50 / 63
【アフターストーリー】スキル安産 おかわり!
おまけ16 シーグルのお願い(マコト)
しおりを挟む
穏やかな日々が続いている。シーグルが産まれてから、もう5年が経った。シーグルは周囲に人も多いせいか利発な子に育っていると思う。よく言えばあまり手がかからない。でも、ちょっとだけ寂しい気もする。
俺はお妃仕事も覚えてきた。立ち居振る舞いや会話の方法、主にお客さんを楽しい気持ちにする事が大事らしい。なぜかって? そうする事でいい印象を持ってもらえれば、その後も仲良くできるから。
これに関して俺はあまり苦労が無い。人と話をするのは嫌いじゃないし、楽しそうにしてもらえるのは嬉しいから。
勿論、ユーリスとの時間は大事にしている。夫婦の寝室は一緒で、できるだけ同じ時間を作っている。時々はそんな気分になって抱き合ったりもしているけれど、薬は使っていない。どうも俺以上にユーリスはシーグル誕生の時に辛かったみたいだ。俺にとってはもういい思い出なんだけれどな。
午後の穏やかな時間、俺はシーグルを抱っこして本を読み聞かせている。珍しくシーグルが膝に乗りたがってきたから、俺は喜んでそうした。とっても小さかった赤ちゃんの時が嘘みたいで、もうそれなりに重くなっている。
「ねぇ、母上」
俺の顔を見上げるようにするシーグルに、俺は「なに?」と問いかける。子供にしてはしっかりとした視線で見るようになった我が子が、なんだか頼もしい。
「俺の弟は、いつくるの?」
「え?」
問われた事に一瞬固まる。えっと……弟かい? うーん。
「アンテロには弟がいるでしょ?」
「あぁ、そうだね」
シーグルを弟のように可愛がってくれるアンテロくんの所には、イヴァンくんという弟がいる。そのせいか、昔は頻繁に遊びにきていたのが最近は少なくなっていた。
「弟、欲しいの?」
問いかければ、静かにコクンと頷く。とても可愛い要求に俺は微笑ましくなる。そして、ちょっとユーリスにお願いしてみようかと思った。俺も子育ての負担は最低限だし、お妃仕事も少し落ち着いた。国の事も勉強できたし、2人目をそろそろ考えてもいいのかもしれない。
何より、やればほぼ間違いなし。産まれてくるの7日後というスピード妊娠スピード出産だ。未だにこれはどうかと思う。そんなお手軽でいいのかよ、生命の神秘。
なんにしても、俺はこの日ユーリスを誘ってみようと急遽決めた。
その日の夜、俺はいつも通りユーリスを待っていた。お風呂も終わってゆったりしていると、ユーリスも部屋に戻ってくる。出迎えて、ハグをして、互いの頬にキスをする。俺の素敵な旦那様は未だに素敵なままだ。
「おかえり、ユーリス」
「あぁ、ただいまマコト」
うっとりと微笑んだユーリスは手早く着替えてソファーに座る。勿論、俺はその隣だ。
「ユーリス、最近忙しい?」
まずはお伺い。イベントとか、忙しい事があるなら少し考えないと。ユーリスがやきもきしてたらお仕事にならないし。
「いや、そうでもない。国の行事なんかも落ち着いたから、わりと余裕がある。どこかに行くか?」
ふわりと笑い、頭を撫でる大きな手が心地よい。この手、未だに剣たこがあるんだよね。鍛錬を欠かしたことはないんだ。
そして余裕があるなら。俺は上目遣いにユーリスを見て笑った。
「実はさ、今日シーグルからお願いされたんだ」
「何か欲しい物があるのか?」
「弟」
「え?」
