余命1年の君に恋をした

パチ朗斗

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64話 予想外

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「やっぱアイスだよな」

「俺はかき氷派だな。まぁ、アイスも美味いけど」

  海斗はなんであの事がそんなに気になるんだろうか。海斗なりに福田と何が言ったのか気掛かりなのかもしれない。だとしてもこんなにズルズル引っ張るものか?

「屋内行こうぜ。ベンチでアイスも良いけど、さすがに暑いわ」

「そうだな。アイスの溶けも早いし」

  あぁモヤモヤするぞ。回答がこの件をズルズル引っ張る理由はなんだ?何がそんなに気になるんだ?

  特に今は話す気がないのか俺の前を歩いているが……もしかして俺の警戒のしすぎか?でも話があるって……まさか、ホントにただのフォローだったのか?

「蓮がどんなことを考えてるかなんて俺には分からねぇけどさ」

「ん?」

「さっきのアレは……良くねぇと思う」

「あれって?」

  海斗は今も前を向いてるからどんな顔をしてるかなんて分からない。でも、何年も一緒に過ごしてきたからわかる気がする。たぶん海斗は今、怒ってるんだろう。

「まさか、那乃の事か?」

「あぁ。なんであんなことしようと思ったんだ?」

  あっちか………まてよ、どちらにしろ俺に起こってる事を説明するって意味ではそんなに変わらなく無いか?神の話をするかどうかの違いしかない。

「俺は……てっきり那乃とお前は両想いだとばっかり……」

「………そうだな。たぶん、俺は那乃の事は好きだったと思う」

  惹かれ始めたのは中学の時からだろう。でも、それを表に出すのが恥ずかしてくて……バレないように那乃に対して少し素っ気ない対応をし始めた。

  記憶が正しければそれは高校に入ってからもだった。でも、那乃を好きだったから距離をとることもしたくなかった。

「好き、だった?」

「それが一番正しいと思う。今の俺は那乃の事を恋愛的な意味で好きじゃないから」

  今の俺の状況のせいかもしれないが、那乃に対して友達以上の関係は望んでいない、望んじゃいけない……そんな風に考えてしまう。

「そっか。じゃあもし那乃から告白されたら?」

「断るさ。俺は……瑠魅が好きだから」

「っ…………そうか。俺にはとやかく言う権利はないから。蓮がそれを望むなら……それで良いと思う」

「…………詳しく、聞かないのか?」

  相手が海斗であれば俺の秘密を言う覚悟もあった。それほど海斗には信頼を置いている。まぁ、聞かれなきゃワザワザ答える気は無いけど。

「聞いて欲しくなさそうな顔してるじゃん」

「えっ?俺が?」

「あぁ。つうか、暑いな。ショッピングモール遠すぎだろ」

「そうか、そうだな……今日はいつもよりも暑いな」
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