。
王族としてではなく、人として忌避すべき行いである事を。
この世界を平和な世界にする為とはいえ、
私にはこの異世界人召喚が正しい行為とは到底思えなくて、
何度もお父様へ中止するべきだとお伝えしました。
私は口下手であまりお喋りが得意ではありませんでしたが、
それでもお父様へ抗議を行いました。
* * * * *
「私は姫として、お父様の娘として、この世界の住人として、
この異世界人の召喚がどうしても正しいものだとは思えません。
確かに魔族は強大で未だに世界は平和とは程遠く、
それこそ幾星霜をかけて解決させるとても大きな問題です。
それでもそれは、
この世界の話であり長い月日が必要ですが解決できない訳ではありません。
犠牲も双方多く出るでしょう。
しかし、異世界の方を巻き込んで良いという話ではないはずです。
どうかお考え直していただけないでしょうか、お父様」
玉座に座るお父様とお母様は静かに私を見つめてきます。
私がお父様へ詰め寄る玉座の間の空気が張り詰めるのを感じます。
この部屋には王族の私たちだけでなく兵士も宰相も大臣も、
この国を回す為の大事な人材が集結しています。
皆、私の意見にというより私が意見を発したことに驚き、
お父様の反応を伺っているようです。
お父様はいつの間にか目を閉じ考えを巡らせているようで、
お母様はそんなお父様を心配そうに見つめています。
私のこの発言は国のトップが発言を躊躇ってしまうほどの重要なことであり、
引いては我が国だけでなく世界に影響のある事なのだと気を引き締め、
私はお父様が口を開くのを待ちます。
正直に言えば、足は振るえ立っているのも辛いと思う程度に、
私自身一気果敢に発言をした事で力を使い果たしたような面持ちだったことでしょう。
しばらくして、お父様は目を開け口を開きました。
「まず、この勇者召喚を魔族と戦う各国の王族が了承している為、
我が国の意思で止めることは出来ぬ。
各国もこの異世界人召喚が忌避すべき行為という事を理解しているが、
その良識を押し殺してでも強行しなければならないほどの神託を教会の聖女殿が受け取った・・・」
お父様は私に言い聞かせるように丁寧にお喋りくださいました。
国単体ではなく平和を願う世界の長が皆で決めた事であると。
私だけでなくこの場にいる全ての者がお父様の話に耳を傾けている。
この話は明らかに選ばれた方にしか聞かせてはいけない内容であると、
この時点の私は直感していました。
だって、
こんな鬼気迫る顔のお父様を、
見たことが無かったから。
「神託は以下のとおり。
《幾千の夜と昼が流れつつ、世界の混沌は加速する。
星は力を消費し続け、世界は0へと向かいだす。
魔の王は異界へ手を伸ばし、いずれ世界は魔神の手に落ちるだろう。
微かな光は明滅し消滅を待つ。異界の者、光を戻さん》
聖女殿が言うには、信憑性は50%だそうだが、
各国はこの神託を冗談だと切り捨てるわけにはいかなかった。
それは・・・世界の異常を知っていたからだ」
「世界の異常・・・?」
私は城下町に視察で降りることもあります。
城でも街でも私はそんな異常には遭遇したことも聞いたこともありませんでした。
「まだ異常は観測し始めたばかりだが、我が国は世界で一番水が豊かな国だ。
しかし、少しずつではあるが毎年水嵩が減ってきておる。
当然水源を調査をしたが結果は揮わなかっただけではなく、
他の異常も見つけてしまった」
ゴクリ・・・
誰が鳴らしたのかわからないが確かに玉座の間に響く音は鳴った。
「この街はダンジョンもあるがランクが低く、
冒険者になりたての若者達の下地を鍛える意味でも、
世界の入り口と呼ばれるに相応しい平和な都だ。
当然魔物も街道に沸くが、
それは新兵が武器の振り方さえ覚えれば、
簡単に凌ぐことが出来る程度の魔物であった。
だが、調査班が見つけたのはそんなこの国の常識を揺るがす化け物だった。
名前を[キュクロプス]。
我が王都にあるダンジョンはランク1だが、
ダンジョンランク4に出現するモンスターのはずなのだよ。
当然本来は外に沸く事はない」
キュクロプス・・・。
名前や絵姿はこの城にある図書館の図鑑で目にした事がある。
単眼に巨人族よりもさらに大きな身体を持ち、
腕を振るうだけで森の一部が消し飛ぶと記憶している。
そんなモンスターが国の近くに?確かに這い寄るような寒気を感じる。
この異常は国を守る王族としては見逃してはならないと私の中で警報が鳴り響く。
「こうした異常が各国で報告されており、
我々は既に選択する立場では居られないと悟った。
縋り付いてでも!