面白いくらいに黒い瞳が俺を見つめて固まる。手がぎこちない形で止まってる。俺の旦那様、こういう所でちょっと可愛い気がする。やることやって、シーグルだっているのに今更何を赤くなるんだろうね。
「俺はね、そろそろいいんじゃないかなって思うんだ」
「2人目ってことか?」
「うん。シーグルあまり手がかからないし、お妃仕事も国の事も勉強できたし、屋敷のみんなも協力してくれるし。全然俺には余裕があるから、そろそろ考えてみない?」
そう言って、俺は薬の瓶を置いた。ユーリスはそれをジッと見ている。躊躇いあるみたいな顔で。ちょっと、悲しいかも。
「嫌……かな?」
「あぁ、そうじゃ! いや……正直少し躊躇いはある。出産、辛いだろ?」
「あー」
やっぱり、そこを考えるのか。俺は5年前を思いだしていた。確かに大変だったとは思う。苦しかったし、痛かったのも本当。でも。
「でもさ、もらった幸せの方が沢山で、おつり来るよ」
「マコト」
「ユーリスは、幸せじゃない?」
頬に手を伸ばして触れてみる。ユーリスは俺の手に手を重ねて、瞳を閉じて首を横に振った。
「この上ない幸せだよ」
「子供が増えていくと、その幸せも沢山になるよ」
困ってる? 考えてる? やっぱり嫌?
伺うように見てしまう。その目の前で、ユーリスは小さく笑った。
「そうだな。今の倍以上に、きっと楽しくて幸せだ」
「でしょ!」
「あぁ。マコト、平気か?」
「んっ、平気。それに出産関係のスキル上がってるって。任せてよ」
「悪いな」
「なんの!」
お互い見つめて、至近距離で笑い合ってキスをする。とてもフワフワとした、優しいキスだった。
互いにローブだからとっても簡単に脱がせられるし脱がされる。そうして抱き合った体はとても逞しく俺の体を受け止めてくれる。首に腕を巻き付けて、深く口づけた。受け止められて、口腔を探られる。くすぐったい中にチリチリと感じる気持ちの良さが徐々に広がっていく。
「薬、使ったか?」
「あ、いっけな!」
慌てて瓶から一つ薬を取りだして握ると、ユーリスは可笑しそうに笑う。久しぶりに使うから忘れてたんだってば、笑わないでよ。
「ほら、拗ねてないでおいで」
手を差し伸べられ、俺は素直にそこに戻る。手を重ねてキスをすれば、溢れるほどの愛情を感じる。大事に髪を梳かれながら、温かく包むように隙間を埋めていく。俺の旦那様ってば、本当に甘やかすのが上手いよな。
手の中の薬はやっぱりそういう実なんじゃないかってくらい赤く色がつく。それを飲み込むと、体の奥が熱くなっていく。久々に感じる腹の奥のキュッという切ない疼きに、俺は既に小さく声を漏らしてしまう。
「もう、感じているのか?」
「そうみたい。薬飲むと直ぐなんだよね」
臍の周りに出来た黒い印を撫でる。次はどんな子かな。
「あっ、弟とも限らないのか。妹かも?」
「どっちでも可愛いさ」
「だね」
なんて言って、笑って、もう一度キス。よろしくね、ユーリス。
手が触れていって、なぞっていく。これ、けっこう好きなんだ。ユーリスの大きな手が体を撫でて、小さな事でも気持ちが良くて震えてしまう。そんな俺を、ユーリスは確かめるようにしている。
唇が俺の胸に触れて、チュッとキスをしてくる。これに、俺はヒクンと跳ねてしまう。「んぅ」と切なく泣いてしまうのだ。
「マコトは本当に胸が弱いな。シーグルを産んでから余計にか」
「だって……あぁ! もっ、ふぅ!」
