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59話 計画立て
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「あぁぁぁ………結局話せなかった」
昨日話すチャンスあったのに、何も話せずに夏休みになってしまった。こうやってズルズル引き延ばすのはダメなんだろうと分かってはいるんだけど、夏休みに入った今、そう易易とは会えないんだよなぁ。
「いっそ瑠魅に頼むか?いや、その為だけにお願いするのも気が引けるなぁ……」
それよりも、取り敢えず瑠魅には記憶が戻った事言っておかないとな。気のせいかもしれないけど、瑠魅は俺が記憶を失ってるのを知ってる感じだった。
なら一応の報告は必要かもしれない。出来れば瑠魅がなんで俺が記憶を失ってることを知ってたのか教えて欲しいところだ。
「さて、じゃあ起きるか」
午後から海斗たちも来るし早くベッドから起きないと。昨日夜更かししたせいか、起きるのが遅くなってしまい、今は既に十一時過ぎてる。
「瑠魅、居る?」
リビングのドアを開けるも、瑠魅の姿はない。靴はあったはずなんだけど………。
「ま、適当にご飯済ませて準備するか」
あっ……そう言えば、瑠魅が新しい靴を買ったって言ってたな。最近はオシャレとかにもかなり気を使ってるようだし。化粧なんかも那乃たちを中心に時々してもらってるらしいし。
「……懐かしいな」
焼いたパンにイチゴジャムを塗って牛乳も用意する。いつものテーブルにそれらを置いて一息つく。
前まではこれが普通だった。両親は家にいる事が少ない。今なんて二人とも出張中だ。瑠魅の事だって詳細は言ってない。ただ、友達を泊めてるとしか報告してない。
今の俺は……果たして瑠魅のことが本当に好きなんだろうか……。意味もなく好きになる、いわゆる一目惚れ。瑠魅は俺の理想形だと神が言っていた。一目惚れの可能性だってある。
「まぁ……今更恋愛なんて意味無いか」
どうせ残りわずかの人生だ。俺が瑠魅を好きであろうとなかろうと関係ない。俺はただ瑠魅と最後の瞬間まで一緒に居たい。たったそれだけ……それだけで俺は充分に幸せだ。だから、今更この関係を壊すような事はしない。
「部屋の片付けしないと」
特別片付ける事は無いが、万が一もあるしな。
~~~~
「お邪魔します」
「来たぜ」
「よっす」
「暑いなかご苦労さん。まぁ、入ってくれ」
お茶はあったけど、アイスとかはなかったな。まぁ、アイスはなくても良いか。
「おぉ、冷房が効いてるな。涼しい」
「蓮の部屋じゃないのか?」
「俺の部屋にはクーラー無いからな」
今日は夏休みの計画立てだ。去年は海に行ったけど、俺はもう二度と海は行かないと決めた。
「夏っ言ったらやっぱり海だろ!」
「却下」
「行かない」
「無理だな」
陽斗の提案にみんな一斉に反対の意を示した。それもそうだ。去年陽斗がやらかしたことを思い出せば、誰も行きたがらない。
「逆になんで行く気になるんだ?普通行きたくないだろ」
「そうか?今思えば良い思い出だったと思える」
「生きてたからそう言えんだよ。一歩間違えば死んでたんだぞ!」
陽斗は去年、調子に乗って沖の方まで行って溺れかけていた。波もあって沿岸まで戻って来れずに居たところをたまたま通りかかった水上オートバイのライダーに助けて貰っていた。
ホントに終わったと思った。もし、アレがもっと強い波だったら陽斗は死んでたかもしれないのに……全く。
「ちぇっ。じゃあプールは?」
「まぁ、迷子にならないならな」
「楽しそうじゃん、プール。他にはどうする?」
「花火大会はどうだ?」
そう言って、一番最初に脳内に浮かんだ顔は海斗でも陽斗でも亮でも瑠魅でもなく、那乃だった。
「ははっ……最低だな」
「ん?なんか言ったか?」
「いや、特には。で、どうする?」
「良いんじゃないか?夏の定番だからな」
瑠魅の事はたぶん好きだ。でも……記憶が戻った今、俺は多少なりとも那乃に気がある。今まで積み重ねたものを振り返れば、那乃の魅力は幾らでも思い浮かぶ。
「あとは適当に遊ぶ感じ?」
「考えるの面倒だからって……まぁ、俺も案がある訳じゃないしな」
スマホを片手に座っていた亮がついに口を開いた。海斗は呆れた様子だったが、実際に夏休み中の大きなイベントはこのぐらいだと思う。特に田舎じゃそれも顕著だ。
「なぁ、コイツずっとこうなんだよ。どうにかしてやってくれよ」
「こうって?」
「ずっとメールしてんだよ」
陽斗が拗ねたようにそう言う。確かに話し合ってる時も基本的にスマホを持ってたな。
「よせって。コイツは最近できた彼女とイチャコラしたいだけなんだから」
「っ……別にイチャイチャしてないし!」
「亮」
「ん?」
「幸せになれよ」
俺の分まで……なんてさすがに言えないな。先を見据えすぎるのもかえって無駄なことだ。
「なになに?そんな達観しちゃって?」
「うっせ。海斗は黙ってろ」
「そんな恥ずかしいことよく言えるなぁ……そんな真顔でよ」
「無意識ってやつだよ」
まぁ、冗談とかノリとかそんなふうに捉えられる方が俺としても気持ちは幾分マシになるってもんだ。