この世界の為に光を戻せる者を見つけなければならない!
その結果が罵詈雑言を浴びせられようと、暗殺されようと、
塵芥のような最後を迎えることになろうとも世界を守れるなら!
この身を、魂を捧げようと決めたのだ!
すぅ・・・ふぅ、
各国の考えは多少の違いはあろうとも守るべき臣民のため、
世界のために人道を外れることを選択した・・・」
「世界は・・・」
涙が出ていた。
私はなんて浅はかなのだろう。
お父様の激情が伝わってきた気がした。
知らなかったこととはいえ、自分が情けない。
「滅びに向かっているのですね・・・」
声に震えはない。
ただただ、事実として、現実として。
私は、理解した。
この選択は愛する世界と異世界人1人を天秤に掛けた選択。
創造神にも選択をすることが許されないであろう選択。
頭に流れるのは救国の騎士の物語。
愛する人とその人以外の国民の選択を迫られる騎士の物語。
あの物語は最後にどちらを選んだのだったろうか・・・。
* * * * *
魔法陣は魔法ギルドの協力のもと、無事に完成しました。
ただ、世界を超える召喚なので相応の魔力が必要と判明し、
魔力が産まれつき高い私と他20名の魔法使いで魔力を送ることが決まりました。
世界でも有数の魔力を底上げする装備を各々が、
覚悟を決めた表情で装着していくのを眺めながら改めて自身に戒めを撃ち込みます。
これから始まるのは、
どんな理不尽をも飲み込まなければならない、
大罪なのだと。
お父様の覚悟、世界の覚悟、己の覚悟を胸に、
私たちは召喚を開始しました。
* * * * *
天にも昇る極太の極光が消え、
辺りには召喚の影響で白煙が大量に漂っていた為、
召喚が成功したのか失敗したのか確認が出来ませんでした。
周りに目を向けましたが、
魔法使いの皆さんは満身創痍で明らかに魔力枯渇状態で立っているのがやっと、といった様子でした。
ふと気がつくと、
煙の向こうで見たことのない衣服を纏った方が、
少々戸惑いのある顔を覗かせていらっしゃいました。
(この方が勇者様・・・)
私より年齢は上のように見受けられましたが、
多少戸惑っているようにも見えました。
無理もありませんね、
お父様が言うには召喚者は世界を超える負荷に耐える過程で、
記憶に混濁が発生するとおっしゃっておいででした。
勇者様はまさに混乱状態なのでしょう。
私は次の役目を果たすために前へ進みます。
身体にだるさはありますが私たちの為に犠牲にするこの方に、
精一杯のもてなしをする為に、
身体に鞭を入れ足を前へ前へと進め、
祈りながら勇者様のもとへ辿り着きます。
「ようこそいらっしゃいました、勇者様!」
どうか、
私に、
罰が落ちますようにと。
* * * * *
それから数週間もしないうちに勇者様は旅立って行きました。
召喚後、事情を説明し魔王討伐をお願いしましたが、
予想と違い勇者様はやる気満々で私達に言ってのけました。
「まっかせてくださいよ!
初めは確かに戸惑いはしましたが、
倒せば帰られるならやりますよ!
いや、やらせてください!
こういうの憧れていたしすっごい嬉しいです!