片方をもみもみとされて、もう片方は口の中でたっぷりに愛撫される。舌が突いて舐めて押し込んで、本当に器用に動くんだよ。これが気持ち良くて、ジクジクと体の奥に染みていって疼く。
「もっ、もぉ! やぁぁ」
って言っても、許してくれない。きつく吸い上げられて、俺は仰け反った。一気に火がついたみたいに熱くて、体の深くが脈を打つように気持ちがいい。
ペロッと赤くなった外周を舐めたユーリスが、フッと笑って楽しげにする。ちょっと前より性格変わったよね。いい意味で、遠慮無くなった。そして俺は開発されてきている。
「マコト、気持ちいいかい?」
「んっ、勿論。でも強くしすぎだよ。中、イキそう」
「触れようか?」
「うっ、その誘惑は魅力的。でもその前に、俺もする」
お願いすると、ユーリスは少しだけ抵抗したい顔をする。欲情に目を潤ませながらも困った顔をする、その時に色気がある気がする。男の顔っていうのかな。
上半身を上げて、俺は迫るように四つん這いで陣取った。気圧されるみたいにベッドに座ったユーリスの前は程よく勃ちあがっている。そこに、俺は舌を這わせて舐め上げた。
「うっ、マコト……」
「俺もするって言ってるじゃん。いつもユーリスばかり俺に触ってさ。俺は嬉しいけど、でも触れたいっていう気持ちはあるんだから」
半分くらい勃ちあがった状態でも、竜人の強張りは大きくて俺の口には収まりきらない。それでも口をいっぱいに開いて飲み込むと口の中でヒクヒクと動いて硬くなる。頭上でする、もの凄く色っぽい濡れた声が俺を興奮させている。
考えればもの凄く嫌らしい格好なんだよね。肘で体を支えてユーリスのものを咥えて、尻は女豹のごとく上げている。分かってる、その尻が時々揺れるのは。
そのうちに俺も興奮に訳が分からなくなってくるんだ。口が怠いけれど止める気なんてない。ユーリスを口で扱いて、入りきらない部分は手で扱いて、少し苦い先走りを飲み込んでいく。こうしていると、なんだか中が熱くなる。
不意に、ユーリスの手が俺の後ろへと伸びた。そして、尻をふにふにと揉み始める。弱い刺激は徐々に無視できなくなって、俺の口から「ふぅ」という気怠い吐息が溢れてきてる。
「マコト、欲しくなってきたんじゃないのか?」
「そんな事」
「さっきから尻が揺れてる。誘っているとしか思えないが」
指摘されて顔は真っ赤だ。ニヤリとユーリスは笑い、俺の体を押し倒す。形勢逆転で転がされた俺は直ぐに片足を持ち上げられて奥へと指を這わせられた。
「はあぁぁ!」
指一本が中へと侵入してクルンと輪を描いただけで、俺は気持ちよさに喘いでしまう。
これでも、薬を使わなかっただけで夜の関係は続いている。お互いどうしようもなく高まる日だってあるし、切なくて確かめたい日だってある。だから、あれこれ分かっているはずだ。それなのに、今日の俺の体は凄くユーリスを感じていて、欲しがっている。
「凄いな、もうこんなに誘われている」
「もっ、いぃ! あぁ、欲しぃよぉ!」
「いや、流石にこれでは心配だから」
大丈夫だよ、スキルあるもん! お願い、こんなの長く感じてたら変になる。
でもユーリスは更に指を増やして奥へと押し入り、バラバラに中を叩く。それが俺の中を刺激して余計に切ない。キュンキュンと奥が反応している。俺もう、中で軽くイッてる。
「ユーリス!」
耐えられずに縋ってキスをして、ユーリスの前を指でなぞる。鈴口に指を潜り込ませるようにすると、ユーリスの精悍な黒い瞳が欲情に歪んだ。