「うん……僕……如月さんを絶対に幸せにするよ」
「「「はぁ……まだ苗字呼びかよ」」」
昨日話すチャンスあったのに、何も話せずに夏休みになってしまった。こうやってズルズル引き延ばすのはダメなんだろうと分かってはいるんだけど、夏休みに入った今、そう易易とは会えないんだよなぁ。
「いっそ瑠魅に頼むか?いや、その為だけにお願いするのも気が引けるなぁ……」
それよりも、取り敢えず瑠魅には記憶が戻った事言っておかないとな。気のせいかもしれないけど、瑠魅は俺が記憶を失ってるのを知ってる感じだった。
なら一応の報告は必要かもしれない。出来れば瑠魅がなんで俺が記憶を失ってることを知ってたのか教えて欲しいところだ。
「さて、じゃあ起きるか」
午後から海斗たちも来るし早くベッドから起きないと。昨日夜更かししたせいか、起きるのが遅くなってしまい、今は既に十一時過ぎてる。
「瑠魅、居る?」
リビングのドアを開けるも、瑠魅の姿はない。靴はあったはずなんだけど………。
「ま、適当にご飯済ませて準備するか」
あっ……そう言えば、瑠魅が新しい靴を買ったって言ってたな。最近はオシャレとかにもかなり気を使ってるようだし。化粧なんかも那乃たちを中心に時々してもらってるらしいし。
「……懐かしいな」
焼いたパンにイチゴジャムを塗って牛乳も用意する。いつものテーブルにそれらを置いて一息つく。
前まではこれが普通だった。両親は家にいる事が少ない。今なんて二人とも出張中だ。瑠魅の事だって詳細は言ってない。ただ、友達を泊めてるとしか報告してない。
今の俺は……果たして瑠魅のことが本当に好きなんだろうか……。意味もなく好きになる、いわゆる一目惚れ。瑠魅は俺の理想形だと神が言っていた。一目惚れの可能性だってある。
「まぁ……今更恋愛なんて意味無いか」
どうせ残りわずかの人生だ。俺が瑠魅を好きであろうとなかろうと関係ない。俺はただ瑠魅と最後の瞬間まで一緒に居たい。たったそれだけ……それだけで俺は充分に幸せだ。だから、今更この関係を壊すような事はしない。
「部屋の片付けしないと」
特別片付ける事は無いが、万が一もあるしな。
~~~~
「お邪魔します」
「来たぜ」
「よっす」
「暑いなかご苦労さん。まぁ、入ってくれ」
お茶はあったけど、アイスとかはなかったな。まぁ、アイスはなくても良いか。
「おぉ、冷房が効いてるな。涼しい」
「蓮の部屋じゃないのか?」
「俺の部屋にはクーラー無いからな」
今日は夏休みの計画立てだ。去年は海に行ったけど、俺はもう二度と海は行かないと決めた。
「夏っ言ったらやっぱり海だろ!」
「却下」
「行かない」
「無理だな」
陽斗の提案にみんな一斉に反対の意を示した。それもそうだ。去年陽斗がやらかしたことを思い出せば、誰も行きたがらない。
「逆になんで行く気になるんだ?普通行きたくないだろ」
「そうか?今思えば良い思い出だったと思える」
「生きてたからそう言えんだよ。一歩間違えば死んでたんだぞ!」
陽斗は去年、調子に乗って沖の方まで行って溺れかけていた。波もあって沿岸まで戻って来れずに居たところをたまたま通りかかった水上オートバイのライダーに助けて貰っていた。
ホントに終わったと思った。もし、アレがもっと強い波だったら陽斗は死んでたかもしれないのに……全く。
「ちぇっ。じゃあプールは?」
「まぁ、迷子にならないならな」
「楽しそうじゃん、プール。他にはどうする?」
「花火大会はどうだ?」
そう言って、一番最初に脳内に浮かんだ顔は海斗でも陽斗でも亮でも瑠魅でもなく、那乃だった。
「ははっ……最低だな」
「ん?なんか言ったか?」
「いや、特には。で、どうする?」
「良いんじゃないか?夏の定番だからな」
瑠魅の事はたぶん好きだ。でも……記憶が戻った今、俺は多少なりとも那乃に気がある。今まで積み重ねたものを振り返れば、那乃の魅力は幾らでも思い浮かぶ。
「あとは適当に遊ぶ感じ?」
「考えるの面倒だからって……まぁ、俺も案がある訳じゃないしな」
スマホを片手に座っていた亮がついに口を開いた。海斗は呆れた様子だったが、実際に夏休み中の大きなイベントはこのぐらいだと思う。特に田舎じゃそれも顕著だ。
「なぁ、コイツずっとこうなんだよ。どうにかしてやってくれよ」
「こうって?」
「ずっとメールしてんだよ」
陽斗が拗ねたようにそう言う。確かに話し合ってる時も基本的にスマホを持ってたな。
「よせって。コイツは最近できた彼女とイチャコラしたいだけなんだから」
「っ……別にイチャイチャしてないし!」
「亮」
「ん?」
「幸せになれよ」
俺の分まで……なんてさすがに言えないな。先を見据えすぎるのもかえって無駄なことだ。
「なになに?そんな達観しちゃって?」
「うっせ。海斗は黙ってろ」
「そんな恥ずかしいことよく言えるなぁ……そんな真顔でよ」
「無意識ってやつだよ」
まぁ、冗談とかノリとかそんなふうに捉えられる方が俺としても気持ちは幾分マシになるってもんだ。
「うん……僕……如月さんを絶対に幸せにするよ」
「「「はぁ……まだ苗字呼びかよ」」」
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