俺が勇者かぁ・・・感動だなぁ・・・っ!」
私たちに呪いの言葉を吐くどころか、
やる気を漲らせてよくわからないことをおっしゃっていて、
異世界についてお話をしてみたいと思っていた私は、
この時に苦手意識を持ってしまいました。
お城に居る間にお話をする機会が何度もあったにも拘らず、
口下手、人見知りに加えて苦手意識まであってはお話もスムーズに出来ず、
気付けば勇者様はお城を出ていました。
あの覚悟はなんだったのかというくらい、
あっさりと勇者様が旅に出られてから私はもとの生活を送り始めました。
朝はメイドに起こされ、朝食を食べ、
魔法の勉強を午前中に集中して行い、昼食を食べ、
午後はお父様の書類仕事をお母様に教わりながら手伝う。
午後にお休みを頂けたときは城下町に視察に出かける。
私はこの国が大好きなので、
城下町の人々の暮らしを見るのも聞くのも好き、
だったら直接触れに行くのは当然ですよね。
もう何度も来ているし、
私も大きくなり臣民に挨拶する機会もあったので、
おそらく城下町の民は私が姫だと気付いているのだと思いますが、
見て見ぬフリをしてくださいます。
そんな気遣いを感じてつい口元がニヤけてしまいます。
そんな生活をひと月ほど繰り返したある日、
新たに異世界人が現れたと耳に入りました。
当然私は魔法陣に魔力を送っていませんし、
まずその時間は城下町に降りていたので城に帰ってきた私は驚いたものです。
異世界人・・・。
勇者様で苦手意識があったので接触に踏み切ることが出来ずに、
あの人を遠くから眺めることしか私には出来ませんでした。
意図せず召喚されたあの人の名前は水無月宗八さんと言うそうです。
観察とは別に兵士やお母様に聞き込みをして人間性も確認してみます。
名も無き兵士A
「初めはダガーの握り方も覚束ない様子でした。
彼は戦闘センスこそ普通ですが、
努力を人一倍するようで数日もしないうちに構えも様になっていましたよ。
彼の掌は今頃豆だらけでしょうね」
確かに私は遠くからではありますが、
彼が一心不乱にダガーの素振りをしているのを眺めていました。
いつもいつも寝る前まで彼は努力をしていました。
反省中の衛兵A
「宗八ですか?
まぁ出会いが出会いだったので最初は不審者扱いをしましたが、
接するうちに悪い奴じゃないのはわかりましたよ。
何よりお調子者だからよく戯言を吐いては笑わせてもらってます」
反省中の衛兵B
「良い奴ですよ。
宿舎は同じ部屋を使っているんですが、
風呂に入る前まで食事以外はずっと外でダガー振ってますしね。
感心に値する気概を持っています。
何がそこまでさせるのかはわかりかねますが」
出会いが最悪だった衛兵の2人とも良好な関係を築いているみたいで、
そんな関係を羨ましく思う私が確かにいました。
お母様
「私は好きですよ。
この世界へ来て初めて会った異世界人に、
何て言ったのか聞いたかしら?こんにちわよ。
混乱した頭でも人と話すことに気遣えるし、
私たちにも礼儀正しく自身の現状を伝えてくれたわ。
まぁ少し人付き合いに線を引いてる感じはあるけれどね。
王は勇者様が魔王討伐するまで城で暮らしても良いと伝えたのだけど、
甘えが過ぎると人として駄目になるので、
ほどほどにこの世界で生きられるようになったら城を出ますって。
なかなか言えることではないと思いますよ、
ましてや異世界で私たちの事を考慮した行動が取れるなんてね」
お母様の好感度は天井知らずなのではないかと思えるほどで、
その日は就寝までお母様から宗八さんのお話を聞き続けました。
私も、お話したいと思いました。
* * * * *
今日は久しぶりの視察に出かけられる日です。
楽しみで仕方がなく、昼食を食べ終えたら早速いつもの服に着替えて城を飛び出しました。
いつものガヤガヤと賑やかな市場に売っている商品を見ていると、
店番していた少年が店主であるお父さんの目を盗んで、
私に串焼きを手渡してきました。
流石にただでもらうわけにもいかないと思ったのですが、
今日に限ってお財布を忘れてしまっていたためお金を払うことが出来ません。
どうしようかとワタワタしていましたが、
少年は無理やり手に握らせてお店に戻っていきました。
どうしようかと店主さんに目を向けたら、
ニッコリと笑いながら頷いてくれたので、
お辞儀をして感謝の意を表します。
いただいた串焼きはいつも食べる若干冷めた食事と違って暖かく、
普段とは違う美味しさを感じることが出来ました。
視察は続き、道具屋、武器屋、そして運命の防具屋に着きました。
この時点で私は、
話をしてみたいと思う彼と出会うなんて思いもしておらず、
何の覚悟もないまま店に入ってしまいました。
このお店の店主さんは変わっていて、
私を見ないようにしているのか目を瞑って防具の解説をしたり、
顔を背けて防具を磨いたりしています。
別に今は趣味の視察をしているだけなので気にしないでほしいと前に声を掛けたのですが。
「いいいいいいえ、滅相もありません。
姫様は我が国の宝!