指が抜ける。そして、熱い杭が俺を奥まで串刺しにしていく。
「はあぁぁぁ!」
奥の行き止まりにぶち当たって、俺は腰を跳ね上げてイッた。でも不思議は、前からは出してないことだ。中だけがキュゥと絡みつくようにユーリスを締め上げている。ユーリスも低く呻いて、快楽の強さをみせた。
「ごめ」
「何故謝る? 気持ちいいんだろ? 証拠に、ほら」
ほんの少し腰が引いて、同じように奥を突く。俺はそれだけでガクガクと震えた。
「薬を使うのは久しぶりだが、こんなに熱く絡むものだったか……大変だ」
「あぁんぅ! もっ、飛ぶ……っ」
「背中に手を」
ユーリスの手が俺の手を背中へと持って行く。広い逞しい背に縋り付くようにして、俺は揺すられた。一突きごとに俺は目眩がしそうな快楽と痺れに震えて、中は酷く絡みついて奥へと誘って、久しぶりに自分の淫乱さを知った。そのうちズチュンと音がして、でもその音すらも興奮して、「好き」「もっと」「気持ちいい」だけを繰り返すようになっていく。後は解読不能です。
ユーリスのしっとりと汗を浮かせる肌にしがみついて、肩口に額を擦りつけるようにして、俺は最奥へと熱い滴りを受けた。その刺激に俺のものもようやく熱を吐き出して、汗と白濁とでドロドロだ。息が整わないのにキスをして、もっと深くを欲するみたいにグチャグチャに混じり合っていく。
中が焼けるみたいに熱い。この感じ、覚えてる。シーグルを授かった時に感じたものと同じだ。俺の腹の中で俺と混じった核が、ユーリスの精を受けて定着したんだ。
「見てみなよ」
言って、俺は腹を撫でる。まだお互いに荒い息のまま、ユーリスは俺の赤い印をとても愛しく撫でる。穏やかに、優しく、愛しそうに。
「中、熱い」
「あぁ」
「そんなに触ってても、流石にまだ何も感じないでしょ?」
サワサワと撫でる手がとても優しい動きをしている。俺は可笑しくて笑った。でもユーリスはとても柔らかく笑って、首を横に振る。
「感じるさ。ここに、命がある。俺と、マコトの子がいるんだ」
そんな事をとてもトロンと柔らかな笑みと瞳で言われたら、俺はますますこの人に惚れるわけで、どうしようも無く顔が火照ってしまって、困ってしまう。
体も寝具も綺麗にして、ついでに匂いを遮断するような結界を部屋に張った。前回これで目覚め最悪だったんだ。
そうして今は、温かなユーリスの腕の中に抱かれている。とても温かな時間に身を委ねて、甘えて胸に鼻先を押し当てて抱きつく。同時に、腹部にも触れた。
こんにちは、新しい俺達の子。元気に産まれておいでね。
俺はお妃仕事も覚えてきた。立ち居振る舞いや会話の方法、主にお客さんを楽しい気持ちにする事が大事らしい。なぜかって? そうする事でいい印象を持ってもらえれば、その後も仲良くできるから。
これに関して俺はあまり苦労が無い。人と話をするのは嫌いじゃないし、楽しそうにしてもらえるのは嬉しいから。
勿論、ユーリスとの時間は大事にしている。夫婦の寝室は一緒で、できるだけ同じ時間を作っている。時々はそんな気分になって抱き合ったりもしているけれど、薬は使っていない。どうも俺以上にユーリスはシーグル誕生の時に辛かったみたいだ。俺にとってはもういい思い出なんだけれどな。
午後の穏やかな時間、俺はシーグルを抱っこして本を読み聞かせている。珍しくシーグルが膝に乗りたがってきたから、俺は喜んでそうした。とっても小さかった赤ちゃんの時が嘘みたいで、もうそれなりに重くなっている。
