余命1年の君に恋をした

パチ朗斗

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14話 ゴールデンウィーク 1

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「やっぱり、ベットの上が一番良いなぁ……」

  今日はゴールデンウィーク、一日目!宿題?部活?知らねぇよ!帰宅部の暇時間の多さ舐めんなよ。

  まぁ、今は嬉しすぎて若干ハイテンションになってる事は置いておこう。

  今日は特に予定は無い。まぁ、実際には無くなっただけどな。

  俺はそんなことを思いながら窓の外を見る。

「嬉しいのやら、悲しいのやら」

  計画を立てたあの日から今までずっと雨が降り続けていた。

  梅雨でもないのにこの降水量は異常だろう。四日間もぶっとうしで降らせられるなんて、どれだけ溜め込んでいたんだか……。

「明日は晴れると良いけど……」

  みんな、何やってんだろうか。ゲームとか読書とか、人によっちゃ部活か。

  マラソンが延期だったなら不幸なだけだが、中止となれば話は別なわけだ。

  ゴールデンウィークが開ければ色々と忙しくなるし、マラソンをやる暇は無い。だから、今年はマラソンの事は考えなくて良い訳だが……。

「はぁ……」

  一つだけ言うとすれば、長引きすぎだ、という事だろう。

  ちょうど今日止めば、みんなで集まって出掛けられたのに……。

  俺はベッドから起き上がりリビングへと向かった。自分の部屋はかなり暇だ。

  両親は基本的に夜遅くに帰って来る。朝も早いので、おはようぐらいしか言葉は交わさない。まぁ、それに対して文句があるわけじゃない。

  二人のおかげで俺は自由に暮らせるし、不自由なことや困ったこと、不満は今の所ないからな。

「テレビは………面白くないな」

  俺はおもむろにスマホを手に取り電源入れる。

「………いや、いいかな」

  ゲームの気分じゃないからな。

「また寝るか……?」

  やることが無さすぎる。いつもの俺は一体どんな風に過ごしていた……?

「そういう事か」

  俺は駆け足で自分の部屋に向かった。いつもしてた事が一つだけ思い浮かんだ。

「あった。最近は瑠魅が家に来てたから、すっかり存在を忘れてたぜ」

  さっきゲームの気分じゃないと言ったが、あれは嘘だ。ボッチゲームを極めしこの俺が飽きるはずが無かろう!

  俺は自分の部屋から出てリビングへと向かった。テレビの前でしゃがみ込んで、テレビの下にある収納スペースからゲーム機を取り出した。

「前は暇さえあればやっていたのに、瑠魅と関わるようになってから全く触れなくなった。これが俗に言う進化、か」

  久々のゲームで俺のテンションがバグっている。

  余談だが、俺がこれからやろうとしているゲームは『ラビッツ』と言うゲームだ。簡単に内容を説明すると、亀に競走で負けたウサギが亀に復讐するものだ。

  そして、その復讐が大規模になって、大きな戦争となるヤベェゲームだ。ちなみにアクション系のゲームだ。

「そうだ。筋肉タートルに負けたんだ」

  この筋肉鍛タートルは名の通りむっちゃマッチョの亀さんだ。二発攻撃を受けるだけで、俺の操作するウサギを倒す攻撃力の持ち主だ。

「………俺はさっきから、誰に向かって説明してんだか」

  俺とて男だ。動画配信者に憧れたことはある。自分で言うのもなんだが、ゲームは上手い方だと思う。

  上手いと言っておきながら、1回負けてんだけどな。

「よし、サクッと倒して進むぞ!」

  俺がそう意気込むとほぼ同時ぐらいだろうか?鳴るはずのないものが鳴った。

ピンポーン

「へっ?」

  この雨の中、俺の家に訪ねてくるなんて、どんな精神してんだ?

  俺は不審に思いながらも玄関に向かう。万に一つも無いだろうが、犯罪者の場合もある。

  こんなド田舎で犯罪とか、どんな小心者だよ。もっと都会でやれよ。絶対に都会の方が見返り大きいだろ。

  俺はゆっくりとドアを開ける。うちのインターホンは古いので、相手の顔が分かるなんて言う品物じゃない。

「はい、どなたで……」

「おはよ、蓮翔」

「……瑠魅……!?」

  俺の目の前には傘をさした瑠魅が居た。今日は遊ぶ約束はしてない。なんなら、話してすらない。

「ごめんね、急に……でも、どうしても伝えないといけないことがあるの」

「どうしても、伝えたいこと……?」

  俺はその言葉をオウム返しすると、心臓がドクンとなった。緊張してるかのように、鼓動が早くなるのがわかった。

「と、とりあえず、上がって」

  呂律が回っていないのか、自分でもわかるほど、滑舌が良くなかった。俺は若干の目眩を抱えながら瑠魅をリビングに招き入れた。

「まぁ、座ってよ。今あったかいお茶持ってくるから」

「ありがと」

  何でか分からないし、漠然としているから断言はできない、確証もない。

  でも、なんだか怖い。漠然とした恐怖が俺の心を蝕んでいくのが分かる。

「大丈夫。良くも悪くも、思っていることの九割起きないってよく言うし」

  俺は自分にそう言い聞かせて、お茶を準備した。

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