私のような一介の防具屋の半径100m以内で姫様を直視等出来様がありましょうか、ありません!」
そんな崇高な存在ではないんですよ?だって私たちは・・・。
その日もそっぽを向いたままカウンターにいる店主さんに苦笑しつつ、
並んでいる防具を眺めたり触ってみたり、
興味本位に装備を試したりしていた時でした。
彼が、異世界人の彼が、私が今一番興味がある彼が、
入店してきました。
ドキドキ
ドキドキ
ドキドキ
彼の一挙手一投足に意識を向けながら声を掛けるタイミングを計って・・・
彼が、異世界人の彼が、私が今一番話してみたい彼が、
隣の棚の防具を物色しに近づいてきました。
ドキドキ
ドキドキ
ドキドキ
「・・っ!?」
彼と目が合いました!
いつの間にか私は身体ごと彼に向いていたようです。
ドキドキ
ドキドキ
ドキドキ
「・・・はぁ~!」
彼は突然大きくため息を吐きました。
足が・・・震えそうになりました。
私はこの時思い出したのです。
自分が口下手で人見知りな事を。
なんと声を掛けるかなんて考えておらず、
彼が近くにいることに緊張している事に今この瞬間に、
このため息で気付きました。
先ほどまでの夢見心地は霧散して私は立ち尽くしてしまい、
彼が店主さんと雑談している間も私はその場から動く事が出来ないでいました。
(そういえば、
城でも一方的に遠目で眺めていただけだから、
私が姫ということも知らないのかもしれない。
だったら声を掛けてもらえるはずもないし・・・、
どちらかといえばじっと人のことを見る気味が悪い娘と思われた・・・?)
考えは悪い方向へ加速していき、
体温が低くなっていくような熱が抜けていくような、
そんな感覚を覚える身体を必死で倒れないように支えることしか出来ませんでした。
それからどれほどの時間が流れたのでしょうか。
私には永遠にも感じたその時間は防具屋の扉が開く音で終わりを迎えました。
カランカランッ
「っ!?」
その音は彼が出て行く時に開いた扉の音でした。
「・・・まって・・ください・・・・・」
咄嗟に口から小さく漏れたのは私の本心だったのだと思います。
話がしたいです・・・
置いていかないでください・・・
私を・・・
「姫様・・・動けるのであれば追いかけてください。
貴女はあの若いのに用があるのではないですか?
私たちは貴女が口下手で人見知りをすることを知っています。
そんな貴女が街に出てきて私たちに興味を持ってくれている、
私たち市井の者に意識を払ってくれている。
その貴女の気持ちが嬉しくて、
私たちは気を使わず楽しめるように貴女に過剰な接触を避けてきました。
でも、彼は違うのでしょう?
何か伝えたいことがあるのであれば・・・頑張ってください」
いつもそっぽを向いて目すら合わせてくれない防具屋の店主さんが、
微笑みながら私に声を掛けてくれました。
城下町に来るたびに皆さんの好意は感じていた。
まさか私に気遣って姫ではなく一人の女の子として見守ってくれていたなんて、嬉しくて。
その臣民の一人が私に頑張れと言ってくれた。
足が・・・動いた。
タッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタ!