「ねぇ、母上」
俺の顔を見上げるようにするシーグルに、俺は「なに?」と問いかける。子供にしてはしっかりとした視線で見るようになった我が子が、なんだか頼もしい。
「俺の弟は、いつくるの?」
「え?」
問われた事に一瞬固まる。えっと……弟かい? うーん。
「アンテロには弟がいるでしょ?」
「あぁ、そうだね」
シーグルを弟のように可愛がってくれるアンテロくんの所には、イヴァンくんという弟がいる。そのせいか、昔は頻繁に遊びにきていたのが最近は少なくなっていた。
「弟、欲しいの?」
問いかければ、静かにコクンと頷く。とても可愛い要求に俺は微笑ましくなる。そして、ちょっとユーリスにお願いしてみようかと思った。俺も子育ての負担は最低限だし、お妃仕事も少し落ち着いた。国の事も勉強できたし、2人目をそろそろ考えてもいいのかもしれない。
何より、やればほぼ間違いなし。産まれてくるの7日後というスピード妊娠スピード出産だ。未だにこれはどうかと思う。そんなお手軽でいいのかよ、生命の神秘。
なんにしても、俺はこの日ユーリスを誘ってみようと急遽決めた。
その日の夜、俺はいつも通りユーリスを待っていた。お風呂も終わってゆったりしていると、ユーリスも部屋に戻ってくる。出迎えて、ハグをして、互いの頬にキスをする。俺の素敵な旦那様は未だに素敵なままだ。
「おかえり、ユーリス」
「あぁ、ただいまマコト」
うっとりと微笑んだユーリスは手早く着替えてソファーに座る。勿論、俺はその隣だ。
「ユーリス、最近忙しい?」
まずはお伺い。イベントとか、忙しい事があるなら少し考えないと。ユーリスがやきもきしてたらお仕事にならないし。
「いや、そうでもない。国の行事なんかも落ち着いたから、わりと余裕がある。どこかに行くか?」
ふわりと笑い、頭を撫でる大きな手が心地よい。この手、未だに剣たこがあるんだよね。鍛錬を欠かしたことはないんだ。
そして余裕があるなら。俺は上目遣いにユーリスを見て笑った。
「実はさ、今日シーグルからお願いされたんだ」
「何か欲しい物があるのか?」
「弟」
「え?」
面白いくらいに黒い瞳が俺を見つめて固まる。手がぎこちない形で止まってる。俺の旦那様、こういう所でちょっと可愛い気がする。やることやって、シーグルだっているのに今更何を赤くなるんだろうね。
「俺はね、そろそろいいんじゃないかなって思うんだ」
「2人目ってことか?」
「うん。シーグルあまり手がかからないし、お妃仕事も国の事も勉強できたし、屋敷のみんなも協力してくれるし。全然俺には余裕があるから、そろそろ考えてみない?」
そう言って、俺は薬の瓶を置いた。ユーリスはそれをジッと見ている。躊躇いあるみたいな顔で。ちょっと、悲しいかも。
「嫌……かな?」
「あぁ、そうじゃ! いや……正直少し躊躇いはある。出産、辛いだろ?」
「あー」
やっぱり、そこを考えるのか。俺は5年前を思いだしていた。確かに大変だったとは思う。苦しかったし、痛かったのも本当。でも。
「でもさ、もらった幸せの方が沢山で、おつり来るよ」
「マコト」
「ユーリスは、幸せじゃない?」
頬に手を伸ばして触れてみる。ユーリスは俺の手に手を重ねて、瞳を閉じて首を横に振った。
「この上ない幸せだよ」
「子供が増えていくと、その幸せも沢山になるよ」
困ってる? 考えてる? やっぱり嫌?
伺うように見てしまう。その目の前で、ユーリスは小さく笑った。
「そうだな。今の倍以上に、きっと楽しくて幸せだ」
「でしょ!」
「あぁ。マコト、平気か?」
「んっ、平気。それに出産関係のスキル上がってるって。任せてよ」
「悪いな」
「なんの!」
お互い見つめて、至近距離で笑い合ってキスをする。とてもフワフワとした、優しいキスだった。
互いにローブだからとっても簡単に脱がせられるし脱がされる。そうして抱き合った体はとても逞しく俺の体を受け止めてくれる。首に腕を巻き付けて、深く口づけた。受け止められて、口腔を探られる。くすぐったい中にチリチリと感じる気持ちの良さが徐々に広がっていく。
「薬、使ったか?」
「あ、いっけな!」
慌てて瓶から一つ薬を取りだして握ると、ユーリスは可笑しそうに笑う。久しぶりに使うから忘れてたんだってば、笑わないでよ。
「ほら、拗ねてないでおいで」
手を差し伸べられ、俺は素直にそこに戻る。手を重ねてキスをすれば、溢れるほどの愛情を感じる。大事に髪を梳かれながら、温かく包むように隙間を埋めていく。俺の旦那様ってば、本当に甘やかすのが上手いよな。
手の中の薬はやっぱりそういう実なんじゃないかってくらい赤く色がつく。それを飲み込むと、体の奥が熱くなっていく。久々に感じる腹の奥のキュッという切ない疼きに、俺は既に小さく声を漏らしてしまう。
「もう、感じているのか?」
「そうみたい。薬飲むと直ぐなんだよね」
臍の周りに出来た黒い印を撫でる。次はどんな子かな。
「あっ、弟とも限らないのか。妹かも?」
「どっちでも可愛いさ」
「だね」
なんて言って、笑って、もう一度キス。よろしくね、ユーリス。
手が触れていって、なぞっていく。これ、けっこう好きなんだ。ユーリスの大きな手が体を撫でて、小さな事でも気持ちが良くて震えてしまう。そんな俺を、ユーリスは確かめるようにしている。
唇が俺の胸に触れて、チュッとキスをしてくる。これに、俺はヒクンと跳ねてしまう。「んぅ」と切なく泣いてしまうのだ。
「マコトは本当に胸が弱いな。シーグルを産んでから余計にか」
「だって……あぁ! もっ、ふぅ!」
片方をもみもみとされて、もう片方は口の中でたっぷりに愛撫される。舌が突いて舐めて押し込んで、本当に器用に動くんだよ。これが気持ち良くて、ジクジクと体の奥に染みていって疼く。
「もっ、もぉ! やぁぁ」
って言っても、許してくれない。きつく吸い上げられて、俺は仰け反った。一気に火がついたみたいに熱くて、体の深くが脈を打つように気持ちがいい。
ペロッと赤くなった外周を舐めたユーリスが、フッと笑って楽しげにする。ちょっと前より性格変わったよね。いい意味で、遠慮無くなった。そして俺は開発されてきている。
「マコト、気持ちいいかい?」
「んっ、勿論。でも強くしすぎだよ。中、イキそう」
「触れようか?」
「うっ、その誘惑は魅力的。でもその前に、俺もする」
お願いすると、ユーリスは少しだけ抵抗したい顔をする。欲情に目を潤ませながらも困った顔をする、その時に色気がある気がする。男の顔っていうのかな。
上半身を上げて、俺は迫るように四つん這いで陣取った。気圧されるみたいにベッドに座ったユーリスの前は程よく勃ちあがっている。そこに、俺は舌を這わせて舐め上げた。
「うっ、マコト……」
「俺もするって言ってるじゃん。いつもユーリスばかり俺に触ってさ。俺は嬉しいけど、でも触れたいっていう気持ちはあるんだから」
半分くらい勃ちあがった状態でも、竜人の強張りは大きくて俺の口には収まりきらない。それでも口をいっぱいに開いて飲み込むと口の中でヒクヒクと動いて硬くなる。頭上でする、もの凄く色っぽい濡れた声が俺を興奮させている。
考えればもの凄く嫌らしい格好なんだよね。肘で体を支えてユーリスのものを咥えて、尻は女豹のごとく上げている。分かってる、その尻が時々揺れるのは。