タッタッタッタッタッタッタッタッタ・・・・
タッタッタッタッタ・・・・
タッタッタ・・・・
トテトテ・・・・
「ハァハァ・・・」
私・・・・体力無いなぁ・・・・
彼は待っていてくれました。
彼のつま先が見える。
息を整えてから、再び彼と目が合った瞬間。
私は、頭が真っ白になりました。
そう、彼と接触はしたい、彼の人柄に触れたい。
でも人見知りの私は第一声になんと言えばいいのか混乱してしまいました。
「どうしたんだいお嬢さん?僕に何か御用かな?」
彼のほうから歩み寄ってくれたことに安堵しましたが、
やはり自分が誰なのかはわかっていないようです。
ではまず自己紹介から始めましょう。私は・・・
「私は、アスペラルダの姫です!!!!!」
頭が真っ白になった・・・・・
適度な運動をし、緊張していた身体の筋肉は彼の一声で緩急し、
発声に適した状態へ私が気付かぬまま私の身体は変化を遂げていた。
その必殺の第一声が産まれてから13年、
人生で発した事のない大音量での自己紹介となった。
私の両親が治めるこの国の名前は[アスペラルダ]と言います。
私たちは知っています。
この異世界人の召喚は、その召喚される者の人生を狂わす行為である事を。
王族としてではなく、人として忌避すべき行いである事を。
この世界を平和な世界にする為とはいえ、
私にはこの異世界人召喚が正しい行為とは到底思えなくて、
何度もお父様へ中止するべきだとお伝えしました。
私は口下手であまりお喋りが得意ではありませんでしたが、
それでもお父様へ抗議を行いました。
* * * * *
「私は姫として、お父様の娘として、この世界の住人として、
この異世界人の召喚がどうしても正しいものだとは思えません。
確かに魔族は強大で未だに世界は平和とは程遠く、
それこそ幾星霜をかけて解決させるとても大きな問題です。
それでもそれは、
この世界の話であり長い月日が必要ですが解決できない訳ではありません。
犠牲も双方多く出るでしょう。
しかし、異世界の方を巻き込んで良いという話ではないはずです。
どうかお考え直していただけないでしょうか、お父様」
玉座に座るお父様とお母様は静かに私を見つめてきます。
私がお父様へ詰め寄る玉座の間の空気が張り詰めるのを感じます。
この部屋には王族の私たちだけでなく兵士も宰相も大臣も、
この国を回す為の大事な人材が集結しています。
皆、私の意見にというより私が意見を発したことに驚き、
お父様の反応を伺っているようです。
お父様はいつの間にか目を閉じ考えを巡らせているようで、
お母様はそんなお父様を心配そうに見つめています。
私のこの発言は国のトップが発言を躊躇ってしまうほどの重要なことであり、
引いては我が国だけでなく世界に影響のある事なのだと気を引き締め、
私はお父様が口を開くのを待ちます。
正直に言えば、足は振るえ立っているのも辛いと思う程度に、
私自身一気果敢に発言をした事で力を使い果たしたような面持ちだったことでしょう。
しばらくして、お父様は目を開け口を開きました。
「まず、この勇者召喚を魔族と戦う各国の王族が了承している為、
我が国の意思で止めることは出来ぬ。
各国もこの異世界人召喚が忌避すべき行為という事を理解しているが、
その良識を押し殺してでも強行しなければならないほどの神託を教会の聖女殿が受け取った・・・」
お父様は私に言い聞かせるように丁寧にお喋りくださいました。
国単体ではなく平和を願う世界の長が皆で決めた事であると。
私だけでなくこの場にいる全ての者がお父様の話に耳を傾けている。
この話は明らかに選ばれた方にしか聞かせてはいけない内容であると、
この時点の私は直感していました。
だって、
こんな鬼気迫る顔のお父様を、
見たことが無かったから。
「神託は以下のとおり。
《幾千の夜と昼が流れつつ、世界の混沌は加速する。
星は力を消費し続け、世界は0へと向かいだす。
魔の王は異界へ手を伸ばし、いずれ世界は魔神の手に落ちるだろう。
微かな光は明滅し消滅を待つ。異界の者、光を戻さん》
聖女殿が言うには、信憑性は50%だそうだが、
各国はこの神託を冗談だと切り捨てるわけにはいかなかった。
それは・・・世界の異常を知っていたからだ」
「世界の異常・・・?」
私は城下町に視察で降りることもあります。
城でも街でも私はそんな異常には遭遇したことも聞いたこともありませんでした。
「まだ異常は観測し始めたばかりだが、我が国は世界で一番水が豊かな国だ。
しかし、少しずつではあるが毎年水嵩が減ってきておる。
当然水源を調査をしたが結果は揮わなかっただけではなく、
他の異常も見つけてしまった」
ゴクリ・・・
誰が鳴らしたのかわからないが確かに玉座の間に響く音は鳴った。
「この街はダンジョンもあるがランクが低く、
冒険者になりたての若者達の下地を鍛える意味でも、
世界の入り口と呼ばれるに相応しい平和な都だ。
当然魔物も街道に沸くが、
それは新兵が武器の振り方さえ覚えれば、
簡単に凌ぐことが出来る程度の魔物であった。
だが、調査班が見つけたのはそんなこの国の常識を揺るがす化け物だった。
名前を[キュクロプス]。
我が王都にあるダンジョンはランク1だが、
ダンジョンランク4に出現するモンスターのはずなのだよ。
当然本来は外に沸く事はない」
キュクロプス・・・。
名前や絵姿はこの城にある図書館の図鑑で目にした事がある。
単眼に巨人族よりもさらに大きな身体を持ち、
腕を振るうだけで森の一部が消し飛ぶと記憶している。
そんなモンスターが国の近くに?確かに這い寄るような寒気を感じる。
この異常は国を守る王族としては見逃してはならないと私の中で警報が鳴り響く。
「こうした異常が各国で報告されており、
我々は既に選択する立場では居られないと悟った。
縋り付いてでも!
この世界の為に光を戻せる者を見つけなければならない!
その結果が罵詈雑言を浴びせられようと、暗殺されようと、
塵芥のような最後を迎えることになろうとも世界を守れるなら!
この身を、魂を捧げようと決めたのだ!
すぅ・・・ふぅ、
各国の考えは多少の違いはあろうとも守るべき臣民のため、
世界のために人道を外れることを選択した・・・」
「世界は・・・」
涙が出ていた。
私はなんて浅はかなのだろう。
お父様の激情が伝わってきた気がした。
知らなかったこととはいえ、自分が情けない。
「滅びに向かっているのですね・・・」
声に震えはない。
ただただ、事実として、現実として。
私は、理解した。
この選択は愛する世界と異世界人1人を天秤に掛けた選択。
創造神にも選択をすることが許されないであろう選択。
頭に流れるのは救国の騎士の物語。
愛する人とその人以外の国民の選択を迫られる騎士の物語。
あの物語は最後にどちらを選んだのだったろうか・・・。
* * * * *
魔法陣は魔法ギルドの協力のもと、無事に完成しました。
ただ、世界を超える召喚なので相応の魔力が必要と判明し、
魔力が産まれつき高い私と他20名の魔法使いで魔力を送ることが決まりました。
世界でも有数の魔力を底上げする装備を各々が、
覚悟を決めた表情で装着していくのを眺めながら改めて自身に戒めを撃ち込みます。
これから始まるのは、
どんな理不尽をも飲み込まなければならない、
大罪なのだと。
お父様の覚悟、世界の覚悟、己の覚悟を胸に、
私たちは召喚を開始しました。
* * * * *
天にも昇る極太の極光が消え、
辺りには召喚の影響で白煙が大量に漂っていた為、
召喚が成功したのか失敗したのか確認が出来ませんでした。
周りに目を向けましたが、
魔法使いの皆さんは満身創痍で明らかに魔力枯渇状態で立っているのがやっと、といった様子でした。
ふと気がつくと、
煙の向こうで見たことのない衣服を纏った方が、
少々戸惑いのある顔を覗かせていらっしゃいました。
(この方が勇者様・・・)
私より年齢は上のように見受けられましたが、
多少戸惑っているようにも見えました。
無理もありませんね、
お父様が言うには召喚者は世界を超える負荷に耐える過程で、
記憶に混濁が発生するとおっしゃっておいででした。
勇者様はまさに混乱状態なのでしょう。
私は次の役目を果たすために前へ進みます。
身体にだるさはありますが私たちの為に犠牲にするこの方に、
精一杯のもてなしをする為に、
身体に鞭を入れ足を前へ前へと進め、
祈りながら勇者様のもとへ辿り着きます。
「ようこそいらっしゃいました、勇者様!」
どうか、
私に、
罰が落ちますようにと。
* * * * *
それから数週間もしないうちに勇者様は旅立って行きました。
召喚後、事情を説明し魔王討伐をお願いしましたが、
予想と違い勇者様はやる気満々で私達に言ってのけました。
「まっかせてくださいよ!
初めは確かに戸惑いはしましたが、
倒せば帰られるならやりますよ!
いや、やらせてください!
こういうの憧れていたしすっごい嬉しいです!
俺が勇者かぁ・・・感動だなぁ・・・っ!」
私たちに呪いの言葉を吐くどころか、
やる気を漲らせてよくわからないことをおっしゃっていて、
異世界についてお話をしてみたいと思っていた私は、
この時に苦手意識を持ってしまいました。
お城に居る間にお話をする機会が何度もあったにも拘らず、
口下手、人見知りに加えて苦手意識まであってはお話もスムーズに出来ず、
気付けば勇者様はお城を出ていました。
あの覚悟はなんだったのかというくらい、
あっさりと勇者様が旅に出られてから私はもとの生活を送り始めました。
朝はメイドに起こされ、朝食を食べ、
魔法の勉強を午前中に集中して行い、昼食を食べ、
午後はお父様の書類仕事をお母様に教わりながら手伝う。
午後にお休みを頂けたときは城下町に視察に出かける。
私はこの国が大好きなので、
城下町の人々の暮らしを見るのも聞くのも好き、
だったら直接触れに行くのは当然ですよね。
もう何度も来ているし、
私も大きくなり臣民に挨拶する機会もあったので、
おそらく城下町の民は私が姫だと気付いているのだと思いますが、
見て見ぬフリをしてくださいます。
そんな気遣いを感じてつい口元がニヤけてしまいます。
そんな生活をひと月ほど繰り返したある日、
新たに異世界人が現れたと耳に入りました。
当然私は魔法陣に魔力を送っていませんし、
まずその時間は城下町に降りていたので城に帰ってきた私は驚いたものです。
異世界人・・・。
勇者様で苦手意識があったので接触に踏み切ることが出来ずに、
あの人を遠くから眺めることしか私には出来ませんでした。
意図せず召喚されたあの人の名前は水無月宗八さんと言うそうです。
観察とは別に兵士やお母様に聞き込みをして人間性も確認してみます。
名も無き兵士A
「初めはダガーの握り方も覚束ない様子でした。
彼は戦闘センスこそ普通ですが、
努力を人一倍するようで数日もしないうちに構えも様になっていましたよ。
彼の掌は今頃豆だらけでしょうね」
確かに私は遠くからではありますが、
彼が一心不乱にダガーの素振りをしているのを眺めていました。
いつもいつも寝る前まで彼は努力をしていました。
反省中の衛兵A
「宗八ですか?
まぁ出会いが出会いだったので最初は不審者扱いをしましたが、
接するうちに悪い奴じゃないのはわかりましたよ。
何よりお調子者だからよく戯言を吐いては笑わせてもらってます」
反省中の衛兵B
「良い奴ですよ。
宿舎は同じ部屋を使っているんですが、
風呂に入る前まで食事以外はずっと外でダガー振ってますしね。
感心に値する気概を持っています。
何がそこまでさせるのかはわかりかねますが」
出会いが最悪だった衛兵の2人とも良好な関係を築いているみたいで、
そんな関係を羨ましく思う私が確かにいました。
お母様
「私は好きですよ。
この世界へ来て初めて会った異世界人に、
何て言ったのか聞いたかしら?こんにちわよ。
混乱した頭でも人と話すことに気遣えるし、
私たちにも礼儀正しく自身の現状を伝えてくれたわ。
まぁ少し人付き合いに線を引いてる感じはあるけれどね。
王は勇者様が魔王討伐するまで城で暮らしても良いと伝えたのだけど、
甘えが過ぎると人として駄目になるので、
ほどほどにこの世界で生きられるようになったら城を出ますって。
なかなか言えることではないと思いますよ、
ましてや異世界で私たちの事を考慮した行動が取れるなんてね」
お母様の好感度は天井知らずなのではないかと思えるほどで、
その日は就寝までお母様から宗八さんのお話を聞き続けました。
私も、お話したいと思いました。
* * * * *
今日は久しぶりの視察に出かけられる日です。
楽しみで仕方がなく、昼食を食べ終えたら早速いつもの服に着替えて城を飛び出しました。
いつものガヤガヤと賑やかな市場に売っている商品を見ていると、
店番していた少年が店主であるお父さんの目を盗んで、
私に串焼きを手渡してきました。
流石にただでもらうわけにもいかないと思ったのですが、
今日に限ってお財布を忘れてしまっていたためお金を払うことが出来ません。
どうしようかとワタワタしていましたが、
少年は無理やり手に握らせてお店に戻っていきました。
どうしようかと店主さんに目を向けたら、
ニッコリと笑いながら頷いてくれたので、
お辞儀をして感謝の意を表します。
いただいた串焼きはいつも食べる若干冷めた食事と違って暖かく、
普段とは違う美味しさを感じることが出来ました。
視察は続き、道具屋、武器屋、そして運命の防具屋に着きました。
この時点で私は、
話をしてみたいと思う彼と出会うなんて思いもしておらず、
何の覚悟もないまま店に入ってしまいました。
このお店の店主さんは変わっていて、
私を見ないようにしているのか目を瞑って防具の解説をしたり、
顔を背けて防具を磨いたりしています。
別に今は趣味の視察をしているだけなので気にしないでほしいと前に声を掛けたのですが。
「いいいいいいえ、滅相もありません。
姫様は我が国の宝!
私のような一介の防具屋の半径100m以内で姫様を直視等出来様がありましょうか、ありません!」
そんな崇高な存在ではないんですよ?だって私たちは・・・。
その日もそっぽを向いたままカウンターにいる店主さんに苦笑しつつ、
並んでいる防具を眺めたり触ってみたり、
興味本位に装備を試したりしていた時でした。
彼が、異世界人の彼が、私が今一番興味がある彼が、
入店してきました。
ドキドキ
ドキドキ
ドキドキ
彼の一挙手一投足に意識を向けながら声を掛けるタイミングを計って・・・
彼が、異世界人の彼が、私が今一番話してみたい彼が、
隣の棚の防具を物色しに近づいてきました。
ドキドキ
ドキドキ
ドキドキ
「・・っ!?」
彼と目が合いました!
いつの間にか私は身体ごと彼に向いていたようです。
ドキドキ
ドキドキ
ドキドキ
「・・・はぁ~!」
彼は突然大きくため息を吐きました。
足が・・・震えそうになりました。
私はこの時思い出したのです。
自分が口下手で人見知りな事を。
なんと声を掛けるかなんて考えておらず、
彼が近くにいることに緊張している事に今この瞬間に、
このため息で気付きました。
先ほどまでの夢見心地は霧散して私は立ち尽くしてしまい、
彼が店主さんと雑談している間も私はその場から動く事が出来ないでいました。
(そういえば、
城でも一方的に遠目で眺めていただけだから、
私が姫ということも知らないのかもしれない。
だったら声を掛けてもらえるはずもないし・・・、
どちらかといえばじっと人のことを見る気味が悪い娘と思われた・・・?)
考えは悪い方向へ加速していき、
体温が低くなっていくような熱が抜けていくような、
そんな感覚を覚える身体を必死で倒れないように支えることしか出来ませんでした。
それからどれほどの時間が流れたのでしょうか。
私には永遠にも感じたその時間は防具屋の扉が開く音で終わりを迎えました。
カランカランッ
「っ!?」
その音は彼が出て行く時に開いた扉の音でした。
「・・・まって・・ください・・・・・」
咄嗟に口から小さく漏れたのは私の本心だったのだと思います。
話がしたいです・・・
置いていかないでください・・・
私を・・・
「姫様・・・動けるのであれば追いかけてください。
貴女はあの若いのに用があるのではないですか?
私たちは貴女が口下手で人見知りをすることを知っています。
そんな貴女が街に出てきて私たちに興味を持ってくれている、
私たち市井の者に意識を払ってくれている。
その貴女の気持ちが嬉しくて、
私たちは気を使わず楽しめるように貴女に過剰な接触を避けてきました。
でも、彼は違うのでしょう?
何か伝えたいことがあるのであれば・・・頑張ってください」
いつもそっぽを向いて目すら合わせてくれない防具屋の店主さんが、
微笑みながら私に声を掛けてくれました。
城下町に来るたびに皆さんの好意は感じていた。
まさか私に気遣って姫ではなく一人の女の子として見守ってくれていたなんて、嬉しくて。
その臣民の一人が私に頑張れと言ってくれた。
足が・・・動いた。
タッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタ!
タッタッタッタッタッタッタッタッタ・・・・
タッタッタッタッタ・・・・
タッタッタ・・・・
トテトテ・・・・
「ハァハァ・・・」
私・・・・体力無いなぁ・・・・
彼は待っていてくれました。
彼のつま先が見える。
息を整えてから、再び彼と目が合った瞬間。
私は、頭が真っ白になりました。
そう、彼と接触はしたい、彼の人柄に触れたい。
でも人見知りの私は第一声になんと言えばいいのか混乱してしまいました。
「どうしたんだいお嬢さん?僕に何か御用かな?」
彼のほうから歩み寄ってくれたことに安堵しましたが、
やはり自分が誰なのかはわかっていないようです。
ではまず自己紹介から始めましょう。私は・・・
「私は、アスペラルダの姫です!!!!!」
頭が真っ白になった・・・・・
適度な運動をし、緊張していた身体の筋肉は彼の一声で緩急し、
発声に適した状態へ私が気付かぬまま私の身体は変化を遂げていた。
その必殺の第一声が産まれてから13年、
人生で発した事のない大音量での自己紹介となった。
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