そのうちに俺も興奮に訳が分からなくなってくるんだ。口が怠いけれど止める気なんてない。ユーリスを口で扱いて、入りきらない部分は手で扱いて、少し苦い先走りを飲み込んでいく。こうしていると、なんだか中が熱くなる。
不意に、ユーリスの手が俺の後ろへと伸びた。そして、尻をふにふにと揉み始める。弱い刺激は徐々に無視できなくなって、俺の口から「ふぅ」という気怠い吐息が溢れてきてる。
「マコト、欲しくなってきたんじゃないのか?」
「そんな事」
「さっきから尻が揺れてる。誘っているとしか思えないが」
指摘されて顔は真っ赤だ。ニヤリとユーリスは笑い、俺の体を押し倒す。形勢逆転で転がされた俺は直ぐに片足を持ち上げられて奥へと指を這わせられた。
「はあぁぁ!」
指一本が中へと侵入してクルンと輪を描いただけで、俺は気持ちよさに喘いでしまう。
これでも、薬を使わなかっただけで夜の関係は続いている。お互いどうしようもなく高まる日だってあるし、切なくて確かめたい日だってある。だから、あれこれ分かっているはずだ。それなのに、今日の俺の体は凄くユーリスを感じていて、欲しがっている。
「凄いな、もうこんなに誘われている」
「もっ、いぃ! あぁ、欲しぃよぉ!」
「いや、流石にこれでは心配だから」
大丈夫だよ、スキルあるもん! お願い、こんなの長く感じてたら変になる。
でもユーリスは更に指を増やして奥へと押し入り、バラバラに中を叩く。それが俺の中を刺激して余計に切ない。キュンキュンと奥が反応している。俺もう、中で軽くイッてる。
「ユーリス!」
耐えられずに縋ってキスをして、ユーリスの前を指でなぞる。鈴口に指を潜り込ませるようにすると、ユーリスの精悍な黒い瞳が欲情に歪んだ。
指が抜ける。そして、熱い杭が俺を奥まで串刺しにしていく。
「はあぁぁぁ!」
奥の行き止まりにぶち当たって、俺は腰を跳ね上げてイッた。でも不思議は、前からは出してないことだ。中だけがキュゥと絡みつくようにユーリスを締め上げている。ユーリスも低く呻いて、快楽の強さをみせた。
「ごめ」
「何故謝る? 気持ちいいんだろ? 証拠に、ほら」
ほんの少し腰が引いて、同じように奥を突く。俺はそれだけでガクガクと震えた。
「薬を使うのは久しぶりだが、こんなに熱く絡むものだったか……大変だ」
「あぁんぅ! もっ、飛ぶ……っ」
「背中に手を」
ユーリスの手が俺の手を背中へと持って行く。広い逞しい背に縋り付くようにして、俺は揺すられた。一突きごとに俺は目眩がしそうな快楽と痺れに震えて、中は酷く絡みついて奥へと誘って、久しぶりに自分の淫乱さを知った。そのうちズチュンと音がして、でもその音すらも興奮して、「好き」「もっと」「気持ちいい」だけを繰り返すようになっていく。後は解読不能です。
ユーリスのしっとりと汗を浮かせる肌にしがみついて、肩口に額を擦りつけるようにして、俺は最奥へと熱い滴りを受けた。その刺激に俺のものもようやく熱を吐き出して、汗と白濁とでドロドロだ。息が整わないのにキスをして、もっと深くを欲するみたいにグチャグチャに混じり合っていく。
中が焼けるみたいに熱い。この感じ、覚えてる。シーグルを授かった時に感じたものと同じだ。俺の腹の中で俺と混じった核が、ユーリスの精を受けて定着したんだ。
「見てみなよ」
言って、俺は腹を撫でる。まだお互いに荒い息のまま、ユーリスは俺の赤い印をとても愛しく撫でる。穏やかに、優しく、愛しそうに。
「中、熱い」
「あぁ」
「そんなに触ってても、流石にまだ何も感じないでしょ?」
サワサワと撫でる手がとても優しい動きをしている。俺は可笑しくて笑った。でもユーリスはとても柔らかく笑って、首を横に振る。
「感じるさ。ここに、命がある。俺と、マコトの子がいるんだ」
そんな事をとてもトロンと柔らかな笑みと瞳で言われたら、俺はますますこの人に惚れるわけで、どうしようも無く顔が火照ってしまって、困ってしまう。
体も寝具も綺麗にして、ついでに匂いを遮断するような結界を部屋に張った。前回これで目覚め最悪だったんだ。
そうして今は、温かなユーリスの腕の中に抱かれている。とても温かな時間に身を委ねて、甘えて胸に鼻先を押し当てて抱きつく。同時に、腹部にも触れた。
こんにちは、新しい俺達の子。元気に産まれておいでね。
1
お気に入りに追加
373
あなたにおすすめの小説
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
悪行貴族のはずれ息子【第1部 魔法講師編】
白波 鷹(しらなみ たか)【白波文庫】
ファンタジー
★作者個人でAmazonにて自費出版中。Kindle電子書籍有料ランキング「SF・ホラー・ファンタジー」「児童書>読み物」1位にWランクイン!
★第2部はこちら↓
https://www.alphapolis.co.jp/novel/162178383/450916603
「お前みたいな無能は分家がお似合いだ」
幼い頃から魔法を使う事ができた本家の息子リーヴは、そうして魔法の才能がない分家の息子アシックをいつも笑っていた。
東にある小さな街を領地としている悪名高き貴族『ユーグ家』―古くからその街を統治している彼らの実態は酷いものだった。
本家の当主がまともに管理せず、領地は放置状態。にもかかわらず、税の徴収だけ行うことから人々から嫌悪され、さらに近年はその長男であるリーヴ・ユーグの悪名高さもそれに拍車をかけていた。
容姿端麗、文武両道…というのは他の貴族への印象を良くする為の表向きの顔。その実態は父親の権力を駆使して悪ガキを集め、街の人々を困らせて楽しむガキ大将のような人間だった。
悪知恵が働き、魔法も使え、取り巻き達と好き放題するリーヴを誰も止めることができず、人々は『ユーグ家』をやっかんでいた。
さらにリーヴ達は街の人間だけではなく、自分達の分家も馬鹿にしており、中でも分家の長男として生まれたアシック・ユーグを『無能』と呼んで嘲笑うのが日課だった。だが、努力することなく才能に溺れていたリーヴは気付いていなかった。
自分が無能と嘲笑っていたアシックが努力し続けた結果、書庫に眠っていた魔法を全て習得し終えていたことを。そして、本家よりも街の人間達から感心を向けられ、分家の力が強まっていることを。
やがて、リーヴがその事実に気付いた時にはもう遅かった。
アシックに追い抜かれた焦りから魔法を再び学び始めたが、今さら才能が実ることもなく二人の差は徐々に広まっていくばかり。
そんな中、リーヴの妹で『忌み子』として幽閉されていたユミィを助けたのを機に、アシックは本家を変えていってしまい…?
◇過去最高ランキング
・アルファポリス
男性HOTランキング:10位
・カクヨム
週間ランキング(総合):80位台
週間ランキング(異世界ファンタジー):43位
性的イジメ
ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。
作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。
全二話 毎週日曜日正午にUPされます。
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
隷属神官の快楽記録
彩月野生
BL
魔族の集団に捕まり性奴隷にされた神官。
神に仕える者を憎悪する魔族クロヴィスに捕まった神官リアムは、陵辱され快楽漬けの日々を余儀なくされてしまうが、やがてクロヴィスを愛してしまう。敬愛する神官リュカまでも毒牙にかかり、リアムは身も心も蹂躙された。
※流血、残酷描写、男性妊娠、出産描写含まれますので注意。
後味の良いラストを心がけて書いていますので、安心してお読みください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる